EUROPE『SECRET SOCIETY』(2006)
2006年10月(日本では11月)にリリースされた、EUROPE通算7作目のオリジナルアルバム。前作『START FROM THE DARK』(2004年)で本格的再始動を果たした彼らの、再結成後2作目のスタジオ作品となります。
前作では大ヒット作『THE FINAL COUNTDOWN』(1986年)を手がけたケヴィン・エルソンをプロデューサーに迎えたものの、そのサウンドは『THE FINAL COUNTDOWN』とはまったく異なる、80年代中期のDEEP PURPLEを彷彿とさせるミドルテンポ中心のヘヴィな作風でした。ジョン・ノーラム(G)のやりたいようにやらせすぎ!などいろんな声がありましたが、ソングライティングでジョンが絡んでいるのって半分くらいで、むしろ彼ひとりがどうこうじゃなくて、「ジョーイ・テンペスト(Vo)の今の声域に合わせた曲作り」「もはや大ヒットを狙うのではなく5人の趣味、やりたいことに素直になる」などの結果だったのだと思うのです。
そんな賛否両論あった復帰作から2年。正真正銘の勝負作となるこのアルバムではバンドがセルフプロデュースを担当。作風的には前作の延長線上にあるものの、アップテンポの楽曲が一気に増えたことでアルバムとしてもスムーズでまとまりがあるように感じられます。
また、メロディセンスも前作より際立つものが多く、オープニングを飾る新機軸ナンバー「Secret Society」やシングルカットもされた「Always The Pretenders」、ミドルテンポの「Wish I Could Believe」、ピアノやストリングスをフィーチャーした泣きメロパワーバラード「A Mother's Son」、往年のポップさにも通ずる「Forever Traveling」など聴きどころも多く、前作の汚名返上は果たせたのではないかと思います。
個人的にも、どこかRUSHを思わせる「Secret Society」を初めて聴いた時点で「お、ついに次のフェーズに入ったか!」と前向きに捉えられたし、むしろこのバンドに「The Final Countdown」(楽曲のほう)や2ndアルバム『WINGS OF TOMORROW』(1984年)の幻影を追うのは酷なのではと思ったのでした。つまり、「彼らが再結成してまでやりたいことって何なのだろう?」って素直に知りたくなったのです。
だから、続く8thアルバム『LAST LOOK AT EDEN』(2009年)に初めて触れたときは「新しい全盛期がくる!」と確信したのですが……。
新作が出るたび、いまだにそういった80年代の幻影と追い求め、比較して貶すこと、そろそろやめません? 過去との比較と決別し、作品単位で向き合ってみてはどうでしょうか。そこで初めて見えてくるもの、このバンドにはたくさんあるはずなので。これはその取っ掛かりに最適な1枚だと思います。
▼EUROPE『SECRET SOCIETY』
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