THE STOOGES『FUN HOUSE』(1970)
イギー・ポップ率いるTHE STOOGESが1970年夏に発表した、通算2作目のオリジナルアルバム。当時のメンバーはイギー(Vo)、ロン(G)&スコット(Dr)のアシュトン兄弟とデイヴ・アレクサンダー(B)のオリジナル編成にスティーヴ・マッケイ(Sax)を加えた5人編成。ちなみにデイヴが1975年、ロンが2009年、スコットが2014年、スティーヴが2015年にそれぞれお亡くなりになられています。
デビューアルバム『THE STOOGES』(1969年)はかろうじて全米106位まで上昇するものの、本作はチャートインすらせず。THE STOOGES名義で発表されたアルバム5作品のうち、本作だけがBillboard 200(アルバムチャート)に一度も入らなかったんですが、そんな記録とは一切関係なく、本作は非常に素晴らしいロックアルバムであり、個人的にも彼らの作品中もっともお気に入りの1枚です。そもそも、最初に聴いたTHE STOOGESのアルバムが本作でしたから。
前作はTHE DOORSの影響下にある、サイケデリックなガレージロックという印象でしたが、いよいよ今作でパンクロックの元祖的なアバンギャルドさ、アグレッシヴさが増していきます。パッションとエネルギーの塊のような「Down On The Street」「Loose」「T.V. Eye」という冒頭3曲でまずノックアウトされると、前作でのスタイルをより強化させたスローでヘヴィな「Dirt」へと続いていく。
で、後半は「I Feel Alright」というタイトルでも知られる「1970」からスタート。ここでようやくスティーヴのサックスが加わってきます。その延長線上にある(というより、組曲のように続いているようにも感じられる)「Fun House」で8分近いセッションが繰り広げられ、ラストにノイジーで狂気じみた「L.A. Blues」で幕を降ろす。たった7曲、40分にも満たない本作ですが、前作ではまだまだ薄かったキチガイっぷりが顔を出し始めます(とはいえ、本作ではその要素も6割程度といったところで、本領発揮されるのはステージの上になるわけですが)。
ハードロックファン的にはHANOI ROCKSがライブでカバーした「I Feel Alright」がもっとも親しみやすいかもしれません(実際、僕もそれがあってまず本作を聴いたのです)が、先に挙げた冒頭3強のほうが実は入っていきやすいんじゃないでしょうか。それに加え、同じコード進行で延々ジャムが進む「Fun House」やドゥーミーな「Dirt」のような楽曲も気に入りさえすれば、本作はこのバンドの入り口として最良な1枚と言えるでしょう(ラストのカオスっぷりはこのさい無視します)。
なお、本作は2005年頃にリマスター&デモ/アウトテイクからなる2枚組デラックス仕様も発売。こちらはサブスクでも聴くことができるので、まずはオリジナル盤を聴いてから触れてみることをオススメします。

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