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2019年5月 6日 (月)

THERAPY?『SEMI-DETACHED』(1998)

1998年3月(日本では4月)に発売された、THERAPY?の4thフルアルバム。実験的な作風の前作『INFERNAL LOVE』(1995年)にチェロでゲスト参加していたマーティン・マッカリック(ex. SIOUXSIE AND THE BANSHEES)が、本作からギター&チェロで正式参加。新たに4人編成のバンドとして再スタートを切ることになりました。

プロデューサーは名作『TROUBLEGUM』(1994年)を手がけたクリス・シェルドンが再び担当。サウンドのタッチ的には同作ほど冷たさはないものの、『INFERNAL LOVE』で落胆したファンを再び納得させるだけの“あの”テイストは若干復調しているように思います。

が、オープニングを飾る「Church Of Noise」には当時誰もが驚いたのではないでしょうか。メロディの“ひねくれているけどキャッチー”なところは従来のTHERAPY?らしいのですが、全体的に能天気さが漂っている。電話のプッシュ音をフィーチャーしていたり、エンディングのオルガンの牧歌的な音あったりと、とても『TROUBLEGUM』や『INFERNAL LOVE』と作ったバンドと同じものとは思えないほど。2曲目「Tightrope Walker」の曲調や、中盤に登場するツインリードも然り、ですよね。

かと思えば、THE WiLDHEARTSを彷彿とさせる疾走感の強いパワーポップ「Lonely, Cryin', Only」があったりと、メジャーキーのインパクトが強い楽曲がいくつか含まれており、最初に聴いたときは面食らったことを今でもよく覚えています。で、それら2曲がシングルカットされているという事実。ブリットポップも終わり、パンキッシュなバンドもひと段落したこのタイミングに彼らがどこへ向かおうとしていたのか、不安を感じずじはいられませんでした。

とはいえ、それ以外の楽曲は従来のTHERAPY?らしさを踏襲している。「Black Eye, Purple Sky」や「Born Too Soon」のダーク&ヘヴィさは前作までの彼らのまんまだし、「Stay Happy」あたりからは90年前後のオルタナティヴロックやグランジからの影響が見え隠れする。ああ、基本的にやりたいことは変わってないんだな……とここでちょっとだけ安心するわけです。

思えば『TROUBLEGUM』にも「Nowhere」のようなキャッチーでポップな楽曲は含まれていましたし、その路線を別のテイストで表現したと思えば先のメジャー路線も納得できるんですけど、いかんせんインパクトが強すぎた(笑)。しかも推し曲としてシングル化するわけですから、「今後そっちで行きたいの?」と勘違いしてしまったわけです。ごめんよ、アンディ・ケアンズ(Vo, G)。

確かに、もうここには『NURSE』(1992年)までの尖りきった彼らは存在しないのかもしれません。けど、要所要所にその鋭さは残されている。要は表現の仕方や整理の仕方が上手になったということなのでしょう。そういう意味では、『NURSE』以前の彼らとも地続きでつながっていることが理解できる、そんな集大成的な1枚が本作なのかもしれませんね。

あ、本作は国内サブスクリプションサービスでは聴くことができません。日本盤は廃盤状態ですが中古ショップをこまめに回れば見つけることができるはずなので、ぜひチェックしてみてください。

 


▼THERAPY?『SEMI-DETACHED』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

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