PETER GABRIEL『US』(1992)
1992年9月発売の、ピーター・ガブリエル通算6枚目のオリジナルアルバム。前作『SO』(1986年)から6年ぶりの新作でしたが、その間には映画『最後の誘惑』サウンドトラックアルバム『PASSION』(1989年)や初のベストアルバム『SHAKING THE TREE』(1990年)が発表されていたので、意外と空いた感覚は少なかったような記憶があります。
『SO』が全英1位/全米2位を記録し、特にアメリカでは500万枚以上を売り上げ、「Sledgehammer」(全英2位/全米1位)や「Big Time」(全英13位/全米8位)といったヒットシングルまで生み出したピーガブですが、続く本作『US』は前作の延長線上にある世界観が展開されています。
ですが本作、『SO』にあった煌びやかさや派手さは皆無。ひたすら地味でダウナーでダークな世界観が展開されていきます。確かにこれも『SO』の中にあった一部分ではあるものの(いや、大半はこういった作風で、むしろ「Sledgehammer」や「Big Time」といったシングル曲が異色だったわけですが)、この地味さは1992年という時代にもフィットしていたんじゃないか……当時を振り返ると、そんな印象が残っています。
だってこのアルバム、『SO』以上に聴きまくったもの。中高生の頃にヒットした『SO』は、MTVでのブレイクもあって至るところで楽曲を耳にしましたが、アルバム単位では10代半ばの小僧が聴くには少々大人びた内容だったんですよね。ところが、そこから6年を経て20代に突入した自分は多少なりともいろんな音楽を耳にするようになったこともあり、この『US』の地味さが妙に心地よかったりしたんですよね。
序盤3曲(「Come Talk To Me」「Love To Be Loved」「Blood Of Eden」)の流れるような穏やかさは、そのサウンドに身を任せるだけで気持ち良い。かと思うと、先の「Sledgehammer」の進化系でもある「Steam」のキャッチーさは本作の中では異色の輝きを放っている。めっちゃポップですよね、この流れで突如現れると。
そして「Only Us」で再びダウナーな世界へと舞い戻り、異常に音数の少ないスタンダート調スローナンバー「Washing Of The Water」で心を落ち着かせ、ピーガブ流ヘヴィロックと言えなくもない「Digging In The Dirt」で再び熱を帯びる。オリエンタルな香りのする「Fourteen Black Paintings」やロック色の強いミディアムダンスチューン「Kiss The Frog」を経て、最後に穏やかな中にも高揚感を覚えるビートが心地よい「Secret World」で約60分の旅を終える。うん、完璧な構成じゃないでしょうか。
何気に『SO』よりも好きだし、実際『SO』よりも完成度の高い1枚だと思うのですよ。セールス的には『SO』には及ばないものの、僕の中では一番リピートする機会の多い作品です。
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