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2019年4月19日 (金)

DEATH ANGEL『ACT III』(1990)

1990年4月(日本では5月)にリリースされた、DEATH ANGELの3rdアルバム。過去2作をインディーズ(メジャー流通)のEnigma Recordsから発表してきた彼らでしたが、本作はメジャーのGeffen Recordsから発表。それもこれも、前作『FROLIC THROUGH THE PARK』(1998年)の全米143位という数字と、「Bored」がMTVでヘヴィローテーションされたことが大きかったんでしょうね。ですが、何を間違ったか今作『ACT III』はBillboard 200にランクインせず。えーっ。

プロデューサーにかのマックス・ノーマン(オジー・オズボーンMEGADETHLOUDNESSなど)を迎えて制作した本作。かなり緻密に作り込まれており、なおかつ彼らの新たな魅力が感じられる意欲作に仕上げられています。

全10曲で45分というコンパクトさ(前作は60分近い内容)といい、オープニングを飾るスラッシーな「Seemingly Endless Time」からテンポよく進む構成といい、とにかく聴きやすい。“これぞベイエリア・クランチ!”と言いたくなるようなロブ・キャヴェスタニィ(G)&ガス・ペパ(G)によるリフの刻み・組み立て方がとにかく個性的。かつ、ロブのギターソロが味わい深く、同時期に活動していた他のスラッシュバンドとは異なる色が感じられます。その色は、アコースティックベースの「Veil Of Deception」や「A Room With A View」あたりに濃厚に表れているのではないでしょうか。

かと思うと、リズム隊もまた個性的でして、スラップを取り入れたデニス・ペパ(B)のベースプレイや、当時まだ10代後半だったアンディ・ギャレオン(Dr)のパーカッシヴなプレイもできる高度なドラミングは、確実に他のスラッシュメタルバンドとは一線を画するものでした。すでにレッチリなどは存在したとはいえ、KORNが登場する4年も前に彼らは「Discontinued」のようなファンキーなメタルに挑戦していたのですから……。

もちろん、ボーカルのマーク・オセグエダ(Vo)も良い仕事をしていて、しっかり“歌おう”とする姿勢は“がなる”のが基本になりつつあったスラッシュシーンにおいて異彩を放っています。また、歌い上げるタイプのANTHRAXあたりとも違うスタイルで、実はのちのオルタナメタルやグランジとの親和性も高かったんじゃないか。そんな気すらします。

スラッシュメタルとしては飛び道具的な楽曲も含むもののトータルのバランスは過去イチで、より王道なヘヴィメタルへと近づいた本作。間違いなくこの時点での最高傑作だと思います。ですが、最初に書いたようにセールス的には惨敗しており、ここから続けていけば1991年以降のシーンの変化にも対応できたんじゃないか?と思うのですが……。

(以下、余談)本作のツアー中にアンディがツアーバスの事故に巻き込まれ、頭部損傷。バンドは活動休止に追い込まれてしまいました。そしてアンディが復帰した1993年には、今度はマークが脱退。残された4人はバンド名をTHE ORGANIZATIONと変え、ロブ&アンディがボーカルを担当することに。サウンド的にはスラッシュ色を排除してオルタナ色を強めた、ある意味では『ACT III』の“その先”のようなスタイルでした。まあ、時代的には迷走と言わざるを得ませんが……(余談、ここまで)。

なお、本作は日本でのデジタル配信およびストリーミングなし。こんな名盤がスルーされているなんて、勿体ないったらありゃしない!

 


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