AT THE DRIVE-IN『IN/CASINO/OUT』(1998)
1998年夏にリリースされた、AT THE DRIVE-INの2ndアルバム。続く3作目『RELATIONSHIP OF COMMAND』(2000年)がGrand Royalを通じてメジャー流通されたことで一気に知名度が増し、僕のようなにわかファンがそこで“これ1枚だけのバンド!”みたいな勘違いをしてしまいがちですが、いやいや、まったくそんなことはなく、この『IN/CASINO/OUT』の時点でそのオリジナリティはしっかり確立されていることに気づかされます。
僕自身、本作を聴いたのは『RELATIONSHIP OF COMMAND』発売からだいぶ遅れてのことですが、最初は『RELATIONSHIP OF COMMAND』にあったはちきれんばかりのエネルギーの塊がここにはないと、そこまでのめり込めなかったことをよく覚えています。が、実は本作『IN/CASINO/OUT』のほうがバランス感に優れていて、“コントロールされた爆発”を思う存分楽しめる1枚なのではないかと、あとになって気づくわけです。
ロス・ロビンソンが手がけた『RELATIONSHIP OF COMMAND』とは異なり、ここではFUDGE TUNNELやNAILBOMBなどで知られるアレックス・ニューポート(THE MARS VOLTA、BLOC PARTY、DEATH CAB FOR CUTIE)がプロデュースを担当。全体を覆う“熱に満ちているのにどこかヒンヤリとしている”感覚は、もともとこのバンドが持ち合わせている個性ではあるものの、アレックスはそこをより強化させることに成功したのではないかと。冷たいのにカラッとしたサウンドの質感と合わせ、本当に気持ちいい“音”を鳴らしているのですね。
それは、例えが正しいかわかりませんが、80年代前半までのU2が持っていた要素に近いものを感じます。ただ、AT THE DRIVE-INの場合はそれをよりモダンなオルタナティヴロックスタイルで鳴らそうとし、そこにオマー・ロドリゲス(G)の変態的ギターが加わることで独自なものへと昇華した。そして、次作ではそこにロス・ロビンソンの手が加わることで、もう誰にも追いつけないくらい特殊な存在へと急激に進化した。そう捉えることはできないでしょうか。
楽曲のスタイルには確実に“グランジ以降”で90年代的だし、中にはパワーポップ的な要素も見え隠れする。だけど、特別誰かに似ているわけでもない。そこがこのバンドの凄さなんだなと、リリースから20年経った今、改めて思うわけです。
AT THE DRIVE-INは昨年末に三度目の解散を発表してしまいましたが、もう役目はすべて果たしたのかな……最近のライブを観ると、特にそう思うこともあります。正しい幕の降ろし方だったのかもしれません。今は残されたこの名盤を聴きつつ、彼らに思いを馳せようかなと。

▼AT THE DRIVE-IN『IN/CASINO/OUT』
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