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2019年2月13日 (水)

PRINCE『BATMAN』(1989)

昨日からの続きになってしまいますが……それでは、レニー・クラヴィッツがデビューした当時のプリンスはどうだったかといいますと、実は意外と伸び悩んでいた時期なのかなと。それはセールス面はもちんのこと、音楽面においても。THE REVOLUTIONを解散させ、ソロ名義で動き始めた2枚組アルバム『SIGN O' THE TIMES』(1987年)、発売直前に急遽お蔵入りとなった『THE BLACK ALBUM』(1987年/1994年に正式発売)、その代案として制作された異色の“ワントラック”アルバム『LOVESEXY』(1988年)……創作意欲こそ右肩上がりでしたが、それと反比例するかのようにチャートの成績や売り上げは下降線をたどる一方。『LOVESEXY』に至っては全米11位、50万枚というそれ以前の作品よりもひどい記録を残すことになります。

そんな中、1989年6月に発表されたのがこの通算11枚目のスタジオアルバム『BATMAN』。本作は同時期に劇場公開されたティム・バートン監督作品『バットマン』のサウンドトラック的立ち位置の1枚ですが、実際には映画からインスピレーションを得て作られたオリジナルアルバムと言ったほうが正しいのかもしれません。

楽曲中に映画のセリフなどがサンプリングされているものの、かといってサントラ的なインストは皆無。どれもプリンスらしい歌モノで、近作と比べると非常に“わかりやすい”内容となっています。

それは、各楽曲が非常にシンプルな構成・アレンジで、良い意味で作り込みを緩めている、悪い意味で簡素と受け取れるものなんですね。だけどプリンスの場合、これくらい“抜いた”ほうが世の中の流れに沿うんじゃないか……そう思わせてしまうのも、この作品の罪作りな部分といいますか。

コアなプリンスファンからしたら、ここで展開されているサウンドや楽曲群は茶番でしかないのかもしれません。だけど、我々がイメージするプリンス像がディフォルメして表現されているという点においては、一般層・ライト層にとって取っつきやすい。実際、文字通り派手なパーティチューン「Partyman」やファンキーな「Trust」は“いかにも”だし、ファルセットを多用したセクシーな「Scandalous」も“いかにも”。シーナ・イーストンとデュエットしたバラード「The Arms Of Orion」しかり、クールなファンクロック「Electric Chair」しかりです。

そして、アルバムのラストを飾るのが歌モノというよりも、開き直りも甚だしい“サンプリング”ナンバー「Batdance」。6分を超えるこの曲は、プリンスらしいフレーズやフレイバーを凝縮させたプログレダンスチューンで、この曲が「Kiss」(1986年)以来の全米1位を獲得することになろうとは、なんとも皮肉な話です。

なお、このアルバム自体も『AROUND THE WORLD IN A DAY』(1985年)以来の全米No.1を獲得し、アメリカだけで200万枚を超えるセールスを記録しました。さらに本作からは「Partyman」(全米18位)、「The Arms Of Orion」(同36位)というヒットシングルも生まれています。前作『LOVESEXY』からは「Alphabet St.」(全米8位)のみだったことを考えると、本当に皮肉というかなんというか。

このアルバムで息を吹き返したプリンスですが、続く次作『GRAFFITI BRIDGE』(1990年)では再び迷走に突入することになります。



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