ALICE IN CHAINS『MTV UNPLUGGED』(1996)
1996年7月(日本では同年8月)にリリースされた、ALICE IN CHAINS初のアコースティックライブアルバム。
同年4月10日にニューヨークで収録された『MTV UNPLUGGED』出演時のライブを収めたもので、アルバムは放送時にカットされた3曲(「 Angry Chair」「Frogs」「Killer Is Me」)を含む全13曲で構成されています。
デビュー時こそヘヴィなギターリフとレイン・ステイリー(Vo)&ジェリー・カントレル(G, Vo)による不穏なハーモニーのイメージが強かった彼らですが、『SAP』(1992年)や『JAR OF FLIES』(1994年)といったEP、3rdアルバム『ALICE IN CHAINS』(1995年)にはアコースティックサウンドを軸にした穏やかな楽曲も多く、こういったアーシーな作風も彼らの持ち味となっていきます。なので、彼らアンプラグドに出演すると知ったときは「ようやく」という気持ちが強かったことを今でもよく覚えています。
とはいえ、この頃のALICE IN CHAINSはかなり不安定な時期で、直前の『ALICE IN CHAINS』リリース時などはレインのドラッグ癖による体調不良も重なって「本当にやるの?」と疑問に思ったのもまた事実。当時ケーブルテレビで放送されたものも観ましたし、のちにビデオ作品として発売された映像版も観てますけど……そこまで病んだ雰囲気を感じさせないレインの姿に、ちょっとだけホッとしたものです。
ジェリーによる派手なギターサウンドが皆無なぶん、バンドの軸になるキャッチーなメロディがより際立つアコースティックアレンジですが、ヘヴィな楽曲をこのスタイルで表現してもしっかりヘヴィになるんだと驚かされたりもしました。「Sludge Factory」「Frogs」あたりなんてまさにその真骨頂で、音が簡素になったぶんダークさがより強調されているように思いますし(とはいえ、ベースが意外とゴリゴリしているので、それによるものも大きいのかな)。
と同時に、「Sludge Factory」の直前にMETALLICA「Enter Sandman」を演奏するお遊び感からは、意外とバンドがリラックスしてこのライブに臨んでいたことも伺えます。それもあってか、レインのボーカルからはスタジオ作品から伝わる鬼気迫る感覚や狂気的な空気感がここでは皆無。これがアンプラグド特有の雰囲気によるものなのか、それとも当時の体調によるものなのかはわかりませんが、もし彼がまだ生き延びていてバンドに在籍していたら、きっとこういう表現も普通にできていたんじゃないか……なんて想像してしまいます。
『JAR OF FLIES』や『ALICE IN CHAINS』で聴くことができるソフトサイドも愛せるという人なら絶対に気に入るはずの内容ですし、レイン在籍時の貴重な音源のひとつでもあるので、グランジ時代をリアルタイムで通過していない人にこそ触れてほしい1枚。これもグランジのひとつの側面だったんだぞ、という意味でも知っておいてもらいたいです。

▼ALICE IN CHAINS『MTV UNPLUGGED』
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