MICHAEL MONROE『BLACKOUT STATES』(2015)
2015年10月に発表された、マイケル・モンローの同名バンド名義による3rdアルバム。マイケル個人としては通算8枚目のソロアルバムに当たります(JESUSALEM SLIM、DEMOLITION 23.を含むと10枚目)。
前作『HORNS AND HALOS』(2013年)から加わったドレゲン(G / BACKYARD BABIES、THE HELLACOPTERS)が早くも脱退(こちらは健康上の理由とBACKYARD BABIES再始動が理由)。ジンジャー・ワイルドハート、ドレゲンとスター性の強いギタリスト、かつソングライターとしても強烈な個性を持つ人間がアルバムごとに変わる状況含め、いかにもマイケル・モンローらしいなと思ってしまいましたが、ドレゲンに代わり加入したのはリッチ・ジョーンズ(ex. THE BLACK HALOS、ex. AMEN、ジンジャー・ワイルドハードなど)。
……あれ、今回地味じゃね?(苦笑)
そう思った人、仲間だね(笑)。リッチは2013年のジャパンツアーに参加できなかったドレゲンの代役として帯同したキャリアの持ち主で、加入も自然な流れだったんでしょう。要は“人間性”が求められたのかな。
前作の時点でソングライティング能力を遺憾なく発揮していたもうひとりのギタリスト、スティーヴ・コンテは本作でも大半の楽曲に名を連ねており、改めてこのバンドのメインソングライターとして手腕を振るっていますが、さて、リッチ・ジョーンズはどうかといいますと……。
全13曲中8曲にクレジットされており、そのすべてがスティーヴとの共作、あるいはその2人とサミ・ヤッファ(B)やマイケルとの共作という形となっています。スティーヴのように単独名義での楽曲はないものの、少なからずバンドの曲作りに貢献できているようです。ひと安心。
さて、肝心の内容ですが、どこからどう切り取ってもマイケル・モンローそのもの。ソロになってから、特にこのバンド編成になってからの彼のパブリックイメージそのままのサウンド/楽曲を楽しむことができます。つまり、「ポップで親しみやすいメロディが備わった豪快なロックンロールとパンクロック、ときどきレイドバックしたカントリーロック風ポップチューンも」楽しめるというわけです。あと、ディー・ディー・ラモーン(RAMONES)が生前書き残した未発表曲「Under THe Northern Lights」が、マイケルの手によって正式レコーディングされているのも本作の特徴かな。
ただ、悪い言い方をしてしまうと、何の驚きもない予定調和とも受け取れる。これはもう、聴き手に委ねるしかありませんが……僕はわりと好きです。いや、かなり好きかな。飛び抜けてすごい!と思える楽曲が1曲くらい欲しかった気がするけど、前作と前々作『SENSORY OVERDRIVE』(2011年)が良すぎたというのも大きいのかしら。ちょっと贅沢ですよね。
そんな中、個人的には「R.L.F.」という高速パンクチューンが大のお気に入り。これ、マイケルが昔から口にしてきた信条「Rock Like Fuck」のことですからね。そりゃ嫌いになれるわけがない。いまだにこの姿勢でロックと向き合ってくれていることに感謝します。
さて、本作リリース後は30年のソロキャリアを総括するベストアルバム『THE BEST』(2017年)をリリースしていますが、オリジナルアルバムは4年待っても届かない状況。そんな中、この夏には『SUMMER SONIC』で3年ぶりの来日が実現……ってことは、そろそろってことですよね? 期待してもいいですよね? 過剰に期待して待ってます。
▼MICHAEL MONROE『BLACKOUT STATES』
(amazon:国内盤CD / 国内盤CD+DVD / 海外盤CD / MP3)
« JOHN DIVA & THE ROCKETS OF LOVE『MAMA SAID ROCK IS DEAD』(2019) | トップページ | RAMMSTEIN『(untitled)』(2019) »
「2015年の作品」カテゴリの記事
- PANTERA『BEFORE WE WERE COWBOYS』(2015)(2023.03.23)
- CARCASS『SURGICAL STEEL』(2013)、『SURGICAL REMISSION / SURPLUS STEEL』(2014)(2023.03.18)
- MOTÖRHEAD『BAD MAGIC: SERIOUSLY BAD MAGIC』(2023)(2023.03.01)
- BRYAN ADAMS『GET UP』(2015)(2023.01.25)
- KISSのベストアルバムを総括する(2022年版)(2022.12.04)
「Michael Monroe」カテゴリの記事
- SAMI YAFFA『SATAN'S HELPERS, WARLAZER EYES & THE MONEY PIG CIRCUS』(2024)(2024.03.15)
- MICHAEL MONROE: JAPAN TOUR 2024@Spotify O-EAST(2024年2月6日)(2024.02.08)
- 2022年上半期総括(2022.07.05)
- STEVE CONTE『BRONX CHEER』(2021)(2022.06.12)
- MICHAEL MONROE『I LIVE TOO FAST TO DIE YOUNG!』(2022)(2022.06.11)
「Ramones」カテゴリの記事
- RAMONES『MONDO BIZARRO』(1992)(2022.08.04)
- RAMONES『RAMONES』(1976)(2021.01.15)
- MICHAEL MONROE『BLACKOUT STATES』(2015)(2019.05.17)
- SKID ROW『B-SIDE OURSELVES』(1992)(2018.02.03)
- 「FUJI ROCK FESTIVAL '01」DAY 1@苗場スキー場(2001年7月27日)(2001.08.08)