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2019年4月

2019年4月30日 (火)

2019年4月のお仕事

2019年4月に公開されたお仕事の、ほんの一例です。随時更新していきます(4月30日更新)。

 

[紙] 4月30日発売「月刊エンタメ」2019年6月号にて、乃木坂46斉藤優里&伊藤かりんインタビューを担当・執筆しました。(Amazon

[WEB] 4月26日、アプリ版「ぴあ」にて乃木坂46のレポート記事乃木坂46 齋藤飛鳥が語る新曲の魅力「世界中に『Sing Out!』ブームを巻き起こしたい!」を担当・執筆しました。

[紙] 4月24日発売「ヘドバン Vol.22」にて、X『BLUE BLOOD』クロス・レビュー、コラム「『BLUE BLOOD』と“1989年のメタル”」、HALESTORMリジー・ヘイル(Vo、G)&アージェイ・ヘイル(Ds)インタビュー、DOWNLOAD JAPAN 2019 徹底レポート(SLAYER、ANTHRAX、HALESTORM、MAN WITH A MISSION)、2019・春のヘドバン的DISC REVIEW 20を担当・執筆しました。(Amazon

[紙] 4月23日発売「日経エンタテインメント! 乃木坂46 Special」にて、乃木坂46齋藤飛鳥、生田絵梨花、星野みなみ、伊藤理々杏、大園桃子、斉藤優里、高山一実、北野日奈子、久保史緒里、佐々木琴子、中村麗乃、賀喜遥香、掛橋沙耶香、北川悠理、矢久保美緒の各インタビュー、齋藤飛鳥&堀未央奈対談を担当・執筆しました。(Amazon

[WEB] 4月21日、乃木坂46公式サイトにて4月21日(日)夜公演 乃木坂46 4期生初公演「3人のプリンシパル」公演日報が公開されました。

[WEB] 4月21日、乃木坂46公式サイトにて4月21日(日)昼公演 乃木坂46 4期生初公演「3人のプリンシパル」公演日報が公開されました。

[WEB] 4月18日、乃木坂46公式サイトにて4月18日(木)乃木坂46 4期生初公演「3人のプリンシパル」公演日報が公開されました。

[WEB] 4月17日、乃木坂46公式サイトにて4月17日(水)乃木坂46 4期生初公演「3人のプリンシパル」公演日報が公開されました。

[WEB] 4月17日、「BARKS」にてBIGMAMA金井政人インタビュー「【インタビュー】BIGMAMA「僕らはずっと邪道の邪道を逆張りし続けているところがある」」が公開されました。

[WEB] 4月16日、「リアルサウンド」にて乃木坂46松村沙友理インタビュー「乃木坂46 松村沙友理が語る、8年経って気付いた仕事に対する貪欲さ「私って本当に欲深いんです」」が公開されました。

[WEB] 4月16日、乃木坂46公式サイトにて4月16日(火)乃木坂46 4期生初公演「3人のプリンシパル」公演日報が公開されました。

[WEB] 4月14日、乃木坂46公式サイトにて4月14日(日)昼公演 乃木坂46 4期生初公演「3人のプリンシパル」公演日報が公開されました。

[WEB] 4月13日、乃木坂46公式サイトにて4月13日(土)昼公演 乃木坂46 4期生初公演「3人のプリンシパル」公演日報が公開されました。

[WEB] 4月12日、乃木坂46公式サイトにて4月12日(金)乃木坂46 4期生初公演「3人のプリンシパル」公演日報が公開されました。

[WEB] 4月10日、乃木坂46公式サイトにて4月10日(水)乃木坂46 4期生初公演「3人のプリンシパル」公演日報が公開されました。

[WEB] 4月9日、乃木坂46公式サイトにて4月9日(火)乃木坂46 4期生初公演「3人のプリンシパル」公演日報が公開されました。

[WEB] 4月8日、BARKSにて大野雄大 (from Da-iCE) ライブレポート「大野雄大(from Da-iCE)、新江ノ島水族館でソロデビュー記念ライブ。川畑要のサプライズ出演も」が公開されました。

[WEB] 4月6日、M-ON! MUSICオフィシャルサイトにて大野雄大 (from Da-iCE) ライブレポート「大野雄大 (from Da-iCE) 、2万匹の魚の前でソロライブ!川畑 要(CHEMISTRY)とのコラボ曲も披露」が公開されました。

[紙] 4月4日発売「日経エンタテインメント!」2019年5月号増刊にて、日向坂46加藤史帆・齊藤京子・佐々木久美インタビュー、日向坂46 3期生・上村ひなのインタビュー、欅坂46音楽プロデューサー田中博信インタビューを担当・執筆しました。(Amazon

[紙] 4月4日発売「日経エンタテインメント!」2019年5月号にて、欅坂46菅井友香&守屋茜インタビュー、小説家・誉田哲也インタビュー、欅坂46音楽プロデューサー田中博信インタビュー、および別冊付録「欅坂46 2期生インタビューBOOK」にて欅坂46 2期生の関有美子、藤吉夏鈴、山﨑天の各インタビューを担当・執筆しました。(Amazon

[WEB] 4月3日、Maison book girlニューシングル『SOUP』特設サイトにてMaison book girl "SOUP" 発売メンバーインタビューが公開されました。

[紙] 4月2日発売「ANIME Bros. #4」にて、水瀬いのりインタビュー、アルバム『Catch the Rainbow!』解説を担当・執筆しました。(Amazon

[紙] 4月1日発売「ぴあ Movie Special 2019 Spring」にて、コラム「山戸結希と乃木坂46・堀未央奈、映画初出演で主演抜擢の理由」を担当・執筆しました。(Amazon

[紙] 4月1日発売「Audition blue」2019年5月号にて、神尾楓珠インタビュー「人生を変えた音楽」を担当・執筆しました。(Amazon

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また、3月に当サイトで紹介したアルバムから各1〜2曲程度ピックアップして、30曲程度のプレイリストをSpotify、AppleMusicにて制作・公開しました。題して『TMQ-WEB Radio 1903号』。一応曲の流れなんかも考慮しつつ曲順を考えておりますので、レビューを読む際のBGMにするもよし、何も考えずにダダ流しするもよし。おヒマなときに聴いていただけると嬉しいです。

X『BLUE BLOOD』(1989)

平成最後の日にどのアルバムをピックアップしようか……と考えたのですが、やはりこのアルバムだろうという結論に達しました。

1989年(平成元年)4月、X(現X JAPAN)はこのアルバムでメジャーデビューを果たしました。前年に1stアルバム『VANISHING VISION』をインディーズから発表し、当時としては異例の大ヒットを記録していた彼らが、今作で満を持してのメジャー進出。当時、海外では空前のHR/HMブーム末期であり、ここ日本では1987年頃から本格化したバンドブーム末期というタイミング。そんな中でのXのデビューは、別の意味で後続たちに大きな影響を与えることになります。

今でこそヴィジュアル系の始祖なんて言われる彼ら。特にこのアルバムを指して原点だとかいう意見もあるようですが、その後のV系のルーツでは確かにあるものの、それと同時に以降のV系とは似ても似つかぬスタイルであるのもまた事実。だって、聴けばわかるようにこれ、普通にヘヴィメタルですから。

80年代初頭から始まった“ジャパメタ”の究極形であると同時に、この先数年後に勃発するV系ムーブメントの“精神性”を築き上げた原点。このアルバムはそう捉えるべきではないでしょうか。

まあ、そういた堅苦しい説明はここまでにして。ヘヴィメタル観点からこのアルバムを語ってみたいと思います。

まあとにかく、“トゥ・マッチ”なアルバムですよね。サウンド的には前作の延長線上にありつつも、新たな要素も感じられる。軸になっているのはスラッシュメタルとHELLOWEEN以降の“クサメタル”。ジャパメタ的要素は意外と薄かったりするんですよね。メロディこそ日本的な情緒を感じさせますが、ぶっちゃけジャパメタのそれともどこか違う。

で、本作にはHIDE(G)やTAIJI(B)のカラーが少しずつ強くなっており、アメリカンハードロック色が加わり始めている(それが本格的に開花するのは、次作『JEALOUSY』なのですが)。ただ、この時点ではそれがYOSHIKI(Dr, Piano)の色と混ざり合うことでいびつさを生み出している。それがこのアルバムの特異性であり、最大の魅力ではないかと思うのです。

もちろん、それはYOSHIKIという希代の名ソングライターが生み出した名曲たちと並ぶことで、より光を放つことになるわけですが。

そこにドラムの音のデカさ(笑)と、TOSHI(Vo)の“アグレッシヴなのに耳障りの良い歌声”がミックスされることで生まれる、アンバランスさや危うさ……完成され切っていないこの荒々しさあってこその『BLUE BLOOD』。続く『JEALOUSY』がサウンド的に完璧だったのに対して、本作には初期にしか出せないバランス感が見事に表現されていると思います。

そうそう。本作がヘヴィメタルたる所以はその魅力的なギターリフにもあると思っています。90年代以降のV系との大きな違いはここ。こういう点でオールドスクールと言われてしまいがちですが、これがあるとないとではまったく異なるわけですよ(だから優れている、劣っているという話ではないですよ。念のため)。

楽曲に関しては文句のつけようなし。演奏も緻密さ、荒さ双方が備わっており、日本人が大好きなHIDE&PATA(G)のツインリードも随所に登場する。TAIJIのスラップを多用したインスト「XCLAMATION」も新鮮だし、そこから続く「オルガスム」では問答無用に頭を振りたくなる。12分にも及ぶ大作「ROSE OF PAIN」の構成など含め、ケチのつけようがない1枚。これはバンドブームやV系という限られた枠の中で語られるべきではないですし、平成を代表する、いや、日本のロックシーンを代表する1枚として認識されるべきだと思うのです。

良くも悪くも、平成の音楽シーンはここから始まった。そう断言しても間違いじゃない。それくらい日本のシーンにとって重要な1枚です。

……って、当時高校生だった僕は、そこまで深く考えてなかったけどね(笑)。シンプルにカッコいいヘヴィメタルアルバム。それで十分だったはずです。

 


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2019年4月29日 (月)

AC/DC『LET THERE BE ROCK』(1977)

本国オーストラリアで1977年3月、それ以外の国で同年7月に発表されたAC/DCの3rdアルバム(本国では4作目)。イギリスで初めてチャートインし、最高17位という好記録を残した、バンドにとって海外でブレイクするきっかけを作った重要な1枚です。

ボン・スコット(Vo)在籍時の初期作品の中では本作と『HIGHWAY TO HELL』(1979年)が初心者向けのスタジオアルバムと言えるぐらい、現在もライブで披露される機会の多い名曲が豊富な内容。タイトルトラックはもちろんのこと、GUNS N' ROSESもカバーした「Whole Lotta Rosie」、グルーヴィーな「Dog Eat Dog」やこれぞAC/DC!と言いたくなる「Bad Boy Boogie」や「Hell Ain't A Bad Place To Be」など、捨て曲一切なし。全8曲、40数分と決して長い内容ではないですが、その密度は曲数や収録時間の数倍濃いものとなっています。

……と、ここまで書いて、すでに本作について伝えたいことは全部伝えてしまったような気がします(笑)。ってくらい、「読む前に、まず聴け!」と断言したくなる1枚。AC/DCとはなんぞや?と問われたときに、まずはこれを差し出すぐらいの傑作だと思っています。

確かにブライアン・ジョンソン(Vo)以降のヘヴィメタル的な重さや鋭さは皆無ですし、ポップさという重要な要素もここではまだ弱い気がします。しかし、1977年というイギリスでパンクロックが勃発したタイミングに、本作が17位という好記録を残しているという事実。そこにこのアルバムが現在まで愛され続ける秘密か隠されている気がするのですが、どうでしょう?

パンクよりも密度が濃いし、なんなら旧時代然としたスタイルのサウンドです。だけども、パンクロックにも通ずる衝動性はしっかり体現されている。そういった「シンプルに、ただカッコいいことをデカイ音で鳴らす」という姿勢が、当時のキッズに受け入れられたのでしょうか。あるいは、パンクスの陰に隠れてしまったハードロックキッズたちが「これこそが俺たちが今求める音!」と無言の意思表示をした結果がこの数字だったのか。できることなら1977年のイギリスに行って、AC/DCのライブ会場を覗いてみたいものです。

ギターを弾く人にとっては、本作は名ギターリフの宝庫でもあるんじゃないかな。シンプルだけどインパクトが強いリフの数々と、アンガス&マルコムのヤング兄弟によるリフのユニゾンや微妙に異なるフレーズが重なったときの気持ち良さなど、楽器弾き観点でも聴きどころ満載な1枚。ヘッドフォンを付けて爆音で聴くのもいいですが、AC/DCに関してはとにかくスピーカーを通して、可能な限りデカイ音で聴いてほしいな。それが一番、魅力がダイレクトに伝わるはずなので。

 


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DEEP PURPLE『MACHINE HEAD』(1972)

言わずと知れたDEEP PURPLE初期の代表作。1972年3月に発売された通算6作目、イアン・ギラン(Vo)、リッチー・ブラックモア(G)、ジョン・ロード(Key)、ロジャー・グローヴァー(B)、イアン・ペイス(Dr)という第2期布陣での3作目にあたる1枚です。全英1位のみならず、全米7位という数字も残しており、続いて発売されたライブアルバム『MADE IN JAPAN』(1972年)のヒットも手伝って、「Smoke On The Water」が全米4位まで上昇するヒットシングルとなりました。

『DEEP PURPLE IN ROCK』(1970年)と並んで、初期パープル(第2期)を象徴する1枚と捉えられている本作は、オープニングの「Highway Star」や先の「Smoke On The Water」をはじめ、大作「Lazy」やライブ終盤を盛り上げる「Space Truckin'」などおなじみの楽曲が目白押し。ほとんどの楽曲がライブで取り上げられる機会が多いし(2004年には全曲披露ライブも実施)、それこそ中高生の頃から聴き続けている自分にとってはギターやドラム、キーボードのちょっとしたフレーズまで“口コピ”できるほど体に刷り込まれた名盤でもあるわけです(それこそ「Pictures Of Home」のベースソロ含め)。

アグレッシヴなシャウトとクラシックの要素を取り入れたソロプレイとの対比が面白い「Highway Star」から始まり、ヘヴィでルーズな「Maybe I'm A Leo」、独特なグルーヴ感を持つ「Pictures Of Home」、シングルカットもされたキャッチーな「Never Before」というアナログA面の流れは本当に“これしかありえない!”ってほどに完璧なものだし、「Smoke On The Water」から始まりトリッピーな長尺チューン「Lazy」から「Space Truckin'」へと流れるB面の構成も文句なし。本当、これしかあり得ないんですよね。

どの曲もブルースをベースにしたものですが、そのメロディは非常にポップ。そして、それらをより親しみやすくしているのが、ギターやオルガンによるメインリフのキャッチーさ。その相乗効果から生まれる聴きやすさは、本作最大の武器と言えるでしょう。

また、楽器を演奏する者にとっては基本的なプレイはもちろんのこと、要所要所で飛び出す個性的なフレーズは非常に勉強になるものが多く、ハードロック云々ではなくロックプレイとしての教科書的な内容でもあると思うのです。それはボーカルにしても然りで、これだけパワフルに歌えたら、シャウトできたらと何度思ったことか……。

あまりに名盤すぎて本当に書くことがない……ってくらい、「黙って聴け!」と胸ぐら掴みたくなる。そんな文句なしの1枚。難しいことは考えず、じっくり楽しんでほしいと思います。

 


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2019年4月28日 (日)

HOLLYWOOD VAMPIRES『HOLLYWOOD VAMPIRES』(2015)

アリス・クーパー(Vo)、俳優のジョニー・デップ(G)、AEROSMITHジョー・ペリー(G)を中心に結成されたスーパーバンド、HOLLYWOOD VAMPIRESが2015年9月に発表したデビューアルバム。リリース当時、全米43位/全英30位という成績を残しています。

アルバム本編14曲(日本盤やデラックス盤はさらにボーナストラック追加)中、オリジナル曲は3曲のみ、うち1曲は1分半程度のナレーションベースの楽曲なので、純粋なオリジナル曲は2曲と言えるでしょう。しかし、このバンドの魅力はそういったところにあるのではなく、ロッククラシックと呼ばれる過去の名曲群とそれらに参加する豪華なゲスト陣にあると言えるでしょう。

ピックアップされているカバー曲もTHE WHO「My Generation」、LED ZEPPELIN「Whole Lotta Love」、THE DOORS「Break On Through (To The Other Side)」、ジョン・レノン「Cold Turkey」、ジミヘン「Manic Depression」、SMALL FACES「Itchycoo Park」、PINK FLOYD「Another Brick In The Wall (Part 2)」、そしてアリス自身の「School's Out」などロックファンなら誰もが一度は耳にしたことがあるはずの定番曲ばかり。

そういった楽曲をアリスのボーカル、ジョニー&ジョーのギターを軸にブライアン・ジョンソン(Vo/AC/DC)、ペリー・ファレル(Vo/JANE'S ADDICTION)、ポール・マッカートニー(Vo, B, Piano)、オリアンティ(G)、ジョー・ウォルッシュ(G/EAGLES)、スラッシュ(G)、キップ・ウィンガー(B/WINGER)、ザック・スターキー(Dr)、デイヴ・グロール(Dr/FOO FIGHTERS)などそうそうたる面々で華麗に盛り上げているわけです。

軸にあるのは60〜70年代のクラシックロックに対する敬意と愛情なもんですから、アレンジに関しても基本的にはオリジナルに忠実。現代的に味付けするにしても破綻することがない範囲でのリアレンジとなっています。そういう意味も込めてのバンド名(ハリウッドに今も巣食うヴァンパイアたち)なのでしょうね。

ジョー・ペリーが思ったほど暴れまくってないとか、ジョニー・デップのギターテクが意外としっかりしているとか、久しくオリジナル新作を発表していなかったアリス・クーパーのボーカルをたっぷり楽しめるとか、そういった視点もあるものの、基本的には「キャリアのある大御所たちが嬉々としてロッククラシックをカバーして楽しむ様子を、目を細めて微笑ましく眺める」というのが本作を楽しむ上での趣旨なのではないかと。それくらい甘々でいいんじゃないかな。

そんなHOLLYWOOD VAMPIRESも間もなく4年ぶりの新作『RISE』をリリース予定。次作はオリジナル曲が中心で、カバーは3曲程度とのことで、最初のテーマから逆転してしまっていますが、果たしてどうなることやら。

 


▼HOLLYWOOD VAMPIRES『HOLLYWOOD VAMPIRES』
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LED ZEPPELIN『PRESENCE』(1976)

1976年3月にイギリスで、4月にアメリカで発売されたLED ZEPPELINの7thアルバム。前作『PHYSICAL GRAFFITI』(1975年)から1年というスパンで完成した本作は、発売直後に全米&全英1位を記録。メガヒットとなった過去作と比べると300万枚程度にとどまっていますが、それでもアメリカではまだまだ人気バンドであることが伺える数字だと思います。

前年8月にロバート・プラント(Vo)が交通事故に遭い、その後予定されていた全米ツアーをキャンセル。そこからスタジオ入りして本作の曲作り、レコーディングに突入します。

ツアーの中止やプラントの怪我、さらにはメンバー全員が長期間家族と離れて生活していたなどのフラストレーションが、本作の制作にぶつけられた……といっても過言ではないくらい、本作では全体を通じて緊張感に満ちたサウンドを耳にすることができます。

まず、オープニングの「Achilles Last Stand」からして10分を超えるスリリングなナンバーですし、その後も「For Your Life」「Nobody's Fault But Mine」「Tea For One」など長尺の楽曲が並びます。中には3分にも満たないファンキーな「Royal Orleans」も含まれていますが、基本的にはバンドが膝を突き合わせて短期間で行なった鬼気迫るジャムセッションを軸に固められていった大作が、1枚にまとめられたという印象が強いです。

また、本作はキーボードを使った楽曲が1曲も含まれていないのも大きな特徴。本作はツェッペリン史上唯一のキーボードレス作品とのことで、その反動から次作『IN THROUGH THE OUT DOOR』(1979年)が生まれたのではと思えるほど。

そういうこともあって、ジミー・ペイジ(G)主導で制作されたこのアルバム。結果、ハードロックバンドの側面をとことん追求した、ある種のいびつさを持つ内容になっています。だからなのか、不思議と評価が二分するアルバムでもあるんですよね。「Achilles Last Stand」や「Nobody's Fault But Mine」あたりの評価は高いような気がしますが、それ以外は別に……みたいに。

確かにバラエティに富んだ過去のアルバムと比べると、本作はよりモノトーンな作風というイメージですし、ツェッペリンビギナーが触れるには敷居の高さは否めません。ですが、4人組バンドとしてやれることにとことん向き合った、(結果としては)最後のアルバムでもあるんですよね。セールス的なピークは前作までだったとしても、バンドとして追求すべき道のピークは本作だったのでは……3年後に発表される『IN THROUGH THE OUT DOOR』が“その先”への入り口だったことを思えば、おのずとそうなるわけです。

ある時期、このアルバムのツェッペリンのベストアルバムだ!と言いまくっていた僕ですが、今では『PHYSICAL GRAFFITI』のような作品のほうが好きだったりします。が、『PHYSICAL GRAFFITI』からの流れでここにたどり着いたという点においては、実はこの2枚は一緒に語るべき作品なのでは……と思ったりするのですが、いかがでしょう?

 


▼LED ZEPPELIN『PRESENCE』
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2019年4月27日 (土)

SAMMY HAGAR『MARCHING TO MARS』(1997)

1997年5月にリリースされたサミー・ヘイガーの10thソロアルバム。80年代半ばから10年以上にわたりVAN HALENの2代目シンガーとして活躍したこともあり、前作『I NEVER SAID GOODBYE』(1987年)から10年ぶりのフルアルバムとなります(1994年に新曲2曲を含むベストアルバム『UNBOXED』も発表)。

VAN HALEN脱退後最初のソロアルバムということもあり、アルバムには豪華なゲスト陣が多数参加。スラッシュ(G/GUNS N' ROSES)、ヒューイ・ルイス(Harmonica)、デーモン・ジョンソン(G/当時BROTHER CANE、現BLACK STAR RIDERS)、エリック・マーティン(Cho/MR. BIG)、ブーツィー・コリンズ(B)、マット・ソーラム(Dr/ex. GUNS N' ROSES)、そしてロニー・モントローズ(G)、デニー・カーマッシ(Dr)、ビル・チャーチ(B)というMONTROSEのオリジナルラインナップなど……1曲ごとに編成がことなるレコーディングメンバーは、当時固定のバンドメンバーを持たなかったサミーならではと言えるでしょう。

楽曲自体はVAN HALEN在籍時から書き始めたそうで、中にはMEAT LOAFに提供した「Amnesty Is Granted」(1995年のアルバム『WELCOME TO THE NEIGHBORHOOD』収録曲。同作ではサミー自身もボーカルで参加)のセルフカバーも含まれています。確かに、90年代中期のVAN HALENがやっても不思議じゃない豪快なハードロックナンバーがいくつか含まれています。「The Yogi's So High (I'm Stoned)」あたりはアレンジさえ変えれば、VAN HALENでもやれそうですしね。

かと思えば、オープニングを飾る「Little White Lie」や「Leaving The Warmth Of The Womb」「On The Other Hand」のようにアコースティックギターを多用したブルースロック/ブルースハードロックがあったり、ソウルフルなバラード「Who Has The Right?」「Kama」があったり、ファンク色の強い「Would You Do It For Free?」があったりと、ソロならではのバラエティ豊かさもしっかり用意されている。サミー自身、VAN HALENでの活動を経たことでよりメジャー感の強いソングライターに成長したことは間違いない事実であり、その成果をこの1枚に凝縮したと受け取ることもできるのではないでしょうか。

VAN HALEN加入前のソロ作が好きという声も非常によくわかります。確かに前作『I NEVER SAID GOODBYE』以降は良くも悪くもVAN HALEN“っぽさ”が全体を覆っていますし。まあそれだけ、あのバンドで得たもの、残したものが大きかったという表れなのかもしれませんね。

サミー在籍時のVAN HALEN(の楽曲)が好きな人なら、文句なしに楽しめる1枚だと思います。エディ・ヴァン・ヘイレンのようにテクニカルなギタープレイは皆無ですが、サミーらしいストロングスタイルのプレイは存分に味わえますので。

 


▼SAMMY HAGAR『MARCHING TO MARS』
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THE ROLLING STONES『TATTOO YOU』(1981)

1981年8月に海外でリリースされた、THE ROLLING STONES通算16枚目(イギリスにて/アメリカでは18枚目)のスタジオアルバム。「Start Me Up」(全英7位/全米2位)、「Waiting On A Friend」(全英50位/全米13位)、「Hang Fire」(全米20位)というシングルを含み、アルバム自体も全英2位、全米1位(9週連続)を獲得。特にアメリカでは久しぶりに実施された大々的なツアーの成功も手伝って、400万枚以上を売り上げる大ヒット作となりました。

前作『EMOTIONAL RESCUE』(1980年)を携えたツアーが翌年に延期になり、その埋め合わせ(およびツアー時のプロモーション)のために急遽制作が決まった本作。それが前作から1年弱という短いスパンで発表された理由に当たります。

ところが、当時すでにミック・ジャガー(Vo)とキース・リチャーズ(G, Vo)の不仲はひどいものとなり始め、曲作りはうまく進まなかったそうです。それもあって、本作には前作はそれ以前のアルバムからの録音済みのアウトテイクにオーバーダビングをした楽曲が多く含まれています。

例えば、オープニングを飾る代表曲「Start Me Up」は1977年頃(『SOME GIRLS』)のセッションがベースだし、「Slave」は1975年頃(『BLACK AND BLUE』)のセッションが元に。「Tops」や「Waiting On A Friend」なんて1972〜3年頃(『GOATS HEAD SOUP』)の音源が下地になっているそうですから。

それもあってか、アルバムとしての方向性は若干とっ散らかっている印象も。「Hang Fire」や「Neighbours」なんてパンク以降のストーンズのそれだけど、「Slave」は70年代前半の危うさを伴うストーンズっぽいし、「Worried About You」あたりはまた違った年代の彼らをイメージさせる。しかも、レコーディング環境もまちまちということで、本来ならサウンドの質感や録音状況もバラバラだったはずなのに、名手ボブ・クリアマウンテンの手により統一感を得ることに成功。結果として、現在まで安心して楽しめているわけです。

バカ売れした作品ということで代表作のひとつと数えられることも多い1枚ですが、不思議と印象が弱い作品であるのもまた事実。オープニングの「Start Me Up」の印象がめちゃめちゃ強いくらいで、ほかの曲は可もなく不可もなくといったところ。もちろんそれは悪いという意味ではなく、ストーンズのアルバムとしては平均的な内容ということを指しているのですが。

印象的には地味な『EMOTIONAL RESCUE』ですけど、個性という点においては本作よりも1枚上手。しかも本作の次が『UNDERCOVER』(1983年)ですから、『TATTOO YOU』はどうしても“普通”という評価を下さねばならなくなる。めっちゃ売れたのに、そういう不遇を持つ1枚かもしれませんね。

 


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2019年4月26日 (金)

NIGHT RANGER『DAWN PATROL』(1982)

1982年11月にリリースされたNIGHT RANGERのデビューアルバム。70年代末にファンクバンドRUBICONに参加していたブラッド・ギリス(G)、ジャック・ブレイズ(B, Vo)、同バンドのツアーメンバーだったケリー・ケイギー(Dr, Vo)を中心に、MONTROSEのメンバーだったアラン・フィッツジェラルド(Key)とその友人ジェフ・ワトソン(G)という5人でRANGERというバンドを結成し、のちに現在のNIGHT RANGERへと改名。デビュー前にはランディ・ローズ急逝後のオジー・オズボーンのバンドにブラッドが一時参加するなどして、知名度を上げてからのデビューとなりました。

アーミングを多用したストロングスタイルのプレイを聴かせるブラッドと、両手タッピングによる“8フィンガー”奏法が話題となったジェフという異なるタイプのギタープレイヤー、ジャック&ケリーのリズム隊がリードボーカルを務めるという異色のスタイル、なおかつ楽曲が適度にハードで歌メロがポップ、親しみやすいバラードも要するという絶妙なバランス感はこのデビュー作の時点ですでに完成の域に達しつつあります。

特にオープニング2曲「Don't Tell Me You Love Me」(全米40位)、「Sing Me Away」(同54位)を聴けば、このバンドの魅力の大半が伝わるんじゃないか……というのは言い過ぎでしょうか。でも、個人的にはそれくらいこのバンドの個性を端的に表した2曲だと思っています。

かと思えば、「Call My Name」のようなピアノバラードがあったり、「Eddie's Comin' Out Tonight」みたいにドラマチックなハードロックナンバーがあったりと、どの曲も個性が強い。次作『MIDNIGHT MADNESS』(1983年)以降、能天気なアメリカンロック色を強めていき、パブリックイメージ的にもそっち側とパワーバラードのバンドと印象付けることになってしまいますが、まだこのデビュー作の時点ではマイナーキーの楽曲でドラマチックさや仰々しさを打ち出している。「Can't Find Me A Thrill」なんて適度なメジャー(コード)感がありつつも泣きの要素が備わっているし、「Young Girl In Love」はそこまで能天気ってわけでもない。この感覚をもっと保ち続けてくれたら、その後の歴史もまた変わったんじゃないかな(と同時に、あそこまでヒットしなかったかもしれないけど)。

圧巻はラストの「Night Ranger」。スタジオ音源も素晴らしいですが、この曲は特にライブテイクが素晴らしく。ライブでこの曲をやってくれないと、個人的には非常にがっかりするくらい、個々のプレイヤーの個性が輝く1曲なんですよね。気になる人がいたら、ぜひYouTubeで同曲のライブ映像を探してみてください。

というわけで、ポップさでは次作以降より若干劣るものの、ハードさという点においてはキャリア中1、2を争う仕上がり。そりゃいきなり全米38位という好成績を残すわけです。

 


▼NIGHT RANGER『DAWN PATROL』
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DURAN DURAN『DURAN DURAN (THE WEDDING ALBUM)』(1993)

1993年2月にリリースされた、DURAN DURAN通算7作目のオリジナルアルバム。当時のメンバーはサイモン・ル・ボン(Vo)、ジョン・テイラー(B)、ニック・ローズ(Key)、ウォーレン・ククロロ(G)の4人。80年代後半にオリジナルメンバーのアンディ・テイラー(G)、ロジャー・テイラー(Dr)が相次いで脱退して以降、セールスをどんどん下げていった彼らでしたが、このアルバムからは「Ordinary World」(全米3位/全英6位)、「Come Undone」(全米7位/全英13位)、「Too Much Information」(全米45位/全英35位)というヒットシングルが次々誕生し、アルバム自体も全米7位、全英4位と久しぶりのTOP10入りを記録しました。

前作『LIBERTY』(1990年)で能動的なロックバンド感を強調した彼らでしたが、デジタル感を含む全盛期のそれとは異なるものであったことからバンドとファンとの間に大きな溝が生まれました。まあ、新たにドラマーとギタリストを加えて5人組で再出発!と意気込み過ぎたのも、今となってはよくなかったのかもしれません。

のちにドラマーが脱退し、4人編成になったことでサウンド/アンサンブル的にはバンド色を残しつつも当時のダンスミュージックのカラーを採用。この両刀使いっぷりが功を奏し、ダークな楽曲がシーンを席巻するグランジムーブメントの中でも純粋に楽曲が評価されたわけです。

確かに「Ordinary World」は80年代のDURAN DURANと比べればアクが弱いといいますか、ハードロック以降の“普通に良い曲、良いバラード”でしかありません。が、その普通こそが実は大事だと気づかせてくれたのもこの曲。良い曲を感動的なアレンジで壮大に仕上げることで、当時はまだ主流だったラジオなどで好意的に受け入れられた、と。

また、前作からのロック的側面を残しつつも時代性を反映させた「Too Much Information」、その時代性をハウスなどのダンスミュージック側に寄せた「Drowning Man」や「Come Undone」、“普通に良い曲”を素直に表現した「Breath After Breath」といった曲からは、バンドがこの作品に賭ける強い意気込みが感じられます。

かと思うと「None Of The Above」や「Shelter」のように、サウンドメイキングこそ当時の時代性が反映されているものの軸の部分は80年代のままな楽曲もあるし、バンドのルーツを表現したTHE VELVET UNDERGROUNDのカバー「Femme Fatale」もある。雑食性が以前にも増していますが、こういったジュークボックス的な方向性ってMTVの時代をサバイブした彼ららしいとも言えるのかな。

80年代の彼らの作品と同じような気持ちで接することはないですが、これはこれで“よく出来た”1枚。NIRVANAPEARL JAMらがシーンのトップに君臨していた時代にこんなアルバムがヒットしたという事実を踏まえつつ触れてほしい、あの時代の空気が伝わってくる良作です。

 


▼DURAN DURAN『DURAN DURAN (THE WEDDING ALBUM)』
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2019年4月25日 (木)

PET SHOP BOYS『SUPER』(2016)

2016年4月発売の、PET SHOP BOYS通算13作目のスタジオアルバム。前作『ELECTRIC』(2013年)から長年在籍したParlophone Recordsを離れ、新たにプライベートレーベルx2(Kobalt Label Services流通)から作品を発表し続けている彼ら。その『ELECTRIC』同様、今作も非常に“攻め”な内容となっています。

彼ららしい80'sエレポップ風味は残しつつ、サウンド的には現代的にしっかりビルドアップされている。つまり、「どこか懐かしい」と思わせつつも最近のダンスミュージックにも通ずるフレイバーもちゃんと感じられる、守りで終わっていない1枚なのです。こういうのをレトロ・フューチャーと呼ぶんですかね?(たぶん違う)

プロデューサーには前作から引き続きスチュアート・プライス(マドンナTHE KILLERSカイリー・ミノーグNEW ORDERなど)を迎え、ロンドンとベルリンで楽曲制作、ミックスなどはニューヨークで行われたという本作。テーマ的には前作『ELECTRIC』を“よりエレクトリックなものにする=SUPER化”ことだったようですが、その目的は見事に果たされていると思います。古くからのファンが喜ぶ、パブリックイメージどおりのPET SHOP BOYSを維持しつつも、サウンドなどの味付けでモダンかつエッジーな作風に仕上げていく。だから、往年のファンが聴いても「あ、今までのどおりのPET SHOP BOYSだ」と納得がいくものだし、と同時に新規のリスナーは「ちょっとレトロっぽいけど全然アリ」と受け入れられる(はず)。さすがの一言です。

これを50代以上のおっさん2人が作っている事実がものすごいことでして。ぶっちゃけ、30年以上キャリアを積み重ねたらもう過去の焼き直しだけで何枚も量産できるはずなんです。なのに、この人たちは(特に2000年代以降)従来のイメージを維持しつつも毎回新しいことに挑戦しようとしている。その姿勢には頭が下がります。

この人たちに求められる“湿り気や陰りがあって、だけどポップ”という要素に関しては100点満点。バカっぽい能天気さこそ皆無ですが、個人的にはこの路線が一番好きなので問題なし。特にここ最近のアルバムではお気に入りです(いや、気に入らないアルバムは皆無なんだけどね)。

先日の来日公演でも本作から4曲披露されていましたが、往年のヒット曲と並んでも劣っているとは感じられませんでした。すでに本作に続くニューアルバムの制作に入っており、2019年中には発表されるようですが(思えば今作からもすでに3年経ったわけですもんね)、果たしてどんな“進化”を見せてくれるのか。過剰に期待しておきたいと思います。

 


▼PET SHOP BOYS『SUPER』
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2019年4月24日 (水)

THE CHEMICAL BROTHERS『SURRENDER』(1999)

本国イギリスで1位、アメリカでも最高14位という好記録を残した前作『DIG YOUR OWN HOLE』(1997年)に続いて、1999年6月にリリースされたTHE CHEMICAL BROTHERSの3rdアルバム。本国では引き続き1位、セールス的にも前作の倍近いダブルプラチナムを記録する大ヒット作となりました。

基本的には前作の延長線上にある作風といっていいかもしれません。が、いわゆる“デジロック”的なゴリっとしたテイスト(ビッグビート的スタイル)は後退し、より(広い意味での)テクノに接近した1枚なのかなと。それが1999年という世紀末感にフィットしたのでしょうかね、今振り返ると。

少ない音数とチープな電子音で構築されたオープニングトラック「Music:Response」は当時TV CMにも起用されたので覚えている方も少なくないかも。この曲からアッパーな「Under The Influence」、バーナード・サムナー(NEW ORDER)のボーカル(バックボーカルではPRIMAL SCREAMのボビー・ギレスピーも参加)をフィーチャーした「Out Of Control」へと切れ目なく続く3曲の流れは圧巻。これだけでも、本作は“勝った”と実感できる内容かもしれません。

そこからブレイクビーツ/ヒップホップ色濃厚な「Orange Wedge」を経て、ノエル・ギャラガー(当時OASIS)が前作の「Setting Sun」に続いて参加したキャッチーな「Let Forever Be」、8分半にも及ぶ一大抒情詩「The Sunshine Underground」とサイケデリックゾーンへ。前者は二匹目のドジョウを狙ったらより濃いものが生まれてしまったある種偶然の産物(?)でもあり、後者は「俺らが本気出せばこんなもんよ?」的な気合いが感じられる。オープニングからピークの連続みたいな作品ですが、間違いなくこの中盤はこのアルバムのクライマックスと言えるでしょう。

ホープ・サンドヴァル(MAZZY STAR)の気怠い歌声がチルな空気にぴったりな「Asleep From Day」、ブラックミュージックと同じくらいYMOからの影響も見え隠れする「Got Glint?」で少し落ち着いたところで、アゲアゲ(死語)のクラムアンセム「Hey Boy Hey Girl」で再び潮目が変わると、ポップさが際立つ「Surrender」、ジョナサン・ドナヒュー(MERCURY REV)のボーカル/アコギ/ピアノを前面に打ち出した“涅槃からのささやき”的エンドロールナンバー「Dream On」という豪華な構成でアルバムを締めくくります。

久しぶりに聴いても、やっぱりその内容/完成度は随一。ロックサイドからの入門編的には前作『DIG YOUR OWN HOLE』がとっつきやすいかもしれませんが、THE CHEMICAL BROTHERSの本質を知る上では本作から入るのがベストではないでしょうか。リリースから20年経った今も、最強のダンスミュージックアルバムです。

 


▼THE CHEMICAL BROTHERS『SURRENDER』
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2019年4月23日 (火)

死霊のえじき:Bloodline(2018)

あらすじ
街にはロッターと呼ばれるゾンビが蔓延していた。大学の医療センターで医学生ゾーイはロッターの研究を行っている。ある日、ゾーイは一方的に好意を寄せられている患者のマックスに強姦されそうになるが、マックスがゾンビに襲われ、ゾーイは助かる。
5年後─ゾーイたちは生き残り軍事施設にいたが、さらに世界中にはゾンビが増殖していた。その施設内で抗生剤の効かない謎の伝染病が発生し、ゾーイは施設外へ薬を取得しに行くことになる。途中、5年前に死亡したはずのマックスがゾーイを追って施設内に忍び込んで来る。ゾーイはマックスにはウィルスへの抗体があることに気づき、ミゲル大尉たちの反対を押し切りマックスの血清から特効薬を作ろうとしていたが、マックスは鎖を引きちぎり脱走してしまう…。

 

ジョージ・A・ロメロの名作『死霊のえじき』は当時、中学生ながらも映画館で観て衝撃を受けたことをよーく覚えています。個人的にもゾンビものでは3本指に入るほど好きな作品ですが、2008年のリメイク版『デイ・オブ・ザ・デッド』はサバイバルアクションものにリブートされており、それはそれで悪くはなかったけど好きとは言い切れず。

で、あれから10年の歳月を経て再びリブート版の登場です。今回はオリジナルの邦題に「Bloodline」というサブタイトルが付けられています。女性が主人公という点、知能のあるゾンビが登場するという点は過去2作と共通するのですが、例によって現代的な味付けが施されております。

まず、知能のあるゾンビが人間から転化したものであるという点は『デイ・オブ・ザ・デッド』と同じ。ただ、『デイ・オブ・ザ・デッド』は主人公の部下が転化したことでの信頼関係みたいなものが存在していたのに対し、本作は“サイコ野郎”……主人公のストーカーが転化してしまうという内容。つまり、主人公の女性に対しての執着から、その知性を使って追いかけ回すという非常に厄介な野郎なのです。

さらに厄介なのが、本作のゾンビが“走る”タイプだということ。もうね、否が応でもアクションものにならざるを得ないわけ。『ドーン・オブ・ザ・デッド』などで慣れているとはいえ、やっぱり情緒が足りない。物語の展開もスピーディーにならざるを得ないし。

知性=半転化に気づいた主人公は、そこからワクチンを作り出すという活路を見出すあたりは、『28週後...』あたりにも似た展開ですね。感染したら殲滅、というありがちな構成から脱している点はモダンなゾンビものの系譜にあるのかもしれません。

まあとにかく、本作の主人公のわがままでいきなり仲間が死んだり、半転化のサイコ野郎を生かすことになるし、そういったホラー映画にありがちな「登場人物のありえないわがままさが不幸を呼ぶ」という要素はしっかり死守されており、観ているとイライラさせられるのですが(笑)、最終的にはハッピーエンド? という、この手の作品にしては無難な作り。このへんもホラーというよりはアクションの色が強いからこそと言えなくもないかな。

序盤の薬の調達あたりですでに脱落しそうになったし、なおかつその場面での主人公の身勝手さにイラっとして一回再生を止めましたが(笑)、そこを乗り切ればまあまあ楽しめるかな。かといって、平均点を超えているかと言われたら「いやいやいや……」と即答しますが。

(*55点)

 


▼死霊のえじき:Bloodline
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INXS『X』(1990)

1990年9月(日本は同年10月)に発表された、INXS通算7作目のオリジナルアルバム。「Suicide Blonde」(全米9位)、「Disappear」(同8位)、「Bitter Tears」(同46位)というヒットシングルが生まれ、アルバム自体も全米5位、200万枚以上を売り上げるヒット作となりました。

6thアルバム『KICK』(1987年)のメガヒット(「Need You Tonight」の全米1位、およびアルバムの600万枚を超えるセールス)を経て、バンドは大々的なワールドツアーを展開。結果として、次作発表までに3年もの月日を要することとなってしまいました。

プロデューサーには『LISTEN LIKE THIEVES』(1985年)、『KICK』という英米でのブレイクを作ったクリス・トーマス(PINK FLOYDROXY MUSICSEX PISTOLSU2など)が三度担当。ダンサブルな側面を見せつつもロックバンド然とした佇まいや骨格が強みだった前作や前々作から一転、本作ではロック色は残しつつもそれ以上にダンスミュージックやブラックミュージックからの影響が余すところなく表現され、当時流行していたクラブミュージックのフレイバーを散りばめられたグルーヴィーな1枚となっています。

ひたすらファンキーでダンサブルな「Suicide Blonde」を筆頭に、『LISTEN LIKE THIEVES』より前のこのバンドのカラーが見え隠れする「The Stairs」や「Faith In Each Other」からは単なる焼き直しではない、大人になった彼ららしいセクシーさ、ダンディズムみたいなものが伝わってきます。

かと思えば、前作の延長線上にあるブルージーかつエモーショナルなソウルバラード「By My Side」や黒っぽいロック「Bitter Tears」、若干のダークさが見え隠れするダンスロック「Lately」、余裕すら感じられる大人のロック「On My Way」や「Hear That Sound」も残されている。『KICK』にあった豪快さや奔放さは後退したものの、このアダルト感は彼らにとって新たな武器になったことは間違いありません。実際、時代もそういった方向にシフトしつつありましたしね。

特にアメリカでは、セールス面でのピークは本作まで。シーン的にもグランジやヒップホップ主流の時代に突入していくことで、彼らのようなロックバンドは苦戦を強いられることになります。が、作品の充実度でいえば、次作『WELCOME TO WHEREVER YOU ARE』(1992年)での覚醒が控えているだけに、本作は『KICK』との狭間で若干インパクトが弱く感じてしまうかもしれません。そういった過渡期の1枚だからこそ、実はいろんな実験やチャレンジが見え隠れする、絶対に聴いておきたい作品なんですけどね。

 


▼INXS『X』
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2019年4月22日 (月)

浜田麻里 The 35th Anniversary Tour Gracia@日本武道館(2019年4月19日)

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圧巻の一言。それ以上でもそれ以外でもなく。

10代の頃に初めてライブを観て、それから30年近くの間に何度か拝見していますし、特にここ5年くらいは単独以外にもフェスなどでも目にするチャンスがあった浜田麻里。デビュー35周年、武道館は26年ぶりということで、これは行かないわけにはいかない……そう思っていたら、友人がチケットをダブつかせていたので便乗。2階の上のほうでしたがかなり観やすく、じっくり腰を据えて楽しむことができました。

昨年の最新アルバム『Gracia』を携えたツアーには足を運ぶことができなかったので、そことの比較はできませんが、同ツアーからツアーメンバーが一部交代。BABYMETALの神バンドメンバーでもあるBOHさん(B)、ISAOさん(G)といった7〜8弦ギターや6弦ベースの使い手、原澤秀樹(Dr)というまだ30代半ばのテクニカルな若手ドラマーをフィーチャーしたバンドサウンドは、以前と比べてかなりフレッシュ感が強く、攻撃性が増したここ最近の楽曲にもフィットしていました。特にジェントっぽさを醸し出す「Disruptor」みたいな楽曲には今の編成はぴったりなんじゃないでしょうか。

で、浜田麻里大先生のお歌が、近年観た中でもベストに近い状態でして。無駄に前に出過ぎず、それでいて存在感は圧倒的。歌詞がしっかり聴き取れて、声量もあって高音の伸びもハンパない、しかも音圧の高いバックの音像にも埋もれていない。これって簡単なようでなかなかできることじゃない。ミキシングのテクニックでどうにでもできるんじゃ……なんて言われそうだけど、そういう問題じゃないし、そういうレベルの話じゃない。

で、もっとすごいのがコーラスの絵里さん(浜田麻里の実妹)。キーだけでいったら姉上よりも高いところを難なく歌っているんだけど、だからといってリード(姉)を潰すようなこともない。姉妹だからこその相性はもちろんだけど、長年培ってきたハーモニーバランスがここ武道館で完璧な形で表現されていたように思います。

選曲に関しては下記のセトリを参考にしていただき。一部楽曲(シングル曲やライトサイドの楽曲)はいわゆる“ワンハーフ”だったりメドレー形式だったんだけど、それでもやらないよりはマシ。むしろ、ご本人としてはここ10年くらいのメタル路線を前に打ち出して、そこで勝負している印象。そういった楽曲は歌うのも難しいものが多いし、演奏との息含め一歩間違えばグズグズになってしまってもおかしくないのに、それが一糸乱れぬ完璧なアンサンブルで繰り出される。不快さなんてこれっぽっちもない、常に気持ち良い音圧とサウンドが繰り出される2時間半。これに7000円とか8000円って、正直安いもんですよ。

途中、ビリー・シーンが出てきたときは隣にいた友人に「ビリーっ! ビリーだよ! MR. BIGの!」と叫んでしまったほど興奮(セッティング時にミントグリーンのベースが見切れていて、一部には事前にバレていたようですが)。そのビリーのプレイ含め、歌や演奏の技術の高さで人をここまで興奮させ、感動させる音楽って本当にすごいと思う。別にテクニック至上主義の人間ではないし、下手なモノの中にも素晴らしいもの、輝いているものはたくさんあるけど、こういう音楽の素晴らしさに感動できるのもまた事実。1曲終わるごとにため息が溢れるし、また1曲新たに始まるごとに拳を振り上げる(実際には振り上げなかったけど)。それくらい興奮していたと思います。

本当の意味で圧巻だったのは、本編ラストの「Zero」。20数名のストリングス隊をこれ1曲のためだけに準備し、ドラマチックな歌と演奏でライブを大々的に締めくくるわけですが、最後の最後、麻里さんのロングトーンに鳥肌……気づいたら涙が流れてました。感情がグワーっと持って行かれましたね……どんな気持ちなのか表現しがたい、グチャグチャにかき乱された状態でした。あんな経験、初めてですよ。

聴きたい曲はまだまだ山ほどあったし、「Stay Gold」を聴けなかったのは残念以外のなにものでもないけど、それはまた次回以降に。にしても、現在56歳の彼女……まだまだ活動を続けていくと宣言していましたが、このスタイルでどこまで更新し続けられるのか。その鍛錬も相当な大変さを要するだろうし、もしそれができなくなったときの恐怖といったら……ロブ・ハルフォードもある意味そっち側の人間であり、ギリギリのラインで戦っていますが、この人もきっと同じ孤独な道をひとり突き進むんだろうな。

いやあ。にしてもね、もっともヘヴィな楽曲が最新アルバム『Gracia』の楽曲って、どういうことだろうね。「Black Rain」や「Disruptor」「Zero」のカッコよさと言ったら……。

<セットリスト>
01. Right On
02. Disruptor
03. Blue Revolution
04. Carpe Diem
05. Return to Myself 〜しない、しない、ナツ。〜
06. No More Heroes
07. Nostalgia
08. Memory in Vain
09. Cry For The Moon
10. Promise In The History [Acoustic]
11. Canary [Acoustic]
12. Mangata
13. Sparks [feat. Billy Sheehan]
14. In Your Hands [feat. Billy Sheehan]
15. Dark Triad
16. Jumping High
17. Black Rain
18. Historia
19. Orience
20. Zero [with Orchestra]
--ENCORE--
21. Forever 〜
  All Night Party 〜
  Heart and Soul
22. Heartbeat Away From You
--ENCORE--
23. Momentalia
24. Tomorrow

 

TERENCE TRENT D'ARBY『INTRODUCING THE HARDLING ACCORDING TO TERENCE TRENT D'ARBY』(1987)

1987年夏にリリースされた、テレンス・トレント・ダービーのデビューアルバム。デビューシングル「If You Let Me Stay」が全英7位/全米68位という好スタートを飾ると、続く「Wishing Well」が全英4位/全米1位を記録。その後も「Dance Little Sister」(全英20位/全米30位)、「Sign Your Name」(全英2位/全米4位)とシングルを続発し、アルバム自体も全英1位(5xプラチナム)/全米4位(ダブルプラチナム)の大ヒットとなりました。

デビュー当時は“マイケル・ジャクソン的ポピュラリティの高い、汎用性プリンス”的なポジションで受け入れられていた記憶が。マイケルの部分は納得するものの、プリンスとの比較はすべての楽曲を自作自演するという点と黒人というルーツ的な部分が重なることで、この比較が始まったのかな。確かにこの頃のプリンスといったら、ソロ名義でどんどんマニアックな方向に突き進んでいましたし(けど、楽曲自体はポップなものが多かったんですけどね。ただ、わかりやすさという点では80年代前半と比べて弱かったかもしれないというだけで)、そう言われてしまっても仕方なかったのかな。

ロック、ファンク、R&Bをベースにしながらも、ポップミュージックとしての完成度も非常に高い楽曲ばかり。ヒットシングルはどれも耳馴染みが良く、なおかつ一度聴いたら忘れられないキャッチーさが備わっている。「If You Let Me Stay」のサビの突き抜け感といったら、ねえ。

かと思えば、「Wishing Well」みたいなプリンス直系のダークファンクもあるし、小気味良いテンポ感&リズムのポップチューン「I'll Never Turn My Back on You (Father's Words)」もあるし、アカペラのみで構成された「As Yet Untitles」もあるし、フロアを賑わすダンスチューン「Dance Little Sister」もある。この曲なんて、のちのジャズファンクにも通ずる要素が垣間見られるし、スモーキー・ロビンソン率いるTHE MIRACLESのカバー「Who's Lovin' You」では自身のルーツもしっかり提示している。そして、ミニマル感のあるセクシーなバラード「Sign Your Name」もこの時代ならではといいますか。本当に捨て曲なしの1枚です。

プリンスのみならず、例えばINXSのようにファンクやR&Bをベースにしたロックバンドにも通ずるカラーが至るところから感じられる本作。リリースから30年近く経っていますが、サウンドやアレンジ的な前時代感は否めないものの、それでも楽曲の良さはあの頃となんら変わらず、いつ聴いても気持ちよく楽しめる内容ではないでしょうか。この方、1989年にデビューするレニー・クラヴィッツと先代であるプリンスをつなぐ、貴重な存在だと思うんですけどね。

現在もサナンダ・マイトレイヤ名義で音楽活動を継続中。日本では4thアルバム『VIBRATOR』(1995年)までのイメージが強い彼ですが、まずはこのデビュー作から触れてみることをオススメします。

 


▼TERENCE TRENT D'ARBY『INTRODUCING THE HARDLING ACCORDING TO TERENCE TRENT D'ARBY』
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2019年4月21日 (日)

PRINCE & THE REVOLUTION『PARADE』(1986)

1986年春に発表された、プリンス通算8作目のオリジナルアルバム。PRINCE & THE REVOLUTION名義では『PURPLE RAIN』(1984年)、『AROUND THE WORLD IN A DAY』(1985年)に続く3作目にして最終作に当たります。本作からは「Kiss」が全米1位(同年間19位)、「Mountains」が同23位、「Anotherloverholenyohead」が同63位を記録し、アルバム自体も全米3位まで上昇しています(ミリオンセールス達成)。

同年に公開されたプリンス主演映画第2弾『アンダー・ザ・チェリー・ムーン』のサウンドトラックとして制作されたという点においては、メガヒットとなった『PURPLE RAIN』(同名映画のサントラ)と同じポジションの1枚ですが、音楽性や内容的にはロック色が濃厚だった『PURPLE RAIN』とは異なり、よりファンク色が強く、かつ『AROUND THE WORLD IN A DAY』でのサイケデリック色、さらにジャズの色合いも加わった、音楽性が一段と広がりを見せた1枚に仕上がっています。

どうしても大ヒットした「Kiss」の印象が強くなってしまいますが、ジャンルレスな1〜2分台のショートチューンが矢継ぎ早に繰り出される前半(アナログA面のM-1〜7)の構成はなかなかに気持ち良いものがあり、だからこそ唯一5分台の楽曲「Girls & Boys」(ヨーロッパのみでシングルカット。MVも制作)が非常に強く印象に残るというのもあります。

後半に入ると前作の流れを汲む「Mountains」もあるし、代表曲「Kiss」もあるし、何よりもアルバムラストを飾る名バラード「Sometimes It Snows In April」もある。特に7分近い大作の「Sometimes It Snows In April」は、彼が去って以降はこの季節になると毎年聴きたくなる1曲でもあります。そろそろ暖かくなってきたなって季節なのに、急に真冬のような寒さまで気温が落ち込む1日には、ふとこの曲が脳内で流れ始めるんですよね。

映画のサントラということを抜きにしても、アルバムとしてなかなかにバラエティに富んだ本作。映画の大失敗&酷評もあり、このアルバムに対する評価も一時は決して高いものではありませんでしたが、改めてプリンスのキャリアを振り返るとすごく充実した1枚であることが理解できるはず。特に、ここからTHE REVOLUTION解散〜『SIGN O' THE TIMES』(1987年)でソロ名義での活動再開という流れを考えると、本作はひとつの区切りであり大きな分岐点でもあるのかなと。

まあとにかく、良い曲が多いし、アルバムとしても聴きやすく優れているので、80年代の代表作のひとつとして今このタイミングにオススメしておきたい1枚です。

 


▼PRINCE & THE REVOLUTION『PARADE』
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2019年4月20日 (土)

EXODUS『FABULOUS DISASTER』(1989)

1989年初頭にリリースされた、EXODUSの通算3作目となるオリジナルアルバム。スティーヴ“ゼトロ”スーザを迎えて2作目のアルバムであり、前作『PLEASURES OF THE FLESH』(1987年)のスマッシュヒット(全米82位)からの流れで本作も全米82位まで上昇しました。

『PLEASURES OF THE FLESH』で全体的にバランスの整った、この手のスラッシュメタルバンドとしては非常に聴きやすい部類のサウンドを構築したEXODUSでしたが、続く今作でもその路線は継続。ゲイリー・ホルト&リック・ヒューノルトのギタリスト隊が刻むザクザクしたリフは密度の高いサウンドを聴かせており、適度にフラッシーなソロプレイ含め芸術の域にまで達しつつあります。

一方で、リズム隊は重さよりも軽快さを重視したアンサンブルで、ギターとは相反するサウンドを構築。ですが、軽薄になりすぎないパワーもしっかり備わっており、このへんからはトム・ハンティング(Dr)の力量を改めて実感することができるはずです。そういった実力は序盤のスラッシーなナンバーよりも、ミドルテンポの「Low Rider」(黒人ファンクバンドWARのカバー)あたりで本領発揮といったところでしょうか。

ゼトロのボーカルはドスの効いた凄みのあるタイプとは異なるヒステリックなタイプで、そこに適度なアクが加わることで個性を発揮。実は男臭い野太い声やデス声よりも、このギターのザクザク感と軽快なリズムにぴったりなんじゃないかと改めて思いました。

まあとにかく。このアルバムはオープニング3曲(「The Last Act Of Defiance」「Fabulous Disaster」「The Toxic Waltz」)、終盤「Corruption」「Verbal Razors」の流れが圧巻。中でも「The Toxic Waltz」は80年代後半のスラッシュメタルシーンにおける代表的な1曲と言えるでしょう。かと思えば、先の「Low Rider」や「Overdose」(AC/DC/CDのみ収録)といったカバー曲が含まれていたり、「Cajun Hell」のイントロではブルースハープやドブロギターをフィーチャーしてブルースフィーリングを醸し出していたり、「Like Father, Like Son」では8分を超える大作に挑戦したりと(この曲のギタープレイがとにかく素晴らしい!)、一介のスラッスバンドで終わらぬようにとさまざまな試みが用意されています。

西海岸のバンドらしく、そこはかとなく感じられる能天気さも悪くないし(それらが出すぎていないのもまたよし)、それでいて狂気性もにじみ出ている。アルバム全体のバランスの良さも同時期の同系統バンドの中でもかなり秀でたものがあり、本作が初期の傑作と称されるのも納得の内容です。

ちなみに、本作までインディーズからのリリースでしたが(ここ日本では2nd、3rdはソニーから発売)、続く4thアルバム『IMPACT IS IMMINENT』(1990年)からメジャーのCapitol Recordsへと移籍。しかし、本作でドラマーのトムが脱退し、のちにTESTAMENTなどで活躍するジョン・テンペスタが加入することになります。そういった意味でも、本作『FABULOUS DISASTER』を“黄金期メンバーによる代表作”と呼ぶ声も少なくないようです。

 


▼EXODUS『FABULOUS DISASTER』
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2019年4月19日 (金)

DEATH ANGEL『ACT III』(1990)

1990年4月(日本では5月)にリリースされた、DEATH ANGELの3rdアルバム。過去2作をインディーズ(メジャー流通)のEnigma Recordsから発表してきた彼らでしたが、本作はメジャーのGeffen Recordsから発表。それもこれも、前作『FROLIC THROUGH THE PARK』(1998年)の全米143位という数字と、「Bored」がMTVでヘヴィローテーションされたことが大きかったんでしょうね。ですが、何を間違ったか今作『ACT III』はBillboard 200にランクインせず。えーっ。

プロデューサーにかのマックス・ノーマン(オジー・オズボーンMEGADETHLOUDNESSなど)を迎えて制作した本作。かなり緻密に作り込まれており、なおかつ彼らの新たな魅力が感じられる意欲作に仕上げられています。

全10曲で45分というコンパクトさ(前作は60分近い内容)といい、オープニングを飾るスラッシーな「Seemingly Endless Time」からテンポよく進む構成といい、とにかく聴きやすい。“これぞベイエリア・クランチ!”と言いたくなるようなロブ・キャヴェスタニィ(G)&ガス・ペパ(G)によるリフの刻み・組み立て方がとにかく個性的。かつ、ロブのギターソロが味わい深く、同時期に活動していた他のスラッシュバンドとは異なる色が感じられます。その色は、アコースティックベースの「Veil Of Deception」や「A Room With A View」あたりに濃厚に表れているのではないでしょうか。

かと思うと、リズム隊もまた個性的でして、スラップを取り入れたデニス・ペパ(B)のベースプレイや、当時まだ10代後半だったアンディ・ギャレオン(Dr)のパーカッシヴなプレイもできる高度なドラミングは、確実に他のスラッシュメタルバンドとは一線を画するものでした。すでにレッチリなどは存在したとはいえ、KORNが登場する4年も前に彼らは「Discontinued」のようなファンキーなメタルに挑戦していたのですから……。

もちろん、ボーカルのマーク・オセグエダ(Vo)も良い仕事をしていて、しっかり“歌おう”とする姿勢は“がなる”のが基本になりつつあったスラッシュシーンにおいて異彩を放っています。また、歌い上げるタイプのANTHRAXあたりとも違うスタイルで、実はのちのオルタナメタルやグランジとの親和性も高かったんじゃないか。そんな気すらします。

スラッシュメタルとしては飛び道具的な楽曲も含むもののトータルのバランスは過去イチで、より王道なヘヴィメタルへと近づいた本作。間違いなくこの時点での最高傑作だと思います。ですが、最初に書いたようにセールス的には惨敗しており、ここから続けていけば1991年以降のシーンの変化にも対応できたんじゃないか?と思うのですが……。

(以下、余談)本作のツアー中にアンディがツアーバスの事故に巻き込まれ、頭部損傷。バンドは活動休止に追い込まれてしまいました。そしてアンディが復帰した1993年には、今度はマークが脱退。残された4人はバンド名をTHE ORGANIZATIONと変え、ロブ&アンディがボーカルを担当することに。サウンド的にはスラッシュ色を排除してオルタナ色を強めた、ある意味では『ACT III』の“その先”のようなスタイルでした。まあ、時代的には迷走と言わざるを得ませんが……(余談、ここまで)。

なお、本作は日本でのデジタル配信およびストリーミングなし。こんな名盤がスルーされているなんて、勿体ないったらありゃしない!

 


▼DEATH ANGEL『ACT III』
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2019年4月18日 (木)

SACRED REICH『IGNORANCE』(1987)

アメリカ・アリゾナ州フェニックス出身の4人組スラッシュメタルバンド、SACRED REICHが1987年にリリースした1stアルバム。同作は今や名門メタルレーベルでおなじみ、Metal Blade Recordsから発表された1枚で、続く2ndアルバム『THE AMERICAN WAY』(1990年)とあわせて彼らの代表作として高く評価されています。

サウンド的にはテクニカルな展開を組み込みつつも、ハードコア的な色合いが強いスラッシュメタルが特徴。全9曲(うち1曲はインスト)で32分強というトータルランニングからは、この手のスラッシュメタルとしてはかなりコンパクトな印象を受けます。

また、唐突かつ複雑怪奇なアレンジと、フィル・ラインド(Vo, B)の吐き捨てるようなハードコア調ボーカルが相まって、かなり攻撃的なイメージが強いのも彼らの個性かな。この展開に展開を重ねるアレンジ、本作ではまだ荒削りで、作品を重ねるごとに洗練されていくのですが、ここで聴ける荒々しさも勢いがあって嫌いじゃない。曲によっては若干初期のデスメタル風でもあったりして、そこもまた面白い。実は知的に計算しているようでヤケクソっぽく聴こえるというあたりが初期のSLAYERっぽくもあって、個人的にポイントが高いというのもあるのですが。

また、彼らは社会派といいますか、政治的な歌詞が多いのも特徴。METALLICAANTHRAXあたりは比喩的表現でそのへんを歌った楽曲も少なくないですが、彼らの場合はかなり直接的な楽曲が多いような気がします。そういった雰囲気は、本作含めアルバムジャケットからも伝わってきますよね。ぶっちゃけ僕、最初はこのアルバムをDEAD KENNEDYSのようなバンドの作品だと勘違いしていたくらいですから。

そして、ギターリフに視点を置くと、かなり西海岸(ベイエリア・クランチ)の香りがしてきます。このザクザク感がぶっきらぼうな曲展開をより聴きやすくしている気がするし、気持ち良さの要因のひとつになっていることは間違いないと思います。

そう考えると、80年代後半に登場した彼らって(結成は1985年)、初期スラッシュメタルバンドのいいとこ取り、ハイブリッド的存在なのかなと。次作以降、彼らならではのオリジナリティが確立されていくので、そういった意味ではこのアルバムで聴けるサウンドってそのハイブリッド感含め、実はかなり奇跡的な内容なんじゃないかという気がしてきました。当時はそんなこと、微塵も思わなかったけど(苦笑)。

個人的には時流に乗ったグルーヴメタル色を取り入れた3rdアルバム『INDEPENDENT』(1993年)までの3枚は非常にお気に入り。ぜひ機会があったら他の作品も聴いてみてください。なお、本作のストリーミング版はJUDAS PRIEST「Rapid Fire」やBLACK SABBATH「Sweet Leaf」などのカバーを加えたDISC 1と、1988年のEP『SURF NICARAGUA』にボーナストラックを加えたDISC 2からなる2枚組バージョンとなっているので、彼らのルーツとともに進化の過程も追えるんじゃないかしら。必聴です。

 


▼SACRED REICH『IGNORANCE』
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2019年4月17日 (水)

FLOTSAM AND JETSAM『THE END OF CHAOS』(2019)

FLOTSAM AND JETSAMが2019年1月にリリースした通算13枚目のオリジナルアルバム。バンド名を冠した前作『FLOTSAM AND JETSAM』(2016年)から約3年ぶりの新作となりますが、これはなかなか素晴らしい1枚ではないでしょうか。

前作発表後に前任ドラマーのジェイソン・ビットナー(SHADOWS FALL)が脱退(その後OVERKILLに加入)。代わりに、アリス・クーパーIMPELLITTERI、HOUSE OF LORDSなどで知られる名手ケン・メアリーが加入するという驚きの展開となりました。過去にFIFTH ANGELなどにも参加していましたが、おそらく彼がプレイしたバンドの中ではもっともアグレッシヴなサウンドではないかという気がしますが……いやいや、予想していた以上にアグレッシヴで驚きました。

まず、オープニングの「Prisoner Of Time」を聴き始めて思ったのが、想像していたよりもメロディアスだということ。あれ、このバンドってこんなにメロウだっけ? とにかくどの曲も歌メロがしっかりしていて、エリック“AK”ナットソン(Vo)の歌声はその節回しもあってか時々ブルース・ディッキンソンIRON MAIDEN)と重なる瞬間まであって、なかなか聴き応えがあります。

そういうわけで、プログレッシヴな展開を持つスラッシュナンバーもあるのはあるのですが、全体的にはメロディアスなパワーメタル/スピードメタルというイメージが強い作品かもしれません。テンポ感も非常に良く、なおかつ歌メロが際立つ楽曲が多いので、この手の作風のわりには疲れることなく最後まで楽しめます。

実は前作は聴いていなかったのですが、どうやらその『FLOTSAM AND JETSAM』から現在の原点回帰なアグレッシヴ路線に立ち返った、それ以前の数作はミドルヘヴィ中心だったり、速めの曲もどこか落ち着いた雰囲気が漂っていたりといろいろアレだったみたいですね(この新作を聴いたあとに前々作『UGLY NOISE』を聴いたのですが、メロウだけどどこかオッサン臭くてピンと来なかった)。サウンドプロダクション的にも雲泥の差ですし、バンドがここに来て生き残りを賭けたようなその“攻め”の姿勢は評価に値するものだと思います。

ギターリフが過去の作品と比べて若干弱いなんて声も目にしましたが、そのぶんソロで頑張っている気がするし(というのは贔屓目でしょうか?)、何よりもケン・メアリーのドラミングが圧巻。そしてボーカルの表現&メロディの気持ち良さもあって、とにかく何度でも繰り返し聴ける1枚だと思います。これは意外な収穫でした。

 


▼FLOTSAM AND JETSAM『THE END OF CHAOS』
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2019年4月16日 (火)

OVERKILL『THE WINGS OF WAR』(2019)

2019年2月に発表された、OVERKILL通算19作目のオリジナルアルバム。前作『THE GRINDING WHEEL』(2017年)から2年ちょうどという現代としては短いスパンで制作された1枚。来年で1stアルバム『FEEL THE FIRE』(1985年)でまる35年、とにかく勤勉なバンドです。

前作は6〜7分の長尺曲が多く、中には王道ヘヴィメタル色の強いミドルナンバーが含まれていたりと活動歴が40周年に近づいても新たな道に挑もうとする姿勢に感服しましたが、今作ではまた前作とは異なる視点で制作が進められたようです。

前作発表後にドラマーがジェイソン・ビットナー(SHADOWS FALL)に交代。また、エンジニアも前作のアンディ・スニープからクリス・“ゼウス”・ハリスに変更したことも功を奏してか、前作の王道さとは異なる前のめりなハードコア感が強まっている印象を受けます。

楽曲にしても、全10曲(ボーナストラック除く)中6分超えは1曲のみ。3〜4分台の楽曲が5曲と、ここ最近の彼らにしては意外とコンパクトにまとまっている印象を受けます。が、そこは我らがOVERKILL。4〜5分の中で複雑な展開を重ねていくアレンジは健在で、アンディの活きのよさもあってかリズム面がより強化されているような気がします。

特に冒頭3曲(「Last Man Standing」「Believe In The Fight」「Head Of A Pin」)の圧迫感はさすがの一言で、そこからスローな展開を含む「Bat Shit Crazy」やどことなくドラマチックさもあるミドルヘヴィ「Distortion」と、前半はかなり気持ち良い構成となっています。

後半もどことなくパンキッシュな「A Mother's Prayer」を筆頭に、ハードコアと王道メタルをミックスした「Welcome To The Garden State」、不穏さが際立つミドルチューン「Where Few Dare To Walk」、やはり突っ走ることを諦めない「Out On The Road-Kill」、とにかくドラミングの激しさが目立つ「Hole In My Soul」と、常に暑苦しさ全開。ある種“金太郎飴”的なアルバムではあるんだけど、同時代に誕生したバンドたちが次々とスタイルを変えていく中、自分たちに何が求められているかをよく理解し、一貫した方向性を保ち続けているその姿勢は尊敬に値するものがあるのではないでしょうか。

スラッシュメタル、パワーメタルの範疇で語れば“正しい”以外の何ものでもない1枚。ただ、先にも書いたように(過去のアルバムと比べて、という意味で)特に今回はあまりにも“金太郎飴”すぎて、キメの1曲や強く印象に残る楽曲が少ない気がします。この時代にこういうアルバムを作ってくれるその心意気には100点を与えたいけど(これを還暦前後のジイさんが歌っているってだけで満点なんだけど)、全キャリア中で繰り返し聴く作品の部類に入るかと言われると、若干微妙な立ち位置かもしれません。まあ、とはいえそれも時間が経ってみないとね。意外と長く楽しめる可能性もゼロではないので。

完成度は高いけど、現時点では彼らにしては平均点+αな1枚かな。

 


▼OVERKILL『THE WINGS OF WAR』
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2019年4月15日 (月)

MEGADETH『WARHEADS ON FOREHEADS』(2019)

2018年に結成35周年を迎えたMEGADETHが、そのアニバーサリーイヤーの締めくくりに35曲入りベストアルバム『WARHEADS ON FOREHEADS』を2019年3月にリリースしました。

CD3枚組、アナログ4枚組という大ボリュームのこの作品。CDの収録容量的にはまだまだ入れられるはずなのですが、いかんせん「35」という数字にこだわったためにこういう結果に。しかも、選曲はデイヴ・ムステイン(Vo, G)自身が担当。デビューアルバム『KILLING IS MY BUSINESS... AND BUSINESS IS GOOD!』(1985年)から現時点での最新アルバム『DYSTOPIA』(2016年)までの15枚のオリジナルアルバムに、映画『ラスト・アクション・ヒーロー』のサントラ収録曲「Angry Again」を加えた、レーベルの垣根を超えたベストセレクションとなっています。

MEGADETHはこれまでにもベストアルバムやボックスセットを複数発表しています。CD複数枚で構成されたボックスものでいうと、2007年にCD4枚+DVDで構成されたEMI時代の集大成『WARCHEST』が発売されております。こちらはデモ音源やライブテイクなど未発表音源も多数含まれており、すでにオリジナルアルバムをすべて持っている人にもうれしい内容でした。

しかし、今回の『WARHEADS ON FOREHEADS』はすべて既発音源。しかも、ムステインの独断でセレクトされていることもあり、「あれっ、あの曲がない!」とか「なんで代表曲のあれがないの?」とか「あのアルバムからはこれだけ?」とか、とにかく疑問も少なくありません。

例えば、2ndアルバム『PEACE SELLS... BUT WHO'S BUYING?』(1986年)からは4曲選ばれているものの、誰もが認める代表曲「Peace Sells」が含まれていなかったり、3rdアルバム『SO FAR, SO GOOD... SO WHAT!』(1988年)を代表するカバー曲「Anarchy In The U.K.」(SEX PISTOLS)が選ばれていなかったり(まあカバーですしね)。かと思うと、4thアルバム『RUST IN PEACE』(1990年)からは全作品中6曲(アルバム本編が9曲なので3分の2収録されていることに)、8thアルバム『RISK』(1999年)以降は1曲ずつという残念さをにじませながらも、最後の最後に『DYSTOPIA』から4曲も選んでしまうという。バランスを考えてというよりも、今のムステインの各アルバムに対する評価が透けて見える構成ですね。

とはいえ、『KILLING IS MY BUSINESS... AND BUSINESS IS GOOD!』の楽曲は『KILLING IS MY BUSINESS... AND BUSINESS IS GOOD!: THE FINAL KILL』(2018年)からの最新リミックス&リマスター音源ですので、2ndアルバム以降の楽曲と並んでもクオリティ的に劣ることはありません。そういった意味では、特にDISC 1の楽曲群は聴いていて気持ちいいものがあるんじゃないでしょうか。なんだかんだで曲の流れも良いですし。

そしてDISC 3の後半に進むに連れてムステインの声(キー)が……残念ですけどね。

これからMEGADETHを聴こう!なんていう奇特な方が今どれだけいるのかわかりませんが、オールタイムベストという点において、なおかつトータル3時間に満たない適度なボリュームという点においても初心者に進めやすい作品かもしれません。特にDISC 1、DISC 2を聴けばMEGADETHの何たるかが理解できると思いますしね。

 


▼MEGADETH『WARHEADS ON FOREHEADS』
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2019年4月14日 (日)

LIKE A STORM『CATACOMBS』(2018)

2018年7月に発売された、ニュージーランド出身(活動ベースはカナダ)の4人組バンドLIKE A STORMの3rdアルバム。日本でも2ヶ月遅れの9月にリリースされ、本作で晴れて日本デビューを飾りました。

彼らの個性的なポイントは、ディジュリドゥを楽曲のアクセントとして用いていること。過去のMVやライブ映像でもその様子は多少伺うことはできましたが、先ごろ行われた『DOWNLOAD JAPAN 2019』での初来日公演を通して、フロントマンのクリス・ブルックス(Vo, G)がディジュリドゥをプレイする姿をたっぷり堪能できたと思います。

また、曲によってはクリス以外にもマット・ブルックス(G)もリードボーカルを担当。そのぶんクリスがディジュリドゥに専念したりギタリストに専念したりと、いろいろ役割分担があることが伺えます。

……という情報を補足的に、記憶の片隅に残しておいてもらえると幸いです。

さて、今作『CATACOMBS』ですが、基本的な路線は前作『AWAKEN THE FIRE』(2015年)から変わらず、ポスト・グランジとニューメタルのいいとこ採りといった作風。ただ、前作以上にディジュリドゥの存在感が増していて、これにより近年のEDMなどで聴けるヘヴィロックにはない低音が補われているように感じられます。正直、もっと効果的に使えばベースミュージックに匹敵できるものになるんじゃないでしょうか。

その一方で、メロディの作り込みや構成にもより磨きがかかっており、オープニングトラック「The Devil Inside」や先の日本公演でも披露されたクリス&マットのツインボーカルによる「Complicated (Stitches & Scars)」あたりは今後彼らの代表曲になるんじゃないかという気がします。

また、先の「Complicated (Stitches & Scars)」や「Solitary」などマットがリードボーカルを務める楽曲からはクリスの歌とは異なる繊細さが感じられ、こちらも好印象。このへん、マットの歌う比重を高めてクリスのスクリームと併用させるとか、もっと効果的に使い分けできるようになるとバンドとしてもより一段高いところまでいけるんじゃないかな。

そういった意味では、本作ではまだまだ潜在能力を完全には引き出せていない気がします。確実に成長しているのは感じ取れるのですが、ディジュリドゥ以外にも何かひとつ大きな飛び道具があれば……例えば、前作で挑戦したカバー曲とか。そういった対外的な武器が見当たらないという点で、表面的には前作よりも地味に映るかもしれません。悪くはないんですけど飛び抜けてはいない。そういう優等生的な1枚。平均点は確実に採れているので、次作での飛躍に期待したいところです。

 


▼LIKE A STORM『CATACOMBS』
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2019年4月13日 (土)

HALESTORM『INTO THE WILD LIFE』(2015)

2015年4月にリリースされた、HALESTORM通算3作目のスタジオアルバム。前作『THE STRANGE CASE OF...』(2012年)が全米15位という好成績を残しましたが、今作はそれを上回る全米8位を記録。ロックファンがいかにこのバンドの新作を待ち望んでいたかが伺える結果だと思います。

前作は「ヘヴィさ」「スピード感」「キャッチーさ」の3要素のバランスが絶妙で、「こりゃ売れるわ!」って1回聴けばすぐに理解できる即効性の強い内容でした。が、今作はバンドとしての地力とリジー・ヘイル(Vo, G)のボーカリストとしての個性/魅力を最大限に引き出すために、3要素のうちの「ヘヴィさ」を強調した作風へとシフトしています。

オープニングを飾る重々しい「Scream」からして、前作での軽快な序盤のノリとは異なるもの。だって、前作は「Love Bites (So Do I)」「Mz. Hyde」「I Miss The Misery」という鉄壁の3曲でしたからね。それに対して、本作では「Scream」から組曲のようにミドルヘヴィ「I Am The Fire」へと続き、その後も「Sick Individual」「Amen」とミドルナンバーが続く。ここまで変化がない一本調子な構成、ぶっちゃけ挑戦しすぎでしょ? 最初に聴いたときは正直、「これ、好きになれるかなあ。リピートする気になれるかなぁ」と不安を感じたことを今でも覚えています。

その後は「Dear Daughter」のような渋めのピアノバラード、レイドバックしたミディアムナンバー「New Modern Love」とやっぱり“アガる”ことはないのですが、後半折り返しに入ったところでヘヴィながらもアッパーさ加わった「Mayhem」で少し色が変わる。再びバラード調の「Bad Girl's World」でトーンダウンするも、11曲目「Apocalyptic」のダイナミックな演奏、ラストを飾るシンプルなロックンロール「I Like It Heavy」(ソウルフルなエンディングも最高なこと!)などで少し変化をつけてくれるので、なんとか最後まで乗り切ることができました。

こう書くと非常にネガティブな印象を与えるかもしれませんが、どの曲も非常にカッコいいし、リジーのシンガーとしての魅力が100%伝わるアレンジに仕上がっていると思います。ただ、それがミディアム〜スローテンポで13曲も続くと、さすがに厳しいかなと。もちろん、これがアメリカの“ノリ”だってことは重々承知しています。が、日本ではこれはさすがに厳しいような気がします。いくらHALESTORMが好きな自分でも、このアルバムを何度もリピートする気にはなれないほどですから……。

しかもこのアルバム、デラックス盤には「Jump The Gun」「Unapologetic」という2曲を加えた56分/15曲構成。ですが、ハネ気味のリズムが気持ち良い前者とソウルフルなメロと節回しが印象的な後者という、本編にはないタイプの楽曲がボーナストラックってどういうことよ?(苦笑) そこまでして本編のトーンを統一させたかったんでしょうかね。戦略とはいえ、これは解せないなあ。この2曲を加えて、10〜12曲程度に絞ったほうがもうちょっとまとまりがよかった気がします。あるいは、1曲くらいアップテンポの楽曲を入れるとか……まあその反省が、次作『VICIOUS』(2018年)に活かされたんでしょうね。

うん、ツウ好みの1枚だと思います。ビギナーは2ndか4thから入って、最後に聴くといいんじゃないかな。それからでも十分に魅力は伝わると思うので(むしろそのほうが伝わりやすいはず)。

 

▼HALESTORM『INTO THE WILD LIFE』
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2019年4月12日 (金)

GHOST『MELIORA』(2015)

2015年8月に海外でリリースされた、GHOSTの3rdアルバム(日本盤未発売)。本作はスウェーデン本国ではもちろん1位、さらに全米8位、全英23位という好成績を残しており、スウェーデンのバンドとしてはEUROPEの大出世作『THE FINAL COUNTDOWN』(1986年)以来、約30年ぶりの快挙を達成しています。

大ヒットを記録する次作『PREQUELLE』(2018年)の片鱗はすでにこの時点で表出しており、歌メロのポップさ、キャッチーさは次作にも匹敵するものがあります。ただ、『PREQUELLE』での(良い意味での)アメリカナイズとは異なり、本作にはヨーロッパのバンド特有の陰りや湿り気が至る所に散りばめられており、コーラスの重ね方などに70年代のサイケデリックロックやプログレッシヴロックにも通ずる緻密さが感じられます。

オープニングの「Spirit」から数珠つなぎで流れるような構成は、どこかコンセプトアルバムのようでもあるしホラー映画やサスペンス映画のサウンドトラックのようでもある。そんなドラマチックな序盤から叙情的な「He Is」で空気が冷え切ったところでヘヴィな「Mummy Dust」を急にお見舞いされると、まるで不意打ちを食らったかのようなショックを受けるはず。しかも曲中にさりげなく挿入される、不穏さを表現するピアノフレーズ。単にヘヴィなだけでは終わらせないこのダークさ、クセになるくらいたまらんです。

全体を通して聴くと1stアルバム『OPUS EPONYMOUS』(2010年)のヘヴィさ、アグレッシヴさと2ndアルバム『INFESTISSUMAM』(2013年)の叙情性の良いとこ取りといったところで、バランス感は過去3作中で随一。アングラ臭もだいぶ薄まり、キャッチーさが強まったことでかなりメジャー感が増したのではないでしょうか。

とはいえ、そのヴィジュアル含めまだまだカルト的な域は脱していないのかな。まあそこが良かったんだけど。

いわゆるヘヴィメタルというよりは、ダークなハードロックという表現がぴったりな1枚。最新作『PREQUELLE』でGHOSTにハマったというリスナーが次に手に取るにはうってつけの作品だと思います。ここから1stに進むか、それとも順を追って2ndにたどり着くかは、このアルバムを聴いて判断してもらえばいいかな。それくらい、GHOSTというバンド(アーティスト)における“真ん中”にある1枚だと思うので。個人的にはこのアルバム、『PREQUELLE』と双璧の完成度だと思っています。

なお、本作は2016年に発売されたEP『POPESTAR』と合体させた2枚組デラックス盤も出回っており、配信だとこのデラックス盤がメインになっています。ライブには欠かせない名曲「Square Hammer」が含まれているので、これから聴こうという人はこのデラックス盤がオススメです。

 


▼GHOST『MELIORA』
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2019年4月11日 (木)

A NEW REVENGE『ENEMIES & LOVERS』(2019)

ティム・リッパー・オーウェンズ(Vo / SPIRITS OF FIRE、ex. JUDAS PRIEST、ex. ICED EARTHなど)、ケリー・ケリー(G / NIGHT RANGER、ex. ALICE COOPERなど)、ルディ・サーゾ(B / THE GUESS WHO、ex. QUIET RIOT、ex. WHITESNAKEなど)、ジェイムズ・コタック(Dr / KINGDOM COME、ex. SCORPIONS)というメタル界屈指のメンツによるスーパーバンド、A NEW REVENGE。昨年から何度か延期を繰り返してきた待望のデビューアルバムが、2019年3月にリリースされました。

アマチュア時代にロブ・ハルフォード瓜二つな歌唱スタイルで注目を集め、実際にロブの後任としてJUDAS PRIESTにまで加入してしまった才能の持ち主。その後もICED EARTHやイングヴェイのバンドなど、どちらかというと正統派ヘヴィメタルスタイルを得意とするシンガーとしてそっち側のバンドから誘われることが多かったかと思います。

しかし、このニューバンドではそういったスタイルから若干外れる、80年代のアメリカンハードロック的側面が強い、シンプルでストレートなサウンド/楽曲が中心なのです。ある種80年代のSCORPIONS的でもあるこのスタイル、ジェイムズ・コタックはもちろん、ケリー・ケリーやルディ・サーゾという面々を考えれば想像に難しくありませんが、いざそういった楽曲をティムが歌うとなるとどうなるのか……。

いや、心配はご無用。もともと器用な歌い手ですし、そこはそつなくこなしています。メジャーキーのハードロックもお手のもの、カラッとした西海岸寄りのハードロックもアクの強いボーカルスタイルで見事に対応。もちろん、要所要所で彼らしいハイトーンも飛び出し、しっかり個性を発揮しております。

その強烈なボーカルを的確な演奏で支える楽器隊もさすがの一言。誰かひとりが突出した個性を見せるわけでもなく、あくまで“バンド”という形にこだわったアレンジは一聴して地味かもしれませんが、自然と馴染んでいるという意味では実はかなり熟練のプレイではないかと。さすが、これまでアホほど個性の強いフロントマンと戦ってきた百戦錬磨の面々ですね。そんな中で、ケリー・ケリーが味のあるソロを聴かせているのですが、これがまた短いながらもキャッチーなフレーズばかり。あくまで主役は楽曲と歌、ということなのでしょう。

その楽曲も先に書いたとおりで、どこか懐かしさを感じさせるものばかり。どれも平均点以上の仕上がりで、大半が2〜3分台とかなりコンパクト。80年代的と書いたものの、あの頃みたいに派手なアレンジや無駄に長いソロパートがない、非常に現代的なタッチと言えるかもしれません。全11曲で39分という短さも丁度いいですしね。ただ、ひとつくらい“これ!”と言い切れるキメ曲があるとなお良かったのですが。そこに関しては及第点といいますか、次作に期待したいところ。なので、これ1枚で終わらずに継続的な活動を希望します。もちろんライブもね!

 


▼A NEW REVENGE『ENEMIES & LOVERS』
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2019年4月10日 (水)

THE END MACHINE『THE END MACHINE』(2019)

DOKKEN〜現LYNCH MOBジョージ・リンチ(G)が、ジェフ・ピルソン(B)、ミック・ブラウン(Dr)という元DOKKEN組と、元LYNCHE MOB〜現WARRANTのロバート・メイソン(Vo)と新たに結成したバンドTHE END MACHINE。彼らのデビューアルバムが2019年3月に発表されました。

ジョージ、ジェフ、ミックの3人は80年代末にDOKKEN離脱後にも一緒にバンドを組むなんて話があったし、それ以降も何度かそういった噂が上がったり実際に動いたこともありました。事実、T & Nは当初この3人で進めていたプロジェクトでしたしね(2012年のアルバム『SLAVE TO THE EMPIRE』ではブライアン・ティッシーが半分くらい叩く結果に)。

そんな3人が2016年のDOKKENオリメン期間限定復活を経て、改めて結成したのがこのバンド。シンガーには先のT & Nのアルバムにも1曲のみ参加していたロバートを迎えたことで、“ちゃんと歌えるシンガーの入ったDOKKEN”を期待したファンも少なくなかったはずです(“ちゃんと歌える”云々は、今のドン・ドッケンに対する嫌味ですが。笑)。

だけど、不安要素もありました。それは、最近のジョージが完全にレイドバックしたスタイルであること。それはギタープレイ然り、作る楽曲然り。マイケル・スウィートSTRYPER)とのSWEET & LYNCHは別として、KXMULTRAPHONIXなんて完全に趣味の域ですからね。もちろんそれらの作品も決して悪くはないのですが、80年代のフラッシーなプレイときらびやかなメロディを持つ楽曲をどうしても期待してしまうオールドファンも少なからずいるわけでして。自分も毎回、上記のような作品に対して「うん、今回も良いんじゃないかな。だけど……」と複雑な気持ちで接してきただけに、今回のTHE END MACHINEにも過剰な期待はせずに接することにしました。

で、いざ触れたこのアルバム。思った以上にDOKKEN路線に近いものの、ロバートが参加したLYNCH MOBの2作目『LYNCH MOB』(1992年)をより大人にした雰囲気……つまり、今のジョージそのもの(笑)な音でした。期待しすぎていなかったぶん、スッと入っていけたし、思っていた以上に楽しめた自分がいました。オープニング「Leap Of Faith」こそミディアムヘヴィの“いつもどおり”な作風でしたが、2曲目「Hold Me Down」や5曲目「Ride It」で若干BPMを上げてくれたのはよかったかなと。それ以外はほぼブルージーなミディアムヘヴィやスローナンバーばかり。全11曲で56分とかなり長尺なのも最近のジョージの作品と同傾向で、すべてを楽しむにはちょっとした覚悟が必要かもしれません(苦笑)。

好きな人はとことん楽しめる、けど80年代の幻影を追い続ける人にはキツい。聴き手のスタンスによって評価が二分する作品かもしれません。実際、80年代というよりは90年代的ですしね。あ、そうか。90年代の再結成DOKKENが好きならちょっとは……楽しめる……かも?

僕は思っていた以上にリピートしているので、意外と気に入っているのかもしれません。若いリスナーにこれがどう響くのかは正直疑問ですし、頭の固いオッサンたちからは駄作扱いされるでしょうけど、それでも自分はこれはこれとして支持したいなと。だって、そこまで悪いアルバムじゃないですしね。

 


▼THE END MACHINE『THE END MACHINE』
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2019年4月 9日 (火)

BON JOVI『THIS LEFT FEELS RIGHT』(2003)

2003年11月(日本では同年10月末)にリリースされた、BON JOVIの再録アルバム。80〜90年代に発表されたヒットシングルの数々をアコースティックベースでリアレンジした全12曲で構成されています。当初は「Last Man Standing」「Thief Of Hearts」といった新曲も収録予定とアナウンスされましたが、最終的に外されることに。これらのアイデアが元になり、2005年のオリジナルアルバム『HAVE A NICE DAY』とつながっていくことになります。

アコースティックベースとはいえ、完全なる“アンプラグド”アルバムではなく、しっかりエレクトリックギターやベースなども使用されております。だって、オープニングの「Wanted Dead Or Alive」からしてモダンなLED ZEPPELIN風アレンジですから。このダイナミズム、嫌いじゃない。個人的にはこの1曲だけで“アリ”なアルバムになる予定でした。

「予定でした」というのは、以降の楽曲を聴いてもらえばわかるように、レイドバックというか無駄に枯れてしまった感の強い、肩の力抜けすぎなリアレンジが続くからに他ありません。「Livin' On A Prayer」は元からあるアコースティックバージョンをベースに、リッチー・サンボラ(G, Vo)の代わりにオリヴィア・ダボが歌ったものに。これはこれで悪くないんだけど、続く「Bad Medicine」の“高いキーが出なくなったからメロを変えまくったらつまらない曲になりました”的アレンジや「It's My Life」の“それ、ただの演歌やんか”的アレンジ、などなど……“これじゃない”感連続の内容となっています(苦笑)。

ぶっちゃけ、リリース当時は数回聴いたっきりで放っておいたのですが、あれから15年以上経ち、久しぶりに聴いてみたら……印象まったく変わってなかった(笑)。「Wanted Dead Or Alive」は相変わらず“アリ”だけど、他の曲は……悪くはないけど良くもない。なにもBON JOVIの名前でやることではなかったな、と。山場のまったくない「I'll Be There For You」とか聴いた日にゃあ……これ、ジョン・ボン・ジョヴィがソロでやればよかったのにね。

そもそも、選曲が良くなかったんじゃないかな。無理にシングル曲にこだわったばかりに、中途半端な中身になってしまったわけで、例えば「Love For Sale」や「Someday I'll Be Saturday Night」といったもともとアコースティック調の楽曲ならアイデアひとつで別の表現ができたはずなのに(それだと、あまり変わり映えしなかったのかな)。そういった意味では、初回限定盤付属DVDに収められたAOLセッションズのほうが見応え/聴き応えがある気がします。

全米14位と大きなヒットにつながらず、ファンの間でもスルーされることの多い1枚ですが、『HAVE A NICE DAY』へとつながるという点においては大きな役割を果たした作品なのかな。そう考えると、こういう失敗も悪くないのかも。

にしても……あと10年経ったら、この良さが理解できるんだろうか。そうなりたいような、なりたくないような(苦笑)。

 


▼BON JOVI『THIS LEFT FEELS RIGHT』
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2019年4月 8日 (月)

PEARL JAM『BINAURAL』(2000)

2000年5月発売の、PEARL JAM通算6作目のスタジオアルバム。前作『YIELD』(1998年)同様に全米2位まで上昇するものの、セールスは前作の半分となる50万枚程度止まり。シングルカットされた「Nothing As It Seems」が全米49位のヒットを記録しています。

前作で改めて“PEARL JAMであること”を引き受け、過去のスタイルも今やりたいことも絶妙なバランスで織り込むことに成功した彼らですが、その後ジャンク・アイアンズ(Dr)が健康上の理由で脱退。サポートで参加していたマット・キャメロン(当時、元SOUNDGARDEN)がそのまま正式メンバーとしてバンドに加わり、本作からレコーディングに参加することになります。

本作ではそれまでタッグを組んできたブレンダン・オブライエンから、新たにチャド・ブレイクを共同プロデューサーに起用。ブレンダンもミキシングのみ参加し、最強の布陣で制作に臨むことになりました。

実際、オープニング「Breakerfall」からヒットシングル「Nothing As It Seems」、穏やかな「Thin Air」までの6曲流れは最強の一言で、ぶっちゃけ1stアルバム『TEN』(1991年)以降ではもっともスムーズで気持ち良い構成なんじゃないかと思います。要するに、我々がイメージする“PEARL JAMらしさ”が現代的にアップデートされつつも納得できる形で体現できている、と。デビュー10周年を目前に、バンドはまだまだ成長を続けている、だけど一周回ろうとしている。そんな現実が見事に表現された流れだと思いのです。

もちろんそれ以降の流れも文句なしで、大陸的なノリを持つ「Insignificance」やどこか新しさを感じさせるモダンな「Of The Girl」、ドラムのフレーズが気持ち良い「Grievance」、なんとなくアンビエントっぽさも伝わる「Sleight Of Hand」、最後の最後に奇妙なシークレットトラック(これ、アルバムタイトルにちなんだバイノーラルサウンドが表現されているってことなんでしょうか。実際バイノーラル収録されたのは「Of The Gril」「Rival」「Sleight Of Hand」「Soon Forget」の4曲)を含む「Parting Ways」など個性的で“らしい”楽曲が満載。『YIELD』を気に入ったリスナーなら、間違いなく楽しめる1枚かと思います。

ただ、前半の完璧な流れ、楽曲の完成度の高さと比べると、後半は若干ムラがあるのは否めません。捨て曲とまでは言わないまでも、インパクトは弱いかな?と感じる楽曲もいくつかあり、そういう意味ではアルバム全体としての完成度は『YIELD』から少しだけ劣る。だからなのか、当時そんなに聴き込んだ記憶が薄いんですよね。今聴いても悪くないんだけど、だからといって傑作かと問われると正直微妙と答えてしまう。そんなどっちつかずの作品じゃないでしょうか。

迷いとまでは言わないけど、新たなドラマーを迎えデビュー10周年を目前に再び過渡期に突入した……前作でも覚悟からさらなる一歩を踏み出すための準備期間、のような1枚なのかもしれません。

 


▼PEARL JAM『BINAURAL』
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2019年4月 7日 (日)

SOUNDGARDEN『LOUDER THAN LOVE』(1989)

1989年9月に発売された、SOUNDGARDEN通算2作目のオリジナルアルバム。メジャーのA&M Recordsと契約後最初の作品で、これが日本デビュー作となりました(当時はポニーキャニオンからリリース)。

まだグランジなんて言葉が存在しなかった1989年という時代。シーンはまだまだHR/HMバンドで席巻されていた頃で、彼らもその延長線上で語られることが少なくなかったと記憶しています。レッチリはすでにメジャーデビューしていたし、JANE'S ADDICTIONのようなバンドもメタルとオルタナの間で健闘していたけど、SOUNDGARDENに関してはクリス・コーネル(Vo)のハイトーンボーカルとキム・セイル(G)によるヘヴィなギターリフのせいで「実は“こちら側(=HR/HM側)”のバンドなんじゃないか?」と思わせる節が多かったように思います。

当時高校生だった自分も、『BURRN!』のクロスレビューでこのアルバムの発売を知り購入したクチ。「Full On Kevin's Mon」のようなハードコア寄りアップチューンはあるものの、ミドルテンポ中心の作風はメタル小僧だった自分には若干退屈なものでした(笑)。が、ロバート・プラントを思わせるクリスのボーカルと、実は何気に速弾きっぽいフレーズも飛び出すキムのギター、そしてサイケデリックなテイストが散りばめられたサウンドにはどこか惹かれるものがあったのも事実。また、ベーシストのヒロ・ヤマモトが日本人だったというのも興味をそそられる要素のひとつだったことは、改めて記しておきたいと思います。

今でこそ「Gun」のようにオジー時代のBLACK SABBATHを彷彿とさせるヘヴィナンバーに「おおっ!」と唸ったりするものの、当時はオジーサバスに対してそこまでの感情もなかったし(笑)、むしろリアルタムで『HEADLESS CROSS』のようなエモーショナルな作品が出回っていた時期なのでそこと比較することはありませんでしたが、このアルバムの時点ではそこまでサバスをイメージさせる要素はまだ少ないんですよね。むしろ、その要素が一気に強まるのは次作『BADMOTORFINGER』(1991年)以降なのかなと。グランジとオジーサバスとの共通点が語られるようになるのも、それ以降のことですしね。

そういった意味では、本作は1stアルバム『ULTRAMEGA OK』(1988年)を進化させたスタイルと言ったほうが正しいのかもしれません。LAスタイルのHR/HMとは異なる、アンダーグラウンドのオルタナティヴロック経由のシアトルスタイルHRといいますか。ツェッペリンやサバス、あるいは初期KISSなどの70'sクラシックロックから影響を受けつつも、80年代ニューウェイヴ以降の血が混じった独自の視点で組み立てられたスタイルが、のちのグランジと呼ばれるムーブメントにつながっていった。時代の転換期にSOUNDGARDENがいち早くメジャーデビューしたというのも、そういう意味ではすごく頷けるものがある気がします。

どうしても『BADMOTORFINGER』と『SUPERUNKNOWN』(1994年)のイメージが強いバンドですが、この『LOUDER THAN LOVE』で聴くことができるスタイルも捨てがたい。むしろ、1989年という時代にこの音をメジャーで出していたという事実がものすごいことなんじゃないか?と思うのですが、いかがでしょう(なんてこと、あの時代をリアルタイムで通過した人にしか通じないと思いますが)。

 


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2019年4月 6日 (土)

ALICE IN CHAINS『MTV UNPLUGGED』(1996)

1996年7月(日本では同年8月)にリリースされた、ALICE IN CHAINS初のアコースティックライブアルバム。

同年4月10日にニューヨークで収録された『MTV UNPLUGGED』出演時のライブを収めたもので、アルバムは放送時にカットされた3曲(「 Angry Chair」「Frogs」「Killer Is Me」)を含む全13曲で構成されています。

デビュー時こそヘヴィなギターリフとレイン・ステイリー(Vo)&ジェリー・カントレル(G, Vo)による不穏なハーモニーのイメージが強かった彼らですが、『SAP』(1992年)や『JAR OF FLIES』(1994年)といったEP、3rdアルバム『ALICE IN CHAINS』(1995年)にはアコースティックサウンドを軸にした穏やかな楽曲も多く、こういったアーシーな作風も彼らの持ち味となっていきます。なので、彼らアンプラグドに出演すると知ったときは「ようやく」という気持ちが強かったことを今でもよく覚えています。

とはいえ、この頃のALICE IN CHAINSはかなり不安定な時期で、直前の『ALICE IN CHAINS』リリース時などはレインのドラッグ癖による体調不良も重なって「本当にやるの?」と疑問に思ったのもまた事実。当時ケーブルテレビで放送されたものも観ましたし、のちにビデオ作品として発売された映像版も観てますけど……そこまで病んだ雰囲気を感じさせないレインの姿に、ちょっとだけホッとしたものです。

ジェリーによる派手なギターサウンドが皆無なぶん、バンドの軸になるキャッチーなメロディがより際立つアコースティックアレンジですが、ヘヴィな楽曲をこのスタイルで表現してもしっかりヘヴィになるんだと驚かされたりもしました。「Sludge Factory」「Frogs」あたりなんてまさにその真骨頂で、音が簡素になったぶんダークさがより強調されているように思いますし(とはいえ、ベースが意外とゴリゴリしているので、それによるものも大きいのかな)。

と同時に、「Sludge Factory」の直前にMETALLICA「Enter Sandman」を演奏するお遊び感からは、意外とバンドがリラックスしてこのライブに臨んでいたことも伺えます。それもあってか、レインのボーカルからはスタジオ作品から伝わる鬼気迫る感覚や狂気的な空気感がここでは皆無。これがアンプラグド特有の雰囲気によるものなのか、それとも当時の体調によるものなのかはわかりませんが、もし彼がまだ生き延びていてバンドに在籍していたら、きっとこういう表現も普通にできていたんじゃないか……なんて想像してしまいます。

『JAR OF FLIES』や『ALICE IN CHAINS』で聴くことができるソフトサイドも愛せるという人なら絶対に気に入るはずの内容ですし、レイン在籍時の貴重な音源のひとつでもあるので、グランジ時代をリアルタイムで通過していない人にこそ触れてほしい1枚。これもグランジのひとつの側面だったんだぞ、という意味でも知っておいてもらいたいです。

 


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2019年4月 5日 (金)

NIRVANA『LIVE AT READING』(2009)

2009年11月に同名の映像作品DVDとともにリリースされた、NIRVANAの秘蔵ライブアルバム。

メジャーデビュー作品『NEVERMIND』(1991年)のバカ売れ後の1992年8月30日、イギリスで開催された『READING FESTIVAL』のヘッドライナーとして出演した際のパフォーマンスを完全収録(DVDのみ/CDは「LoveBuzz」とMCをカット)したファン待望の1枚。これまでブートレッグで死ぬほど世に出回ったこの映像/音源がカートの死後から15年以上、実際のフェス開催から17年を経てようやくキレイでオフィシャルな形で発売されたわけです。

この時期のカート・コバーン(Vo, G)は予想だにしなかった空前のメガヒットを前に、かなり斜に構えたスタンスで観客やメディアの前に姿を現していたタイミング。このレディングでも金髪の長髪ヅラをかぶり車椅子に乗って登場するなど、どこまで本気でどこからが冗談なのか……というオープニングで客を引かせてから、鋭いギターリフの「Breed」からライブをスタートさせます。

聴いてもらえばわかるように、決して演奏的技術がうまいわけでもないし見ストーンも多い。バカ売れした「Smells Like Teen Spirit」なんて誰もがアルバムと同じ音を求めて来ているのに、わざと音を外す。プロとしてはあってはならないし、人によっては「客をバカにしてる!」と憤慨するんでしょうけど、逆にカートとNIRVANAの面々が、1992年という“醒めた”時代にこれをやることに意味があり、だからこそカッコよかったんだよ……と思うわけです。

当時も存分にカッコいいと思っていたし、あれから20年近くを経た今観ても明らかにカッコいい。本当、真似できないカッコよさですよね。ただ、このカッコよさが成立するのって、デイヴ・グロール(Dr)という鉄壁のリズムが存在したからだとも思うわけでして。特にこれには後年になってから、より強く感じるようになりました。改めてこの人のドラミング(リズムキープやフレージング、パワー含め)、非ハードロック的な時代において実はかなりハードロック的なんですよね。そのアンバランスさが、ハードロック耳の自分にもハマったんだろうなと改めて思います。

もちろん、リズムだけじゃなくて曲の良さも大きい。特に『NEVERMIND』の収録曲はパンクとかオルタナを通り越して、ポップスとしての側面もかなり強いし、その前夜であった『BLEACH』(1989年)の楽曲にも存分に片鱗が感じられる。このライブでは翌年秋に正式リリースされる3作目のアルバム『IN UTERO』(1993年)の楽曲も数曲披露されていますが、『NEVERMIND』と『BLEACH』の中間といった印象でいろいろ舐めきっているのもまた良いです。

もう二度と帰ってこないこの時代、この演奏、このバンド。だからこそ、この1枚の存在は非常に大きい。音源としてももちろんですが、ぜひ映像付きで楽しんでもらいたい作品です。

 


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2019年4月 4日 (木)

KORN『KORN III: REMEMBER WHO YOU ARE』(2010)

2010年7月にリリースされた、KORN通算9枚目のスタジオアルバム。前作『UNTITLED』(2007年/正しくはタイトルなしの無題)からまる3年ぶりの新作であり、Roadrunner Records移籍第1弾アルバム。チャート的には前作同様に全米2位を記録しますが、セールス的には前作まで続いたゴールドディスク/プラチナディスクに満たない、50万枚以下で終わっています。

現在までバンドに参加しているレイ・ルジアー(Dr)が本作から正式参加(前作はテリー・ボジオ、ブルックス・ワッカーマンの2名がゲスト参加)。ジョナサン・デイヴィス(Vo)、マンキー(G)、フィールディー(B)の4人体制での初作品となります。

プロデューサーに初期2作(1994年の1st『KORN』、1996年の2nd『LIFE IS PEACHY』)を手がけたロス・ロビンソンを迎えており、3rdアルバムではないのに『KORN III』と冠したアルバムタイトル含め、原点回帰がコンセプトとしてあった本作。直近数作にあったデジタル的なカラーを排除し、レコーディングも1stアルバム時代のサウンドを追求しようとアナログトラックで録音/マスタリングを敢行。メンバー自身、当時は「このアルバムのKORNにとって真の3rdアルバム」と発言していたこともあり、特に初期ファンは歓喜したのではないでしょうか。

実際、サウンドの質感に初期の生々しさが戻ってきていると思いますし、楽曲的にも「Move On」や「Lead The Parade」「Let The Guilt Go」あたりには初期作にあった狂気性がそこはかとなく感じられます。

ですが、全体を通して思ったのは……サウンドこそ初期作的なものながらも、歌メロなどベーシックな部分は実際の3rdアルバム『FOLLOW THE LEADER』(1998年)や4thアルバム『ISSUES』(1999年)、そして新境地を見せた5thアルバム『UNTOUCHABLES』(2002年)の3作を下地にしているなと。なので、1曲1曲のメロがしっかり耳に残るんですよね。そういった意味では、3rd〜5thを受けて制作された6thアルバム『TAKE A LOOK IN THE MIRROR』(2003年)にも通ずるものがある気がします。もちろん、同作よりも今作のほうが思いっきり振り切れてはいるのですが。

良くも悪くも、大人になってしまったんだな……そんな1枚かもしれません。初期衝動を取り戻そうと無理くり狂気性を演出するのですが、それすらもコントロールされている気がするし。ある意味では、それができるってことはものすごい才能だと思うんです。でも、そのへんが作為的になってしまうと、急に嘘っぽくなってしまうのも事実でして。このアルバムに関しては初期作みたいな即効性こそあるものの、それがあまり長続きしない。「良いんだけどなぁ……」止まりの1枚という気がします。

だからこそ、続く10thアルバム『THE PATH OF TOTALITY』(2011年)での(別の意味での)振り切れっぷりは素晴らしかったんですよね。そんな、過渡期的作品。実に勿体ない。

 


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2019年4月 3日 (水)

PET SHOP BOYS The Super Tour@日本武道館(2019年4月1日)

Img_4088 PET SHOP BOYSのライブなんて何年振りだろうか。そもそも最初に観たのが2002年のフジロックのときで、次に観たのが2013年のソニマニだったような……単独自体は初めて、そもそもこれが19年振りの単独来日公演なのだそうで。そうか、そんなにやってなかったんだ……というのが率直な感想。そもそも、2000年代に入ってからはそんなに頻繁に来ている印象もなかったから、意外でもなかったんだけど。

というわけで、行ってきました。80年代のビッグアクトは次があるかどうかわからないから、女房を質に入れてでも観に行けと死んだばあちゃんが言ってたので。

会場入りしたとき、とにかくシンプルなステージセットに驚きました。ステージ前方にシンセセット1式と、その両脇に丸いスクリーン、後方には白幕(しかも、かなり手前側に張られている)。これ、2人だけでやるのかな……と思っていたところ、会場暗転。SEに導かれてシルバーの被り物をした2人が登場し、そのまま新作『SUPER』(2016年)から「Inner Sanctum」にてライブ開始。かなりゴリゴリなエレクトロナンバーで始めるのね、と思ったら2曲目に早くも80年代のヒット曲「Opportunities (Let's Make Lots of Money)」。ここで観客歓喜……ということで、この日の客層が想像できたのではないでしょうか(そもそも、開演時の明るい時点で、自分と同世代かそれより上の世代が9割という印象でしたけど)。

その後も新作(といっても、すでに3年前のアルバムなんですけどね)と過去のヒット曲を交互に披露し続けていくのですが、そのバランスの良さと旧曲のアップデート感がとにかく絶妙。80年代の曲は場合によってはオリジナルに近い音色のシンセを使うのですが、それがまたちょっと気恥ずかしかったりして。ま、嫌いじゃないですけどね。

途中で2人がヘルメット外したり、両サイドの丸いスクリーン風置物が撤去されたり、後ろの白幕が降ろされるとサポートメンバー3人(バイオリン&シンセ&コーラスの女性メンバーと、パーカッションの男性メンバー×2人)が登場したり、そのサポメンのセットが前に移動したり……というのを、すべて人力で行うわけです(スタッフが大勢ステージに現れ、それらを動かしたりする)。その異様な光景が、いわゆるピコピコしたサウンドと乖離しているといいますか……いや、逆にエレポップサウンドが妙に人間っぽく聴こえてきたと言いますか。とにかく、あんまりエレクトロっぽい冷たさはなかったかな。終始人肌並みの温かみがあった気がします。

にしても、『SUPER』や前作『ELECTRIC』(2013年)の楽曲がとにかく素晴らしいので、80年代のヒット曲、90年代の下世話なディスコナンバーと並んでも全然負けてないし、むしろ強さを感じる。全然昔の曲に頼ってないし、新作を軸にできるだけの強さと自信がビンビン伝わってくるもんですから、観てるこっちもどんどん楽しくなってきちゃって。1階席1列目だったので最後まで座って観ちゃったけど、終始体はリズム取りっぱなしで、終盤に進むにつれてリズムを取る体の動きがどんどん大きくなっていくみたいな。それくらい堪能できました。

圧巻は「It's A Sin」からアンコールにかけての流れでしょうか。とにかくヒット曲のオンパレード。この曲のフィナーレ感と、「Go West」の終焉を告げる感は双璧。アンコールが「Domino Dancing」で始まったときは「まだやってなかったのか!」と驚いたくらいとにかくヒット曲が多いもんだから、今回のセットリストから漏れたおなじみの曲もまだまだあるわけですよ。ああ、聴きたい曲全部やってくれたら3時間じゃ収まらないよね。

DURAN DURANのときも思いましたが、こういうバンドがしっかり現代に良作を出してくれて、その作品を軸にしつつも過去ともちゃんと向き合ってヒット曲を連発するライブを続けてくれる。もうね、こうやって続けてくれるだけでもありがたいし、リスペクトしかない。

ただ、せっかくツアー直前にナイスな新曲を収めたEP『AGENDA』を出したんだから、ここからもやってほしかったなあ。まあ『SUPER』と銘打ったツアーだから、今年後半リリース予定の新作側に寄った最新EPからやらないのは正解なのかもしれないけどね。

 

<セットリスト>
01. Inner Sanctum
02. Opportunities (Let's Make Lots of Money)
03. The Pop Kids
04. In The Night
05. Burn
06. Love Is A Bourgeois Construct
07. New York City Boy
08. Se A Vida É (That's The Way Life Is)
09. Love Comes Quickly
10. Love etc.
11. The Dictator Decides
12. Inside A Dream
13. West End Girls
14. Home And Dry
15. The Enigma
16. Vocal
17. The Sodom And Gomorrah Show
18. It's A sin
19. Left To My Own Devices
20. Go West
--ENCORE--
21. Domino Dancing
22. Always On My Mind
23. The Pop Kids (Reprise)

 

CHILDREN OF BODOM『HEXED』(2019)

CHIDREN OF BODOM通算10作目のオリジナルアルバム。前作『I WORSHIP CHAOS』(2015年)から3年半ぶりの新作で、本国フィンランドでは前作から引き続き1位を獲得しています。

個人的には苦手とするタイプのバンドで、なぜか初期の作品には手が伸びなかったんですよね。なので、ちゃんと聴いたのは5作目の『ARE YOU DEAD YET?』(2005年)が最初。以降、過去の作品をさかのぼったり、新作が出るたびに聴いたりはしていたんですが、それも前々作『HALO OF BLOOD』(2013年)を最後に途絶えてしまい……要するに、個人的には『ARE YOU DEAD YET?』をピークに尻すぼみ的に興味が薄らいでいったわけでして。

正直言っちゃえば、『ARE YOU DEAD YET?』以降の作品ってそこまで良いと思えなかったんです。単に興味の範疇外というだけかもしれないけど。ライブもフェスに出てれば一応は観るけど、数曲でお腹いっぱいになってしまうし。ああ、そういうバンドもいるよね。と深く考えないようにしていました。

で、今回のアルバム。たまたま仕事でリリース前に聴くことができたのですが……あれ、これ聴きやすい? キャッチーじゃない? と。気づいたら2回、3回とリピートしている自分がいたのでした。

何が違うんでしょうね。まあ確実に曲がよく練られているというのはあると思います。ネオクラシカル系っぽい要素が強いのと同じくらい(ちょっと初期っぽい?)しっかりメロデスもデスラッシュもある。中にはメジャーキーをフック的に取り入れた楽曲もあるけど、これが悪くない。ひたすらデス声で通すぶん、楽器の要素やアレンジで差別化を図るしかないこの手のバンドなわけですが、いかんせんここ数作の彼らにはそこに対する意識が弱かったような気がするのです。つまり今回はしっかり聴かせることにまで意識が行き届いている。それがこの良質な内容につながったのではないでしょうか。

曲によっては「このシンセの音色、イマドキないだろ?」っていうのも確かにあります。それはもう好みの問題なのでどうしようもないですが、だからといって曲が悪いわけじゃないのでそのまま聴き進めることができる。たぶんちょっとした工夫の違いなんでしょうけど、今作に関しては非常によい効果が表れているんじゃないかな。だって、こんな自分みたいなリスナーですら楽しめたのですから。

ただ、「これ!」という抜きん出た1曲がないのはちょっとだけ不満かな。それがあるとないとでは大違いですから。少なくとも初期4、5作にはそういった1曲が毎回あったと思うのです。過去曲「Knuckleduster」のリメイクが追加収録されているけど、これが一番良い……なんていうのも違いますし。特にこの手のバンドは10作も作っているとそこが大きな壁として立ちはだかるのではないでしょうか。そのへんが次作以降で解消されることを願いつつ、また次のアルバムも素直に「好き!」と言い切れる内容だとうれしいな。



▼CHILDREN OF BODOM『HEXED』
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2019年4月 2日 (火)

WHILE SHE SLEEPS『SO WHAT?』(2019)

イギリス・シェフィールド出身のメタルコアバンド、WHILE SHE SLEEPSが2019年3月にリリースした通算4作目のフルアルバム。

ちょっと前にこのアルバム発売に際しての宣伝ポスターの文言が話題になりましたが(内容は「No one buys music anymore. But It's okay, we only need 4 million streams to pay for these posters & our rent this month.」→もはや誰も音楽を買わないけど問題ないよ、だった400万ストリーム(再生)でこのポスターの宣伝費用と今月の家賃が払えるんだから)といった皮肉めいたもの)、本国では前作『YOU ARE WE』(2017年)の8位には及ばず、今のところ最高21位止まりとのこと。Spotifyではリードトラックの「Anti-Social」と「Haunt Me」が300万ストリームを突破していますが、それ以外の楽曲は2ケタ万ストリーム止まり。もっと売れてもいいんだけどなあ。

この1月には来日公演を行なったばかりの彼らですが、残念ながら本作は日本盤リリース未定。今作からSpinefarm Records(Universal傘下)流通に変更になったこともあり、契約云々であれなんでしょうかね。

個人的には1stアルバム『THIS IS THE SIX』(2012年)以降ちゃんと聴いてこなかったのですが、前作にはオリヴァー・サイクス(BRING ME THE HORIZON)がゲスト参加していたりと、何かと横のつながりもしっかりしているようですね。

そんな今作ですが、10曲目「Back Of My Mind」にSHVPESのグリフィン・ディッキンソン(Vo)がフィーチャリングされているくらいで、基本的にはメンバー5人の力量による“幅広い”メタルコアサウンドが展開されています。この“幅広い”の意味ですが、先のBMTHが新作『amo』(2019年)で試みた“脱メタルコア”的なものとは異なり、全体的にヘヴィながらも要所要所にシンガロングできそうな歌メロが用意されており、なおかつ味付けとしてエレクトロやヒップホップの要素を散りばめているという“一線を超えずに戦う”姿勢が示されています。

しかも、アップテンポの楽曲も少なくないので、スルスル聴き進めてしまう。ミドルテンポにこだわった最近のBMTHとも、ドラマチックなオーケストレーションを導入したARCHITECTSとも異なり、WHILE SHE SLEEPらしい形でポップさ、キャッチーさを取り入れながらもメタルコアバンドとして格闘する。そんな意思表示が感じられる1枚に仕上がっています。うん、良いじゃないですか。

ただ、バランス感に優れているた故に突出した何かが足りないという印象も。それが今作のセールス的低迷につながっているのかどうかはわかりませんが、このままスルーされてしまうには少々勿体ない1枚だと思います。こんなこと書いてるけど、もっと聴き込んで長期間リピートし続けたら印象がさらに良くなるんじゃないか……そんな可能性を秘めた力作。年末にはベストアルバムの選出していてもおかしくない内容です。



▼WHILE SHE SLEEPS『SO WHAT?』
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2019年4月 1日 (月)

『DOWNLOAD JAPAN 2019』@幕張メッセ(2019年3月21日)

Img_4049
初開催の『DOWNLOAD FESTIVAL』の日本版、いざ蓋を開けてみたら大盛況でしたね。当初はチケットが売れてないなんて話もありましたし、オジー・オズボーンのキャンセルで開催危ういんじゃ?なんて悪い噂も飛び交うほど。けど、これだけ入ったんだったら、来年も大丈夫なんじゃないか?って気がしてきました(もっとも、それだけ魅力的なアクトが揃えばの話ですが)。

今回は雑誌のレポで入ったので、そちらの発売前に詳細なレポを書いてしまうのはルール違反。ということで、ここでは記録として簡単なメモ程度で収めておきたいと思います。

 

LIKE A STORM

ディジュリドゥメタル! ステージ中央にフロントマン、その左右にV字にクロスしたディジュリドゥ2本×2セット。ダウンチューニングのギターだけじゃ足りない“下”を補う、イマドキの低音は心地よいったらありゃしない……けど、序盤はよく聞こえなかったけど(苦笑)。まだアルバム2枚、曲調が似たり寄ったりなのが玉に瑕か。でも良い曲多いよね。

00. Intro
01. Pure Evil
02. The Bitterness
03. Solitary
04. Complicated (Stiches & Scars)
05. The Devil Inside
06. Love The Way You Hate Me


AMARANTHE

ライブ初見。ボーカル3人は多い……けど、ちゃんと役割が振り分けられているし、1人がフィーチャーされている間はほかの2人が休憩できるというフレキシブルさはなかなか。女性シンガーが良い声してたのと、本当に曲が良い。そりゃ売れるわけだ。納得のステージでした。

00. Helix Intro
01. Maximize
02. Digital World
03. Hunger
04. Amaranthine
05. GG6
06. Helix
07. Drop Dead Synical
08. Call Out My Name
09. The Nexus


MAN WITH A MISSION

唯一の日本代表(と、言ってもいいよね?)、かつ非メタルバンド。頭の固いメタルファンから拒絶されるんじゃ……と思っていたけど、さすが百戦錬磨のライブバンド。いざライブが始まれば、自分たちのペースで、自分たちの空間をしっかり作り上げる。最後の「FLY AGAIN」での手ふり、みんな完璧だったもんね。ホッとしました。

01. database
02. Broken People
03. Get Off of My Way
04. Dead End in Tokyo
05. Raise your flag
06. Left Alive
07. Take Me Under
08. FLY AGAIN


HALESTORM

リジーが男前すぎて……完全に21世紀のジョーン・ジェットでした。「Love Bites (So Do I)」では同名バンドLOVEBITESのフロントを担うasami嬢がゲスト参加。リジーに負けないパワフルさで場を盛り上げました。あと、彼らはメタルというよりは埃っぽいアメリカンロックなんだなと、ライブで聴いて再認識。次はフルセットで観たい!

01. Black Vultures
02. Mz. Hyde
03. Love Bites (So Do I) [with asami from LOVEBITES]
04. Tokyo
05. Amen
06. Do Not Disturb
07. Drum Solo
08. Freak Like Me
09. Uncomfortable
10. I Miss The Misery


ARCH ENEMY

ごめんなさい、朝からずっと立ちっぱなしだったので、ここで休憩。外で食事をとりながら音だけ聴いてました。5月にBLACK EARTH来日があるからか、初期曲はゼロ。日本人、みんなARCH ENEMY好きなのね。ラストの「Nemesis」だけじっくり観たけど、やっぱりカッコいいわ。

00. Set Flame To The Night
01. The World Is Yours
02. Ravenous
03. War Eternal
04. Blood On Your Hands
05. You Will Know My Name
06. Dead Eyes See No Future
07. The Eagle Flies Alone
08. As The Pages Burn
09. Dead Bury Their Dead
10. No Gods, No Masters
11. Nemesis
12. Enter The Machine (outro)


ANTHRAX

何気にベストアクトでは? 客の盛り上がり然り、ステージ上の熱量然り。PANTERA始まり&終わりはズルい。あと、久しぶりにライブで聴いた「Be All, End All」が最高すぎました。何度観ても良いバンドは良い。それで十分。

01. Cowboys From Hell (intro) 〜 Caught In A Mosh
02. Got The Time
03. Madhouse
04. Fight 'Em 'Til You Can't
05. I Am The Law
06. Be All, End All
07. Evil Twin
08. Antisocial
09. Indians 〜 Cowboys From Hell (outro)


GHOST

期待のGHOST。ステージセットや演出含め、完全に独自路線。メロウなハードロック感はどこかアリス・クーパー的。けど、ANTHRAXの後というのは分が悪すぎ。せめてSUM 41の後なら……ほかのお客ももっと引き込めたのでは。いや、僕は存分に満足しましたけど、もっと熱狂的な盛り上がりが観たかったな。

01. Ashes
02. Rats
03. Absolution
04. Ritual
05. From The Pinnacle To The Pit
06. Faith
07. Cirice
08. Miasma
09. Year Zero
10. Mummy Dust
11. Dance Macabre
12. Square Hammer


SUM 41

完全な休憩タイム。最後の2曲だけ観ました。代表曲が多いと、ジャンルは少し外れても盛り上がることは盛りがるのね。彼ら目当てのファンも少なくなかったようですし。

01. The Hell Song
02. Over My Head (Better Off Dead)
03. Motivation
04. We're All To Blame
05. Walking Disaster
06. Underclass Hero
07. No Reason
09. We Will Rock You
10. In Too Deep
11. Fat Lip
12. Still Waiting


SLAYER

ちょっと複雑な気持ちに。最高のステージだったんだけど、ラストのトム・アラヤによる日本語MCで感傷的な気分に。「どうせもう一回来るでしょ?」と高を括ってたけど、あれで一気に「本当に最後だ」と嫌でも実感させられた。帝王らしい潔い終焉でした。

00. Delusions Of Saviour
01. Repentless
02. Blood Red
03. Disciple
04. Mandatory Suicide
05. Hate Worldwide
06. War Ensemble
07. Jihad
08. When The Stillness Comes
09. Postmortem
10. Black Magic
11. Payback
12. Seasons In The Abyss
13. Born Of Fire
14. Dead Skin Mask
15. Hell Awaits
16. South Of Heaven
17. Raining Blood
18. Chemical Warfare
19. Angel Of Death


JUDAS PRIEST

4ヶ月ぶりのプリースト。ちょっと前に「Killing Machine」をやったって話があったから、日本でも……と思っていたら、気合い入れて半分近くセットリスト入れ替わってる! しかも選曲がマニアック! これはこれでアリ! あと、東京公演では聴けなかった「he Hellion 〜 Electric Eye」を堪能できたのはうれしかった。やっぱこれでしょ?

01. Firepower
02. Delivering The Goods
03. Sinner
04. The Ripper
05. Evil Never Die
06. Bloodstone
07. Saints In Hell
08. No Surrender
09. Turbo Lover
10. Devil's Child
11. Killing Machine
12. Some Heads Are Gonna Roll
13. Guardians 〜 Rising From Ruins
14. Rapid Fire
15. Hell Bent For Leather
16. Painkiller
--ENCORE--
17. The Hellion 〜 Electric Eye
18. Breaking The Law
19. Living After Midnight

ANTHEM『NUCLEUS』(2019)

来年2020年にデビュー35周年を迎えるANTHEMが、このタイミングで海外の名門メタルレーベルNuclear Blastと契約。世界リリース第1弾として2019年3月末に、これまでの楽曲を英語詞にて再録音したベストアルバム的内容のフルアルバムをリリースしました。

ANTHEMの英語詞アルバムというと、本格的再結成前にグラハム・ボネットを迎えて制作した『HEAVY METAL ANTHEM』(2000年)がありますよね。あのアルバムは80年代のメジャーデビューから90年代初頭の解散までのアルバムから、森川之雄在籍時の4thアルバム『GYPSY WAYS』(1988年)〜7thアルバム『DOMESTIC BOOTY』(1992年)の楽曲中心で構成されていました。坂本英三時代の楽曲は1曲のみでしたが、それでも多くのファンが納得するような代表曲が多い1枚だったと思います。

ところが、今回の世界リリース第1弾となる『NUCLEUS』は全13曲中12曲が2001年の再結成以降に発表された楽曲の再録なのです。具体的に説明すると下記のとおり。

・VENOM STRIKE :7th『DOMESTIC BOOTY』(1992)
・OVERLOAD:9th『OVERLOAD』(2002)
・ETERNAL WARRIOR、OMEGA MAN:10th『ETERNAL WARRIOR』(2004)
・IMMORTAL BIND、ECHOES IN THE DARK:11th『IMMORTAL』(2006)
・BLACK EMPIRE、AWAKE:12th『BLACK EMPIRE』(2008)
・GHOST IN THE FLAME、UNBROKEN SIGN:14th『BURNING OATH』(2012)
・LINKAGE、PAIN:15th『ABSOLUTE WORLD』(2014)
・STRANGER:16th『ENGRAVED』(2017)

再始動一発目の8thアルバム『SEVEN HILLS』(2001年)とビクター時代ラストの13th『HERALDIC DEVICE』(2011年)からは選出なしで、復活2作目の『OVERLOAD』(2002年)と最新オリジナルアルバム『ENGRAVED』(2017年)のみ1曲ずつ、ほかは2曲ずつという選曲。しかも、いわゆるシングル曲(リードトラック)が極力外されており、現在までのライブで演奏される頻度の高いナンバーが選出されているのです。しかも、英詞に変わったぐらいで大まかなアレンジの変更なし。なのにオリジナル音源よりもブラッシュアップされた印象が強いのは、本作のミックス&マスタリングをイェンス・ボグレン(SOILWORKOPETHPARADISE LOSTDIR EN GREYなど)が手がけたことも大きく影響しているのでしょう。音の密度や際立ちぶりが過去のアルバムと大きく異なることで、同じ曲でも違った印象を与えてくれます。

また、ドラマチックな長尺曲「GHOST IN THE FLAME」のあとに、唯一解散前の楽曲「VENOM STRIKE」が置かれているのも興味深いポイント。“中枢”を意味するタイトル含め「再結成後の“今”がベスト!」と言わんばかりの作品の中にこのトリッキーな曲が加わることで、この曲も前後の曲も非常に映えるんですよね。もともと大好きな曲ですが、この流れで聴くとまた新鮮な印象を得られました。

とにかく、息つく暇もないくらいの圧倒感と焼けるような熱量でびっしり埋め尽くされたこのアルバム。正直60数分という決して短くない長さが息苦しくも感じる瞬間もあるのですが、それも繰り返し聴くことで気持ちよくなってくるのですから不思議です。

このアルバムがANTHEMの海外展開において大きな役割を果たす……かどうかはわかりません。年齢的にもキャリア的にも、あと何枚制作できるのかわかりませんし。ただ、このアルバムに関しては出すことに意義があるのかな、という気がしました。

 


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