BACKYARD BABIES『DIESEL & POWER』(1994)
1994年にリリースされたBACKYARD BABIESの1stフルアルバム。1987年に前身バンドが結成され、1989年から現在の名前で活動を開始した彼らは、このフルアルバムまでの5年間にいくつかのデモ音源とEP『SOMETHING TO SWALLOW』(1991年)を発表していますが、ちゃんとしたアルバムという形で制作されたのは本作が初めて。バンドの名前が一気に知れ渡るのは続く2ndアルバム『TOTAL 13』(1998年)からのことで、日本でも同作からのイメージが強いのも事実。結果、『TOTAL 13』の成功も手伝って、ここ日本では翌1999年にこの『DIESEL & POWER』が初リリースされることになります。
また、本作は海外でも何度か再リリースを繰り返しており、直近だと2006年にボーナストラック「Lies」を追加した14曲仕様が発売されているようです。現在デジタルおよびストリーミングで聴くことができるのも、この再発バージョンになります。
『TOTAL 13』はパンキッシュかつキャッチーでコンパクトな楽曲がずらりと並ぶ、非常に聴きやすい印象が強いですが、それもこれもドレゲン(G, Vo)が『DIESEL & POWER』以降にTHE HELLACOPTERSに参加したことが大きかったのではないでしょうか。ニッケ・アンダーソン(Vo, G)と絡んだこと、および『SUPERSHITTY TO THE MAX!』(1996年)と『PAYIN' THE DUES』(1997年)で学んだことが、『TOTAL 13』には直接的に反映されていると思うのです。
では、“それ以前”となるこの『DIESEL & POWER』はどうかといいますと、良くも悪くも“それまでの影響”がストレートに、色濃く表れた1枚と言えるでしょう。その影響とはGUNS N' ROSESであり、80年代後半のスリージーで埃っぽいブルースベースのハードロック。曲によっては『TOTAL 13』以降の彼らに通ずる部分も見受けられるのですが、『TOTAL 13』と同じスタイルを求めてしまうとちょっと厳しい印象も。曲の出来・不出来の差も見受けられ、60分近い長尺のトータルランニングは聴く人によっては若干厳しいものがあるかもしれません。¥
……と、『TOTAL 13』リリース当時は感じていたのですが、あれから20年近く経った今聴き返してみると、意外と普通に楽しめる自分がいるのもまた事実。それはBYBが一時活動休止した際、ニッケ・ボルグ(Vo, G)やドレゲンがリリースしたソロアルバムに本作の片鱗が感じられたからに他ありません。つまり、このデビューアルバムの時点ではバンドとしての調和よりも、メンバー個々がやりたいこと、表現したい音がそのままど直球に出てしまった。そう捉えると、非常に微笑ましく思えて仕方ありません。
曲によってはサックスやホーンセクション、オルガンなどをフィーチャーしており、このへんは最近の彼らにも通ずるものがある。ただ、表現力が乏しかったせいもあり、こういった味付けが当時はうまくできなかっただけ。結局、やりたいこと、やろうとしてることはこの時点から現在に到るまで何ひとつ変わっていない。ただ、それを表現する上での技術が作品を重ねるごとに上手になった。それだけのことなんでしょうね。
まもなく結成30周年を記念したニューアルバム『SLIVER & GOLD』をリリース予定の彼ら。昨年発表された先行シングル「Shovin' Rocks」ではさらに無駄を削ぎ落とした、シンプルなロックンロールを鳴らしていますが、それすらもこの30年で得た知識と経験がなせる技なのかもしれません。
▼BACKYARD BABIES『DIESEL & POWER』
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