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2019年1月10日 (木)

DAVID BOWIE『THE MAN WHO SOLD THE WORLD』(1970)

デヴィッド・ボウイ通算3作目のオリジナルアルバム。本作はまず、アメリカで1970年11月に先行発売され、その5ヶ月後の1971年4月に本国イギリスでリリースされています。ちなみに、ロックファンの間でよく知られるあの麗しのアートワークは先行発売のアメリカ盤では採用されておらず、なんともチープなオッサンのイラストが使われております。このへんはWikipediaを見ると詳しく載っております。

自分にとってのデヴィッド・ボウイって、いわゆる“ジギー・スターダスト”よりも本作のジャケットのイメージなんですよね。高校生の頃、すでに『LET'S DANCE』(1983年)や『TONIGHT』(1984年)を聴いてはいたものの(それこそ、映画『戦場のメリークリスマス』などで動くボウイを目にしていたものの)、それでも脳裏に思う浮かべるのは『世界を売った男』と題されたこのアルバムの美しい姿なのです。

とはいえ、ちゃんとアルバム自体を聴いたのはそれからさらに数年後。たぶん18〜9歳の頃に東京ドームで初めてボウイのライブを観て、それから1、2年は経っていたと思います。まだNIRVANA『MTV UNPLUGGED IN NEW YORK』(1994年)で「The Man Who Sold The World」をカバーする、ちょっと前のことです。

もう、このアルバムに関してはアートワークと邦題の勝利ですよね。直訳ではあるんだけど、『世界を売った男』というタイトルにこの英国盤アートワークですから。しかも、アルバムのオープニングを飾るのが「円軌道の幅」と邦題が付けられた、8分を超える大作「The Width Of A Circle」ですから。悪いわけがない。

それ以前のフォーキーな要素も残しつつ、ミック・ロンソン(G)が加わったことにより、ロックバンド色がどんどん強くなっている。グラムロックというよりは、ハードロックやプログレッシヴロック的解釈も至るところに見受けられ、そこが個人的にもツボだったりします。頭3曲(「The Width Of A Circle」「All The Madman」「Black Country Rock」)はまさにそれで、ストレートなハードロックをボウイ流に噛み砕くことで、のちのグラムロック路線への布石が見え隠れする。

で、アナログ後半(M-5「Running Gun Blues」以降)の流れも素晴らしいし、「She Shook Me Cold」冒頭で聴けるミック・ロンソンのギタープレイにはゾクゾクしてしまう。そこからの「The Man Who Sold The World」ですから。ラストの「The Supermen」からもその後の片鱗が感じられるし。このヘヴィなテイストは次作以降どんどん薄まっていくわけですが、そういう意味でも本作は絶妙なバランスで成り立つ1枚と言えるでしょう。実はハードロックファンにこそ聴いてほしい、ボウイの傑作アルバムのひとつです。



▼DAVID BOWIE『THE MAN WHO SOLD THE WORLD』
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投稿: 2019 01 10 12:00 午前 [1970年の作品, David Bowie] | 固定リンク