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2019年1月11日 (金)

QUEEN『A DAY AT THE RACES』(1976)

1976年末にリリースされた、QUEEN通算5作目のスタジオアルバム。前作『A NIGHT AT THE OPERA』(1975年)の全英1位/全米4位獲得およびシングル「Bohemian Rhapsody」(全英1位/全米9位)の大ヒットにより、ついにトップアーティストの仲間入りを果たしたQUEEN。このへんは、現在もロングランで公開中の映画『ボヘミアン・ラプソディ』を観た方ならご理解いただけるかと。そんな絶好調の彼らが続いて発表した本作も、全英1位、全米5位という好記録を残しております。

タイトルからも想像がつくかと思いますが、本作は前作『A NIGHT AT THE OPERA』と対になる印象の1枚。こう書くとヒット作の続編と受け取られがちですが、実は内容的には前作の延長線上にあるものという感じでもなく、あくまでQUEENらしさを追求した現在進行形の作品集と言えるでしょう。

興味深いのは、前作や前々作『SHEER HEART ATTACK』(1974年)にあったような組曲スタイルを排除していること。全10曲が単独した形を取っており、それが80年代以降の方向性にも通ずるものを感じさせます。

また、楽曲スタイル的にも次作『NEWS OF THE WORLD』(1977年)を彷彿とさせるものがあり、ここにパンクのスタイルをかけ合わせることであの方向性につながっていくのでは……なんてことも考えたり。そういう意味においては、実は大ヒット作2枚(『A NIGHT AT THE OPERA』と『NEWS OF THE WORLD』)に挟まれた過渡期的1枚と言えるかもしれません。事実、本作はチャート的には成功しましたが、セールス的には(特にアメリカでは)半分以下に落ちてますしね。

とはいえ、オープニングを飾るブライアン・メイ(G, Vo)のギターオーケストレーションからパワフルなハードロック「Tie Your Mother Down」(全英31位/全米49位)へと続く流れや、そこからメランコリックな「You Take My Brath Away」への流れ、ゴスペル調の名曲「Somebody To Love」(全英2位/全米13位)やシリアスかつヘヴィな「White Man」、美しくも軽やかな「Good Old-Fashioned Lover Boy」(全英17位)など、良曲目白押しな内容。音楽的にはより幅が広がった印象があります。

実は本作、初のセルフプロデュース作なんですよね。前作での成功を機に、バンドがやりたい邦題やってみました、というのもあったのかな。それにより、アルバムトータルとしては若干散漫さも目立つ結果となりましたが、これが調整されることによって80年代のQUEENにつながっていくという(そういう意味でも、やっぱり客観視できるプロデューサーは必要になるわけですが)。いろいろ難しいです。

でも、全10曲中8曲をフレディ・マーキュリー(Vo, Piano)が単独歌唱している(あ、「Good Old-Fashioned Lover Boy」ではエンジニアのマイク・ストーンも歌ってますが)ことで、何気に統一感が強いような。このへんも、80年代以降の彼らに通ずるものがありますね。

あ、最後に。本作のラストナンバー「Teo Torriatte (Let Us Cling Together)」に触れないわけにはいきませんよね。タイトルおよびサビの一部を日本語で書かれたこの曲は、1975年の初来日時に大歓迎してくれた日本のファンへの感謝の気持ちから、こういう形になったとのこと。今なら日本盤のみのボーナストラックになるんでしょうけど、これを世界共通盤に入れてしまう当時のQUEENの勢いと心意気。素敵すぎます。今から40数年前に、QUEENが日本人に対してここまでしてくれたことを忘れてはいけません。このアルバム、日本人として誇りに思ってもいいのではないでしょうか。そういう意味でも大切な1枚です。



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投稿: 2019 01 11 12:00 午前 [Queen1976年の作品] | 固定リンク