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2019年1月 7日 (月)

THE ROLLING STONES『LET IT BLEED』(1969)

1969年12月に海外でリリースされた、THE ROLLING STONES通算8枚目(イギリスにて/アメリカでは10枚目)のスタジオアルバム。前作『BEGGARS BANQUET』(1968年)でブルース/ロックンロールへと回帰した彼らが、その路線をさらに推し進めた傑作のひとつ。60年代後半の彼らを語る上で、『BEGGARS BANQUET』と併せて紹介されることの多い1枚です。

本作のレコーディング中に、オリジナルメンバーのブライアン・ジョーンズ(G)が脱退。代わりにミック・テイラーが加入し、「Country Honk」と「Live With Me」の2曲のみですが早くもその手腕を発揮しています。

本作の凄みは、ブルースやカントリーなどのルーツミュージックをベースにしつつも、「Gimme Shelter」や「Monkey Man」のようにサイケデリックでダークなナンバーや、約7分にもおよぶ(ライブでは10分を超えることも)プログレッシヴなブルースロック「Midnight Rambler」、ゴスペルをフィーチャーした壮大なバラード「You Can't Always Get What You Want」といった、その後のストーンズに必要不可欠な名曲を多数残していることでしょうか。そもそも、アルバムのオープニングが不穏な雰囲気の「Gimme Shelter」から始まるという時点で、本作が『BEGGARS BANQUET』と並んで名作と捉えられている理由がおわかりいただけるかと(前作はいきなり「Sympathy For The Devil」始まりですからね)。これも、ベトナム戦争などの影響で不安定だった当時の世相を反映させた結果なんでしょうね。

「Tonky Tonk Women」のカントリーバージョン「Country Honk」こそ牧歌的な曲調ですが、それ以外の楽曲からはいつも以上にシリアスな空気を感じる。「Live With Me」はまだしも、若干緩やかな雰囲気の「Let It Bleed」でさえ節々から殺伐としたものが見え隠れするんですから、どれだけ1969年って怖い時代だったんだよって話ですよ。自分もまだ生まれていなかったですし、その数年後に生を受けたとはいえリアルタイムでは当時のことは覚えてないですから。ここ日本は高度成長期末期だったとはいえ、まだまだ貧富の差も激しかったですし、それが戦争を行なっていたアメリカとなると……ミック・ジャガー(Vo)やキース・リチャーズ(G, Vo)の目にはどう映っていたんでしょうね。

加えて、本作制作中にはブライアンの急逝(7月3日)もあり、こういった不幸もアルバムのダークさに拍車をかけたはず。そういった意味では、ダークでネガティヴだった60年代末に自身でけじめをつけた、そんな区切りの1枚だったのかもしれません。

それにしても、本当に名曲揃いの1枚で捨て曲皆無。キースが初めて全編リードボーカルを担当した「You Got The Silver」もあるし、ロバート・ジョンソンのカバー「Love In Vain」もある。後者はライブバージョンのほうが優れていますが、このスタジオバージョンも悪くない。また、キースが全面的にギターを担当しているという点においても、本作は注目すべき1枚ではないでしょうか。

ここまでで一度ダークさを振り切り、ミック・テイラーを加えたストーンズは続く『STICKY FINGERS』(1971年)で正真正銘の再生を遂げることになります。



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投稿: 2019 01 07 12:00 午前 [1969年の作品, Rolling Stones] | 固定リンク