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2019年4月18日 (木)

SACRED REICH『IGNORANCE』(1987)

アメリカ・アリゾナ州フェニックス出身の4人組スラッシュメタルバンド、SACRED REICHが1987年にリリースした1stアルバム。同作は今や名門メタルレーベルでおなじみ、Metal Blade Recordsから発表された1枚で、続く2ndアルバム『THE AMERICAN WAY』(1990年)とあわせて彼らの代表作として高く評価されています。

サウンド的にはテクニカルな展開を組み込みつつも、ハードコア的な色合いが強いスラッシュメタルが特徴。全9曲(うち1曲はインスト)で32分強というトータルランニングからは、この手のスラッシュメタルとしてはかなりコンパクトな印象を受けます。

また、唐突かつ複雑怪奇なアレンジと、フィル・ラインド(Vo, B)の吐き捨てるようなハードコア調ボーカルが相まって、かなり攻撃的なイメージが強いのも彼らの個性かな。この展開に展開を重ねるアレンジ、本作ではまだ荒削りで、作品を重ねるごとに洗練されていくのですが、ここで聴ける荒々しさも勢いがあって嫌いじゃない。曲によっては若干初期のデスメタル風でもあったりして、そこもまた面白い。実は知的に計算しているようでヤケクソっぽく聴こえるというあたりが初期のSLAYERっぽくもあって、個人的にポイントが高いというのもあるのですが。

また、彼らは社会派といいますか、政治的な歌詞が多いのも特徴。METALLICAANTHRAXあたりは比喩的表現でそのへんを歌った楽曲も少なくないですが、彼らの場合はかなり直接的な楽曲が多いような気がします。そういった雰囲気は、本作含めアルバムジャケットからも伝わってきますよね。ぶっちゃけ僕、最初はこのアルバムをDEAD KENNEDYSのようなバンドの作品だと勘違いしていたくらいですから。

そして、ギターリフに視点を置くと、かなり西海岸(ベイエリア・クランチ)の香りがしてきます。このザクザク感がぶっきらぼうな曲展開をより聴きやすくしている気がするし、気持ち良さの要因のひとつになっていることは間違いないと思います。

そう考えると、80年代後半に登場した彼らって(結成は1985年)、初期スラッシュメタルバンドのいいとこ取り、ハイブリッド的存在なのかなと。次作以降、彼らならではのオリジナリティが確立されていくので、そういった意味ではこのアルバムで聴けるサウンドってそのハイブリッド感含め、実はかなり奇跡的な内容なんじゃないかという気がしてきました。当時はそんなこと、微塵も思わなかったけど(苦笑)。

個人的には時流に乗ったグルーヴメタル色を取り入れた3rdアルバム『INDEPENDENT』(1993年)までの3枚は非常にお気に入り。ぜひ機会があったら他の作品も聴いてみてください。なお、本作のストリーミング版はJUDAS PRIEST「Rapid Fire」やBLACK SABBATH「Sweet Leaf」などのカバーを加えたDISC 1と、1988年のEP『SURF NICARAGUA』にボーナストラックを加えたDISC 2からなる2枚組バージョンとなっているので、彼らのルーツとともに進化の過程も追えるんじゃないかしら。必聴です。

 


▼SACRED REICH『IGNORANCE』
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