WHILE SHE SLEEPS『SO WHAT?』(2019)
イギリス・シェフィールド出身のメタルコアバンド、WHILE SHE SLEEPSが2019年3月にリリースした通算4作目のフルアルバム。
ちょっと前にこのアルバム発売に際しての宣伝ポスターの文言が話題になりましたが(内容は「No one buys music anymore. But It's okay, we only need 4 million streams to pay for these posters & our rent this month.」→もはや誰も音楽を買わないけど問題ないよ、だった400万ストリーム(再生)でこのポスターの宣伝費用と今月の家賃が払えるんだから)といった皮肉めいたもの)、本国では前作『YOU ARE WE』(2017年)の8位には及ばず、今のところ最高21位止まりとのこと。Spotifyではリードトラックの「Anti-Social」と「Haunt Me」が300万ストリームを突破していますが、それ以外の楽曲は2ケタ万ストリーム止まり。もっと売れてもいいんだけどなあ。
この1月には来日公演を行なったばかりの彼らですが、残念ながら本作は日本盤リリース未定。今作からSpinefarm Records(Universal傘下)流通に変更になったこともあり、契約云々であれなんでしょうかね。
個人的には1stアルバム『THIS IS THE SIX』(2012年)以降ちゃんと聴いてこなかったのですが、前作にはオリヴァー・サイクス(BRING ME THE HORIZON)がゲスト参加していたりと、何かと横のつながりもしっかりしているようですね。
そんな今作ですが、10曲目「Back Of My Mind」にSHVPESのグリフィン・ディッキンソン(Vo)がフィーチャリングされているくらいで、基本的にはメンバー5人の力量による“幅広い”メタルコアサウンドが展開されています。この“幅広い”の意味ですが、先のBMTHが新作『amo』(2019年)で試みた“脱メタルコア”的なものとは異なり、全体的にヘヴィながらも要所要所にシンガロングできそうな歌メロが用意されており、なおかつ味付けとしてエレクトロやヒップホップの要素を散りばめているという“一線を超えずに戦う”姿勢が示されています。
しかも、アップテンポの楽曲も少なくないので、スルスル聴き進めてしまう。ミドルテンポにこだわった最近のBMTHとも、ドラマチックなオーケストレーションを導入したARCHITECTSとも異なり、WHILE SHE SLEEPらしい形でポップさ、キャッチーさを取り入れながらもメタルコアバンドとして格闘する。そんな意思表示が感じられる1枚に仕上がっています。うん、良いじゃないですか。
ただ、バランス感に優れているた故に突出した何かが足りないという印象も。それが今作のセールス的低迷につながっているのかどうかはわかりませんが、このままスルーされてしまうには少々勿体ない1枚だと思います。こんなこと書いてるけど、もっと聴き込んで長期間リピートし続けたら印象がさらに良くなるんじゃないか……そんな可能性を秘めた力作。年末にはベストアルバムの選出していてもおかしくない内容です。
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