2018年2月 6日 (火)

CANE HILL『TOO FAR GONE』(2018)

アメリカ・ルイジアナ州ニューオリンズ出身の4人組メタルコアバンド、CANE HILLの2ndアルバム。デビューアルバム『SMILE』(2016年)発表後はBULLET FOR MY VALENTINEASKING ALEXANDRIA、ATREYUなどのヘッドラインツアーでサポートアクトを務めたほか、『VANS WARPED TOUR』に参加して実力/知名度を高めていったようです。

人気インディーレーベル「Rise Records」から発表された本作は、基本的に前作の延長線上にある内容ですが、激しさはそのままに、よりキャッチーさが増したように感じられます。

ミドルテンポ中心でグルーヴィーな作風は90年代後半以降のヘヴィロックからの影響が強く感じられるし、なおかつALICE IN CHAINSSTONE TEMPLE PILOTSあたりのグランジバンドが持っていた危うさや、カオティックハードコアバンドらしい狂気性も備えている。ハーモニーのかまし方こそ90年代後半以降のバンドっぽいですが、僕はそこになんとなく「グランジの突然変異」的な色合いを感じました。

でもね、今AICやSTPの名前を挙げてみたものの、実は具体的に「このバンドっぽい」とか「誰それのパクリ」みたいな明確さが見えてこないのも、実はこのバンドの特徴なんじゃないかと思っていて。確かにKORNTOOLなど90年代後半のシーンを席巻したバンドたちからの影響は、テイストとしていたるところから感じられるのだけど、直接的に「ここが誰っぽい!」という表現は少なく、そこが現代的な味付けで上手にミックスされているからこそ、「CANE HILLらしさ」が確立できているのではないでしょうか。

だから、もし1998年や2001年にこのバンドと出会っていたとしたら、「めっちゃ新しい音のバンドが出てきた!」と大喜びして聴きまくっていたんじゃないかな。

と同時に、現時点において「CANE HILLらしさ」はできているものの、「他のバンドとはここが違う!」という絶対的な個性がまだ見つけられていないという現実もあるわけで。同系統のサウンドを持つバンドたちと比べたら頭ひとつ抜きん出た印象はあるものの、そこからさらに上に行くにはそういった個性を見つけることがこのバンドには必要なんじゃないか、と思いました。

そのためには、まずは多くの人にもっと知ってもらうこと、聴いてもらうこと、観てもらうことが急務かな。本当は今年日本で初開催が決まった『VANS WARPED TOUR』に出演するといいんじゃないかと思うんですよね。

まあ個人的には、不思議とクセになる1枚なので、これからも頻繁に聴くことになると思います。



▼CANE HILL『TOO FAR GONE』
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2018年2月 5日 (月)

OF MICE & MEN『DEFY』(2018)

カリフォルニアのオレンジ・カウンティ出身のメタルコアバンド、OF MICE & MEN通算5作目のオリジナルアルバム。

前々作『RESTORING FORCE』(2014年)が全米4位、前作『COLD WORLD』(2016年)が全米20位とそれなりに大きな成功を収めていた彼らでしたが、アルバム発表から数ヶ月後にフロントマンのオースティン・カーライルが脱退。ATTACK ATTACK!時代から声や風貌に色気のあるフロントマンだっただけに、彼の脱退はバンドにとってかなりの痛手だったはずです。きっと新たなフロントマンを迎えることも考えたことでしょう。しかしバンドはアーロン・ポーリー(B, Vo)がリードボーカルを兼任する形で、残された4人で活動を継続。前作から1年4ヶ月というハイペースで新作を完成させました。

もともとアーロン自身、OF MICE & MEN加入以前はJAMIE'S ELSEWHEREというポストハードコアバンドでボーカリストとして活躍していたので、この兼任にはなんの問題もないはず。事実、オースティン脱退後も4人で『COLD WORLD』を携えたツアーを行っていたのですから。

なのに……なんでしょう、この至るところから感じるこの不思議な感覚は。

アルバムのプロデューサーは過去2作を手がけたデヴィッド・ベンデス(BEARTOOTH、coldrain、Crossfaith、WE CAME AS ROMANCEなど)から替わり、大御所ハワード・ベンソン(HOOBASTANKMY CHEICAL ROMANCESEPULTURAなど)が担当。適度にヘヴィで、スクリームを多用しつつも歌メロがキャッチーでしっかり作り込まれているメタルコア路線は過去2作から引き継がれており、ボーカルが変わったことで受ける違和感はほとんどないはずです。

アッパーな曲もミドルテンポのヘヴィな楽曲も、ひたすら聴きやすいしライブ映えするものばかり。PINK FLOYDのカバー「Money」も原曲まんまなのですが、ヘヴィな音像で表現することで他のオリジナル曲の中に混ざってもしっかり馴染んでいます。例えば、国内のラウドロックと呼ばれるカテゴリーのバンドが好きなリスナーなら間違いなく気に入る1枚でしょう。

だけど、上に書いたとおり、従来のファンだったらちょっとした「あれっ?」を感じるかもしれません。アーロンのクリーントーンも決して悪いわけじゃない。メタルコアとしては十分に魅力的なんです。でも、オースティンという絶対的な前任者と比較してしまうと若干劣る……いや、劣ってはいないですね。なんていうか、味気ないんですよね。それが、最初に書いた“色気”があるか/ないかの違いなのかもしれません。

アルバムとしては非常に優れた内容ですし、これはこれで高評価に値する作品だと思います。が、自分がこのバンドのどこに魅力を見出していたか?と考えると……ね? だから、現編成に対する正当な評価はこの次のアルバムが出るまで持ち越しかな。もう1枚聴けば、本作に対して感じた「あれっ?」が消え去ると信じています。



▼OF MICE & MEN『DEFY』
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投稿: 2018 02 05 12:00 午前 [2018年の作品, Of Mice & Men] | 固定リンク

2018年2月 4日 (日)

BLACK VEIL BRIDES『VALE』(2018)

セルフタイトル作『BLACK VEIL BRIDES』(2014年)から3年3ヶ月ぶりとなる、BLACK VEIL BRIDES通算5作のオリジナルアルバム。2010年のデビュー以来、ほぼ1〜2年間隔でアルバムを量産し続けてきた彼らですが、今回は意外と間が空いたなという印象。とはいえ、その間にフロントマンのアンディ・ビアサックがANDY BLACK名義での初ソロ作『THE SHADOW SIDE』(2016年)を発表したりサマソニで来日したりしてたので、アンディ自身はかなり働いてたわけです。

勝負作となった前作『BLACK VEIL BRIDES』はかなりヘヴィな仕上がりで、個人的にもお気に入りの1枚だったのですが、国内盤がリリースされなかったためここ日本では一部で地味な盛り上がりをしたのみ。結局来日公演も実現しなかったんじゃないかな。思えば初来日公演が東日本大震災で中止になったりと、ここ日本では踏んだり蹴ったりのイメージが強いバンドですが、だからこそもうちょっと丁寧に応援してあげてほしい気がします。

ですが、今作も今のところ国内盤リリースの予定なし。そういえばANDY BLACKのアルバムも国内盤未発売でしたもんね。だったらということで、ここでしっかり紹介しておきたいと思います。

デビュー時の、初期MOTLEY CRUEを彷彿とさせるヴィジュアルとゴス/メタルコアの影響下にあるサウンドから徐々に正統派HR/HM路線へと移行していったBVBですが、本作はハードなギターリフを取り入れつつもボーカルラインは非常にポップというバランス感に優れた楽曲集に仕上げられています。イメージ的にはAVENGED SEVENFOLD(A7X)に近いのかな。あそこまでメタリックで大作路線ではないですが、聴きやすさ・とっつきやすさという点においては共通するものが多いと思います。これが現代的なアメリカンHR/HMのスタンダードということなんでしょうかね。

もともとアンディのキーがそこまで高くはないので、ロー&ミドルを軸にした歌メロのおかげでどうしてもメタルっぽくは聞こえなかったのですが、今作に関してはそこにポップ&キャッチーさが強まったことでより親しみやすさが増した気がします。ギターリフや全体の音像こそHR/HM的ではあるものの、ここ日本だったらJ-POPやアニソンの範疇にも収まってしまうのではないか、というくらいキャッチー。ゴリゴリのメタルはちょっと……という人にもオススメできる1枚だと思います。

先にA7Xほど大作主義ではないと書きましたが、そんな本作にも1曲だけ、8分半におよぶドラマチックな大作「Dead Man Walking (Overture II)」が収録されています。この曲もヘヴィメタル的というよりはアニソン的なシンフォニックさに近いイメージも。適度なゴシックテイストやハードさを取り入れつつも、根がポップな人たちなのかもしれないですね。

ANDY BLACKのアルバムよりは激しく、かといって前作よりはポップ。過去の作品と比較するなら、3枚目の『WRETCHED AND DIVINE: THE STORY OF THE WILD ONES』(2013年)がもっとも近いかもしれません。なので、同作がお気に入りという人には入っていきやすいでしょうし、前作みたいなヘヴィ路線でハマった人にはちょっとヤワに感じられる1枚かもしれません。バランス取るのって本当に難しいですね。

さて、ここまでキャッチーなアルバムを作ったのですから、あとは来日に期待したいところ。国内盤は出ていないものの、ANDY BLACKのときみたいにサマソニやラウパーなどフェスでの来日に期待しておきましょう。



▼BLACK VEIL BRIDES『VALE』
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投稿: 2018 02 04 12:00 午前 [2018年の作品, Black Veil Brides] | 固定リンク

2018年1月31日 (水)

MARMOZETS『KNOWING WHAT YOU KNOW NOW』(2018)

紅一点ベッカ・マッキンタイア(Vo)を擁するイギリスの5人組バンド、MARMOZETSの2ndアルバム。前作『THE WEIRD AND WONDERFUL MARMOZETS』(2014年/日本盤は2015年7月)は輸入盤がリリースされた2014年9月からしばらくして手に入れており、非常に愛聴した1枚でした。ここ日本にも2015年夏に『SUMMER SONIC』で初来日したのを機に、それなりに注目されたような印象があります。

そんな彼らの約3年ぶりとなる新作。前作はハードさの中にもキャッチーさ、ポップさが光る絶妙なバランス感で成り立っていましたが、本作はハードさを少しだけ抑えめにし、ポップさキャッチーさをより強めた、非常に聴きやすい作風が極まっています。

それはオープニングトラック「Play」を聴けば一耳瞭然で、サウンドの硬さはそのままに、スクリームを排除したベッカのメロディアスなボーカルがより前面に打ち出されている印象が強まったかなと。続く「Habit」ではダークさを残しつつもそこに優しさが加わり、バンドとしての成長が強く伺えるアレンジを聴かせてくれます。続く「Meant To Be」「Major System Error」もハイトーンを活かしたメロディワークが冴えているし、「Insomnia」には90年代ブリットロックを思い出させる香りが漂ってきます。

もちろんスクリームがゼロになったわけではありません。「Lost In Translation」では効果的に取り入れられていますしね。ただ、曲調やアレンジの効果なのか、スクリームが入っても前作より上品に聴こえてくるのだから不思議でなりません。

前作を初めて聴いたとき、オープニングトラック「Born Young And Free」のインパクトが強く、全体的にハードでエモなサウンドが心地よく感じられたこともあってお気に入りとなったのですが、今回は良い意味でインディー臭が薄らいでいるんですよね。例えば、サウンドの質感やプロダクションひとつ取り上げても、前作にあった(良い意味での)チープさが今作では排除され、完全にメジャー感が強まっている。もっといえば、アルバムジャケットにもそういった上昇志向が現れているし。もしかしたらリスナーがそこを成長と受け取るか、あるいはセルアウトしたと拒絶するかで、本作に対する評価は二分するかもしれませんね。

もともと魅力的なフロントウーマンを擁するバンドだけに、この進化は個人的には大歓迎。もっと幅広く受け入れられるべきバンドですし、なんなら“新世代のPARAMORE”くらいになってもおかしくない存在だと思っているので、ここでさらにひと化けしてほしいところです。



▼MARMOZETS『KNOWING WHAT YOU KNOW NOW』
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投稿: 2018 01 31 12:00 午前 [2018年の作品, Marmozets] | 固定リンク

2018年1月30日 (火)

JOE SATRIANI『WHAT HAPPENS NEXT』(2018)

本サイトでは滅多にピックアップすることのないインストゥルメンタルアルバムですが、これは非常に楽しい1枚だったのでぜひ紹介したいと思い書いてみることにしました。

ジョー・サトリアーニの通算16枚目となるオリジナルアルバム。いまだに『SURFING WITH THE ALIEN』(1987年)や『FLYING IN A BLUE DREAM』(1989年)の印象で語ってしまいがちのサトリアーニ。これらの作品、すでに30年も前のものなんですよね。もちろん、上記の2枚以降も10数枚ものスタジオ作品を発表してますが、歌モノロック&HR/HMリスナーにはどうしても敬遠しまいがちな存在でもあるわけで。なので、そういう自分にとってのサトリアーニはサミー・ヘイガー(Vo)&マイケル・アンソニー(B)の元VAN HALEN組、RED HOT CHILI PEPPERSのチャド・スミス(Dr)と組んだCHICKENFOOTのギタリストっていう認識が強い人かもしれません。

が、たまたま手にした今回のアルバム『WHAT HAPPENS NEXT』がHR/HMファンの耳にも親しみやすい仕上がりだったので、驚いたわけですよ。

今回のアルバムは元DEEP PURPLEのグレン・ヒューズ(B)、CHICKENFOOTでの盟友チャド・スミス(Dr)という豪華なトリオ編成で制作した意欲作。もちろんグレンは一切歌うことなく、ベースプレイヤーに徹しています。前作、前々作あたりではクリス・チェイニー(B)&ヴィニー・カリウタ(Dr)がリズム隊として参加していましたが、本作は全編サトリアーニ/グレン/チャドの3人でレコーディングに臨んだこともあって、全体的にハードエッジな1枚に仕上げられています。また、プロデューサーにハードロック畑のマイク・フレイザー(AC/DCAEROSMITHMETALLICAなど)を迎えていることも、このへんに大きく影響を与えているのかもしれません。

とにかく1曲目「Energy」の飛ばしっぷりから気持ち良いったらありゃしない。サトリアーニらしいリフ&ソロワークはもちろんのこと、ダイナミックなアンサンブルを生み出しているリズム隊のプレイも圧巻。続く「Catbot」ではエフェクトのかかったベースリフの上を、同じく機械的なエフェクトがかかったギターがのたうちまわるし、クリーントーンのカッティングが気持ち良く加わる。序盤にハードロック色強めの楽曲が並ぶからこそ、5曲目「Righteous」のメロウ&ポップさがより際立つし、かと思えばソウルフルかつフュージョンチックな「Smooth Soul」みたいな曲もこの構成なら心地よく楽しめるわけです。

後半はハードブギーテイストの「Headrush」から始まるものの、ファンキーさも感じられる落ち着いたトーンの「Looper」や「What Happens Next」、ダイナミックなギタープレイ&バンドアンサンブルが存分に味わえる「Invisible」、ラストを飾るにふさわしいミディアムスロー「Forever And Ever」と、前半と比べればトーンダウンは否めませんが、決して悪いわけじゃない。むしろメリハリという意味では、前半戦の攻めがあるからこそ後半の「曲調は落ち着いているけどプレイは派手」な楽曲も素直に受け入れられるというもの。しかも全編ギターが歌いまくっているから、単純に楽しく聴けるんですよね。これがメロディ無視で弾きまくりなギタープレイヤーだったら、いくらハード&ヘヴィな作風でもここまで楽しめなかったと思います。

年間ベストに挙げるような作品ではないかもしれないけど、スルメ的アルバムとして長きにわたり愛聴できる1枚になりそうです。意外な収穫でした。



▼JOE SATRIANI『WHAT HAPPENS NEXT』
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投稿: 2018 01 30 12:00 午前 [2018年の作品, Joe Satriani, Red Hot Chili Peppers] | 固定リンク

2018年1月29日 (月)

PHIL CAMPBELL AND THE BASTARD SONS『THE AGE OF ABSURDITY』(2018)

2015年末のレミー(Vo, B)急逝を受け活動を終了させたMOTÖRHEAD。そのMOTÖRHEADにおいて、“ファスト”・エディ・クラーク(G)の後釜としてバンドに加わり、活動終了までバンドのギタリストとして在籍したフィル・キャンベルがMOTÖRHEAD後に結成したのがこのPHIL CAMPBELL AND THE BASTARD SONSというバンドです。

同バンドは活動終了から約半年後の2016年8月、ドイツで行われたフェス『WACKEN OPEN AIR』にて本格始動。同年11月にオリジナル曲で構成されたEP『PHIL CAMPBELL AND THE BASTARD SONS』を発表し、2017年6月にはMOTÖRHEADやRAMONESBLACK SABBATHのカバーを含むライブEP『LIVE AT SOLOTHURN』をリリースしています。

そして2018年1月、ついに発表された1stフルアルバム『THE AGE OF ABSURDITY』では、MOTÖRHEADで養われた爆走ロックンロール魂はそのままに、さらに幅を広げたロックンロール/ハードロックを存分に堪能することができます。

メンバーはフィル(G)のほか、トッド(G)、デイン(Dr)、タイラ(B)というフィル自身の実子3人に加え、ニール・スター(Vo)という5人編成。“これぞMOTÖRHEAD!”と叫びたくなる黄金ギターリフからスタートし、疾走感あふれるバンドサウンドを聴かせつつもサビではグルーヴィーなミドルテンポへとテンポチェンジする巧みなアレンジがたまらない「Ringleader」1曲で、このアルバムの掴みはOK。以降も「Freak Show」や「Gypsy Kiss」「Dropping The Needle」など、MOTÖRHEADのテイストがふんだんに散りばめられたハードロックが多数登場します。

もちろん、それだけじゃないのがこのバンドの特徴でもあり、グルーヴィーなモダンヘヴィネスナンバー「Skin And Bones」、いかにもなバッドボーイズロック「Welcome To Hell」、ヘヴィブルースと呼びたくなる「Dark Days」、男臭い哀愁味すら感じさせるミディアムスローの「Into The Dark」など、本当に聴きどころの多い1枚に仕上げられています。MOTÖRHEADフリークはもちろんのこと、フィルがゲスト参加したLAのハードロックバンドBUDDERSIDEをはじめ、BUCKCHERRYなど硬派なハードロックバンドが好きなリスナーにも存分にアピールする内容ではないでしょうか。特にこのバンドの場合、シンガーのニールが聴かせる歌声がレミーっぽくないのが良い方向に作用しており、いい意味でMOTÖRHEADに一線を引くことができたと個人的には感じています。

ちなみに、日本盤の初回限定盤には先に紹介したライブEP『LIVE AT SOLOTHURN』同梱の2枚組仕様も用意。AppleMusicでは2作品別々に配信されているので、CD購入を考えている人は通常盤に500円程度プラスしてこの初回盤を手に入れることをオススメします。



▼PHIL CAMPBELL AND THE BASTARD SONS『THE AGE OF ABSURDITY』
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投稿: 2018 01 29 12:00 午前 [2018年の作品, Motorhead, Phil Campbell And The Bastard Sons] | 固定リンク

2018年1月28日 (日)

MACHINE HEAD『CATHARSIS』(2018)

2014年11月発売の『BLOODSTONE & DIAMONDS』から3年2ヶ月ぶりとなる、MACHINE HEAD通算9枚目のスタジオアルバム。超大作主義から若干コンパクトになり始めた前作を踏襲した、よりコンパクトでキャッチーな楽曲が並ぶ1枚で、全15曲74分というボリューム満点の内容に仕上がっています。

2016年に配信リリースされた新曲「Is There Anybody Out There?」(本作には未収録)を聴いたとき、非常にキャッチーなメロディとどこかメタルコア以降を感じさせるアレンジに「おおっ!」と驚くと同時に「……大丈夫だろうか?」と若干不安を覚えたのが昨日のことのように思い出されますが、あの前振りがあったおかげで僕自身は本作にスッと入っていけた気がします。

それまでの彼らが得意とした複雑なアレンジを持つスラッシーな大作は皆無。全体的に4〜5分台のミドルヘヴィナンバーが中心で、その中にモダンでどこかゴシック調な「Catharsis」みたいな楽曲が混ざっているのだから、さあ大変。そりゃあ皆さん問題作だのなんだのと騒ぎ立てるわけです。

が、そもそもこのバンドってそういう“血迷い”をたまに見せるから面白かったんじゃなかったでしたっけ? いつから「正統的メタル/ラウドの後継者」になったんでしたっけ?(いや、なってないってば)

僕、彼らの作品の中で特に気に入っているのが1stの『BURN MY EYES』(1994年)3rd『THE BURNING RED』(1999年)、そして6th『THE BLACKENING』(2007年)なんですね。まぁ1枚目と3枚目は共感してもらえる人も多いかもしれませんが、3rdをお気に入りに挙げるMACHINE HEADファンは少ないんじゃないでしょうか。でも、それくらいこのバンドの本質の一部がここに含まれていると思っているんです。

ロブ・フリン(Vo, G)って実は何かのオリジネーターというよりも、ひとつ題材を与えたらそこから“それっぽい”ものを作り上げるのが上手な人なんじゃないかな、と個人的には思っていて。だからPANTERAだ、HELMETだと世間が騒いでいた時期に『BURN MY EYES』を作り上げ、LIMP BIZKITだ、KORNだ、DEFTONESだと世間が騒いでいた時期に『THE BURNING RED』みたいな作品を何の迷いもなく完成させてしまう。なんなら、ファッションもそっちに寄せちゃうんですから……好きなんですよ、“そういう”ものが。

ここ最近は大きく道を踏み外すことがなかったロブですが、前作でのコンパクト化が世間的に受け入れられたこと思いついたのか、それとも「ずっとやってみたかったんだよね」と秘めてた思いが爆発したのか、再び振り切った1枚を作っちゃったわけです。お茶目な奴め。

確かに曲によっては“MACHINE HEAD以降”のバンドたちの匂いがプンプンするし、「あれ、これってあのバンドのあのアルバムに入ってなかったっけ?」と思ってしまっても不思議じゃないタイプの楽曲も存在します。けど、それすら「しょーがねーなぁ(苦笑)」と許せてしまう自分もいるわけでして。あのね、そこまで悪いアルバムじゃないですよ? 賛否両論って言われる「Catharsis」なんて僕、このアルバムのなかで1、2を争うぐらいに好きだし、ハンドクラップから始まるアップチューン「Kaleidoscope」も、コリィ・テイラーが歌っても不思議じゃないメロディアスな「Triple Beam」も、序盤のアコースティックパートに度肝を抜かれるアメリカンロック調の「Bastards」、アコギ主体のバラード「Behind A Mask」、ゴシック調のスローナンバー「Eulogy」もみんな嫌いじゃない。むしろ好意的に受け取っています。

それ以外のヘヴィナンバーも決して悪くないしね。上に挙げた異色作のほうにどうしても目が耳が行きがちだから、全体に対する正統な判断が下しにくいのかもしれないけど、この振り切り方を僕は全面的に支持したいと思います。むしろ、こういった新たな側面がライブで過去の楽曲と混ざり合ったとき、どう聴こえるのかが楽しみ。7月の来日公演、ぜひ足を運んで確かめたいと思います。



▼MACHINE HEAD『CATHARSIS』
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投稿: 2018 01 28 12:00 午前 [2018年の作品, Machine Head] | 固定リンク

2018年1月27日 (土)

LOUDNESS『RISE TO GLORY -8118-』(2018)

以前OUTRAGEの新作『Raging Out』(2017年)の際にも書きましたが、更新再開後の当サイトでは「新譜、旧譜にかかわらず海外作品のみを取り上げる」というポリシーで続けてきましたが、再びそういった前提を破ってでも書きたい国内メタル作品が登場したので紹介したいと思います。

昨日1月26日に世界同時リリースとなったLOUDNESSのニューアルバム『RISE TO GLORY -8118-』は、2014年発売の『THE SUN WILL RISE AGAIN 〜撃魂霊刀』以来となるオリジナルアルバム。通算27枚目となるのでしょうか……デビューから37年でこの枚数はかなりのものがあると思います。にしても、オリジナルメンバーで再始動した2001年以降、1〜2年に1枚は新作を発表してきた彼らにしては4年も空いたのは意外でしたね(とはいえ、2016年にはセルフカバーアルバム『SAMSARA FLIGHT 〜輪廻飛翔〜』を発表しており、メンバーは同作をオリジナルアルバムという感覚で制作したと発言しているので、2年ぶりの新作くらいのつもりなんでしょうね)。

過去にも海外でアルバムを発表してきたLOUDNESSですが、実は世界同時リリースというのはこれが初めてなんじゃないでしょうか。まあそれぐらい、現在の海外を含むメタルシーンがLOUDNESSの新しい音を求めているという表れかもしれません。

本作ですが、リリースよりずいぶん前に聴く機会を得たのですが……本当に素晴らしいんですよ。『THE SUN WILL RISE AGAIN 〜撃魂霊刀』の時点でかなり“戻って”きた感はあったのですが、本作はその比じゃないくらい“戻って”きています。ぶっちゃけ、『SAMSARA FLIGHT 〜輪廻飛翔〜』を制作したのも大きく影響していると思います。同作からあまり感覚を空けることなく、よい流れで今作の制作に入っていったのも大きかったんでしょうね。

オープニングのインスト「8118」を経てスタートする「Soul on Fire」の“往年のLOUDNESS”感。そして、ゼロ年代以降のモダンメタル/ハードコアなテイストを含みつつも基本的には“往年のLOUDNESS”な「I'm Still Alive」、80年代的だけど現代的なテイストも含まれているハードロック「Go for Broke」など、とにかく我々がイメージする“あのLOUDNESS”感満載なのです。しかも、単なる焼き直しやセルフパロディでは終わらず、しっかりゼロ年代、テン年代の彼らをそのまま引き継ぎつつ原点を見つめ直している印象を受けるのですから、そりゃあ悪いわけがない。

アルバム全体はヘヴィメタルというよりもハードロックという印象で、そういう意味では全米進出前の4枚(『THE BIRTHDAY EVE 〜誕生前夜〜』『DEVIL SOLDIER 〜戦慄の奇蹟〜』『THE LAW OF DEVIL'S LAND 〜魔界典章〜』『DISILLUSION 〜撃剣霊化〜』)をイメージする作品かもしれません。だが、それが良いんですよ。もちろん『THUNDER IN THE EAST』(1985年)以降のテイストも含まれていますし、先にも述べたように2000年以降の彼らの持ち味も随所に散りばめられています。要は、メンバー自身がLOUDNESSという存在をより客観的に見つめることができた、だからこその1枚なのかもしれませんね。

ヘヴィバラード「Untill I See the Light」もミドルヘヴィナンバー「The Voice」もツービート炸裂のハードコアチューン「Massive Tornado」も、そして初期の彼らを彷彿とさせつつも現代的なギタープレイが映えるインスト「Kama Sutra」も、オープニングのタッピングプレイでニンマリしてしまうファストチューン「Rise to Glory」も、ザクザクしたギターリフがいかにも彼ららしい「Why and for Whom」も、オープニングのリフを聴いた瞬間に“そうそう、これこれ!”と唸ってしまう「No Limits」も、ヘヴィながらも泣きメロが気持ち良いバラード「Rain」も、全部文句なし。これを待っていたんですよ、僕たちは……そう声高に叫びたくなるくらいの1枚。メロディが現代的になり、その部分は80年代初頭の“いかにも”とは違うかもしれないけど、そこに関しては僕は進化と真正面から捉えることにしています。

最近LOUDNESSから離れていたオッさん世代にこそ聴いてもらいたいアルバムだと思います。ぜひセルフカバーアルバム『SAMSARA FLIGHT 〜輪廻飛翔〜』と併せてチェックしてもらいたい、2018年の日本のHR/HMシーンを代表する1枚です。



▼LOUDNESS『RISE TO GLORY -8118-』
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投稿: 2018 01 27 12:00 午前 [2018年の作品, Loudness] | 固定リンク

2018年1月26日 (金)

FALL OUT BOY『M A N I A』(2018)

活動再開以降、『SAVE ROCK AND ROLL』(2013年)、『AMERICAN BEAUTY / AMERICAN PSYCHO』(2015年)と2作連続で全米1位を獲得し、第二の黄金期に突入した感の強いFALL OUT BOY。その彼らが当初の予定から4ヶ月遅れて、通算7作目のスタジオアルバム『M A N I A』をリリースしました。

活動休止前の『FOLIE A DEUX』(2008年)の時点でその片鱗はあったとはいえ、『SAVE ROCK AND ROLL』では従来のエモーショナルなバンドサウンドをよりモダンな方向に昇華……サンプリングやエレクトロテイストを積極的に取り入れたアレンジで、初期のポップパンクスタイルを愛好していたリスナーを驚かせました。続く『AMERICAN BEAUTY / AMERICAN PSYCHO』ではその強度をさらに高め、ロックバンドのアルバムというよりも幅広い意味での“ロック”を鳴らすバンドの作品集としては最高峰の1枚になったのではないかと思っています。

そんな力作のあとですから、そりゃあバンド側も新作制作には慎重になるわけですよね。昨年春以降からシングルとして少しずつ新曲を切っていき、リスナーからの反響を伺う。果たして自分たちがやろうとしていることは今でも有効なのかどうか、それを調べるかのように。

今回の『M A N I A』、まず驚いたのはフィジカル(CD)版とデジタル版とで曲順が異なること。僕はストリーミングなどで先に公開済みの数曲を耳にしていたし、そこでアルバムの曲順もわかってはいたのですが、実際に発売されたCDはこれとはまったく異なるものでした。なので、ここではフィジカル版の曲順で聴いた感想を述べておきます。

本作の中でも比較的パワフルな部類の「Stay Frosty Royal Milk Tea」からスタートする形にしたのは正解だと思いました。デジタル版の「Young And Menace」は前作までの路線をさらに進化させた究極形で、インパクトという点ではこちらのほうが良いのかもしれません。が、ロックバンドとしてのこだわりなのでしょうか。フィジカルを買う=ファンということを意識した「Stay Frosty Royal Milk Tea」は、なるほどと頷けるものだと思うのです。

デジタル版だと序盤に公開済みの楽曲が多く並ぶ構成で、こういった曲順はライトユーザーを掴む上では非常にわかりやすいものだと思いました。で、フィジカル版は2曲目にアッパーな「The Last Of The Real Ones」を筆頭に、「Hold Me Tight Or Don't」「Wilson (Expensive Mistake)」と既発曲でたたみかける。この曲順も悪くない。むしろ、こっちのほうが従来のロックバンドの新作っぽくて僕は好きです。

フィジカル版では中盤にディープなゴスペルロック「Church」、R&B色が増したバラード「Heaven's Gate」でじっくり聴かせたあとに、既存曲と新曲を入れ子に並べ、ラストはデジタル版同様に「Bishops Knife Trick」で締めくくる。全10曲35分というトータルランニングも程よく、心地よく楽しめる1枚に仕上げられていると思います。

これはもう完全に好みでしょうけど、僕はフィジカル版のほうが「ロックバンドの新作」を聴いている印象が強いかな。SpotifyやAppleMusicでのデジタル版のほうも悪くないし、手軽に楽しむ分にはこっちでもいいけど。こうして聴き比べると、曲順って本当に大事なんだなと実感させられました。

さて、この試みは吉と出るのか凶と出るのか。気になるところです。



▼FALL OUT BOY『M A N I A』
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投稿: 2018 01 26 12:00 午前 [2018年の作品, Fall Out Boy] | 固定リンク

2018年1月25日 (木)

STARCRAWLER『STARCRAWLER』(2018)

2018年最注目ロックバンドのひとつは、間違いなくこのSTARCRAWLERではないでしょうか。

名門レーベルRough Trade Recordsと契約したことで一気に注目を集めることになったLA出身の4人組は、僕も昨年秋にレーベルから送られてきた資料を目にし、そして昨年春に発売されていたEP『ANTS』を聴いて、より興味を持つようになりました。

音もさることながら、まず気になるのがそのヴィジュアル。ボーカルのアロウ・デ・ワイルドのルックスや佇まい、ロックが好きな者なら惹きつけられないわけがない。「Ants」(アルバム未収録。国内盤にはボーナストラックとして収録)のMVは何度観たことか。パンクロックの衝動性と、どこかシアトリカルな要素を持ち合わせたそのステージングは絶対的なものがあり、これは今すぐにでも観たい!と思わせるものでした。

そうそう、「Used To Know」のセッション映像も最高なんですよ。これ、「Ants」と同じ人ですよ? 最高じゃないですか?

そうこうしているうちに、FOO FIGHTERSが自身主催の大型フェスにアルバムデビュー前の彼らを呼び入れたりして、知名度は一気に加速。ここ日本でも3月に待望の初来日が控える中、デビューアルバムがリリースされました。

アルバムをプロデュースしたのは、かのライアン・アダムス。悪いわけがない。アルバムに先駆けて公開された「I Love LA」は、あのバカげたMV含め最高だったので、当然過剰に期待していたわけですが、全10曲27分があっという間でした。録音のせいもあって音も骨太になり、ボーカルのアクの強さに負けてない。ロックもパンクもあるし、ポップもサイケもブルースもある。その時代、その時代で先人たちが作り上げてきたものを全部ミキサーに入れて粉々にして混ぜて、それをまたいびつな形で固めてできたのがこの音……そんな“完成しきってない”感がいかにもデビューアルバムらしくて、聴いていて本当にワクワクしてくるんです。

とにかく、曲がキャッチーなんですよね。シンプルなバンドサウンドはパンクロック的でもあるし、ゼロ年代のロックンロールリバイバル的でもある。それをあのヴィジュアルで表現しているんですから……そこが非常にLA的とも受け取れるし、ある種の突然変異とも受け取れる。まあ何はともあれ、ハタチ前後の若い世代が今もこうやってカッコいいロックンロールを鳴らしてくれることに、オッサン世代は素直に嬉しいわけです。

こんなにワクワクしたの、THE LIBERTINES以来? ARCTIC MONKEYS以来? もう覚えてないけど、少なくともこの10年くらいはなかったように思います。

ロックンロール、まだまだ捨てたもんじゃないよ。



▼STARCRAWLER『STARCRAWLER』
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投稿: 2018 01 25 12:00 午前 [2018年の作品, Starcrawler] | 固定リンク

2018年1月24日 (水)

BLACK LABEL SOCIETY『GRIMMEST HITS』(2018)

ザック・ワイルド(Vo, G)のメインバンド、BLACK LABEL SOCIETYの4年ぶり、通算10作目となるスタジオアルバム。前作『CATACOMBS OF THE BLACK VATICAN』(2014年)が全米5位という好成績を残し、ソロ名義では20年ぶりとなる『BOOKS OF SHADOWS II』(2016年)も全米18位を記録。昨年はオジー・オズボーンのツアーに参加して話題を集めるなど、この4年間はとにかく積極的に動いている印象でしたが、そんななか満を持して発表されたBLSの新作、これが非常に優れた作品なのです。

特に何が変わったということもなく、相変わらずヘヴィな曲はヘヴィでギター弾きまくり、サザンロックフィーリングを感じさせる緩い曲では枯れたプレイを聴かせるわけですが、なぜか本作はここ数作の中でも非常に充実度が高い印象を受けます。

まず、昨年のうちに先行公開された「Rooms Of Nightmares」のキャッチーさといったら。もちろん急にキャッチーになったわけではありません。これまでの彼らの楽曲はヘヴィな中にもしっかりキャッチーなメロディが存在しており、そこにザックのメロディメイカーとしての才能が感じられたわけですが、今回はその部分がより冴え渡っているというか、洗練されている気がするのです。

この「Rooms Of Nightmares」に限らず、アルバム冒頭を飾る「Trampled Down Below」にしろ、続く「Seasons Of Falter」「The Betrayal」にしろ、とにかく歌メロが親しみやすく耳に残りやすいものばかり。もちろん、サザンロックフィーリングの強いバラード「The Only Words」や「The Day That Heaven Had Gone Away」も素晴らしい仕上がりで、そういえばこの人オジーのところで「Mama I'm Coming Home」や「Road To Nowhere」を書いた人だった、ってことを思い出させてくれるぐらいのメロディセンスが発揮されているのです。

かと思えば、「A Love Unreal」のような曲では師匠のオジーの姿が重なるような歌声を聴かせてくれる(特にこの曲は、アレンジ自体がBLACK SABBATH的ですものね)。若干キーを上げてこれらの曲をオジーが歌ったら……なんてことも想像するわけですが、このローチューニングだからカッコいいわけであって、それもまた違う。そう考えると、やっぱりこれはザック自身が歌うために作られた楽曲群なんですよね。

ギターリフもソロも、相変わらずブっとい音で“らしさ”満点。過剰なプレイが遺憾なく反映されているにもかかわらず、どこか洗練された印象を受ける。その絶妙なバランス感が過去数作とは明らかに異なる。また、その内容もどこか集大成的でもある。久しぶりのソロアルバムでアク抜きできたのもあるでしょうし、久しぶりにオジーと共演したことも大きかったのかもしれない。『NO REST FOR THE WICKED』(1988年)でデビューして今年で30年、しかもBLSとしても10作目という節目のタイミングに、ザックはこのアルバムでひとつの結果を残すことができたのかもしれませんね。

これは本当に傑作です。いやはや、恐れ入りました。



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投稿: 2018 01 24 12:00 午前 [2018年の作品, Black Label Society, Zakk Wylde] | 固定リンク

2018年1月23日 (火)

JOE PERRY『SWEETZERLAND MANIFESTO』(2018)

AEROSMITHのギタリスト、ジョー・ペリーが数日前にひっそりと新しいソロアルバムをリリースしていました。あれ、実は大々的に告知されていて、自分だけが知らなかったパターン?とも思ったのですが(昨年11月には告知されていたようですね)、国内盤の予定もなく……まったく気づいていませんでした。申し訳ない!

で、ジョーのソロですよ。彼はエアロに復帰して以降、2000年代半ばまでソロアルバムを作って来ませんでした。それ以前のJOE PERRY PROJECTはエアロを脱退したからこそ生まれた産物だったわけで、メインバンドがある以上はソロで何かをする必要性はなかったと。ところが、2000年代以降のジョーのソロ2作(2005年の『JOE PERRY』、2009年の『HAVE GUITAR, WILL TRAVEL』)には作り理由がちゃんとあった。『JOE PERRY』のときはエアロが無期限活動休止を発表したタイミング、『HAVE GUITAR, WILL TRAVEL』のときはエアロのアルバム『MUSIC FROM ANOTHER DIMENSION!』(2012年)の制作初期段階で、途中で頓挫してしまった時期にソロへと向かった。クリエイターとしての制作意欲の吐け口として、止むを得ず(かどうかはわかりませんが)再びソロへと向かっていったわけです。

事実、『JOE PERRY』は90年代以降のエアロらしさにジョーならではの渋みが加わった良作ですし、『HAVE GUITAR, WILL TRAVEL』は新たな才能(YouTubeで見つけた無名のシンガーを迎えて制作)から触発された初期衝動がにじみ出た力作でした。それぞれカラーが異なり、個人的にも楽しんで聴くことができたけど、エアロの色が散りばめられていることで「だったらエアロの新作が聴きたいよ……」と思ってしまったのも事実でした。

では、今回発表された9年ぶりのソロアルバムはどうでしょう? 実はこれ、めっちゃ肩の力が抜けているんですよ。バンドとしてのエアロは終わりが近づいている、音楽でたくさん稼げたし、納得のいく作品もたくさん作ってこられた、あとは余生を楽しむのみ……と思ったかどうかはわかりません。でも、数年前にジョーがステージで倒れて意識不明?なんて事故がありましたが、あれを思い浮かべると今回は純粋に好きな音楽を楽しもうという姿勢が感じられるのです。

全10曲中インストが2曲、ジョー自身がボーカルと務めるのが1曲。残り7曲はロビン・ザンダー(CHEAP TRICK)、デヴィッド・ヨハンセン(NEW YORK DOLLS)、テリー・リードというロックファンなら誰もが知るレジェンドたちを迎えて制作しているのです。もちろん、悪いわけがない。基本的にはブルースをベースにしたロック/ハードロックで、エアロを彷彿とさせる曲もあるんだけど、以前のように「これ、エアロでやれよ!」的な“そのもの”ではなくてエアロのフレーバーを散りばめた楽曲をアクの強いフロントマンが歌ってるという印象にとどまっている。ああ、そうか。ジョー本人が歌ったりスティーヴン・タイラーを彷彿とさせるフロントマンが歌ったりするからいけなかったんだ。当たり前の話だけど。けどそれも、アリス・クーパーやジョニー・デップたちと始めたスーパーバンド、HOLLYWOOD VAMPIRESがあったからこそなんでしょうね。フロントに立つよりも、アクの強いシンガーの隣でこそ光ることを再確認できたのかもしれません。

ジョーのギターも非常にリラックスしたプレイを聴かせてくれているし、各ボーカリストに触発されて引っ張り出されたキレのあるフレーズも見受けられる。ぶっちゃけ、エアロの最新作『MUSIC FROM ANOTHER DIMENSION!』よりも良いんじゃないかと思うほど。いやあ、ジョーのソロアルバムでここまで興奮したの、久しぶり、いや、初めてかもしれない。

現在67歳。まだまだ最前線でやろうと思えばやれるし、若い才能をフックアップすることも可能でしょう。でも、エアロの近況もそうだけど、アーティストとしてはそろそろ“終活”の時期なのかな……もはや『MUSIC FROM ANOTHER DIMENSION!』レベルを保つことすら難しいのだったら、エアロのアルバムはもう無理に作らなくてもいいから、スティーヴンもジョーも自分の好きな音楽を、楽しみながら作ればいいと思うのです。その結果として本作が生まれたのだったら、僕はそれを素直に受け入れので。



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投稿: 2018 01 23 12:00 午前 [2018年の作品, Aerosmith, Cheap Trick, Joe Perry, New York Dolls] | 固定リンク