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2019年4月23日 (火)

INXS『X』(1990)

1990年9月(日本は同年10月)に発表された、INXS通算7作目のオリジナルアルバム。「Suicide Blonde」(全米9位)、「Disappear」(同8位)、「Bitter Tears」(同46位)というヒットシングルが生まれ、アルバム自体も全米5位、200万枚以上を売り上げるヒット作となりました。

6thアルバム『KICK』(1987年)のメガヒット(「Need You Tonight」の全米1位、およびアルバムの600万枚を超えるセールス)を経て、バンドは大々的なワールドツアーを展開。結果として、次作発表までに3年もの月日を要することとなってしまいました。

プロデューサーには『LISTEN LIKE THIEVES』(1985年)、『KICK』という英米でのブレイクを作ったクリス・トーマス(PINK FLOYDROXY MUSICSEX PISTOLSU2など)が三度担当。ダンサブルな側面を見せつつもロックバンド然とした佇まいや骨格が強みだった前作や前々作から一転、本作ではロック色は残しつつもそれ以上にダンスミュージックやブラックミュージックからの影響が余すところなく表現され、当時流行していたクラブミュージックのフレイバーを散りばめられたグルーヴィーな1枚となっています。

ひたすらファンキーでダンサブルな「Suicide Blonde」を筆頭に、『LISTEN LIKE THIEVES』より前のこのバンドのカラーが見え隠れする「The Stairs」や「Faith In Each Other」からは単なる焼き直しではない、大人になった彼ららしいセクシーさ、ダンディズムみたいなものが伝わってきます。

かと思えば、前作の延長線上にあるブルージーかつエモーショナルなソウルバラード「By My Side」や黒っぽいロック「Bitter Tears」、若干のダークさが見え隠れするダンスロック「Lately」、余裕すら感じられる大人のロック「On My Way」や「Hear That Sound」も残されている。『KICK』にあった豪快さや奔放さは後退したものの、このアダルト感は彼らにとって新たな武器になったことは間違いありません。実際、時代もそういった方向にシフトしつつありましたしね。

特にアメリカでは、セールス面でのピークは本作まで。シーン的にもグランジやヒップホップ主流の時代に突入していくことで、彼らのようなロックバンドは苦戦を強いられることになります。が、作品の充実度でいえば、次作『WELCOME TO WHEREVER YOU ARE』(1992年)での覚醒が控えているだけに、本作は『KICK』との狭間で若干インパクトが弱く感じてしまうかもしれません。そういった過渡期の1枚だからこそ、実はいろんな実験やチャレンジが見え隠れする、絶対に聴いておきたい作品なんですけどね。

 


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