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2019年5月14日 (火)

ENUFF Z'NUFF『10』(2000)

ENUFF Z'NUFFが2000年10月にリリースした通算9作目のスタジオアルバム(日本では同年3月に先行リリース)。9作目なのに『10』というタイトル? と当時は疑問に思ったものですが、これは1998年のライブアルバム『LIVE』を加えた「通算10作目のアルバム」という意味なんだとか。紛らわしいですね。

この頃の彼らは海外ではインディーズ、日本ではメジャー(ポニーキャニオン)という非常に不安定な状況下でしたが、こうやって安定した良作を日本でしっかり流通させてくれる、しかも海外よりも半年以上も前にリリースしてくれるという恵まれた現状を喜ばしく思ったものです。

が、そういった活動状況が災いしてか、本作は日本でリリースされたバージョンと、半年後に海外でリリースされたバージョンとで収録内容および曲順が一部異なりました(もっと言えばジャケットもね)。SpotifyやApple Musicで聴けるストリーミングバージョンは今でこそ日本バージョンに準じた内容なので、ここでは初出の日本バージョンで話を進めます。

前作『PARAPHERNALIA』(1999年)までの数年は過去に制作した音源をパッケージしてお茶を濁していた感が強かった彼らですが、その『PARAPHERNALIA』で本格的に息を吹き返し、続く今作『10』では当時の彼らが目指した「普遍的なロック/パワーポップ」スタイルがひとつの到達点にまで達したように思います。

デビュー当時のようなフラッシーなギタープレイや重厚なハードロックサウンドを完全に排除して、地味ながらも普遍的な楽曲作りに専念した結果が本作なのかなと。それに、『PARAPHERNALIA』までは確実に存在したハードロック的要素が本作では可能な限り払拭されている。スタイル的にはダークな『TWEAKED』(1995年)とアコースティックベースの『SEVEN』(1997年)をよりスケールアップさせたような印象を受けますが、今作でのソングライターとしての手応えは、間違いなくバンドの(というよりもフロントマンであるドニー・ヴィの)その後の方向性を決定づけたと言っても過言ではない気がします。

若干ダークながらもヘヴィすぎない「Wake Up」から「The Beast」への流れ、そこから一気に弾ける「There Goes My Heart」という構成も素晴らしいですし、何よりも「There Goes My Heart」という名曲が含まれているというだけで本作に対する評価は大きく変わる気がします。

さらに「All Right」や「Holiday」といった良メロナンバーも含まれていますし、「Bang On」みたいなアップテンポのロックンロールやサイケデリック調の「Fly Away」、本作でもっともハードロック色が強い「No Place To Go」(USバージョンの『PARAPHERNALIA』にオリジナルバージョン収録。今作のバージョンではチップ・ズナフが歌唱)があったりと、アルバムとしてもバラエティ豊か。「ENUFF Z'NUFFってどんなバンド?」と質問されたら、まずこれを聴かせておけ!と言いたくなるくらい、“らしさ”がたっぷり詰まった1枚です。

 


▼ENUFF Z'NUFF『10』
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