QUIET RIOT『CONDITION CRITICAL』(1984)
1984年7月発売の、QUIET RIOT通算2作目(日本のみ4作目)のオリジナルアルバム。前作『METAL HEALTH』(1983年)がいきなり全米1位を獲得し、600万枚を超えるセールスを記録したことを受け、1年4ヶ月という短いスパンで制作。全米15位、トータル100万枚と前作には到底及ばない結果しか残せませんでしたが、『METAL HEALTH』と併せて初期の彼らを語る上では欠かせない1枚と言えます。
とにかく本作は前作の焼き直し、あるいは「同じヒット作をもう1枚作ろう!」という商魂が丸見え(笑)。さすがにリスナーもバカじゃないので、「前のを薄めた内容なら『METAL HEALTH』だけで十分だわ、ほかにも新しくて良いバンドがたくさんいるしね!」と思ったかどうかわかりませんが、すべては結果として数字に表れているわけですね。
冒頭を飾るヘヴィな「Sing Of The Times」からして、前作における「Metal Health (Bang Your Head)」の延長線上にある1曲。だからといって悪いわけではないですし、これはこれで良い曲なんですよ。で、続くM-2「Mama Weer All Crazee Now」は前作における「Cum On Feel The Noize」同様、SLADEのカバー。なにもそこまで真似なくても……と思うのですが、これも原曲の良さ大前提なので、なかなかの出来。シングルカットもされましたが、全米5位の「Cum On Feel The Noize」とは比べものにならない全米51位止まり。嗚呼。
で、『METAL HEALTH』ならここからマイナー調のミドルナンバー「Don't Wanna Let You Go」、能天気なパーティチューン「Slick Black Cadillac」と続くわけですが、この『CONDITION CRITICAL』では「Party All Night」「Stomp Your Heads, Clap Your Feet」といったパーティソング2連発。つまりバンドは「カラッとしたアップチューンがウケた」と認識していたのでしょう。アルバム冒頭からそういったカラーの強い楽曲が続くことで、軸は定まったけど幅は狭くなったことを提示することになるわけです。
5曲目にようやくメジャーコードのパワーバラード「Winners Take All」が登場しますが、これもそれ以前の4曲からの流れに沿ったもので、アルバムのカラーにぴったり。もうちょっと“憂い”があったら良かったんだけどなあ。
後半もヘヴィなミドルナンバー「Conditional Critical」や前のめりなファストチューン「Scream And Shout」、これぞ“LAメタル”な「Red Alert」、マイナーキーの美メロハードロック「Bad Boy」、シンガロングしたくなるアップテンポの「(We Were) Born To Rock」となかなかの良曲揃いなのですが、やはり『METAL HEALTH』と比較したら弱さが否めない。なぜなんでしょうね。
個人的に『METAL HEALTH』の良さって、のちに“LAメタル”と括られることになるパーティ感の強いポップでキャッチーな楽曲とミドルテンポ&ファストなメタルナンバー、そして適度な“憂い”が感じられるミディアムナンバーとバラードにあったと思っています。そのバランス感が絶妙だったからこそ、アルバムとしてもヒットしたのではないでしょうか。
ところが、この『CONDITION CRITICAL』からは“憂い”の部分が一気に減退し、パーティ感ばかりを強調してしまった。それが当時のカリフォルニアの空気だと言ってしまえばそれまでですが、にしてもメガヒット作の次に出す勝負作としてはちょっと弱いのではないでしょうか。1年数ヶ月という短いスパンで完成させねばならなず、深く考える余裕が足りなかったのも敗因と言えるでしょう。
1曲1曲は悪くないのに、アルバムとして(しかも『METAL HEALTH』の次作として)聴くと物足りなさを感じる。非常にかわいそうな作品と言えますし、ここでコケたことが続く『QR III』(1986年)以降の失速につながるのですから、罪作りな1枚ですね。

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