« YES『FRAGILE』(1971) | トップページ | PETER GABRIEL『US』(1992) »

2019年5月29日 (水)

GENESIS『WE CAN'T DANCE』(1991)

1991年10月にリリースされた、GENESIS通算14枚目のスタジオアルバム。フィル・コリンズ(Vo, Dr)、マイク・ラザフォード(G, B)、トニー・バンクス(Key)という“メガヒット期”の黄金トリオでの最後のアルバムにして、前作『INVISIBLE TOUCH』(1986年)や前々作『GENESIS』(1983年)にも匹敵する大ヒット作(全英1位/全米4位。イギリスでは過去最高の5×プラチナム、アメリカでも4×プラチナムを記録)となりました。

また、前作ほどではないものの、「No Son Of Mine」(全英6位/全米12位)、「I Can't Dance」(全英7位/全米7位)、「Hold On My Heart」(全英16位/全米12位)、「Jesus He Knows Me」(全英20位/全米23位)、「Never A Time」(全米21位)とヒットシングルも多数誕生しています。

ヒュー・パジャムをプロデューサーに迎えた『GENESIS』『INVISIBLE TOUCH』の2作でシンセポップ路線を確立させたGENESISでしたが、ぶっちゃけフィル・コリンズのソロとの違いはどこにあるのか……という疑問が生まれたのもまた事実。特に『INVISIBLE TOUCH』はその方向性が顕著で、それもあってシングルがバカ売れしたのもあったんじゃないでしょうか。

ところが、フィルのソロが80年代末から内省的な方向へとシフト。その余波はバンドの路線にも多少なりとも影響……したと言えるのではないでしょうか。

特に、今作の序盤は「No Son Of Mine」「Jesus He Knows Me」「Driving The Last Spike」といつになくシリアス路線です。特にこの3曲はロック色も強まっており、アップテンポの「Jesus He Knows Me」や10分にもおよぶ「Driving The Last Spike」からは“もともとはプログレバンドだったんだよね、俺たち”という強いこだわりも見え隠れします。

かと思えば、打ち込みを多用したダウナーなダンスポップ「I Can't Dance」があったり、AOR的なミディアムバラード「Never A Time」、プログレポップ=ポンプ的路線の「Dreaming While You Sleep」、アダルトロックな「Tell Me Why」や「Living Forever」、フィル・コリンズらしい王道バラード「Hold On My Heart」など聴き手を選ばない心地よいテンポ感/サウンドの楽曲が続きます。とはいえ、どの楽曲もアレンジまで含め非常にきめ細やかに作り込まれたものばかりで、隙を一切見せることはない。

さらに、終盤に入ると再びダークなアダルトロック「Way Of The World」、スタンダード調のバラード「Since I Lost You」と続き、最後は再び10分強のモダンなプログレナンバー「Fading Lights」で幕を下ろします。

全12曲で71分という非常に長いアルバムですが、プログレバンドとしての意地とヒットメイカーとしての誇り、そしてアーティストとして現状維持を望まない成長ぶりなどいろんな要素が凝縮された結果、このボリュームとなったのでしょう。結果、フィルはここでバンドとしてやり尽くしてしまったが故に脱退を選ぶことになるのですが。

ポップアルバムとしての『INVISIBLE TOUCH』の完成度の高さは疑いようがありませんが、片やロックアルバムとしての極みは本作にて表現されている。それも間違いない事実なわけです。個人的にはGENESISのアルバムでもっとも好きな1枚です。

 


▼GENESIS『WE CAN'T DANCE』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

« YES『FRAGILE』(1971) | トップページ | PETER GABRIEL『US』(1992) »

1991年の作品」カテゴリの記事

Genesis」カテゴリの記事

カテゴリー