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2019年1月

2019年1月31日 (木)

2019年1月のお仕事

あけましておめでとうございます。
2018年はこのサイトを楽しんでいただき、本当にありがとうございました。
昨年12月から20周年に突入した当サイト。
これまでと変わらずバンバン更新していきます。
また仕事のほうでも新しいことにどんどん挑戦していきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

2019年1月に公開されたお仕事の、ほんの一例です。随時更新していきます。
(※1月31日更新)


[WEB] 1月31日、「BUBKA WEB」にて乃木坂46中田花奈インタビュー「心の波紋」の序文が公開されました。

[WEB] 1月31日、「リアルサウンド」にてアーティスト分析コラム「“ネガティブの共有”から生まれる新たなシーン 眩暈サイレンら若手アーティストの台頭から紐解く」が公開されました。

[紙] 1月31日発売「BUBKA」2019年3月号にて、乃木坂46中田花奈のインタビューを担当・執筆しました。(Amazon

[WEB] 1月28日、Maison book girlsのニューシングル『SOUP』特設サイトにてMaison book girl&サクライケンタ ロングインタビューが公開されました。

[WEB] 1月28日、「リアルサウンド」にて新譜キュレーション連載「BMTH、Fever 333、Papa Roach……話題作から「2019年のラウドシーンの在り方」を考察」が公開されました。

[紙] 1月24日発売「TV Bros.」2019年3月号にて、マカロニえんぴつ「LiKE」、須田景凪「teeter」、AAAMYYY「Body」、Ex:Re「Ex:Re」の各ディスクレビューを担当・執筆しました。(Amazon

[紙] 1月23日発売「アップトゥボーイ」2019年3月号にて、乃木坂46 4期生遠藤さくら、田村真佑、筒井あやめの各インタビューを担当・執筆しました。(Amazon

[WEB] 1月16日、「リアルサウンド」にてLittle Glee Monsterのインタビュー「Little Glee Monsterが語る、2018年に遂げた飛躍と個々の成長「今のリトグリは何色にもなれる」」が公開されました。

[紙] 1月4日発売「日経エンタテインメント!」2019年2月号にて、乃木坂46齋藤飛鳥&堀未央奈インタビュー、ドラマ『ザンビ』プロデューサーインタビューを担当・執筆、欅坂46菅井友香の連載「菅井友香のお嬢様はいつも真剣勝負」を構成・執筆しました。(Amazon


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昨年12月に当サイトで紹介したアルバムから各1〜2曲程度ピックアップして、30曲程度のプレイリストをSpotify、Apple Musicにて制作・公開しました。題して『TMQ-WEB Radio 1812号』。一応曲の流れなんかも考慮しつつ曲順を考えておりますので、レビューを読む際のBGMにするもよし、何も考えずにダダ流しするもよし。おヒマなときに聴いていただけると嬉しいです。


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また、当サイトとは関係なしに、僕が個人的に最近気になっている新曲をピックアップしたプレイリスト『最近気になる』を、Spotifyのみで作成・公開しています。こちらは随時追加&変更していくので、気が向いたらチェックしてみてください。

STONE TEMPLE PILOTS『NO.4』(1999)

1999年10月にリリースされた、STONE TEMPLE PILOTSの4thアルバム。スコット・ウェイランド(Vo)のドラッグ問題およびそれに伴う裁判などがあり、バンドは宙ぶらりんな状態に。そんなスコットにしびれを切らした残りのメンバー3人は別のシンガーとともに別バンドTALK SHOWを結成、アルバム『TALK SHOW』(1997年)をリリース。それを受けて、当のスコットはソロアルバム『12 BAR BLUES』(1998年)を発表し、もうバンド復活は望めないかと思っていたところ、4人は再度膝を付き合わしてアルバム制作に臨み、完成させたのがこのアルバムになるわけです。

プロデュースはデビューアルバム『CORE』(1992年)から4作連続での担当となるブレンダン・オブライエン。『THE MUSIC... SONGS FROM THE VATICAN GIFT SHOP』(1996年)では軽めで若干スカスカ感のあるサウンドで、ポップかつグラマラスな世界観を作り上げることに成功したものの、続くここでは過去イチで音が太くて重くて、それでいてキャッチーさがしっかり備わっている良バランスの1枚に仕上げられています。

オープニングの「Down」からして初期作にあった危うさやヘヴィさが復活していますが、以前と決定的に異なるのは“グランジ”のグの字も存在しないこと。完全にSTPのオリジナルとして完結しており、多くのSTPファンおよびヘヴィロックファンを納得させるクールさを持つ1曲となっています。

その後も「Heaven & Hot Rods」や「Pruno」と、メロがしっかりしたヘヴィロックが続きますが、「Church On Tuesday」あたりから少しずつ趣向が変化していきます。このあたりは完全に前作で得たグラマラスロックの効果がはっきりと表れており、その決定打となるのが5曲目の「Sour Girl」。この曲のキャッチーさ、美しさといったら……スコット、まだこんな曲を歌えるんだね。と、当時はホッとしたものです。

この前半だけでも最高なのに、6曲目「No Way Out」からの後半戦も素晴らしいんです。ヘヴィでサイケデリックな同曲から、攻めのアップチューン「Sex & Violence」、サイケポップという呼び名がふさわしい「Glide」、カントリーの香りすらする「I Got You」、タイトルからしてまんまなパンクチューン「MC5」、ラストを飾るにふさわしいドラマチックなアコースティックバラード「Atlanta」……全11曲、完璧な構成です。

過去3作での経験を無駄にせず、しっかりバンドとして前進することを選んだ。その結果が“らしさ”しか感じられないこの4thアルバムなわけですが、正直言うと初めて聴いたときは「ああ、これで解散かな。ラストアルバムっぽいな」と思ったのもまた事実。実際、バンドは本当に解散しても不思議じゃない状況だったわけですが、彼らはこのあともう1枚だけアルバムを制作することになりますが、それはまた別のお話。

なお、本作はそういった素晴らしい内容にも関わらず、過去最低となる全米6位(100万枚止まり)で終了しています。ただ、「Sour Girl」が全米78位とキャリア唯一のシングルヒットを残しており、それだけでも本作は大きな意味を残したと言えるのかな。個人的には前作と同じくらい好きな1枚です。



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2019年1月30日 (水)

INCUBUS『MAKE YOURSELF』(1999)

1999年10月発売の、INCUBUS通算3作目のオリジナルアルバム。前作『S.C.I.E.N.C.E.』(1997年)でメジャーデビューを果たし、なおかつKORNのパッケージツアー『FAMILY VALUES TOUR 1998』に参加したことで一気に知名度を上げた彼らは、この3作目のアルバムで独自のスタイルを確立させることに成功します。

前作ではKORNやLIMP BIZKIT的なラップメタルに、『ROOTS』(1996年)期のSEPULTURAのような民族音楽をミックスしたラウドロックスタイルで人気を獲得したINCUBUSでしたが、借り物は借り物であり、ある程度の人気は獲得できてもブレイクスルーまではできずにいました。ヒップホップ的手法はすでに手垢つきまくりですし、民族音楽といっても別に彼らのルーツがそこにわるわけではない。

そうやって追い詰められたとき、彼らが選んだのは「歌」でした。もともとブランドン・ボイド(Vo)というイケメンで良い声を持つフロントマンがいるんだから、それを有効活用しない理由はない。ターンテーブル担当も現在まで在籍するDJキルモアに交代したこともあり、ここから心機一転と言わんばかりに“歌モノラウンドロック”の道を追求していくことになります。

ここの収録された楽曲の大半は、ミドルテンポで派手すぎない演奏をバックに、イケメンがアメリカ人の心に響くよう中音域で歌い上げるもの……言っちゃえばPEARL JAMが90年代初頭から積み上げてきたスタイルの焼き直しでもあるわけですが、それをよりモダンな形で、なおかつポップフィールドでも戦えるように小難しさを排除する。そのシンプルさが、“LIMP BIZKIT以降のアメリカ”でウケたわけです。

リードトラックとなった「Pardon Me」や「Clean」にはまだ前作までの香りがうっすら残っていますが、アルバムタイトル曲「Make Yourself」やオープニングトラック「Privilege」、そして穏やかなノリの「Stellar」あたりは完全に“モダンなラウド/ヘヴィロックをヒップホップ的手法で演奏し、普遍的なアメリカンロックを歌う”という以降のスタイルがほぼ完成しています。どれも一度聴いたら耳から離れないほどのキャッチーさが備わっているはずです。

そして、その極め付けの1曲となるのが、全米9位の大ヒットとなった「Drive」でしょう。アコースティックベースのこの曲こそ、アメリカ人が好みそうな要素が凝縮された“これぞ!”と呼べるもの。もはやラウドでもヘヴィでもないけど、この1曲で彼らは間違いなくてっぺんまで登りつめたわけです。

アルバム自体は全米47位と決して成功といえる数字ではありませんが(前作『S.C.I.E.N.C.E.』はチャートインすらしなかったんだから、それと比べたら大成功ですけど)、シングルヒットも手伝って売り上げは200万枚を突破。同じく代表作となる次作『MORNING VIEW』(2001年)に並ぶトップセールスを記録しています。



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2019年1月29日 (火)

RAGE AGAINST THE MACHINE『THE BATTLE OF LOS ANGELES』(1999)

1999年11月にリリースされた、RAGE AGAINST THE MACHINE通算3作目のアルバム。初の全米No.1を獲得した前作『EVIL EMPIRE』(1996年)から3年半ぶりの新作でしたが、この3年半が思っていた以上に長く感じられたんですよね、当時。それはきっと、1997年7月の初来日(ご存知、初開催の『FUJI ROCK FESTIVAL '97』出演を含む)で日本のロックファンに衝撃を与えたあと、翌年にハリウッド版『ゴジラ』のサウンドトラックに新曲「No Shelter」を提供、さらに1999年夏に苗場での初開催となる『FUJI ROCK FESTIVAL '99』での再来日などの活動を通して、「まもなくニューアルバムが発売される」とずーっと期待させてきたからに他なりません。ホント、99年のフジロックのときにはアルバム出てるはずだったもんね(確か)。

99年のフジロックでは、「まもなくリリース予定」の(笑)ニューアルバム(つまり本作)から、「Testify」と「Born Of A Broken Man」がいち早く披露されたと記憶しています。本サイトの当時のレポートを読み返すと、前者を「かなりドス黒い感じの極太ハイパーファンク」、後者を「イントロはツェッペリンの『Thank You』を彷彿とさせるクリーントーンから始まりサビで爆発する」と表現しており、ああなるほどなと思いました。さらに、これら2曲を指して「いい意味でポップ。要するに“わかりやすい”」とも記しており、その数ヶ月後に発売された本作を聴いても本当にそのとおりだなと思ったものです。

シンプルなヒップホップとわかりやすいギターリフを軸にしながらも、テクニカルな演奏とエフェクティヴなトム・モレロ(G)のギタープレイにより、ちょっと難解に思えてしまう。当時の僕はそんな印象を初期2作の彼らに対して持っていたのですが(曲によってはプログレッシヴな要素も強かったですし)、この3作目に関してはもっとシンプルでストレート、かつわかりやすいという印象を受けました。それはシングルカットもされた「Guerrilla Radio」や「Sleep Now In The Fire」あたりを軸にしたアルバム前半に顕著で、さらに「Born As Ghosts」を筆頭としたアルバム後半も基本的にはその流れにあると考えています。

ただ、アルバム後半は比較的前作までの流れに近いイメージもあり、前半ほどハイパーポップというわけではないかな。そういう意味では、後半に入るとちょっとテンションが落ちる(気がする)アルバムと言えなくもないですが。とはいえ、終盤2曲(「Ashes In The Fall」「War Within A Breath」)の流れは圧巻だったりするんですけどね(日本盤はこのあと、ボートラとして「No Shelter」が追加されているんですが、正直あってもなくてもいいって感じかな)。

このバンドの登場は革新的でしたしぶっちゃけ新発明だとも思いましたが、それと同じくらいに「実は幅が狭い」という諸刃の剣でもあり。それがオリジナルアルバム3枚で解散という結果につながったのかもしれません(2000年代後半の再結成後も、結局新作は発表されませんでしたし)。そう考えると(その後、カバーアルバム『RENEGADES』はあったものの)、本作で力尽きたというのも納得かもしれませんね。

とはいえ、それも音楽的側面でのお話。彼らのベースとなる主義主張の観点では、ここ数年のアメリカ社会に対してどんなことを考えているんだろう、むしろ今ならどんなことを歌うんだろう……そう思っているファンも少なくないはずです。そこだけが、残念でなりません。



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2019年1月28日 (月)

ATARI TEENAGE RIOT『60 SECOND WIPE OUT』(1999)

ドイツが誇るデジタルハードコアバンド、ATARI TEENAGE RIOTが1999年5月にリリースした3rdアルバム。日本では前作『THE FUTURE OF WAR』(1997年)、そしてアメリカではBEASTIE BOYSの主宰レーベルGrand Royalからコンピレーションアルバム『BURN, BERLIN, BURN!』(1997年)が話題となったあととあって、この『60 SECOND WIPE OUT』は当時かなり大きな反響を呼んだ記憶があります(主に自分の周りで)。

男女ボーカル&ラッパーというメンバー構成と、ひたすらノイジーな高速デジタルビート、歪みまくったギターなどのバックトラック、権力や現代社会に対する批判的な主張が強い歌詞。ぶっちゃけ、彼らのスタンスは再結成を果たした現在に至るまでほとんど変わっていません。が、だからこそ信用がおけるし、リリースから20年経った今もなお、本作の持つ説得力と衝撃が変わらず保てているのだと思います。

まあとにかく、オープニングの「Revolution Action」から過激です。デジタルビートでここまでパンクでハードコアな世界観を、チープにならずに体現できているのは圧巻の一言。当時、このアルバムをいきなり大音量で聴いてしまい、耳にしていたイヤホンをそのまま引きちぎりそうな勢いで取り外したこと、今でもよく覚えています(笑)。

で、この曲のみならず、続く「By Any Means Necessary」然り、バンドの新たなテーマソングでもある「Atari Teenage Riot II」然り、タイトルからして思わず唸ってしまう「U.S.A. Fadeout」「Death Of A President」「Anacchy 999」然り、自分たちの音楽スタイルを文字通りの形で表現した「Digital Hardcore」然り、すべてにおいて不快になるほどノイジー。ぶっちゃけ、気楽に聴けるタイプの音楽ではありません。

しかし、このノイズにまみれたいと思う瞬間が、までも年に何度かあるわけですよ。こんな堅苦しい社会で生活していると(ちょい厨二っぽいですが。笑)。そういうときは、無言でヘッドフォンを手に、このアルバムを大音量で聴くわけです(以前、スピーカーで聴いていたら隣人から本気の苦情が来たので)。本当は歌詞の主義主張を完全に理解しながら聴くのがベストなんでしょうけど(もちろん、彼らの音楽を理解する上で重要なファクターです)、この有無を言わさぬ攻撃的なサウンドを浴びることが最高のストレス発散になるのもまた事実。ジャンル分けとか関係なく、ラウドでノイジーで攻撃的なエクストリーム・ミュージックを愛聴する人すべてに聴いてほしい1枚です。

あ、メタル耳な人に向けて。FEAR FACTORYのディーノ・カザレス(G)が「Death Of A President」でギターをプレイしているとのこと。この曲以外にも、メタル耳にも優しい(笑)アグレッシヴなギターリフ満載なので、偏見なしで聴いてほしいな。



▼ATARI TEENAGE RIOT『60 SECOND WIPE OUT』
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2019年1月27日 (日)

BRING ME THE HORIZON『AMO』(2019)

BRING ME THE HORIZON通算6枚目のオリジナルアルバム。その音楽的指向の変化に対して賛否両論を巻き起こしながらも全米・全英で2位を記録した前作『THAT'S THE SPIRIT』(2015年)から約3年半という、彼らとしては非常に長いスパンを経て届けられました。

2016年初頭にキャンセルとなり、以後実現していない“『THAT'S THE SPIRIT』以降”の日本での生パフォーマンス。正直、あの時期のステージを体験できなかったことは、ここ日本のファンおよびメタル/ラウド系リスナーにとっては不幸以外のなにものでもありません。それもあって、続くこのアルバムで遂げられる進化がしっかり受け止められるのか、そこだけがずっと不安でした。

昨年8月、突如届けられた新曲「Mantra」。個人的にはこの1曲だけで次作に対する期待は一気に高まりました。『THAT’S THE SPIRIT』での路線を一歩推し進めたスタイルでしたが、おそらく第一歩としては前作に比較的近いものを選んだのでしょう。事実、当時のインタビューでオリヴァー・サイクス(Vo)は次作について「今までやってきたようなサウンドではない」と発言していましたから。

そして、2ヶ月後の10月には第2弾シングル「Wonderful Life」を発表。CRADLE OF FILTHのフロントマン、ダニ・フィルス(Vo)をフィーチャーしたこの楽曲は「Mantra」の延長線上ではあるものの、ブラスセクションを導入した“無駄にハッピー”な色合いも感じられ、少しずつ「今までやってきたようなサウンドではない」発言の真意が見え始めます。

今年に入ってすぐに、第3弾シングル「Medicine」を発表。前作にもあったスロウでメロディアスな楽曲と同系統ではあるものの、エレクトロ色を強めたモダンなポップソング調のこの曲は“振り切った”感が思い切り伝わるものでした。さらにリリース直前には「Mother Tongue」「Nihilist Blues」の2曲が公開。前者は「Medicine」と同系統のポップチューンで、メロディアスさが際立つ1曲。後者はカナダの女性アーティスト、グライムスをフィーチャーしたエレクトロチューンで、トランシーなトラックだけを聴いたらこれがBMTHの新曲だとは気づかないのではないでしょうか。

このように、少しずつその本性を現し始めた『AMO』(ポルトガル語で愛を意味する)というアルバム。先行トラックで心構えはできていたものの、いざアルバムを通して聴くとさらに驚かされるのですが、と同時に「Mantra」や「Wonderful Life」のようなラウド系ナンバーがまったく浮いていない、必要不可欠な存在であることにも気づかされます。曲順含め、非常に収まりが良いんですよね。しかも、ほかの新機軸ナンバーと同じくらいに作り込みが異常すぎることも見えてくる。なんだ、この徹底さは!?って。

オープニングトラック「I Apologise If You Feel Something」での驚きと、そこから「Mantra」へと流れていく気持ち良さ、ヒップホップ的手法を用いりながらもロックバンドとしての個性を残す「In The Dark」や「Why You Gotta Kick Me When I'm Down?」の新鮮さ、トリッピーな「Fresh Bruises」やシンフォニックな「I Don't Know What To Say」に漂う繊細さと「Sugar Honey Ice & Tea」「Heavy Metal」(後者には元THE ROOTSのMCでヒューマンビートボクサーのラゼール参加)で見せる豪快さ。ここまでバラバラな色を包括しつつも、しっかりとひとつのアルバムの中で散漫になることなく、つながりを見せながら聴かせることができるのは、前作で得た自信によるものが大きいのではないでしょうか。

もはやデスコアだメタルコアだとカテゴライズすることも馬鹿馬鹿しいくらいに“ロック”しているし、こうやってラウドなバンドは進化していくんだってことをちゃんと形として証明し続けている。すごいことだと思いますよ。だって、本当にすごいアルバムだもの。前作以上にスルメ度の高い1枚。今度こそ、これらの楽曲を生で聴きたいな。



▼BRING ME THE HORIZON『AMO』
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2019年1月26日 (土)

KORN『ISSUES』(1999)

1999年11月に発表された、KORNの4thアルバム。『FOLLOW THE LEADER』(1998年)からわずか1年3ヶ月という短いスパンで発表された本作は、前作に続いて全米1位を獲得。前作の500万枚にはさすがに及ばないものの、それでもアメリカだけで300万枚以上を売り上げ、キャリア2番目のヒットを記録しています。

ロス・ロビンソンが手がけた初期2作、スティーヴ・トンプソン&トビー・ライトという80〜90年代の名エンジニアによる前作と、アルバムごとにプロデューサーとともにカラーを変えながら進化を続けるKORN。今作ではヒットメイカーのブレンダン・オブライエン(PEARL JAMAEROSMITHSTONE TEMPLE PILOTSなど)とダッグを組み、メジャー感の増した『FOLLOW THE LEADER』から少し世界観を再構築します。

音質的にかなりクリアで抜けの良かった前作から一転、今作は初期2作にあった濁った質感が復活。全体を覆うヘヴィで不穏で、底なし沼のようなダークさは初期のファンが彼らに求めるものすべてではないかと。かといって、楽曲のスタイルやメロディの組み立て方においては初期作とは別モノで、明らかに“『FOLLOW THE LEADER』以降”のそれ。つまり、過去3作のハイブリッド作と言えるでしょう。そこを良しとするか否かで、本作に対する評価はかなり変わってくるんじゃないかと思います。

シングルカットされた「Falling Away From Me」「Make Me Bad」などはヘヴィだけどかなりキャッチーで、明らかに“『FOLLOW THE LEADER』以降”の流れを汲むもの。その中に「It's Gonna Go Away」のようにサイケデリックな楽曲があったり、グルーヴィーな「Wake Up」があったり、ダークなファンクメタル「Hey Daddy」やラストの砂嵐を含め8分近くもある「Dirty」があったりと、全体的にヘヴィ一辺倒というわけではなく、かなりバラエティに富んだ内容になっていると思います。また、全16曲で53分と長尺な作品ですが、そのうちオープニングの「Dead」など1〜2分のインタールード的短尺曲が5曲なので、実質11曲と普段のアルバムと同程度のボリュームだったりもします。イメージ的には散漫かもしれないけど、意外と通して聴きやすい1枚でもあるかな。全体のバランス感も非常に優れていますし。

ただ、爆発的ヒットを記録した前作ほどのインパクトはないし、初期2作より衝撃は薄いので、そういった点でこのアルバムの評価が低いというのは致し方ないかな。優等生すぎるがあまり、かえって印象が地味になってしまったのかな。久しぶりに聴いてみたけど、すごく聴きやすくて良い作品なんですけどね(まあKORNに“聴きやすさ”を求めるリスナーがどれだけいるのかって話ですが)。



▼KORN『ISSUES』
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2019年1月25日 (金)

NINE INCH NAILS『THE FRAGILE』(1999)

1999年9月に発表された、NINE INCH NAILS通算3作目のオリジナルアルバム。前作『THE DOWNWARD SPIRAL』(1994年)から5年半ぶりという待望の新作は、CD2枚組/全23曲/トータル104分という大作でした。当然のように全米1位を獲得し、アメリカのみで200万枚(2枚組なので、実質100万セット)を売り上げました。また、本作からは「The Day The World Went Away」(全米17位)という過去最大のヒット曲も生まれています。

この5年半の間には、リミックスアルバム『FURTHER DOWN THE SPIRAL』(1995年)や初の映像作品『CLOSURE』(1997年/日本未発売)に加え、『ナチュラル・ボーン・キラー』や『ロスト・ハイウェイ』といった映画のサウンドトラックへの楽曲提供もありました。そこから「Burn」や「The Perfect Drug」(全米46位)といった人気曲も生まれていますが、ツアー自体も1996年を最後に行われておらず、当時いろいろとヤキモキしたことをよく覚えています。

そんな中、アルバムに先駆けること2ヶ月。夏フェスシーズンに突入するというタイミングに届けられた先行シングル「The Day The World Went Away」。当然、アルバムまで待ちきれずにシングルを購入するのですが、そのサウンドに衝撃を受けるわけです。

……ドラム(リズム)がないじゃん、と。

ダークでヘヴィでゴシック調。前作からの代表曲「Hurt」をもう少しヘヴィにしたようなイメージの楽曲ですが、文字どおりリズムトラックがないアレンジで、その斬新さに衝撃を覚えました。と同時に、もっと派手なリードトラックを期待していた自分もおり、ちょっとだけ肩透かしを食らったことも記憶に残っています。

ただ、カップリングに収録された「Starfuckers, Inc.」はNINの攻撃的な部分とインダストリアルロックテイストが程よくミックスされた攻めの1曲で、こちらは1発で気に入りました。まあ、この2曲だけでは2枚組大作の全貌は掴めなかったわけですが。

そこから2ヶ月後、ようやく手元に届いた『THE FRAGILE』。“こわれもの”を意味するタイトルどおり、激しさの中にも穏やかさや繊細さが見え隠れする、非常に考えられた、ディープな作品集でした。ぶっちゃけ、すべてを理解/把握するまでに相当な時間を要しましたし、今でも完全に理解できているのかと問われると、ちょっと不安になってきます。

そういった要素は前作『THE DOWNWARD SPIRAL』にも含まれていたのですが、本作はその比じゃないくらいに濃厚。シンプルな破壊衝動や破滅願望とは違う、常に裏側にある“隠された本心”を読み取ろうとしないと、その面白みが可燃に理解できない。そんな“脳を刺激する”アルバムだと思いました。

1曲1曲の強度もさることながら、それらが組曲のように連なった構成は前作以上に練られたもの。すべてが歌モノではないのは今更な話ですが、特に本作はその実験度の高さが際立っています。『THE DOWNWARD SPIRAL』が5年の歳月を経て大人になった。だけと、別に物分かりが良い大人になったのではなく、思慮深くなったのだ。そんな内容だと、今も思っています。

だからなのか、本作がリリースされた1999年の年間ベストアルバムには本作を選んでおりません。ギリギリまで悩みましたが、結局はわかりやすい作品ばかりを選出した記憶が……その後、NINは2000年1月に待望の初来日を果たすのですが、僕は転職したばかりで行くことができず。悔し紛れにこのアルバムを夢中になって聴いていたら、だんだんとその世界にハマっていったわけです。

結局、NINを初めてナマで観たのは、次の来日となる2005年のサマソニでのこと。あのときはこのアルバムから、「The Frail」「The Wretched」、そして「Starfuckers, Inc.」くらいしかやらなかったんだよな……なんていう、自分にとっての思い出と因縁の1枚です。



▼NINE INCH NAILS『THE FRAGILE』
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2019年1月24日 (木)

FILTER『TITLE OF RECORD』(1999)

1999年8月(日本盤は9月)にリリースされた、FILTERの2ndアルバム。本作は「Take A Picture」のシングルヒット(全米12位)があったおかげで、アルバム自体も全米30位まで上昇。100万枚を超えるセールスを記録しました。

FILTERはNINE INCH NAILSでギタリストを務めたリチャード・パトリック(Vo, G)が1993年にブライアン・リーゼガング(G, Programming)と結成したユニットで、1995年にアルバム『SHORT BUS』でデビュー。ブライアンは1997年に脱退してしまいますが、その後ジーノ・レナード(G)、フランク・カヴァナフ(B)、スティーヴン・ギルス(Dr)というバンド編成に移行し、本作『TITLE OF RECORD』を完成させます。

デビュー作『SHORT BUS』はヘヴィなギターサウンドを軸にしながらも、リチャードのNINE INCH NAILS出身というバックボーンが全体に反映されており、インダストリアルヘヴィロックとしてかなり優れた内容でした。反面、ボーカル面での弱さも露呈し、そこが個人的には勿体ないなと思っていたのもまた事実。

ところが、続くこの『TITLE OF RECOD』では若干のインダストリアルテイストを残しつつも、軸になるのは大陸的なアメリカンハードロック。そこに90年代以降のグランジやオルタナティヴロックのフレイバーも加えられ、NINE INCH NAILSとも、そして当時流行りつつあったニューメタルとも異なる、普遍性の強いロックが展開されています。

オープニングを飾る「Welcome To The Fold」のダイナミズムには、当時かなり圧倒されたものです。リチャードのボーカルも不安定さが払拭され、かなり堂々としたものに成長しています。そういったパワフルなロックチューンがありつつも、「It's Gonna Kill Me」ではしっかり前作までの流れを当時のスタイルでバージョンアップさせている。かと思えば、優しく響く「Take A Picture」や「Skinny」のような楽曲もあり、バンドとして着実にスケールアップしていることが伺えます。

また、「Cancer」には当時THE SMASHING PUMPKINSのメンバーだったダーシー(B, Vo)がボーカルでゲスト参加。この曲はまた、ほかの楽曲とは異なるダークさが感じられ、本作中でもかなり地味な部類ながらも個人的にはお気に入りだったりします。まず何より、ダーシーのコーラスが良い味を出していますしね。スマパンファンにもぜひ聴いてほしい1曲です。

NINよりはハードロック寄り、前作でのデジタル色からロックバンド的スタンスへと移行しつつある絶妙なタイミングの本作は、デビューアルバムのファンには不評だったようですが、HR/HMリスナーには好意的に受け入れられた記憶が。ポストグランジ以降のハードロックを愛聴する方なら、間違いなくハマる1枚かと思います。

なお、FILTERは2003年に一度歩みを止めるものの、2007年には活動再開。昨年、オリジナルメンバーのブライアンも復帰しており、『REBUS』と題されたニューアルバムのリリースが控えています。タイトルからして、デビュー作に回帰したものになるのかどうか、こちらも気になるところです。



▼FILTER『TITLE OF RECORD』
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2019年1月23日 (水)

POWERMAN 5000『TONIGHT THE STARS REVOLT!』(1999)

POWERMAN 5000が1999年7月に発表した、メジャー2作目のオリジナルアルバム(通算3作目。といっても、1997年のメジャー1作目『MEGA!!! KUNG FU RADIO』は、1995年にインディーズから発表した『THE BLOOD-SPLAT RATING SYSTEM』に曲追加&曲順変更したものなので、今作は事実上の2ndアルバムなのですが)。

フロントマンのスパイダー・ワン(Vo)がロブ・ゾンビの実弟であることでおなじみのこのバンド。初期はファンクメタル、ラップメタル的スタイルでしたが、この『TONIGHT THE STARS REVOLT!』で“らしさ”を確立したといっても過言ではないでしょう。リードトラックとしてMVも制作された「When Worlds Collide」のヒットもあり、アルバムは全米29位まで上昇。セールスも100万枚を超え、彼らの代表作となりました。

打ち込みを同期させた適度なインダストリアルサウンドと、当時主流になり始めたニューメタルサウンドが融合した彼らのスタイルは、ROB ZOMBIEのそれにかなり似たものがあるものの、かといってまったく一緒というわけではない。POWERMAN 5000のほうがラップメタル的なボーカルスタイルやバンドアレンジが強めなこともあって、うまく差別化ができていたのかなと思います。

とにかく、「When Worlds Collide」の完成度が尋常じゃない。こりゃウケるわ……って今聴いて思うぐらいに、本作の中でも飛び抜けている。このキャッチーさ、何者にも変えがたいですよね。

かと思えば、「Blast Off To Nowhere」のハードコアとサイケデリックをミックスしたモダンなテイストの楽曲もある。この曲、ロブ・ゾンビがゲスト参加しており、らしいシャウトを聴かせてくれます。そのほかにも、THE CARSのカバー「Good Time Roll」にはLIMP BIZKITのDJリーサルがスクラッチで、「Watch The Sky For Me」には当時MARILYN MANSONのドラマーだったジンジャー・フィッシュがピアノでそれぞれ参加。さらに、アメリカの俳優マラキ・スローンは「An Eye Is Upon You」と「Watch The Sky For Me」でナレーションを聞かせてくれます。無駄に豪華だな。

実は本作、プログラミングおよびミックスでスコット・ハンフリーが参加しているんですよね。スコットといえば、WHITE ZOMBIEやROB ZOMBIEでバンドの良き理解者として手腕を発揮しているアーティスト/エンジニア。このへん含め、周りが本気でこのバンドを売ろうとしているのが伺えます。実際売れてよかったね。

……なんて書いてきたけど、実はこのバンドに対しては本気で「When Worlds Collide」のイメージしかなくて。アルバムも20年ぶりに聴き返したけど、初めて聴くような錯覚に陥ったほど。それくらい印象が薄かったんですよ、ハハハ……。

けど、このバンドの場合、ここで個性が固まったと思ったのに、これ以降毎回そのスタイルを変化させるのがいけなかった。次作『ANYONE FOR DOOMSDAY?』(2001年)なんて、チャートインすらしなかったからね。実兄の幻影を追わず、どんどん新しいことにトライしていく姿勢はよかったんだけど。



▼POWERMAN 5000『TONIGHT THE STARS REVOLT!』
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2019年1月22日 (火)

FEVER 333『STRENGTH IN NUMB333RS』(2019)

2019年1月18日に世界同時リリースされた、FEVER 333待望の1stフルアルバム。日本では前作にあたるミニアルバム(EP)『MADE AN AMERICA』(2018年)がCD化されましたが、海外では同作はデジタル版およびアナログ版のみでの発売。つまり、このフルアルバムが初のCDリリースとなるわけです。

プロデュースを担当したのは、GODLFINGERのジョン・フェルドマン(DISTURBEDBLACK VEIL BRIDESONE OK ROCKなど)とBLINK-182のトラヴィス・バーカーという前作から参加の面々。ジョンはアディショナル・ギター、トラヴィスはアディショナル・ドラムおよびプログラミングでも貢献しているようです。

さて、『MADE AN AMERICA』の時点では「新世代のRAGE AGAINST THE MACHINE」的な捉えられ方も多かったようですが、今作では「One Of Us」などラップコア的方向性をより推し進めるかと思いきや、「Burn It」や「Prey For Me」などメロディアスでエモーショナルな方向性も強めています。

このへんの楽曲は前作のレビューでも触れたように、TWENTY ONE PILOTS以降のポストハードコア/エモ/ラウド/ポップスの流れを踏襲したものであると同時に、今作ではさらにニューメタルおよびそこを起点にエレクトロ方面へと進化していったLINKIN PARKからの影響も強く感じられ、前作では見せきれなかった多面性がより表面化してきたのではないでしょうか。「Inglewood」や「Out Of Control」のアンセム感なんて、完全にその影響が見えますしね。

思った以上に歌モノとしての即効性が強いことに、最初は面食らったというか驚いたのですが、それも最初だけ。何度も聴き込むうちに、シンプルに「カッコいい!」と思えるのですから、不思議なものです。懐かしさを感じさせつつも、しっかり今の音としてド真ん中を突いてくる。聴きやすさと同時に、しっかりアグレッシヴさも備わっているので、一筋縄ではいかない。このへんの絶妙なさじ加減も、FEVER 333というバンドの魅力のひとつではないでしょうか。

また、メッセージ性の点においても、彼らが「新世代のRAGE AGAINST THE MACHINE」と呼ばれる理由が理解できるものがある。直接的に特定の誰かを攻撃するわけではなく、誰もが思い浮かべられるであろう共通の仮想敵を歌の中で作り上げ、聴き手との意思疎通を図る。リスナー1人ひとりが脳内でイメージする仮想敵はすべて一緒ではないものの、これらの楽曲を前にしたら誰もが叫びたいことは一緒。そういう意味でも非常に器用だし、ポップシーンでも成功を収められるだけの器量を持っていると思うのです。

こりゃ売れますよ。最近、ロック系アーティストがBillboard 200でなかなか1位を獲れずにいるけど、これは久しぶりにやっちゃうんじゃないか……そう強く実感させてくれる、非常に“NOWな”アルバムだと思います。3月に予定されているジャパンツアー、ものすごいことになるんじゃないかな。今のうちにチケットを押さえておいたほうがいいと思いますよ。



▼FEVER 333『STRENGTH IN NUMB333RS』
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2019年1月21日 (月)

MARK SLAUGHTER『HALFWAY THERE』(2017)

SLAUGHTERのフロントマン、マーク・スローター(Vo, G)が2017年5月にリリースした2ndソロアルバム。

マークはSLAUGHTERでの『BACK TO REALITY』(1999年)を最後に、まとまった音源をリリースしておらず、その後2015年に発表されたマーク初のソロアルバム『REFLECTIONS IN A REAR VIEW MIRROR』まではトリビュートアルバムなどに参加するのみにとどまりました。そう考えると、ここ数年のソロ活動は往年のファンには嬉しい限りです。

前作はインディーズからのリリースだったものの、続く本作はデヴィッド・エルフソン(MEGADETH)が新たに設立したレーベル・EMP Label Groupから発売。前作同様にプロデュース、およびドラム以外のほとんどの楽器をマークが担当。ドラムは前作とは異なるジョシュア・セス・イーガンが、一部の楽曲でベースをジェイミー・ミラードが担当います(ジョシュアはP!NKなどの作品でプレイしている方のようです)。

基本的にSLAUGHTERでやっていてもおかしくないようなハードロックあり、SLAUGHTERではできないような“いかにもソロシンガーが歌いそうな”ロック/ポップチューンありだった前作の延長線上にある1枚ですが、個人的には前作以上にハードロック色が強まっているような印象を受けました。

例えばオープニングを飾る「Hey You」なんて、そのままSLAUGHTERでプレイしても何ら違和感のない良曲ですし、続く「Devoted」なんてSLAUGHTERにはないタイプのメタリックなヘヴィチューンですし。さらに「Conspiracy」や「Reckless」ではグランジ以降のヘヴィロックが展開されていたりと、なかなか攻めまくりじゃないですか。なんでバンドでやらないんでしょうね(笑)。

かと思えば、往年の名バラードを彷彿とさせるアルバムタイトルトラックやビートルズチックなハーモニーが含まれたポップな「Turn It」、若干AORっぽさもにじみ出ている「Not Here」、モロにジョン・レノンからの影響が強いサイケ調の「Arms Full Of Empty」もある。このへんを聴いちゃうと、なるほど、ここまで含めてやりたいんだな、そりゃあソロになるか……と納得させられます。

マークのボーカルは往年のハイトーンこそ期待できないものの、中音域を中心に味わい深い歌声を聴かせてくれます。確かにあの超高音こそが彼の持ち味でしたが、これはこれで悪くないし、ところどころで“あの”SLAUGHTERっぽさが感じられる。あんなバケモノみたいなハイトーンを20年後も求めるのは酷ってものですよ。

あ、あと本作での聴きどころのひとつは、マークのギタープレイでもあるわけで。これがなかなかの腕前でして、そりゃバンドじゃなくて全部自分で表現してみたいって思いたくなるわな。特に「Devoted」や「Supernatural」、「Arms Full Of Empty」あたりからは高度なテクニックや独特のセンスを存分に感じ取れるはずです。

きっと「なんでSLAUGHTERで……」と思ってしまうのって、結局過去の名曲を聴きたいだけなのかな、とふと思ってしまいました。こうやってアーティストとして、前向きに新しいことにトライしているのを受け入れてあげてもいいんじゃないかな。その中で、ボーナスとして過去の名曲が飛び出したら、それは儲けものってことでいいじゃないの。ね?



▼MARK SLAUGHTER『HALFWAY THERE』
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2019年1月20日 (日)

VINCE NEIL『TATTOOS & TEQUILA』(2010)

2010年6月リリースの、ヴィンス・ニール通算3作目のソロアルバム。過去2枚のソロアルバム(1993年の1st『EXPOSED』、1995年の2nd『CARVED IN STONE』)はMOTLEY CRUE脱退中に発表されたものなので、本作『TATTOOS & TEQUILA』はバンド在籍中に唯一発表したソロアルバムということになります。

過去2枚には“良き時代のMOTLEY CRUEの模倣”(『EXPOSED』)、“HR/HM冬の時代にヒップホップなど流行へ迎合した”(『CARVED IN STONE』)といったテーマがありましたが(ヴィンスが公言したわけではなく、ファン側が勝手に解釈したもの)、本作はズバリ“自身のルーツナンバーをストレートにカバーする”というもの。全11曲(日本盤のみボーナストラックを含む12曲)中、オリジナル曲は2曲のみで、ほかはCHEAP TRICK、SWEET、AEROSMITHSEX PISTOLS、THE HOLLIES、SCORPIONS、CCR(CREEDENCE CLEARWATER REVIVAL)、エルヴィス・プレスリー、エルトン・ジョン、ZZ TOPの名曲の“カバーという名のコピー”となっています。

選曲は大半が70年代のもので、つまりヴィンスがMOTLEY CRUEを始める前まで聴きまくったナンバーばかりといったところでしょうか。実際にバンドでカバーしたものも少なくないと思います。CHEAP TRICKがデビューアルバムからの「He's A Whore」だったり、AEROSMITHが名盤『ROCKS』収録のヘヴィチューン「Nobody's Fault」というあたりには、ヴィンスなりのこだわりも感じられます。

また、モトリーでもカバーしたSEX PISTOLSを再びピックアップしていたり、かと思えばエルヴィス「Viva La Vegas」やエルトン「Bitch Is Back」を選曲するたりも、彼のポップセンスやフロントマンとしてのセンスみたいなものを感じたり。まあ、何の捻りもないんですけどね(笑)。

2曲のみ収録されたオリジナル曲のうち、タイトルトラックとなる「Tattoos & Tequila」はプロデューサーであるマーティ・フレデリクセン書き下ろしのミドルナンバー。もう1曲の「Another Bad Day」は盟友ニッキー・シックスとジェイムズ・マイケル、そしてトレイシー・ガンズ(L.A. GUNS)によるミディアムバラード。もともとはモトリー用(おそらくベストアルバム『RED, WHITE & CRUE』かオリジナル作『SAINTS OF LOS ANGELES』向け)に書かれたそうですが、トミー・リーが気に入らなかったためお蔵となった1曲とのこと。まあ『SAINTS OF LOS ANGELES』には合わないポップな曲調なので、外れてよかったのかも。

全体を通して、ヴィンスが持つ陽のイメージがそのままパッケージされた、非常に聴きやすい1枚。『EXPOSED』ほどの派手さはないものの、あのアルバムとの共通項も多数見受けられるので、初期モトリーなどが好きな方なら素直に受け入れられる作品集だと思います。

なお、このアルバムでバックを務めるのは、ジェフ・ブランド(G)、ダナ・ストラム(B)、ゾルタン・チェイニー(Dr)という布陣。ご存知の方もいるかと思いますが、この3人はSLAUGHTERの現メンバーでもあるので、マーク・スローターとヴィンスを入れ替えただけなんですよね。LA界隈、狭いなあ。



▼VINCE NEIL『TATTOOS & TEQUILA』
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2019年1月19日 (土)

VOIVOD THE WAKE JAPAN TOUR 35TH ANNIVERSARY@TSUTAYA O-WEST(2019年1月18日)

Img_3939_2新年最初のメタル/エクストリーム系のライブは、これが3度目の来日ながらも初の単独来日公演となるカナダの至宝VOIVOD。このツアータイトルどおり、今年でデビュー35周年という記念すべきタイミングでの来日公演は、東京で一夜限りの貴重なものとなりました。TSUTAYA O-WESTという決して広くない会場でしたが、当然のようにチケットはソールドアウト。会場はムサ苦しい野郎ども(褒め言葉)で埋め尽くされ、最高の歓迎ムードでライブのオープニングを迎えました。

今回の編成はスネイク(Vo)、アウェイ(Dr)というオリメンに加え、過去2回の来日(2008年、2014年の『THRASH DOMINATION』)にも参加したチューウィー(G)と、これが初来日となるロッキー(B)の4人。ライブは現編成での発音現となったEP『POST SOCIETY』(2016年)から、タイトルトラック「Post Society」で幕を開けました。ガリガリしたベースと、グルーヴィーなドラムとリフを刻むというよりは効果音のようなサウンドを奏でるギター、そこにスネイクの個性的なボーカルが乗るのですが、音源で聴く以上に浮遊感が漂っていて、気持ちいいのなんの。4ピース(シングルギター)編成で、音の薄さが気になるかなと思っていましたが、アンサンブルの妙技によるものなのか、まったくそんなこと感じませんでした。また、音量もデカすぎず、小さすぎずといった程よいバンラス感で、しかもライブが進むにつれて徐々に大きくなっていくものの、それが決して大きすぎないという聴きやすさを保っていたのですから、さすがと言いますか。ホント、終始気持ちよかったです。

この日演奏されたのは、2回のアンコールを含む全16曲。2時間に満たない、決して長いとは言えないボリュームでしたが、終わったあとも特に不満はなく(まあ正直言えば、もうちょっと聴きたかったというのはありますが)、ここも程よさを醸し出していたのが印象的でした。

セットリスト的には、さすが35周年を謳っているだけあり、オールタイムベストといった内容。ただし、スネイク脱退時や2000年代のジェイソン・ニューステッド(B)在籍時などの楽曲はすべてなかったことにされていましたが、それも特に不満には思いませんでした。

内訳は1stアルバム『WAR AND PAIN』(1984年)から1曲、3rdアルバム『KILLING TECHNOLOGY』(1987年)から3曲、4thアルバム『DIMENSION HATROSS』(1988年)から2曲、5thアルバム『NOTHINGFACE』(1989年)から3曲、6thアルバム『ANGEL RAT』(1991年)から1曲、7thアルバム『THE OUTER LIMITS』(1993年)から1曲、最新EP『POST SOCIETY』から2曲、14thアルバム『THE WAKE』(2018年)から3曲。あれ、2ndアルバム『RRRÖÖÖAAARRR』(1986年)からは1曲もなしですか? それ以外は、まだ妥当な選曲かなと。現編成での楽曲が5曲というところに彼らの現役感を強く感じましたし、それもまた良しでした。

僕は2階からステージを見下ろすようにライブを拝見していたのですが、気づけばアウェイのドラミングばかりに目を奪われてしまいまして。以前からMVやライブ映像を観ていてもそうだったのですが、やっぱり彼のドラミングって個性的ですよね。で、この日初めて生で観て気づいたのですが……メタルのドラミングとはちょっと違うんですよね。パンク的というか、もっとロックンロール的なスウィング感が感じられるし、動きもちょっとクセがあって。どことなく、ジャズからの影響も感じられるのですが、そのへんは彼らの音楽的ルーツにもあるであろうRUSH(主にニール・パート)からの影響も少なからずあるのでしょうか。とにかく、このドラミングがVOIVODというバンドを唯一無二のものにしていることは、間違いないと実感しました(もちろん、オリジナルメンバーのひとりで2005年に急逝したギタリスト、ピギーによるものも大きいのですが)。

チューウィーも、その偉大な前任ピギーの重圧に押しつぶされることなく、新曲では従来のVOIVODらしさと彼ならではのプレイをミックスし、確実にVOIVODをネクストレベルへと押し上げていましたし、新任のロッキーもブラッキー(B)の陰を気にせず、存分に個性を発揮しておりました。

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DAVID LEE ROTH『YOUR FILTHY LITTLE MOUTH』(1994)

デヴィッド・リー・ロスが1994年3月に発表した、通算4作目のソロアルバム。前作『A LITTLE AIN'T ENOUGH』(1991年)から3年ぶりの新作で、プロデュースを手掛けたのは“かの”ナイル・ロジャース。CHICのメンバーであり、デヴィッド・ボウイ『LET'S DANCE』(1983年)やマドンナ『LIKE A VIRGIN』(1984年)を筆頭に、DURAN DURANINXSミック・ジャガーなどをヒットに導いた立役者で、正直それまでデイヴが築き上げてきたソロの方向性すべてに当てはまる人でもないので、このタッグを知ったときは正直不安を強く感じたことをよく覚えています。

ただ、デイヴは単なるハードロックシンガーではなく、もっと広い意味でのエンターテイナーであるため、あながち間違いでもないのかな、とも思うようにもなったわけで。そんな不安定な気持ちの中、本作からのリードシングル「She's My Machine」が公開されると……「あれ、意外と悪くないかも?」という感情が。確かにそれ以前にあった“ダイヤモンド・デイヴ”感……カリフォルニアの燦々と輝く太陽のもと、はっちゃける曲とは一線を画するものの、このクールでスマートなハードロックも悪くないぞ、と。そこでようやく、アルバムに対して前向きな気持ちが勝るようになりました。

いざ届けられたアルバムを聴くと、なるほど、これはハードロックとは若干異なるものの、大人になったダイヤモンド・デイヴがハリウッドからニューヨークに舞台を移したような、そんな作品ではないかと捉えることができたわけです。変なこだわりや固定観念され捨てされたら、純粋に楽しめるぞ、と。

スティーヴ・ヴァイ、ジェイソン・ベッカーと過去のアルバムでは凄腕ギタリストと組んできたデイヴですが、本作ではテリー・キルゴアとタッグ。デイヴとは古い付き合いで、LA界隈では古くからその才能を評価されてきたギタリストなんだとか。ヴァイやジェイソンと比較したら派手さは皆無だし、特別光るものも感じられませんが、大人びた楽曲の世界観を的確なプレイで表現していることからも、その腕前は確かなものなんだってことが伺えます。

アルバム自体も、先述の「She's My Machine」や「Everybody's Got The Monkey」「Big Train」のようなハードロック寄りの楽曲もあるものの、それ以上に耳に残るのがスローブルース「Experience」やソウルフルな「A Little Luck」、レゲエ調の「No Big 'Ting」、ブルージーなロッカバラード「Night Life」といった非ハードロック曲。デイヴのボーカルも冴え渡っています。また、ブギーテイストのタイトルトラックやシンプルなロックンロール「Hey, You Never Know」など、地味ながらもしっかり作り込まれたロックナンバーも多数含まれており、決して非ロック作品ではないのでご安心を。

チャート的には全米78位、セールス面でも10万枚に満たない売り上げで、デイヴはそれまで所属したWarner Bros. Recordsから離れることになるのでした。

いかにもショービズの世界の人が作ったアルバム、と揶揄することもできますが、そもそもグランジ全盛のあの時代に、地味ながらもここまでどストレートにショービズ臭プンプンのアルバムをメジャーレーベルから発表した、デイヴの男気もなかなかのものじゃないか、という気がするのですが。それもまあ、今となっては……ですけどね。



▼DAVID LEE ROTH『YOUR FILTHY LITTLE MOUTH』
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2019年1月18日 (金)

VAN HALEN『VAN HALEN III』(1998)

1998年3月にリリースされた、VAN HALEN通算11枚目のオリジナルアルバム。新曲を含む作品としてはデヴィッド・リー・ロスが復帰して制作した新曲2曲を含むベストアルバム『BEST OF VOLUME I』(1996年)以来1年半ぶりとなりますが、フルアルバムとしてはサミー・ヘイガー参加ラスト作となった『BALANCE』(1995年)以来まる3年ぶりのこと。「Without You」や「Fire In The Hole」のラジオヒット(後者は映画『リーサル・ウェポン4』にて使用)こそあったものの、アルバム自体はサミー加入後の『5150』(1986年)から4作続いた全米1位記録は途絶えてしまい、最高4位止まり。セールスもマルチプラチナムには程遠い50万枚程度で幕を下ろしています。

ちょうど1996〜7年頃はサミーの脱退やデイヴの復帰などで、フロントマンが落ち着かなかった不安定な時期。そんな中、バンドがシンガーとして選んだのはデイヴでもサミーでもない、“第3の男”ゲイリー・シェローンでした。ちょうどEXTREMEからヌーノ・ベッテンコート(G)が脱退し、こちらもバンドが傾いていたタイミング。そこでゲイリーがVAN HALENに移籍したことで、EXTREMEは一度自然消滅するのでした。

さて、タイプ的にはサミーよりもデイヴ寄りの、決して多彩さを持つ表現者ではないゲイリーですので、VAN HALENのサウンド的にも初期や『BEST OF VOLUME I』での新曲に近い方向性になるのかと思いきや、半分正解といったところでしょうか。初期っぽくはならず、『BEST OF VOLUME I』での新曲の延長線上。つまり、サミー時代の方向性の延長線上にある、従来の流れにある1枚なのです。また、サミーよりも陰なイメージの強いゲイリーの声/声質に合わせた曲作りがなされており、それもあってか若干ダークな印象も受けるアルバムでもあります。

ピアノとアコギからなるインスト「Neworld」を経てスタートするオープニングナンバー「Without You」こそ、前作『BALANCE』までの流れを汲むダイナミックなハードロックですが、続く「One I Want」には若干初期VAN HALENの香りも。かと思えば、非常にダークな「From Afar」や「Dirty Water Dog」があったり、新境地的なミディアムバラード「Once」もあり、バンドとして守りに入らず前進していることもアピールする。このへんは個人的にも好意的に受け入れています。

が、どの曲もコンパクトさに欠けるのもまた事実。インストの短尺曲以外は5分を下回る楽曲が皆無で、「Without You」は6分半、「Once」は7分半ですし、泣きのバラード「Year To The Day」は8分半もある。これは曲によってイントロが長かったり、曲中にギターソロや楽器隊のインタープレイが含まれていたりといろんな理由があるのですが、おそらくそれ以前との曲作りのスタンスの違いが大きいのかなと。明らかにジャムセッションの延長線上ですものね、このアルバム。シングルヒット量産型だった80年代後半から90年代前半の楽曲はもっとブラッシュアップされていたような気もするのですが、そこはボーカリストが変わったことによる意識の変化の表れなのかもしれません。

じゃあ、これだけソロのために時間が割かれているんだから、エディ・ヴァン・ヘイレン(G)の華麗なプレイが楽しめるのか?と言われると、答えはイエスでもありノーでもあると。正直、そこまで印象に残るプレイは多くなく、70〜80年代の彼と比較したら衝撃度も低い。手癖っぽいフレーズも多いですし……そういう点においても、彼らのキャリアにおいて評価は低い部類に入る1枚と言えるでしょう。

実は本作、リリース当時に購入したあと、数回聴いたのみで放置。これを書くにあたって20年ぶりに引っ張り出したのですが、思っていたよりも良いと思えたことだけは書き残しておきます。それでも、12曲で65分は長すぎですけどね。



▼VAN HALEN『VAN HALEN III』
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2019年1月17日 (木)

RED HOT CHILI PEPPERS『CALIFORNICATION』(1999)

1999年6月にリリースされた、RED HOT CHILI PEPPERSの7thアルバム。前作『ONE HOT MINUTE』(1995年)に単発で参加したデイヴ・ナヴァロ(G/JANE'S ADDICTION)に代わり、『MOTHER'S MILK』(1989年)や『BLOOD SUGAR SEX MAGIK』(1991年)の立役者のひとりジョン・フルシアンテ(G)がバンドに復帰。「Scar Tissue」(全米9位)、「Otherside」(同14位)、「Californication」(同69位)といったシングルヒットも手伝い、アルバムも全米3位まで上昇し、アメリカのみで600万枚以上、世界トータルで1600万枚を超える最大のヒット作となりました。

『ONE HOT MINUTE』ではデイヴの色もあり、非常にハードロック的要素が強い内容でしたが、今作では再びジョンのカラーが強まっています。それは『BLOOD SUGAR SEX MAGIK』からのヒット曲「Under The Bridge」(全米2位)や「Breaking The Girl」、あるいはジョン不在ながらも映画に提供した「Soul To Squeeze」(全米22位)で提示した“枯れ”の要素が至るところから感じられることで理解できるはずです。

オープニングの「Around The World」こそ、イントロで派手なプレイを堪能できますが、いざ歌が入ると一気に落ち着く。かと思うと、続く「Parallel Univers」ではどストレートなハードロックを聴かせ、「Scar Tissue」では緩やかなポップサウンドを響かせる。「Otherside」や「Californication」ではまさに“枯れ”や哀愁味がど直球で表現されているんですから……。

「Get On Top」や「Right On Time」といった楽曲では、当時のレッチリファンがイメージする“らしさ”……ハードなファンクロックが展開されるものの、そういったカラーは本作では味付け程度。結局「Easily」みたいなロックチューンや「Road Trippin’」のようなメロウなミディアム/スローナンバーが軸になっており、これこそが当時ジョンがやりたかったことなんでしょうね。

もちろん、その要素が世の中的に受け入れられることで、バンドは大成功を手に入れるわけですが、それと同時にあの“おバカ”さは影を潜めていく。そんなもどかしさを、このアルバムが発売された20年前に味わったことを、今でも昨日のことのように覚えています。

けど、今となってはこのアルバムも問答無用の傑作の仲間入り。もはやそんなわだかまりもなくなり、素直に楽しめるようになりました。だって、良い曲は良い曲以外の何者でもないし、それはアルバムもしかり。間違いなく90年代のレッチリが残した傑作のひとつであり(って3枚しか出してないけど)、それ以降のレッチリの指針となった記念碑的1枚です。



▼RED HOT CHILI PEPPERS『CALIFORNICATION』
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2019年1月16日 (水)

FAITH NO MORE『THE REAL THING』(1989)

1989年初夏に発表された、FAITH NO MORE通算3作目のオリジナルアルバム。今作からReprise Records経由でメジャー流通され、「Epic」(全米9位)や「Falling To Pieces」(同92位)のヒットも手伝い、アルバムは全米11位、100万枚以上を売り上げる出世作となりました。

前作『INTRODUCE YOURSELF』(1987年)まで在籍したチャック・モズリー(Vo)が脱退し、代わりにマイク・パットンが加わることでマイク・ボーディン(Dr)、ロディ・ボッタム(Key)、ビル・グールド(B)、ジム・マーティン(G)という黄金期ラインナップが完成。また、マイクという変態的な多彩さを持つフロントマンが加わったことで、その音楽性もより豊かなものへと進化します。

……と書けばかなり好意的ですが、実際はというと……リリース当時は正直、よくわかりませんでした(笑)。いや、ヘヴィメタル的要素も感じられるし、何よりBLACK SABBATH「War Pigs」のカバーもやってますし。アルバムオープニングの「From Out Of Nowhere」が持つ闇を突き抜けるような疾走感は、非常にハードロック的でしたしね。「Surprise! You're Dead!」も完全にヘヴィメタルのギターリフと複雑怪奇な展開が備わっているし、マイクのボーカルもメタルバンドらしいアジテートぶりを発揮していて納得できる部分もあるんです。

ですが、大ヒットした「Epic」のヒップホップ的スタイル……サウンドこそHR/HMのそれですが、リズムは跳ね気味だし、ボーカルもサビ以外はラップしてるし、エンディングではいきなり耽美なピアノソロで終わるし。妙にクセになるんですよ。でも……今でこそミクスチャーロックなんて括りで納得できるけど、80年代の単純なメタル脳では「黒か白か?」でしか判断できなかったから……10代の自分には、正直敷居の高い1枚に思えました。

けど、それも数年経てば自然と馴染んでいき、「Zombie Eater」の序盤がちょっとSKID ROWの「Quicksand Jesus」ぽいなとか(SKID ROWのほうが後追いなんだけど)、「The Real Thing」や「Woodpeckers From Mars」にはプログレメタル的な側面も感じられるなとか、勝手に解釈するようになり。単純にメタル一色で判断しようとすると理解できなかったことが、一気に透けて見えるようになり、そこからはこのアルバムばかり聴いていたことをよく覚えています。ここで慣らされたから、続く『ANGEL DUST』(1992年)にもスススッと入っていけたわけですしね。

でも、『ANGEL DUST』を経て振り返ると、この『THE REAL THING』って無駄にメジャー感が濃い1枚ですよね。変態度でいえばかなり低いし。今では物足りなさすら感じますが、それはそれ。久しぶりに「War Pigs」の完コピ(笑)を聴いて、当時を思い返してみようかな。



▼FAITH NO MORE『THE REAL THING』
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2019年1月15日 (火)

SPARTA『WIRETAP SCARS』(2002)

2001年のAT THE DRIVE-IN最初の解散後、メンバーのジム・ワード(G)、ポール・ヒジョス(B)、トニー・ハジャー(Dr)の3人を中心に結成されたのがSPARTAというバンド。ジムがボーカル&ギター、ポールがリード・ギターにスイッチし、マット・ミラー(B)を新たに迎えて本格始動。2002年夏にGeffen Records傘下のDream Works Recordsからリリースされたのが、彼らのデビューアルバム『WIRETAP SCARS』です。

プロデュースを手がけたのはパンク、オルタナ系でおなじみのジェリー・フィン(GREEN DAY、SUM 41、BLINK-182など)。「Cut Your Ribbon」「Air」といったシングルヒットが後押しし、アルバム自体も全米71位という好記録を残しています。

セドリック・ビクスラー(Vo)、オマー・ロドリゲス(G)といったAT THE DRIVE-INの“顔”はTHE MARS VOLTAを結成しており、当時は言い方こそ悪いですがSPARTA組は“残りカス”みたいな見られ方をしていました。事実、僕もそういう目で見ていましたし(ごめんなさい)。

しかし、こうやって届けられたデビューアルバムではAT THE DRIVE-INでの試みからハードコアな要素を取り除き、残されたエモーショナルな要素をメジャー流にブラッシュアップした、非常に高品質なオルタナティヴロックを堪能することができます。

ジムのボーカルはセドリックほどのヒステリックこそないものの、当時のパンクロック/オルタナロック/エモの系譜に属する、適度に激しく適度に甘いもの。そこに端正なサウンドプロダクションとキャッチーな楽曲、破綻しないバンドアンサンブルが加わることで、良くも悪くも“メインストリームにいるオルタナバンド”的な立ち位置を示すことに成功しています(まあ、そもそもオルタナがメインストリームにいること自体に矛盾があるわけですが)。

「Sans Cosm」のようなキャッチーさは、それこそAT THE DRIVE-INにも存在した要素のひとつですが、表現方法が少し違うだけでこうもメジャー感が強まるんだなと、改めて驚かされます。ですが、このバンドの持ち味はそういった前身バンドとは別のところにあると思うのです。「Cut Your Ribbon」でのアグレッション、「Air」でのエモーショナルさ、「Light Burns Clear」で表現されるドラマチックなアンサンブルなど、要所要所に聴きどころが満載で、決して最後まで飽きさせることのない仕上がりではないでしょうか。

ですが、ここに少しでもAT THE DRIVE-INの面影を求めようと、途端に“弱く”感じてしまう。すごく損な役回りですが、こればかりは仕方ないかな……とはいえ、この手のバンドの作品としては相当レベルは高いほうなので、聴いて損はないと思います。



▼SPARTA『WIRETAP SCARS』
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2019年1月14日 (月)

AT THE DRIVE-IN『IN/CASINO/OUT』(1998)

1998年夏にリリースされた、AT THE DRIVE-INの2ndアルバム。続く3作目『RELATIONSHIP OF COMMAND』(2000年)がGrand Royalを通じてメジャー流通されたことで一気に知名度が増し、僕のようなにわかファンがそこで“これ1枚だけのバンド!”みたいな勘違いをしてしまいがちですが、いやいや、まったくそんなことはなく、この『IN/CASINO/OUT』の時点でそのオリジナリティはしっかり確立されていることに気づかされます。

僕自身、本作を聴いたのは『RELATIONSHIP OF COMMAND』発売からだいぶ遅れてのことですが、最初は『RELATIONSHIP OF COMMAND』にあったはちきれんばかりのエネルギーの塊がここにはないと、そこまでのめり込めなかったことをよく覚えています。が、実は本作『IN/CASINO/OUT』のほうがバランス感に優れていて、“コントロールされた爆発”を思う存分楽しめる1枚なのではないかと、あとになって気づくわけです。

ロス・ロビンソンが手がけた『RELATIONSHIP OF COMMAND』とは異なり、ここではFUDGE TUNNELやNAILBOMBなどで知られるアレックス・ニューポート(THE MARS VOLTABLOC PARTY、DEATH CAB FOR CUTIE)がプロデュースを担当。全体を覆う“熱に満ちているのにどこかヒンヤリとしている”感覚は、もともとこのバンドが持ち合わせている個性ではあるものの、アレックスはそこをより強化させることに成功したのではないかと。冷たいのにカラッとしたサウンドの質感と合わせ、本当に気持ちいい“音”を鳴らしているのですね。

それは、例えが正しいかわかりませんが、80年代前半までのU2が持っていた要素に近いものを感じます。ただ、AT THE DRIVE-INの場合はそれをよりモダンなオルタナティヴロックスタイルで鳴らそうとし、そこにオマー・ロドリゲス(G)の変態的ギターが加わることで独自なものへと昇華した。そして、次作ではそこにロス・ロビンソンの手が加わることで、もう誰にも追いつけないくらい特殊な存在へと急激に進化した。そう捉えることはできないでしょうか。

楽曲のスタイルには確実に“グランジ以降”で90年代的だし、中にはパワーポップ的な要素も見え隠れする。だけど、特別誰かに似ているわけでもない。そこがこのバンドの凄さなんだなと、リリースから20年経った今、改めて思うわけです。

AT THE DRIVE-INは昨年末に三度目の解散を発表してしまいましたが、もう役目はすべて果たしたのかな……最近のライブを観ると、特にそう思うこともあります。正しい幕の降ろし方だったのかもしれません。今は残されたこの名盤を聴きつつ、彼らに思いを馳せようかなと。



▼AT THE DRIVE-IN『IN/CASINO/OUT』
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2019年1月13日 (日)

祝ご成人(1998年4月〜1999年3月発売の洋楽アルバム20選)

新成人の皆さん、おめでとうございます。2014年度に初めて執筆したこの“洋楽版成人アルバム”企画、今回で5回目となります。毎年この時期にこの企画をやることで、温故知新というよりは「自分の20年前の音楽ライフはどんなだったか」を思い返す上で非常に重要なコンテンツになりつつあります。

しかも、今回は当サイトの前身サイトがスタートした時期(1998年12月)が被っていることから、選出時もいろいろ感慨深いものがあります。いやあ、長く続けるもんだ。

さて、この企画の説明です。この1月に成人式を迎えたの皆さんが生まれた年(学年的に1998年4月〜1999年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れがある作品のうちSpotifyやApple Musicで試聴可能な作品を20枚ピックアップしました。今年度は残念ながら、選出した20枚すべてがSpotifyおよびApple Musicに揃っているものではありませんでした(各サービスともに1枚足りないという)。

でも、どれも名盤ばかりですし、もしまだ聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にチェックしてみてはどうでしょう。特に、現在20歳の方々は「これ、自分が生まれた年に出たんだ」とかいろいろ感慨深いものがあるような気もしますし。ちなみに、作品の並びはすべてアルファベット順です。(2014年度の新成人編はこちら、2015年度の新成人編はこちら、2016年度の新成人編はこちら、2017年度の新成人編はこちらです)


ASIAN DUB FOUNDATION『RAFI'S REVENGE』(1998年11月発売)(Spotify

AT THE DRIVE-IN『IN/CASINO/OUT』(1998年8月発売)(Spotify)(レビュー

BEASTIE BOYS『HELLO NASTY』(1998年7月発売)(Spotify

BLUR『13』(1999年3月発売)(Spotify)(レビュー

BOARDS OF CANADA『MUSIC HAS THE RIGHT TO CHILDREN』(1998年4月発売)(Spotify

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THE STOOGES『FUN HOUSE』(1970)

イギー・ポップ率いるTHE STOOGESが1970年夏に発表した、通算2作目のオリジナルアルバム。当時のメンバーはイギー(Vo)、ロン(G)&スコット(Dr)のアシュトン兄弟とデイヴ・アレクサンダー(B)のオリジナル編成にスティーヴ・マッケイ(Sax)を加えた5人編成。ちなみにデイヴが1975年ロンが2009年、アスコットが2014年、スティーヴが2015年にそれぞれお亡くなりになられています。

デビューアルバム『THE STOOGES』(1969年)はかろうじて全米106位まで上昇するものの、本作はチャートインすらせず。THE STOOGES名義で発表されたアルバム5作品のうち、本作だけがBillboard 200(アルバムチャート)に一度も入らなかったんですが、そんな記録とは一切関係なく、本作は非常に素晴らしいロックアルバムであり、個人的にも彼らの作品中もっともお気に入りの1枚です。そもそも、最初に聴いたTHE STOOGESのアルバムが本作でしたから。

前作はTHE DOORSの影響下にある、サイケデリックなガレージロックという印象でしたが、いよいよ今作でパンクロックの元祖的なアバンギャルドさ、アグレッシヴさが増していきます。パッションとエネルギーの塊のような「Down On The Street」「Loose」「T.V. Eye」という冒頭3曲でまずノックアウトされると、前作でのスタイルをより強化させたスローでヘヴィな「Dirt」へと続いていく。

で、後半は「I Feel Alright」というタイトルでも知られる「1970」からスタート。ここでようやくスティーヴのサックスが加わってきます。その延長線上にある(というより、組曲のように続いているようにも感じられる)「Fun House」で8分近いセッションが繰り広げられ、ラストにノイジーで狂気じみた「L.A. Blues」で幕を降ろす。たった7曲、40分にも満たない本作ですが、前作ではまだまだ薄かったキチガイっぷりが顔を出し始めます(とはいえ、本作ではその要素も6割程度といったところで、本領発揮されるのはステージの上になるわけですが)。

ハードロックファン的にはHANOI ROCKSがライブでカバーした「I Feel Alright」がもっとも親しみやすいかもしれません(実際、僕もそれがあってまず本作を聴いたのです)が、先に挙げた冒頭3強のほうが実は入っていきやすいんじゃないでしょうか。それに加え、同じコード進行で延々ジャムが進む「Fun House」やドゥーミーな「Dirt」のような楽曲も気に入りさえすれば、本作はこのバンドの入り口として最良な1枚と言えるでしょう(ラストのカオスっぷりはこのさい無視します)。

なお、本作は2005年頃にリマスター&デモ/アウトテイクからなる2枚組デラックス仕様も発売。こちらはサブスクでも聴くことができるので、まずはオリジナル盤を聴いてから触れてみることをオススメします。



▼THE STOOGES『FUN HOUSE』
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2019年1月12日 (土)

THE CURE『KISS ME, KISS ME, KISS ME』(1987)

THE CUREが1987年春にリリースした、通算7枚目のスタジオアルバム。初の2枚組作品(アナログ盤のみ。CDは1枚にまとたもの)で、全18曲入りという非常にボリューミーな大作となっています。が、初出時のCDは当時の容量の問題で、「Hey You!!!」がカットされた17曲入りでした。「Hey You!!!」を含めた全18曲で74分強なので、今となっては問題なく完全収録できるのですが、CDというものが出始めた頃の技術では70分強が最長収録時間だったようです。

実は、僕が初めて聴いたTHE CUREのアルバムが本作なんです。意外と遅かったんですよね。たぶんラジオかMTVで「Why Can't I Be You?」(全英21位/全米54位)を聴いて気になって、友人に「THE CUREって知ってる?」と聞いたらこのアルバムをダビングしてくれた。そんなことをよく覚えています。

まあ、まずオープニングの「The Kiss」で驚くわけですよね。6分強あるこの曲、歌が入るのが4分近くになってからですから。それまで、ひたすら浮遊感の強いサイケデリック調のインストが続くわけですし、正直ハードル高いな……と思ったものです。

が、このアルバムにある世界観はぶっちゃけ嫌いじゃなかったし、むしろ好みでした。ロバート・スミスのボーカルもクセは強いものの、決して苦手ではなかったし、何よりも歌メロがキャッチーで入っていきやすい。あとになって「これがゴスっていうのかぁ」なんてわかったふりをしたり(苦笑)、まあとにかく、自分にとっていろんなとっかかりとなった1枚でもあります。

とにかく、「The Kiss」や「Snakepit」などのサイケデリックでドロドロした楽曲がありつつ、先の「Why Can't I Be You?」、「Just Like Heaven」(全英29位/全米40位)、「Catch」(全英27位)といったシングル曲や「Perfect Girl」といった親しみやすいポップチューンもある。かと思えば、ゴージャス感のある「Hey You!!!」やファンキーな「Hot Hot Hot!!!」(全英45位/全米68位)、のちのV系にも通ずる前のめりな「Shiver And Shake」もあったりと、収録されている楽曲の幅がとにかく広い。

これはあとになって気づくことですが、このアルバムがバンドにとって大きなターニングポイントになっているんですよね。ここでの解放が、続く原点回帰的な『DISINTEGRATION』(1989年)へと続くと。で、『KISS ME, KISS ME, KISS ME』はチャート的にも初めて大きな成功を得ることができ(全英6位のみならず、全米35位で初のトップ40も記録)、これが機になり次作でのミリオンヒットにつながるわけですから。そう思うと、自分のようなビギナーがひっかかったのも理解できる気がします。

ほかにも良いアルバムはたくさんあるものの、思い入れという意味ではいまだに本作が一番かもしれません。



▼THE CURE『KISS ME, KISS ME, KISS ME』
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2019年1月11日 (金)

QUEEN『A DAY AT THE RACES』(1976)

1976年末にリリースされた、QUEEN通算5作目のスタジオアルバム。前作『A NIGHT AT THE OPERA』(1975年)の全英1位/全米4位獲得およびシングル「Bohemian Rhapsody」(全英1位/全米9位)の大ヒットにより、ついにトップアーティストの仲間入りを果たしたQUEEN。このへんは、現在もロングランで公開中の映画『ボヘミアン・ラプソディ』を観た方ならご理解いただけるかと。そんな絶好調の彼らが続いて発表した本作も、全英1位、全米5位という好記録を残しております。

タイトルからも想像がつくかと思いますが、本作は前作『A NIGHT AT THE OPERA』と対になる印象の1枚。こう書くとヒット作の続編と受け取られがちですが、実は内容的には前作の延長線上にあるものという感じでもなく、あくまでQUEENらしさを追求した現在進行形の作品集と言えるでしょう。

興味深いのは、前作や前々作『SHEER HEART ATTACK』(1974年)にあったような組曲スタイルを排除していること。全10曲が単独した形を取っており、それが80年代以降の方向性にも通ずるものを感じさせます。

また、楽曲スタイル的にも次作『NEWS OF THE WORLD』(1977年)を彷彿とさせるものがあり、ここにパンクのスタイルをかけ合わせることであの方向性につながっていくのでは……なんてことも考えたり。そういう意味においては、実は大ヒット作2枚(『A NIGHT AT THE OPERA』と『NEWS OF THE WORLD』)に挟まれた過渡期的1枚と言えるかもしれません。事実、本作はチャート的には成功しましたが、セールス的には(特にアメリカでは)半分以下に落ちてますしね。

とはいえ、オープニングを飾るブライアン・メイ(G, Vo)のギターオーケストレーションからパワフルなハードロック「Tie Your Mother Down」(全英31位/全米49位)へと続く流れや、そこからメランコリックな「You Take My Brath Away」への流れ、ゴスペル調の名曲「Somebody To Love」(全英2位/全米13位)やシリアスかつヘヴィな「White Man」、美しくも軽やかな「Good Old-Fashioned Lover Boy」(全英17位)など、良曲目白押しな内容。音楽的にはより幅が広がった印象があります。

実は本作、初のセルフプロデュース作なんですよね。前作での成功を機に、バンドがやりたい邦題やってみました、というのもあったのかな。それにより、アルバムトータルとしては若干散漫さも目立つ結果となりましたが、これが調整されることによって80年代のQUEENにつながっていくという(そういう意味でも、やっぱり客観視できるプロデューサーは必要になるわけですが)。いろいろ難しいです。

でも、全10曲中8曲をフレディ・マーキュリー(Vo, Piano)が単独歌唱している(あ、「Good Old-Fashioned Lover Boy」ではエンジニアのマイク・ストーンも歌ってますが)ことで、何気に統一感が強いような。このへんも、80年代以降の彼らに通ずるものがありますね。

あ、最後に。本作のラストナンバー「Teo Torriatte (Let Us Cling Together)」に触れないわけにはいきませんよね。タイトルおよびサビの一部を日本語で書かれたこの曲は、1975年の初来日時に大歓迎してくれた日本のファンへの感謝の気持ちから、こういう形になったとのこと。今なら日本盤のみのボーナストラックになるんでしょうけど、これを世界共通盤に入れてしまう当時のQUEENの勢いと心意気。素敵すぎます。今から40数年前に、QUEENが日本人に対してここまでしてくれたことを忘れてはいけません。このアルバム、日本人として誇りに思ってもいいのではないでしょうか。そういう意味でも大切な1枚です。



▼QUEEN『A DAY AT THE RACES』(
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2019年1月10日 (木)

DAVID BOWIE『THE MAN WHO SOLD THE WORLD』(1970)

デヴィッド・ボウイ通算3作目のオリジナルアルバム。本作はまず、アメリカで1970年11月に先行発売され、その5ヶ月後の1971年4月に本国イギリスでリリースされています。ちなみに、ロックファンの間でよく知られるあの麗しのアートワークは先行発売のアメリカ盤では採用されておらず、なんともチープなオッサンのイラストが使われております。このへんはWikipediaを見ると詳しく載っております。

自分にとってのデヴィッド・ボウイって、いわゆる“ジギー・スターダスト”よりも本作のジャケットのイメージなんですよね。高校生の頃、すでに『LET'S DANCE』(1983年)や『TONIGHT』(1984年)を聴いてはいたものの(それこそ、映画『戦場のメリークリスマス』などで動くボウイを目にしていたものの)、それでも脳裏に思う浮かべるのは『世界を売った男』と題されたこのアルバムの美しい姿なのです。

とはいえ、ちゃんとアルバム自体を聴いたのはそれからさらに数年後。たぶん18〜9歳の頃に東京ドームで初めてボウイのライブを観て、それから1、2年は経っていたと思います。まだNIRVANA『MTV UNPLUGGED IN NEW YORK』(1994年)で「The Man Who Sold The World」をカバーする、ちょっと前のことです。

もう、このアルバムに関してはアートワークと邦題の勝利ですよね。直訳ではあるんだけど、『世界を売った男』というタイトルにこの英国盤アートワークですから。しかも、アルバムのオープニングを飾るのが「円軌道の幅」と邦題が付けられた、8分を超える大作「The Width Of A Circle」ですから。悪いわけがない。

それ以前のフォーキーな要素も残しつつ、ミック・ロンソン(G)が加わったことにより、ロックバンド色がどんどん強くなっている。グラムロックというよりは、ハードロックやプログレッシヴロック的解釈も至るところに見受けられ、そこが個人的にもツボだったりします。頭3曲(「The Width Of A Circle」「All The Madman」「Black Country Rock」)はまさにそれで、ストレートなハードロックをボウイ流に噛み砕くことで、のちのグラムロック路線への布石が見え隠れする。

で、アナログ後半(M-5「Running Gun Blues」以降)の流れも素晴らしいし、「She Shook Me Cold」冒頭で聴けるミック・ロンソンのギタープレイにはゾクゾクしてしまう。そこからの「The Man Who Sold The World」ですから。ラストの「The Supermen」からもその後の片鱗が感じられるし。このヘヴィなテイストは次作以降どんどん薄まっていくわけですが、そういう意味でも本作は絶妙なバランスで成り立つ1枚と言えるでしょう。実はハードロックファンにこそ聴いてほしい、ボウイの傑作アルバムのひとつです。



▼DAVID BOWIE『THE MAN WHO SOLD THE WORLD』
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2019年1月 9日 (水)

ROXY MUSIC『ROXY MUSIC』(1972)

1972年初夏に発表された、ROXY MUSICの1stアルバム。当時のメンバーはブライアン・フェリー(Vo, Piano)、ブライアン・イーノ(Synth)、アンディ・マッケイ(Sax)、フィル・マンザネラ(G)、ポール・トンプソン(Dr)。レコーディングにはグラハム・シンプソン(B)の名前があるものの、同時すでに正式メンバーではなかった、という話も。プロデュースを手がけたのはKING CRIMSONで作詞を担当していたピート・シンフィールドで、これは当時の所属レーベルがクリムゾンと同じE.G. Recordsだったことが大きく影響しています。

それもあってか、本作にはプログレッシヴロックの香りもちらほら感じられます。7分前後もある「If There Is Something」や「Sea Breazes」、「2HB」なんてまさにそれですよね。サックスを含む編成というのも、初期クリムゾンに通ずるものがありますし。

ところが、ご存知のとおり初期の彼らはグラムロックの範疇で語られることが多い。それは当時のファッションだったり、デヴィッド・ボウイの前座としてツアーを回ったりなど、そういったことも大きく影響しているのでしょう。いや、楽曲自体にもその香りはたっぷり感じられますけどね。

デビューシングル「Virginia Plain」からして“そっち側”だし、アルバムのオープニングを飾る「Re-Make/Re-Model」も同じく。「Chance Meeting」や「Would You Believe?」の耽美さなんて、疑いようがないほどにグラムロックのそれですからね。そりゃ仕方ないですわ。

ただ、このバンドを単なるグラムロックやプログレの枠で括れないものにしているのが、ブライアン・イーノの存在。奇抜なビジュアルはもちろん、その奇抜なサウンドメイキングは間違いなく本作を特別なものに昇華させています。楽曲単位で普通にカッコいいと思っていると、突如耳に飛び込んでくるヘンテコな音……これがまたクセになるんですよね、不思議と。だからなのか、イーノ脱退後の後期ROXY MUSICを聴くと至極真っ当なバンドに思えてしまう。まあ、彼の脱退と引き換えに、バンドは大成功を収めるわけですが。

実はROXY MUSICって20代までは全然良さがわからなかったバンドのひとつなんです。リアルタムではすでにブライアン・フェリーは伊達男なソロシンガーでしたし、最初に手にしたアルバムが『AVALON』(1982年)でしたから。映画『ヴェルヴェット・ゴールドマイン』を通じて、ちょっとだけ初期に触れたものの、あまりピンと来ず……結局、さらにいい大人になってから改めて聴いてどハマりしたという。きっと今みたいにサブスクリプションサービスがあったら、20年前にどハマりしてたのかな……わからないけど。

そもそもボウイも好き、クリムゾンも好き、なんならBOØWYや布袋寅泰も好きな時点でこの頃のアルバムにハマらない理由はないんですけどね。そういった意味では、本作が一番思い入れがあるんですよ。なんでこれに20年前気づかなかった、俺よ。うん、世の中いろいろです。



▼ROXY MUSIC『ROXY MUSIC』
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2019年1月 8日 (火)

THE BEATLES『ABBEY ROAD』(1969)

1969年秋にリリースされた、THE BEATLES通算11枚目のスタジオアルバム(のちに公式作品化された『MAGICAL MYSTERY TOUR』を除くと10枚目)。発表は次の『LET IT BE』(1970年)のほうが後ですが、レコーディング自体は『LET IT BE』のセッション(“Get Back Sessions”)を経て行われているので、こちらが正真正銘のラストアルバムと言われていました(その後、新たに1970年の音源が見つかり、改めて『LET IT BE』がラスト作に)。当然ながらアメリカやイギリスではNo.1を獲得しており、特にアメリカでは現在までに1200万枚を超える最大のヒット作となっています(1968年発売の前作『THE BEATLES』は1900万枚を売り上げていますが、こちらは2枚組なので実質950万セットということになります)。

上記のように、“Get Back Sessions”で手応えを得られなかったビートルズは、「最後にしっかりしたアルバムを1枚作ろう」として今作の制作に臨みます。その気合いが、アルバム終盤のメドレー(特に「Golden Slumbers」からの流れ)に表れているように思います。といっても、これはポール・マッカートニー主導で制作されたようなものなので、絶賛しているのがポール自身というのがなんとも(笑)。ジョン・レノンは同メドレーが収められたアナログB面に関しては「雑多で好きじゃない」的な発言を残していましたしね。

じゃあ、アナログA面に当たるM-1「Come Together」からM-6「I Want You (She's So Heavy)」まではどうかといいますと……確かに良いんですよ。ジョン主導のダルなロック「Come Together」は言うまでもなく、続くジョージ・ハリスン作の「Something」といい、ポール渾身のボーカル楽しめるロッカバラード「Oh! Darling」といい、リンゴ・スターらしさがにじみ出たポップソング「Octopus's Garden」といい。そして、A面ラストを締めくくる8分近いヘヴィブルース「I Want You (She's So Heavy)」。後期ビートルズの良い部分が凝縮されているんですよね。

こんな充実しているんだもん、そりゃB面はね……と思いきや、実はB面も素晴らしいのですよ。いきなりジョージの名曲「Here Comes The Sun」から始まり、賛美歌のような美しさを感じさせる「Because」、終わりの始まりそのものな「You Never Give Me Your Money」、その後のメドレーへと良き橋渡しとなる「Sun King」などなど……思えば、B面って「Because」からすでに始まっているんですよね、壮大なメドレーが。特に「Sun King」から「The End」までは、1〜2分の楽曲で切れ目なくつながっているんですから。ジョンもある程度意図していたとはいえ、ポールが我が物顔で自画自賛するのに耐えられず、先の否定的発言につながったのかしら。もし今も生きていたら……いや、やめましょうか、たら・れば話は。

そんなこんなで、どうしても後半のメドレーに目が耳が行きがちですが、個人的にはこのアルバムは「ジョージ・ハリスンの才能が一気に爆発した1枚」と捉えています。すでに前作の時点でその兆候はあったわけですが、この作品の頃にはジョージのソングライティング力はジョンやポールに匹敵するレベルにまで到達していたわけですから。しかも最後の最後に。皮肉なものですね。

そういえば、去年はホワイト・アルバムのボックスセットが後半に発売されましたけど、本作も同様の形で復刻されるんですかね……気になるところです。



▼THE BEATLES『ABBEY ROAD』
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2019年1月 7日 (月)

THE ROLLING STONES『LET IT BLEED』(1969)

1969年12月に海外でリリースされた、THE ROLLING STONES通算8枚目(イギリスにて/アメリカでは10枚目)のスタジオアルバム。前作『BEGGARS BANQUET』(1968年)でブルース/ロックンロールへと回帰した彼らが、その路線をさらに推し進めた傑作のひとつ。60年代後半の彼らを語る上で、『BEGGARS BANQUET』と併せて紹介されることの多い1枚です。

本作のレコーディング中に、オリジナルメンバーのブライアン・ジョーンズ(G)が脱退。代わりにミック・テイラーが加入し、「Country Honk」と「Live With Me」の2曲のみですが早くもその手腕を発揮しています。

本作の凄みは、ブルースやカントリーなどのルーツミュージックをベースにしつつも、「Gimme Shelter」や「Monkey Man」のようにサイケデリックでダークなナンバーや、約7分にもおよぶ(ライブでは10分を超えることも)プログレッシヴなブルースロック「Midnight Rambler」、ゴスペルをフィーチャーした壮大なバラード「You Can't Always Get What You Want」といった、その後のストーンズに必要不可欠な名曲を多数残していることでしょうか。そもそも、アルバムのオープニングが不穏な雰囲気の「Gimme Shelter」から始まるという時点で、本作が『BEGGARS BANQUET』と並んで名作と捉えられている理由がおわかりいただけるかと(前作はいきなり「Sympathy For The Devil」始まりですからね)。これも、ベトナム戦争などの影響で不安定だった当時の世相を反映させた結果なんでしょうね。

「Tonky Tonk Women」のカントリーバージョン「Country Honk」こそ牧歌的な曲調ですが、それ以外の楽曲からはいつも以上にシリアスな空気を感じる。「Live With Me」はまだしも、若干緩やかな雰囲気の「Let It Bleed」でさえ節々から殺伐としたものが見え隠れするんですから、どれだけ1969年って怖い時代だったんだよって話ですよ。自分もまだ生まれていなかったですし、その数年後に生を受けたとはいえリアルタイムでは当時のことは覚えてないですから。ここ日本は高度成長期末期だったとはいえ、まだまだ貧富の差も激しかったですし、それが戦争を行なっていたアメリカとなると……ミック・ジャガー(Vo)やキース・リチャーズ(G, Vo)の目にはどう映っていたんでしょうね。

加えて、本作制作中にはブライアンの急逝(7月3日)もあり、こういった不幸もアルバムのダークさに拍車をかけたはず。そういった意味では、ダークでネガティヴだった60年代末に自身でけじめをつけた、そんな区切りの1枚だったのかもしれません。

それにしても、本当に名曲揃いの1枚で捨て曲皆無。キースが初めて全編リードボーカルを担当した「You Got The Silver」もあるし、ロバート・ジョンソンのカバー「Love In Vain」もある。後者はライブバージョンのほうが優れていますが、このスタジオバージョンも悪くない。また、キースが全面的にギターを担当しているという点においても、本作は注目すべき1枚ではないでしょうか。

ここまでで一度ダークさを振り切り、ミック・テイラーを加えたストーンズは続く『STICKY FINGERS』(1971年)で正真正銘の再生を遂げることになります。



▼THE ROLLING STONES『LET IT BLEED』
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2019年1月 6日 (日)

LED ZEPPELIN『HOUSES OF THE HOLY』(1973)

LED ZEPPELINが1973年3月に発表した、通算5作目のオリジナルアルバム。現在までにアメリカだけで2000万枚を超えるほどのメガヒット作となった前作『LED ZEPPELIN IV』(1971年)から1年半ぶりの新作にあたり、ナンバリングされた過去4作(そもそも『LED ZEPPELIN IV』は本来“無題”なのですが)から離れ、バンドとしてさらなるスケールアップを目指した1枚に仕上げられています。

ブルースを基盤にしたハードロックが展開された『LED ZEPPELIN』(1969年)および『LED ZEPPELIN II』(同年)、そこにトラッドミュージックのカラーを加えた『LED ZEPPELIN III』(1970年)を経て、これまでの要素をよりキャッチーに昇華した『LED ZEPPELIN IV』。いわゆる我々の知るLED ZEPPELINのパブリックイメージは、この4作目までに凝縮されています。では、続くこの5作目は何を表現しようとしたのか。それは、その“パブリックイメージからの離別”だったのではないでしょうか。

本作の中にはブルースおよびブルージーなハードロックをベースにした楽曲は皆無です。「The Song Remains The Same」や「Over The Hills And Far Away」といった楽曲はハードロックの枠内にあるナンバーですが、『LED ZEPPELIN IV』路線の延長線上にありながらも、確実に何か別の地平へと向かおうとしている。そんな動きが確認できます。

また、リフでグイグイ引っ張る「The Ocean」も聴きようによってはブルースの影響下にあるように感じられますが、変拍子を用いたり終盤に能天気なロックンロール的展開に変わったりと、一筋縄でいかない感じは確実に『LED ZEPPELIN IV』までとは異なるものを感じます。

一方で、「The Rain Song」のような壮大で美しいバラードがあったり、サイケデリックな長尺ナンバー「No Quarter」、ファンクミュージックからの影響が濃厚な「The Crunge」、この手のバンドとしてはいち早くレゲエを取り入れた「D'yer Mak'er」など、確実に新しいツェッペリン像を作り上げようとしている。音楽家としのアイデアや意欲が枯渇するどころか、この時点ではどんどん新しいことをやりたいという前のめりさを感じることができる。そういった意味でも、ツェッペリンがいよいよ本格的にオリジナリティを獲得した1枚と言えるかもしれません。

アルバムとしては派手な印象はありませんし、なんなら冒頭の「The Song Remains The Same」はロッキン(『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』)開始後、渋谷陽一氏の出囃子みたいになっちゃって、なんだかなぁみたいなイメージも強いですが、その後のロックシーンに与えた影響という点では実は初期4作よりも大きい1枚なのではないでしょうか。



▼LED ZEPPELIN『HOUSES OF THE HOLY』
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2019年1月 5日 (土)

ERIC CLAPTON『UNPLUGGED』(1992)

1992年8月にリリースされた、エリック・クラプトンのアコースティック・ライブアルバム。同年1月に行われた『MTV UNPLUGGED』の収録ライブから、のちにアルバム『PILGRIM』(1998年)でレコーディングされる「My Father's Eyes」や「Circus」などを除く全14曲が収められています。また、本作は全米1位、全英2位という大成功を記録し、特にアメリカでは1000万枚以上を売り上げるなど、その後のアンプラグド・ブームの火付け役となりました。

ちょうど本作の収録と前後して、クラプトンが映画『ラッシュ』のサウンドトラックを制作し、そこに収録したアコースティックナンバー「Tears In Heaven」が全米2位、全英5位と、彼のキャリア中もっとも成功した1曲となったこともこのアンプラグド・アルバムの成功に拍車をかけたことは間違いありません。

収録曲ですが、「Tears In Heaven」をはじめ「Old Love」や「Running On Faith」など過去のアルバムに収録されたオリジナル曲、DEREK AND THE DOMINOS時代の名曲「Layla」以外は、クラプトンの趣味趣向が反映されたブルースのカバー中心。もちろん、その中には「Before You Accuse Me」や「Rollin' And Tumblin'」といったCREAM時代からソロ時代までに取り上げてきたおなじみの曲も含まれています。

その中には、クラプトンが敬愛するロバート・ジョンソンのカバーも多く含まれており、ここでの経験がのちのブルース・カバーアルバム『FROM THE CRADLE』(1994年)やロバート・ジョンソンのみをカバーしたスタジオアルバム『ME AND MR. JOHNSON』(2004年)につながっていくわけです。

全編でクラプトンのアコースティックプレイと、リラックスした歌声を担当できる本作は、エレキスタイルで表現される緊張感の強い演奏とは異なる側面が反映されています。例えば「Layla」でのキーを下げ節回しを変えた歌唱スタイルなんて、まさにその色がもっとも強く表れているので、これがダメって人には無理強いできないかな。そんな人いるかどうかわかりませんが。

まあ本作は、ここ日本でもバカ売れしましたし、アメリカでも第35回グラミー賞(1993年)で6部門にノミネートされたうち3部門受賞(最優秀男性ロックボーカル、最優秀年間アルバム、最優秀ロックソング)を獲得。ギター弾いてた奴は急にアコギ(しかも、クラプトンと同じマーチンの000-42)を購入したり、来日した際にはそれまでロックのロの字もなかった女性から「行きたい!」と急に連絡が来たり……良くも悪くも“ブーム”を作ってしまった、罪深き1枚なんですわ。まあ、内容の良さとはまったく別の話題ですが。

なお、本作は2013年にカットされた「My Father's Eyes」や「Circus」、放送のために2回演奏された楽曲なども含むボーナスディスクや別売りされていたDVD同梱のデラックス・エディションも発売。90年代前半、早くも名曲と噂されていた「Circus」(当時のタイトルは「Circus Left Town」)聴きたさに西新宿界隈をさまよった身としては、クリアな音質で当時の音源を楽しめるこのバージョン発売には歓喜したものです(ぶっちゃけ、『PILGRIM』のスタジオバージョンよりこっちのほうが好きなので)。



▼ERIC CLAPTON『UNPLUGGED』
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2019年1月 4日 (金)

SIMPLY RED『STARS』(1991)

1991年10月にリリースされた、SIMPLY REDの4thアルバム。アメリカでは76位と、過去の作品と比べて低調で終わっていますが、本国イギリスでは前作『A NEW FLAME』(1989年)に続く1位を獲得。「Something Got Me Started」(全米23位/全英11位)、「Stars」(全米44位/全英8位)、「For Your Babies」(全英9位)、「Thrill Me」(同33位)、「Your Mirror」(同17位)とヒットシングルが多数生まれたこともあり、イギリスだけで300万枚を超えるメガヒットを記録しました。

ソウルやR&B(ブルー・アイド・ソウル)を軸にしながらも、サウンド的にはハウスやジャズファンクなど当時流行していた最新のダンスミュージックも取り入れられており、ポップス層からクラブ層まで幅広く受け入れられた1枚だったような記憶があります。

この当時、メンバーとして屋敷豪太(Dr, Programming)が参加していたことでも大きな話題となりましたが、まあとにかく1曲1曲の完成度が異常に高い。シングルヒットした「Stars」や「For Your Babies」のポップミュージックとしての存在感の大きさ、「Your Mirror」のジャズの影響下にありながらもマイケル・ジャクソン級のソウル感、「She's Got It Bad」のファンクロックとしてのグルーヴ感、「Model」に漂うダビーな空気など、桁外れの楽曲がずらりと並ぶのですから、そりゃ売れるわけですよ。

そして、こういった楽曲を時に優しく、特にファンキーかつセクシーに歌い上げるミック・ハックネル(Vo)のボーカリストとしての力量も、ハンパないったらありゃしない。加えて、そのバックを支えるプレイヤー人の演奏力。そつなくこなしているようで、実はめちゃくちゃ高い技術の上で成り立っていることは、何度も聴き込むことで理解できました。完璧な楽曲と完璧な歌と完璧な演奏が生み出す自然体。これって実はすごく難しいことだと思うんです。

世代的にはもちろんデビュー時の「Holding Back The Years」(全米1位/全英2位)の頃から知っていますし、アルバムにも普通に“流行のポップス”として触れてきましたが、今作はそことはまた違った光や存在感を放っているように思います。言い方を変えれば……リリースから30年近く立っているにも関わらず、今聴いても新鮮に楽しめるというエヴァーグリーンな1枚。そんな時代を超越した作品と断言できます。

とか言いながら、実は本作、リリースしてすぐは手を出さなかったんですね。テレビのチャート番組(たぶんフジテレビの『BEAT UK』)で「Something Got Me Started」は耳にしていたものの……ところが、1992年に入って数ヶ月間イギリスに滞在した際、ラジオやMTV、CDショップで本作からのシングル「Stars」や「For Your Babies」を耳にして、「なんじゃこりゃ!?」と驚くわけです。しかも、これがSIMPLY REDの楽曲だと知って、さらにびっくり。そりゃ購入しますよね、現地で(当時はCDウォークマン的なものはまだ高価だったか発売されてなかったかで、当然カセットテープで購入)。

なので、このアルバムを聴くと当時のイギリスの景色が思い浮かんでくるんです。そんな、個人的にはとても重要な1枚。それを抜きにしても名盤なんですけどね。



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2019年1月 3日 (木)

STING『...NOTHING LIKE THE SUN』(1987)

スティングが1987年秋に発表した、通算2作目のスタジオソロアルバム。本作からは「We'll Be Together」(全米7位/全英41位)、「Be Still My Beating Heart」(全米15位)、「Englishman In New York」(全米84位/全英51位)、「Fragile」(全英70位)、「They Dance Alone」(全英94位)などのシングルヒットが生まれ、アルバム自体も全米9位、全英1位という好成績に恵まれました。特に「We'll Be Together」「Englishman In New York」が当時ビールやビデオテープのCMソングに使用されたこともあり、日本のファンの間でも馴染み深いアルバムの1枚と言えるでしょう。

前作『THE DREAM OF THE BLUE TURTLES』(1985年)THE POLICE時代の恩恵もあり大ヒットを記録。そういう意味では続く今作でソロアーティストとしてのスティングの真価が問われるわけですが、そういった外野からの声を完全に無視するかのように、このアルバムではジャズを軸にした独自の世界観が展開されています。

アルバムのオープニングを飾る「The Lazarus Heart」のジャズやフュージョンを彷彿とさせるノリ、「Englishman In New York」でのレゲエとジャズをミックスしたテイストは、まさにスティングならではと言えるでしょう。また、「They Dance Alone」後半の展開や、ジミ・ヘンドリクスのカバー「Little Wing」に感じられるインプロ的緊張感は、本作に到るまでに彼が経験したソロツアーが大きく反映されているのではないでしょうか。

そういえば、本作は参加メンバーもそうそうたるもので、ルーベン・ブラデス(Vo, G)、ハイラム・ブロック(G)、エリック・クラプトン(G)、マーク・ノップラー(G)、アンディ・サマーズ(G)、マーク・イーガン(B)、ケンウッド・デナード(Dr)、マヌ・カチェ(Dr)、アンディ・ニューマーク(Dr)、ケニー・カークランド(Key)、ブランフォード・マルサリス(Sax)、ギル・エヴァンス(オーケストラ指揮)、GIL EVANS ORCHESTRAなど、ジャズやフュージョン、ブラックミュージック、ロックなどさまざまなジャンルからトップアーティストが勢揃い。ギル・エヴァンスが参加してるというのが、そもそもポップス/ロック界的には当時、相当衝撃的だったような記憶があります。

『THE DREAM OF THE BLUE TURTLES』と比較すると全体的に穏やかで、ロックやポップスのジャンルにおいてはかなり地味な部類に入る作品だと思います。事実、当時高校生だった自分にはかなり大人な内容で、正直すぐに気に入ったかと言われると微妙でしたし。が、中にはグッとくる楽曲も多かったですし、スティングが活動を重ねアルバムを重ねていくごとに、振り返ってこの作品を聴くと「これ、ものすごいアルバムなんじゃないか……」と少しずつ気づくという。そんな濃さと奥深さを持つ傑作のひとつだと思います。

ですが本作、実はかなり闇の深い1枚でもあります。本作の制作に向かう過程で、スティングは最愛の母親を亡くしています。また、ツアーで訪れた南米で触れた、現地の内戦などでの犠牲者たち……こういった出来事から受けた死生観が、歌詞に落とし込まれている。それがアルバム全体を多く「明るくなりきれない」空気につながっているのではないでしょうか。

また、本作は当時としては破格のフル・デジタル・レコーディング作品。そんな触れ込みもあって、当時のCDとしてはかなり音が良かった記憶が。もちろん、現在はもっと音の良い作品は山ほどあるので、今となってはどうってことのないトピックですが。



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2019年1月 2日 (水)

ARCADIA『SO RED THE ROSE』(1985)

1985年秋にリリースされたARCADIA唯一のオリジナルアルバム。「Election Day」(全米6位/全英7位)、「Goodbye Is Forever」(全米33位)、「The Promise」(全英37位)、「The Flame」(全英58位)というシングルヒットも手伝って、アルバム自体も全米23位(ミリオン突破)、全英30位という好成績を残しています。

ARCADIAとは、当時活動休止中だったDURAN DURANのサイモン・ル・ボン(Vo)、ニック・ローズ(Key)、ロジャー・テイラー(Dr)が結成したサイドプロジェクト。先にアンディ・テイラー(G)、ジョン・テイラー(B)がTHE POWER STATIONを結成したことを受け、1年遅れでこちらを始動させたわけです。

この面子に加え、アルバムのプロデューサーがDURAN DURANの『SEVEN AND THE RAGGED TIGER』(1983年)などを手がけたアレックス・サドキンという布陣。さらに、アルバムにはゲストプレイヤーとして土屋昌巳(G/ex. 一風堂。後期JAPANのツアーにも参加していましたしね、この流れは理解できます)、カルロス・アロマー(G/デヴィッド・ボウイなど)、デヴィッド・ギルモア(G/PINK FLOYD)、ハービー・ハンコック(Key)、アンディー・マッケイ(Sax/ROXY MUSIC)、スティーヴ・ジョーダン(Dr)、スティング(Cho)、グレイス・ジョーンズ(Cho)などが参加。もうこれだけで、アルバムのテイストがイメージできるかと思います。

で、その中身はDURAN DURANからブラックミュージック寄りのニューウェイブテイストは残しつつパンクロックの要素を排除し、シンセポップ色を強めたもの。DURAN DURANの耽美な世界観を強調させたそのサウンドは、『RIO』(1982年)や『SEVEN AND THE RAGGED TIGER』の延長線上にもあり、その後DURAN DURANが進むかもしれなかった“もうひとつの可能性”と捉えることができます。

というわけで、当然のように「Hungry Like The Wolf」や「The Reflex」といったテキストの楽曲は皆無。ミドルテンポ中心の作風なので、終始安心して聴いていられるかと思います。それもあって、THE POWER STATIONにあった刺激的な要素はゼロで、そこに不満をこぼす人も少なくないのでは。しかし、当時中学生だった自分は不思議とこの「どことなくエロを感じさせる、大人の雰囲気」に惹かれたんですよね。

サイモンの歌とニックのソングライティング&シンセが強く、ロジャーのカラーはほとんど感じらないかもしれません(苦笑)。また、曲によってはグレイス・ジョーンズ(「Election Day」)やスティング(「The Promise」)のコーラスが際立っており、刺激とまでは言わないけど良いフックにはなっているのではないでしょうか。

このアルバムでの世界観にジョン・テイラーが持ち帰ったファンクロックのテイストが加わったことで、DURAN DURANの『NOTORIOUS』(1986年)に続く……と考えると、DURAN DURANというバンドの史実上絶対に欠かせない1枚だと断言できるはずです。



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2019年1月 1日 (火)

SLAYER『UNDISPUTED ATTITUDE』(1996)

1996年5月に発表された、SLAYER初のカバーアルバム。スタジオ作品としては『DIVINE INTERVENTION』(1994年)から約2年ぶり、通算7枚目のアルバムとなります。チャート的には全米34位と前作の8位には及びませんでしたが、この内容のわりにアメリカだけで20万枚以上も売り上げているので成功した部類に入るのではないでしょうか。

内容はハードコアパンクを中心としたもので、全14曲(日本盤初出時はボーナストラック2曲を含む16曲)中VERBAL ABUSEが3曲、T.S.O.L.が1曲、PAP SMEARが2曲、MINOR THREATが2曲、D.I.が2曲、DR. KNOWが1曲、D.R.I.が1曲、THE STOOGESが1曲、そしてSLAYERのオリジナル曲が1曲となっています(先の日本盤ボーナストラックはG.B.H.とSUICIDAL TENDENCIESのカバー)。しかも、曲によっては2曲を1曲にまとめたメドレー形式になっており、実質的にはプラス4曲くらいの感覚なんですけどね。

そう考えると「曲多すぎ!」と思われるかもしれませんが、そこはほら、ハードコアですから。どのトラックも1曲1〜2分台ですし。トータルで33分ちょっと(日本盤ですら36分程度)ですから。大丈夫、あっという間ですよ(笑)。

あ、補足を。先のカバーしたバンドのうち、PAP SMEARはジェフ・ハンネマン(G)が80年代前半にやってたサイドプロジェクトのこと。そう考えると、実はSLAYERみたいなもんなんです。だから、3曲はSLAYERって捉えることもできるかも。無理やりですが。

SLAYERというバンドにハードコアなどエクストリームミュージックの側面を感じており、そちら方面も愛好しているリスナーなら間違いなく楽しめる1枚でしょう。が、メタルしか聴かねえよ!っていう輩には若干厳しい内容かもしれません。だって様式美もへったくれもないですからね。ただ、前作『DIVINE INTERVENTION』からの流れであったり、それ以前の、『REIGN IN BLOOD』(1986年)をはじめとする80年代のSLAYERにあった残虐性や無軌道さを追体験したい人、そのルーツはどこにあるのかを知りたい人にはうってつけの1枚だと思います。まあ、頭を固くして接するのは違うかなと。もっと気楽に楽しみたい作品集です。

ちなみに、SLAYER名義で唯一の新曲「Gemini」ですが、全然ハードコアでもパンクでもありません。ヘヴィなミディアムナンバーで、『SOUTH OF HEAVEN』(1988年)以降、『DIVINE INTERVENTION』未満といった作風でしょうか。イントロのギターフレーズやボーカルのエフェクトからは、次作『DIABOLUS IN MUSICA』(1998年)の香りがすでに感じられるあたりも、今振り返ると興味深いものがあります。



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