HEART『BRIGADE』(1990)
1990年3月に発表された、HEART通算10作目のオリジナルアルバム。再ブレイクのきっかけとなったメガヒット作『HEART』(1985年)、それをフォローアップする『BAD ANIMALS』(1987年)の流れを汲む“80’s路線”の最終作で、全米3位まで上昇し200万枚を超えるヒット作となりました。また、本作からは「All I Wanna Do Is Make Love To You」(全米2位)という代表曲が生まれたほか、「I Didn't Want To Need You」(同23位)、「Stranded」(同13位)、「Secret」(同64位)がシングルカットされています。
過去2作を手がけたロン・ネヴィソン(オジー・オスボーン、http://www.tmq-web.com/europe/index.html、KISS、SURVIVORなど)から離れ、今作ではリッチー・ズィトー(CHEAP TRICK、BAD ENGLISH、POISON、MR. BIGなど)がプロデュースを担当。前作『BAD ANIMALS』以上にツルツルにブラッシュアップした産業ロックサウンドで構築された、非常に高品質なロック/ポップアルバムに仕上げられています。
また、恒例となった外部ソングライターの起用もさらに強化され、DEF LEPPARDやブライアン・アダムスで知られるジョン・マット・ラングを筆頭に、ホリー・ナイトやアルバート・ハモンド、ダイアン・ウォーレン、トム・ケリー、ビリー・スタインバーグなどそうそうたるメンツが参加。さらに、HEART初期作品からおなじみのスー・アニスにくわえ、メンバーのデニー・カーマッシ(Dr)のMONTROSE時代の盟友であるサミー・ヘイガー(当時はVAN HELEN在籍)や、そのサミーのソロバンドのメンバーであるジェシ・ハームズなどの名前もクレジットに見つけることができます。
先に「非常に高品質なロック/ポップアルバム」と書きましたが、もちろんハードロック的側面を持つ楽曲も残っています。それはオープニングの「Wild Child」やブラスサウンドをフィーチャーした「Talk, Dark Handsome Stranger」、ヘヴィなミドルナンバー「The Night」あたりから感じることができるでしょう。しかし、それも“80年代のAEROSMITH”的範疇に収まるもの、と言えばなんとなくご理解いただけるのではないでしょうか。その“適度さ”や“程よさ”はある一定の枠からはみ出しておらず、そこに物足りなさを感じるリスナーもいるかもしれません。
とはいえ良曲目白押しなので、そういった点では貶しようが一切なし。アン・ウィルソン(Vo)の圧倒的な歌声も健在だし、「All I Wanna Do Is Make Love To You」みたいにロック/ポップス両サイドで完全無敵な存在感を示す1曲も存在する。完全にやり切った感の強い1枚なんじゃないでしょうか。そういった意味では(タイミング的なものもありますが)、僕的にはAEROSMITHの『PUMP』(1989年)と並ぶ傑作だと思っています。
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