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2019年4月30日 (火)

X『BLUE BLOOD』(1989)

平成最後の日にどのアルバムをピックアップしようか……と考えたのですが、やはりこのアルバムだろうという結論に達しました。

1989年(平成元年)4月、X(現X JAPAN)はこのアルバムでメジャーデビューを果たしました。前年に1stアルバム『VANISHING VISION』をインディーズから発表し、当時としては異例の大ヒットを記録していた彼らが、今作で満を持してのメジャー進出。当時、海外では空前のHR/HMブーム末期であり、ここ日本では1987年頃から本格化したバンドブーム末期というタイミング。そんな中でのXのデビューは、別の意味で後続たちに大きな影響を与えることになります。

今でこそヴィジュアル系の始祖なんて言われる彼ら。特にこのアルバムを指して原点だとかいう意見もあるようですが、その後のV系のルーツでは確かにあるものの、それと同時に以降のV系とは似ても似つかぬスタイルであるのもまた事実。だって、聴けばわかるようにこれ、普通にヘヴィメタルですから。

80年代初頭から始まった“ジャパメタ”の究極形であると同時に、この先数年後に勃発するV系ムーブメントの“精神性”を築き上げた原点。このアルバムはそう捉えるべきではないでしょうか。

まあ、そういた堅苦しい説明はここまでにして。ヘヴィメタル観点からこのアルバムを語ってみたいと思います。

まあとにかく、“トゥ・マッチ”なアルバムですよね。サウンド的には前作の延長線上にありつつも、新たな要素も感じられる。軸になっているのはスラッシュメタルとHELLOWEEN以降の“クサメタル”。ジャパメタ的要素は意外と薄かったりするんですよね。メロディこそ日本的な情緒を感じさせますが、ぶっちゃけジャパメタのそれともどこか違う。

で、本作にはHIDE(G)やTAIJI(B)のカラーが少しずつ強くなっており、アメリカンハードロック色が加わり始めている(それが本格的に開花するのは、次作『JEALOUSY』なのですが)。ただ、この時点ではそれがYOSHIKI(Dr, Piano)の色と混ざり合うことでいびつさを生み出している。それがこのアルバムの特異性であり、最大の魅力ではないかと思うのです。

もちろん、それはYOSHIKIという希代の名ソングライターが生み出した名曲たちと並ぶことで、より光を放つことになるわけですが。

そこにドラムの音のデカさ(笑)と、TOSHI(Vo)の“アグレッシヴなのに耳障りの良い歌声”がミックスされることで生まれる、アンバランスさや危うさ……完成され切っていないこの荒々しさあってこその『BLUE BLOOD』。続く『JEALOUSY』がサウンド的に完璧だったのに対して、本作には初期にしか出せないバランス感が見事に表現されていると思います。

そうそう。本作がヘヴィメタルたる所以はその魅力的なギターリフにもあると思っています。90年代以降のV系との大きな違いはここ。こういう点でオールドスクールと言われてしまいがちですが、これがあるとないとではまったく異なるわけですよ(だから優れている、劣っているという話ではないですよ。念のため)。

楽曲に関しては文句のつけようなし。演奏も緻密さ、荒さ双方が備わっており、日本人が大好きなHIDE&PATA(G)のツインリードも随所に登場する。TAIJIのスラップを多用したインスト「XCLAMATION」も新鮮だし、そこから続く「オルガスム」では問答無用に頭を振りたくなる。12分にも及ぶ大作「ROSE OF PAIN」の構成など含め、ケチのつけようがない1枚。これはバンドブームやV系という限られた枠の中で語られるべきではないですし、平成を代表する、いや、日本のロックシーンを代表する1枚として認識されるべきだと思うのです。

良くも悪くも、平成の音楽シーンはここから始まった。そう断言しても間違いじゃない。それくらい日本のシーンにとって重要な1枚です。

……って、当時高校生だった僕は、そこまで深く考えてなかったけどね(笑)。シンプルにカッコいいヘヴィメタルアルバム。それで十分だったはずです。

 


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