POISON『SWALLOW THIS LIVE』(1991)
1991年11月にリリースされた、POISON初のライブアルバム。3rdアルバム『FLESH & BLOOD』(1990年)を携えて行われた1991年のUSツアーの中からマイアミ公演とタンパ公演のベストテイク(笑)を厳選し、フルライブが丸々再現された形で構成されています。さらに、本作のために制作された新曲4曲も追加されており、KISSにおける『ALIVE II』(1977年)を模した2枚組作品と言えるでしょう。実際、スタジオアルバム3枚の区切りで作ったベスト盤的ライブ作品集ですしね。
POISONのライブを観たことがある人がどれだけいるかわかりませんが、ベストアルバム『POISON'S GREATEST HITS 1986-1996』(1996年)のレビューで書いたように、本当に80年代の彼らの演奏力は酷いものでした(少なくとも、自分が観たライブの印象ですが)。そこまでうまいわけじゃないのに、妙にテクニック志向に走ったり、そこからさらに表現力を必要とするブルースやソウルのテイストを取り入れたりと、まあその勘違いっぷりといったら笑いすら込み上げてきます。
しかし、このバンドの場合はその“勘違いっぷり”に加えて、ポップでキャッチーな楽曲を書く才能に恵まれていたこと、その2つがうまいこと噛み合ったおかげで爆発的大ヒットを手にすることができたわけです。プラスして、時代も追い風になったのも大きかったですけどね。
だけど、演奏力だけは本当にどうにもならない。練習しても、その人の潜在能力を超えるものは出てこないわけですから。結局、ポップセンスに優れた4人は演者(演奏力ではなく、ステージで魅せる者としての技術)としての才能は優れていたものの、プレイヤーとしての技量はある一定値以上伸びなかったわけです。
その現実が、この2枚組アルバムには余すところなく収録されています(笑)。いや、冗談抜きで。もちろん、アリーナクラスをバンバン埋めていたバンドです。バンドとしてはある程度聴ける演奏や歌を披露していますが、これがソロプレイ……ライブでのお約束的なギターソロコーナーやドラムソロコーナーになると……あとは言わなくてもわかるよね?(苦笑) ホント、なんで10分前後もあるギターソロやドラムソロまでそのまま入れちゃったんでしょうね……と言われたら、エゴ以外の何者でもないわけですが。
幸いにも、2000年代に入ってからCD1枚モノで再発された本作からは、このソロコーナーはカットされています。安心してください、ヒット曲のオンパレードを楽しめます(笑)。けど、ここはあえてソロコーナーを完全収録した2枚組バージョンをオススメしておきたい! この気持ち、共有しましょうよ!
あ、新曲についても触れておきますか。当時シングルカットされた「So Tell Me Why」は非常にポップで、サビもキャッチーで親しみやすい1曲。そのわりにヒットしませんでしたけど(アメリカではランクインせず、イギリスでは最高25位)。「Souls On Fire」は『FLESH & BLOOD』に入っていそうな、ブルースハープをフィーチャーした黒っぽいロックで、「Only Time Will Tell」はデビューアルバム『LOOK WHAT THE CAT DRAGGED IN』(1986年)に入っていそうなバラードで、「No More Lookin' Back (Poison Jazz)」はタイトルどおりPOISON流のジャズ……ではなく、ギター弾き倒しのアップチューンでこれも1stアルバムに入ってそうなテイスト。まあ、どれも本気で書いたというよりはアルバムのアウトテイクっぽいような気が。熱心なマニアに向けた、ボーナス的な4曲なのかな。
本作は全米51位と、過去3作のスタジオアルバムと比べたら失敗に近い数字しか残せませんでしたが、1991年という時代性を考えるとそれも納得かなと。なお、本作リリース後にC.C.デヴィル(G)がバンドを脱退し、代わりにリッチー・コッツェンが加入。バンドはより本格志向の4thアルバム『NATIVE TONGUE』(1993年)で再起を図ることになりますが、そのへんは同作のレビューをご覧ください。
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