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2019年4月 1日 (月)

ANTHEM『NUCLEUS』(2019)

来年2020年にデビュー35周年を迎えるANTHEMが、このタイミングで海外の名門メタルレーベルNuclear Blastと契約。世界リリース第1弾として2019年3月末に、これまでの楽曲を英語詞にて再録音したベストアルバム的内容のフルアルバムをリリースしました。

ANTHEMの英語詞アルバムというと、本格的再結成前にグラハム・ボネットを迎えて制作した『HEAVY METAL ANTHEM』(2000年)がありますよね。あのアルバムは80年代のメジャーデビューから90年代初頭の解散までのアルバムから、森川之雄在籍時の4thアルバム『GYPSY WAYS』(1988年)〜7thアルバム『DOMESTIC BOOTY』(1992年)の楽曲中心で構成されていました。坂本英三時代の楽曲は1曲のみでしたが、それでも多くのファンが納得するような代表曲が多い1枚だったと思います。

ところが、今回の世界リリース第1弾となる『NUCLEUS』は全13曲中12曲が2001年の再結成以降に発表された楽曲の再録なのです。具体的に説明すると下記のとおり。

・VENOM STRIKE :7th『DOMESTIC BOOTY』(1992)
・OVERLOAD:9th『OVERLOAD』(2002)
・ETERNAL WARRIOR、OMEGA MAN:10th『ETERNAL WARRIOR』(2004)
・IMMORTAL BIND、ECHOES IN THE DARK:11th『IMMORTAL』(2006)
・BLACK EMPIRE、AWAKE:12th『BLACK EMPIRE』(2008)
・GHOST IN THE FLAME、UNBROKEN SIGN:14th『BURNING OATH』(2012)
・LINKAGE、PAIN:15th『ABSOLUTE WORLD』(2014)
・STRANGER:16th『ENGRAVED』(2017)

再始動一発目の8thアルバム『SEVEN HILLS』(2001年)とビクター時代ラストの13th『HERALDIC DEVICE』(2011年)からは選出なしで、復活2作目の『OVERLOAD』(2002年)と最新オリジナルアルバム『ENGRAVED』(2017年)のみ1曲ずつ、ほかは2曲ずつという選曲。しかも、いわゆるシングル曲(リードトラック)が極力外されており、現在までのライブで演奏される頻度の高いナンバーが選出されているのです。しかも、英詞に変わったぐらいで大まかなアレンジの変更なし。なのにオリジナル音源よりもブラッシュアップされた印象が強いのは、本作のミックス&マスタリングをイェンス・ボグレン(SOILWORKOPETHPARADISE LOSTDIR EN GREYなど)が手がけたことも大きく影響しているのでしょう。音の密度や際立ちぶりが過去のアルバムと大きく異なることで、同じ曲でも違った印象を与えてくれます。

また、ドラマチックな長尺曲「GHOST IN THE FLAME」のあとに、唯一解散前の楽曲「VENOM STRIKE」が置かれているのも興味深いポイント。“中枢”を意味するタイトル含め「再結成後の“今”がベスト!」と言わんばかりの作品の中にこのトリッキーな曲が加わることで、この曲も前後の曲も非常に映えるんですよね。もともと大好きな曲ですが、この流れで聴くとまた新鮮な印象を得られました。

とにかく、息つく暇もないくらいの圧倒感と焼けるような熱量でびっしり埋め尽くされたこのアルバム。正直60数分という決して短くない長さが息苦しくも感じる瞬間もあるのですが、それも繰り返し聴くことで気持ちよくなってくるのですから不思議です。

このアルバムがANTHEMの海外展開において大きな役割を果たす……かどうかはわかりません。年齢的にもキャリア的にも、あと何枚制作できるのかわかりませんし。ただ、このアルバムに関しては出すことに意義があるのかな、という気がしました。

 


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