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2019年6月

2019年6月30日 (日)

2019年1月〜3月のアクセスランキング

ココログがリニューアルされた際に、今まで使っていなかった機能をいろいろチェックしていたのですが、その中で普段あまり触れていなかったアクセス解析内のベージビュー数ランキングを触ってみたところ、なかなか興味深い結果が見えてきました。

ということで、せっかくだからこれ、定期的に公開してみようかなと思います。まあテストケースとして今回書いてみますが、今後の更新に関してはこの記事がどの程度反響があるのか(数字上)で判断してみようと思います。

さて、それでは上位30エントリーを紹介していきます(トップページやアーティスト別カテゴリーへのアクセスなどは省いております)。

 

1位:「#平成の30枚」(※2019年3月12日更新)

2位:VOIVOD THE WAKE JAPAN TOUR 35TH ANNIVERSARY@TSUTAYA O-WEST(2019年1月18日)(※2019年1月19日更新)

3位:VOIVOD『THE WAKE』(2018)(※2018年12月9日更新)

4位:VINCE NEIL『EXPOSED』(1993)(※2017年3月24日更新)

5位:QUEEN『LIVE KILLERS』(1979)(※2018年10月24日更新)

6位:GHOST『PREQUELLE』(2018)(※2018年6月23日更新)

7位:電気グルーヴ『DRAGON』(1994)(※2004年12月15日更新)

8位:HELMET『MEANTIME』(1992)(※2017年8月16日更新)

9位:IHSAHN『ÁMR』(2018)(※2018年6月27日更新)

10位:2018年総括(1):洋楽アルバム編(※2018年12月31日更新)

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2019年6月のお仕事

2019年6月に公開されたお仕事の、ほんの一例です。随時更新していきます。(※6月29日更新)

 

[WEB] 6月28日、「ENTAME next」にて欅坂46関有美子&松田里奈インタビュー「欅坂46 二期生 関有美子&松田里奈「『黒い羊』で先輩方の思いの強さが伝わってきて泣きそうに」」が公開されました。

[WEB] 6月28日、「ENTAME next」にて欅坂46齋藤冬優花&佐藤詩織インタビュー「欅坂46 齋藤冬優花&佐藤詩織「次に何が待ち受けている分からないからこそ楽しい」」が公開されました。

[WEB] 6月26日、「リアルサウンド」にてHER NAME IN BLOODのアーティスト評「HER NAME IN BLOODは現在進行形で進化を続ける 10年の歩みと今が詰まったベスト盤を聴く」が公開されました。

[WEB] 6月25日、Maison book girlオフィシャルサイトにて「Solitude HOTEL 7F」インタビューが公開されました。

[紙] 6月24日発売「TV Bros.」2019年8月号にて、でんぱ組.inc『いのちのよろこび』、羊文学『きらめき』、ズーカラデル『ズーカラデル』、Tycho『Weather』の各ディスクレビューを担当・執筆しました。(Amazon

[WEB] 6月21日、「Rolling Stone Japan」にてHYDEのインタビュー「HYDEが語る「残された時間」と「最後の挑戦」」が公開されました。

[WEB] 6月19日、「リアルサウンド」にてThe Winking Owlのインタビュー「The Winking Owl、メンバー復帰で踏み出した新章への一歩「悩んでる感じが完全に取っ払われた」」が公開されました。

[WEB] 6月12日、「リアルサウンド」にてSurvive Said The Prophetのアーティスト評「米津玄師、SIRUP、Suchmosらに続く? Honda CMで注目される“サバプロ”の魅力に迫る」が公開されました。

[紙] 6月4日発売「日経エンタテインメント!」2019年7月号にて、欅坂46菅井友香の連載「菅井友香のお嬢様はいつも真剣勝負」を構成・執筆しました。(Amazon

[WEB] 6月2日、「リアルサウンド」にて新譜キュレーション連載「ZIGGY、KAATO、The Damned Things……クラシックロックをベースにした新譜6選」が公開されました。

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また、5月に当サイトで紹介したアルバムから各1〜2曲程度ピックアップして、30曲程度のプレイリストをSpotify、Apple Musicにて制作・公開しました。題して『TMQ-WEB Radio 1905号』。一応曲の流れなんかも考慮しつつ曲順を考えておりますので、レビューを読む際のBGMにするもよし、何も考えずにダダ流しするもよし。おヒマなときに聴いていただけると嬉しいです。

ANNISOKAY『ARMS』(2018)

ドイツのスクリーモ・バンドANNISOKAYが2018年8月(日本では同年9月)に発表した、通算4作目のオリジナルアルバム。

本作制作時のメンバーはデイヴ・グランウォルド(Unclean Vo)、クリストフ・ヴォチョレク(Clean Vo, G)、ノーベート・カヨ(B)、フィリップ・クレッチマー(G)、ニコ・ヴァーン(Dr)の5人。このアルバムをリリースしたあとにリードギターのフィリップが脱退し、現在は4人で活動を続けているようです。

マイケル・ジャクソンのヒット曲「Smooth Criminal」のワンフレーズからヒントを得たバンド名が印象的な彼ら。スクリーモやポストハードコア、ジェントにエレクトロテイストをミックスしたエレクトロニコアサウンドの上でスクリーム&クリーンの2人のボーカルが絡み合うことで、非常に独創的なサウンドを作り上げています。

ドイツでエレクトロニコアというとESKIMO CALLBOYの名前を真っ先に思う浮かべるかもしれませんが、ANNISOKAYのサウンドはそれとも異なる個性を放っています。

“歌える”ハイトーンシンガーがいるという点も大きいですが、そこにスクリームが重なることで(交互に歌うのではなく、クロスするところがカッコいい)絶妙な“エモさ”を醸し出す。さらに適度なエレクトロニクス色が加わったヘヴィサウンドとミックスされることで、2000年代前半のニューメタルにも似た世界観が添加される。そんな懐かしさもありつつ、リズムが“跳ねて”いない……つまり、ヒップホップ以降のニューメタルとは異なる観点で表現されているからこそ、メロから生まれるエモさに懐かしさを覚えるものの、全体的にはモダンな香りがする。

しかも、そのエモさにはどこかゴシックの香りもするんですよね。そのへんはEVANESCENSEにも共通するものがある気がします。だけど、7弦ギターによる低音を強調したリフワークやリズムの組み立て方は完全に2010年代のそれ。昨今のヘヴィロックリスナーのみならず往年のメタルコア、ラウドロックリスナーまでもを巻き込む、このバランス感こそが、本作の魅力なんじゃないでしょうか。

ちなみに彼ら、この3月にはBRING ME THE HORIZONのカバー曲「Nihilist Blues」を配信リリース。序盤こそ「完コピじゃん!(笑)」と微笑ましさを見せつつも、後半に進むにつれて彼ららしさが加わっていくので、こちらも必聴です。

 


▼ANNISOKAY『ARMS』
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2019年6月29日 (土)

MY CHEMICAL ROMANCE『WELCOME TO THE BLACK PARADE』(2006)

MY CHEMICAL ROMANCEが2006年10月に発表した3rdアルバム。日本では若干遅れ、同年12月にリリースされています。

メジャーデビュー作となった前作『THREE CHEERS FOR SWEET REVENGE』(2004年)が全米28位/全英34位を記録、かつアメリカでは300万枚を超える大ヒットとなり、これを受けて発表された本作は全米/全英ともに最高2位まで上昇。「Welcome To The Black Parade」(全米9位/全英1位)、「Famous Last Words」(全米88位/全英8位)、「I Don't Love You」(全英13位)、「Teenagers」(全米67位/全英9位)と数多くのヒットシングルも生まれ、アメリカでは300万枚、イギリスでも前作の倍以上もの売り上げを記録しました。

彼らの作品にはどれもメインテーマが用意されており、本作もそのテーマを軸に物語が進行していくコンセプトアルバム形式が取られています。

Wikipediaによるとその内容は「若くして癌を患った“the Patient(=病人、患者)”が一番強力な記憶(=The Black Parade)を通して死を迎え、あの世でブラックパレードに参加しそこで自分の恐怖心や後悔と出会う。こうして旅の果てに主人公はもう一度生きたいと決心する」というもので、「The End.」から始まり「Famous Last Words」で終わるという構成も、文字どおりの“終わり”(「The End.」)と“死に際最後の言葉”(「Famous Last Words」)という、死の瞬間に味わう走馬灯を1枚のアルバムで表現したかのようなものとなっています。

で、全13曲・約50分にわたり繰り広げられる、ロックオペラと呼ぶにふさわしいその収録内容について。楽曲的には前作『THREE CHEERS FOR SWEET REVENGE』でのエモ/スクリーモの枠を飛び出し、非常に幅広いジャンルの楽曲がマイケミ流に料理されています。コンセプトアルバムではあるものの、1曲1曲が独立した構成となっており、それもこのアルバムのメガヒットにつながったのかなと思います。コンセプトアルバムと言われると、なんとなく難しそうとか堅苦しいイメージがつきまとうので、敬遠しがちなロックファンもいますしね。

圧巻はやはり、マイケミ流「Bohemian Rhapsody」と呼ぶにふさわしい内容のパンクオペラ「Welcome To The Black Parade」でしょうか。この起承転結がしっかりしたアレンジといい、終始キャッチーなメロディといい、何もかもが完璧。そりゃヒットしますわ。

もちろんこれ以外にも素晴らしい楽曲目白押しで、まるで死の瞬間に立ち会うかのような「The End.」からラストの重々しい「Famous Last Words」〜脱力気味な隠しトラック「Blood」までぶっ通しで聴き進められるはずです。

ここまでのアルバムを作り上げてしまったことがその後の活動に大きな影響を与えてしまい、バンドは次作までに4年もの歳月を要することになります。以前ほどのセールスを上げることもできず、結局自分たちで作ってしまった高い壁を超えることなくその2年半後の2013年3月、マイケミは解散を発表します。

しかし、メンバー間の友好関係は現在も良好で、たまにメンバーのInstagramにメンバー全員が揃った写真などが掲載されています。最近では、再結成の噂も上がっていますが、果たしてどうなることやら……。

 


▼MY CHEMICAL ROMANCE『WELCOME TO THE BLACK PARADE』
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2019年6月28日 (金)

IMMINENCE『TURN THE LIGHT ON』(2019)

スウェーデンのポスト・モダンメタルバンド、IMMINENCEが2019年5月(日本では同年6月)にリリースした3rdアルバム。

エディ・ベイル(Vo, Violin)、ハラルド・バレット(G)、クリスティアン・ホイヤー(B)、ピーター・ハンストロム(Dr)の4人からなる彼らは、ご覧のとおりバイオリンをフィーチャーした、この手のバンドとしては興味深い編成。デビューアルバム『I』(2014年)ではその個性が遺憾なく発揮された、ドラマチックなポストハードコアサウンドが展開されていました。僕も完全な後追いですが、このデビュー作は本当に素晴らしいと思っています。

ところが、世界デビューおよび日本デビューとなった前作『THIS IS GOODBYE』(2017年)ではそのアグレッションが若干影を潜め、ポストロック的なエレクトロ・エフェクトが多用された、ドラマチックな歌モノ・メタルコアへと路線変更。前作を絶賛した一部のリスナーからは酷評されたようです(これはこれで悪くないんですけどね)。

さて、それではこの新作はどうなのかと言いますと、基本的には前作の延長線上にある1枚であることは間違いありません。アグレッシヴさは前作と同等か、あるいはそれより少しは増している気もしますが、何よりも全体的により洗練されたアレンジ/楽曲を楽しめるはずです。

ドラマチックさ、エモーショナルさは過去最高と言えるでしょう。例えばBRING ME THE HORIZON『AMO』(2019年)ARCHITECTS『HOLY HELL』(2018年)、あるいはPAPA ROACH『WHO DO YOU TRUST?』(2019年)あたりで表現された「ポスト・モダンメタルバンドのさらなるモダン化」が、ここでも追求されている、と受け取ることもできるんじゃないかと。少なくとも、その試みは前作のときよりも成功しているように感じられます。

プレスリリースによると、メンバーは前作リリース後に「何かを探し求めていたけど、その“何か”が自分でも判らずに、もがくばかりだった」とのこと。そんな産みの苦しみを経て、ようやく到達したのがこのアルバムなのだとしたら、この変化と成長を好意的に受け入れつつ、その作品で表現された「葛藤の中に見つけた光」を思う存分の爆音で楽しみたい。素直にそう思わずにはいられません。

個人的にはアルバム序盤〜中盤の、「Saturated Soul」「infectious」「The Sickness」「Death Of You」の流れが非常に素晴らしいなと。この雰囲気は先に挙げたアルバム群にもないものだと思いますし、ここ最近の若手ポスト・モダンメタルバンドの中でもかなり優れた内容ではないかと確信しています。もっと広まってほしいな。

 


▼IMMINENCE『TURN THE LIGHT ON』
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2019年6月27日 (木)

AC/DC『BLACK ICE』(2008)

2008年10月にリリースされた、AC/DC通算14枚目(オーストラリア国内では15枚目)のオリジナルアルバム。前作『STIFF UPPER LIP』(2000年)から約8年半という全キャリアの中でもっとも長いスパンを経て発表された本作は、アメリカでは『FOR THOSE ABOUT TO ROCK WE SALUTE YOU』(1981年)以来実に27年ぶりの1位を獲得。そのほかにも本国オーストラリアやイギリス、カナダ、フランスなど29カ国で1位に輝いた、(現時点での)2000年代を代表する1枚です。

プロデューサーに初めてブレンダン・オブライエン(AEROSMITHPEARL JAMRAGE AGAINST THE MACHINEなど)を迎えて制作した本作は、全15曲で約56分とオリジナルアルバムとしては過去最長。じゃあ聴くのが大変かといいますと、まったくそんなことはなく、どの曲も3〜4分台で相変わらずのAC/DC節が終始貫かれており、カッコいいロックンロールがぎっしり凝縮された濃厚な作品集と言えます。

正直、ブライアン・ジョンソン(Vo)、アンガス・ヤング(G)、マルコム・ヤング(G)、クリフ・ウィリアムズ(B)、フィル・ラッド(Dr)という黄金期が復活して以降の2枚……『BALLBREAKER』(1995年)と『STIFF UPPER LIP』は「悪くはないけど、最高とまでは言い切れない」彼らにしては並な作品でした。いや、どれも“らしい”作風なんだけど、音源だけじゃ理解しきれない、ライブを体験しないとキツいかな……と思えてくるような“若干地味”なものばかりだったんですよね(だからこそ、『STIFF UPPER LIP』は来日公演をようやく目にすることができて、印象が少し良くなったわけですが)。

で、それと比べて今回の『BLACK ICE』はといいますと、全体的に軽やかさやキャッチーさが増しているように感じられました。『THE RAZORS EDGE』(1990年)みたいにどキャッチーではないですが、それでも同作に匹敵する“わかりやすさ”が備わっている。アップテンポの曲が1曲もなくったって、ここまでやれるんだぞ?という気概も感じられるし、ミドルテンポの中にも多少の上下を付けて変化を与えている。

聴く人が聴けばマンネリの一言で片付けられてしまうかもしれない。それはもう仕方ない、その人にとってAC/DCというバンドの本質がまったく必要としないものなのでしょう。けど、ロックンロールが好きで、AC/DCというバンドに多少なりとも魅力を感じたことがあるリスナーなら、このアルバムって最初から最後まで気持ちよく楽しめるものなんじゃないでしょうか。それこそオープニングの「Rock N Roll Train」のキャッチーさから、エンディングを飾るタイトルトラック「Black Ice」のヘヴィさまで、ノリノリでね。

思えば、本作を携えたさいたまスーパーアリーナ公演(2010年3月)が現時点で最後の来日なんですよね。あの巨大な機関車が登場する「Rock N Roll Train」でのオープニング、懐かしいなあ……。

黄金期ラインナップによる最後のオリジナル作品、そして同ラインナップでの最後の来日。いろいろ感慨深い記憶を残す1枚です。

 


▼AC/DC『BLACK ICE』
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2019年6月26日 (水)

THE ROLLING STONES『EXILE ON MAIN ST.』(1972)

1972年5月に発表された、THE ROLLING STONES通算10作目(イギリスで。アメリカでは12枚目)のスタジオアルバム。前作『STICKY FINTERS』(1971年)から1年1ヶ月という短いスパンで届けられた、全18曲入りの2枚組アルバム(CDでは1枚)は引き続き全英/全米1位を獲得。「Tumbling Dice」(全英5位/全米7位)、「Happy」(全米22位)というヒットシングルにも恵まれました。

ミック・テイラー(G)加入後2作目に当たる本作はジミー・ミラーを再度プロデューサーに招き、ロンドンやロサンゼルス、フランスなどでレコーディングを敢行。曲によっては1969年頃から存在するものが含まれていたり、音楽的にもロックンロールやブルース、カントリー、ソウル、ゴスペル、ハードロックなどさまざまなサウンドが感じられることから雑多な印象も強い作品集でもあります。

その「ストーンズ流ロックの見本市」みたいなアナログ2枚組(彼らにとっては初の試みでした)はリリース当初こそ評価は高くなかったようでした。が、僕が洋楽ロックを意識的に聴き始めた中学生時代にはすでに「70'sストーンズの最高傑作」みたいな高評価を獲得しており、僕自身もそういう認識で本作と初めて接した記憶があります。

最高傑作かどうかは別として、確かにいろんなタイプの曲が含まれていてお得感があるし、1曲はひっかかる佳曲が存在する。けど、殺傷力としては前作『STICKY FINTERS』のほうが上じゃない?と感じたのもまた事実。アルバムとしてのまとまりという点においても、確実に前作のほうが上ですものね。

しかし、聴き込めば聴き込むほどにいろんな魅力が見えてくるのが、この『EXILE ON MAIN ST.』なのかなと。それくらいクセになるスルメ的アルバムと言えるんじゃないでしょうか。

とにかく、力みすぎていないのが良い。しかも1曲1曲がコンパクト。だから、18曲も収録されているのに聴く側のこちらも終始リラックスして楽しめる。そこが良し悪しあるとは思いますが、僕としてはこういう楽しみ方ができるストーンズのアルバムも良いんじゃないかと思っています。

それは、60年代末の『BEGGARS BANQUET』(1968年)から始まったアメリカ南部への傾倒に対する最終結論のようでもあり、いろいろ遊びまくった結果でもあるのかなと。それがこのリラックス感にもつながっているのかもしれませんね。

そういえば、この時期はメンバーの多くがドラッグ癖でだいぶひどい状態だったと聞きます。この「軸はあるのに雑多」な方向性はそういった当時の環境も大きく影響しているのでしょうか。そこも含めて、歴史的資料価値の高い1枚と言えるかもしれません。

ちなみに、本作は2010年に未発表テイクを追加したデラックス盤が発売済み。こちらは一部楽曲に追加レコーディングが行われたという話もあり、新曲としても十分通用する未発表曲があったりと、なかなかの内容です。それもあって、再発ながらも全英1位/全米2位を記録しています。こちらもオススメです。

 


▼THE ROLLING STONES『EXILE ON MAIN ST.』
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2019年6月25日 (火)

U2『THE UNFORGETTABLE FIRE』(1984)

1984年10月にリリースされた、U2通算4作目のスタジオアルバム。前作『WAR』(1983年)から1年7ヶ月ぶりの新作ですが、その間にライブアルバム『UNDER A BLOOD RED SKY』(1983年)があったりと、本格的なアメリカ進出に向け何かと活動が活発なタイミングでのリリースとなりました。実際、今作からは「Pride (In The Name Of Love)」(全英3位/全米33位)、「The Unforgettable Fire」(全英6位)というヒットが生まれ、アルバム自体も前作と同じく全英1位/全米12位という記録を残しています。

過去3作を手がけたスティーヴ・リリーホワイトから一転、本作ではプロデューサーにブライアン・イーノとダニエル・ラノワを迎えて制作。この変更が功を奏し、サウンド的にはもちろんのこと、楽曲面にも新たな可能性を感じさせるものを生み出すことに成功しました。

初期3作は青臭さと前のめりな熱量が大きな武器でしたが、本作では一歩引いたところから物事を俯瞰で眺めているような、そんな大人になったU2の姿がニューウェイヴ以降のサウンドプロダクションを用いて表現されている……なんて書いたら大げさでしょうか?

ボノ(Vo)の歌の強さ、熱さは相変わらずですが、それでも以前ほど叫ぼうとせず、むしろ歌い上げる程度に収めて感情を強く出しすぎないようにしている。そんな印象を受けます。例えば「A Sort Of Homecoming」や「The Unforgettable Fire」での歌唱はまさにこれに当てはまるんじゃないかなと。鋭さや怒りが目立った『WAR』までの作風と異なり、ここでは優しさや包容力が色濃く表れているように感じます。

もちろん、それもこれも『WAR』での成功があったからこそ。その経験をベースに、「Pride (In The Name Of Love)」では高らかに歌い上げ、「Wire」や「Indian Summer Sky」では『WAR』までの攻撃性を見せながらもどこか落ち落ち着き払っている。「Bad」や「Elvis Presley And America」のような長尺曲では、まるで物語を伝える語り部のように歌でストーリーを聴かせていく。こういった楽曲は過去3作にはなかったタイプであり、と同時に以降の彼らのスタイルにおける重要な雛形となった欠かすことができないナンバーでもある。こういった実験が、続くメガヒット作『THE JOSHUA TREE』(1987年)へとつながるわけです。

メンバーがシカゴで目にした、広島・長崎への原爆投下から生き延びた被害者が描いた絵。そのタイトルが本作のアルバムタイトルのもとになっています。ビリビリ響く『WAR』と有無を言わさぬ傑作『THE JOSHUA TREE』に挟まれ、若干地味な印象を与えてしまう本作ですが、何気にクセになる楽曲が多いんですよね。個人的にも中学生の頃に聴きまくった、大切な1枚です。

 


▼U2『THE UNFORGETTABLE FIRE』
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2019年6月24日 (月)

STING『MY SONGS』(2019)

2019年5月発売の、スティングの通算14作目となるスタジオアルバム。本作はTHE POLICE時代およびソロ名義での楽曲を“リ・ワーク”したもので、EDM系プロデューサー/DJのデイヴ・オーデが手がけた再構築曲(主にソロ楽曲)と、マーティン・キアーズズンバウムがプロデュースしたバンド編成の再アレンジ曲が軸になっています。

まず、ダンストラック風に再構築された冒頭3曲(「Brand New Day」「Desert Rose」「If You Love Somebody Set Them Free」)は賛否分かれるところではないかなと。原曲の完成度が高いし、ライブでのアレンジもその都度さまざまだったとは思いますが、結局はこういう形でリミックス(ですよね?)でお茶を濁すしかなかったのかなと。思えばスティング、過去にも「Roxanne」をパフ・ダディのリミックスでヒットさせていますし、そういった(今の世代が知らないであろう過去の楽曲を現代的にリ・ワークすることで、楽曲の良さを再び浸透させる)狙いもあったのかなと。なので、原曲世代がブーたれるのも理解できるけど、ここはそっと目を瞑っておきましょう。

で、バンド編成で再レコーディングされた楽曲群は主にTHE POLICE時代のナンバーが中心。最近のライブで披露されているアレンジにほぼ近いものばかりで、原曲の良さを残しつつ現編成での個性を打ち出している。かつ、スティングの今の声量/声域に合わせて節回しを変えたり、キーを下げたりしているわけです。

そりゃ、オールドファンはどの曲も原曲への思いが強いでしょうから、ここで展開されているアレンジや演奏には不満もあるでしょう。ていうか、だったらこのアルバムに手を出さなきゃいいわけですが(とはいっても、それでも聴きたくなってしまうのがファンとしての悲しいサガなのも重々理解しています)……。

キャリアとしては最終コーナーを折り返したスティングが、現在の活動と合わせて今一度過去と向き合った結果、こういう作品に着手した。そういう意味では、本作は『57TH & 9TH』(2016年)での手応えがあってこその1枚なのかなと思います。

そりゃあ20〜30代の彼が醸し出す緊張感やスリリングなアンサンブルは皆無ですよ。ただ、今の年齢でなければ出せない安定感と成熟感は20〜30代の彼には出せないものであり、ロックが老いと向き合う/成熟していくことの意味を体現しているという点においては評価すべき作品だと思います。

なんだかんだで名曲しか入っていないし、原曲を収めたベスト盤を聴き飽きたであろう人には新鮮さや新たな魅力を見つけることができるかもしれない、そんな可能性も秘めた作品集。“今の耳”で楽しみたい1枚です。

 


▼STING『MY SONGS』
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2019年6月23日 (日)

JETBOY『FEEL THE SHAKE』(1988)

1988年秋に発表されたJETBOYのデビューアルバム。日本でも同年11月に国内盤がリリースされており、当時日曜深夜にオンエアされていたHR/HMプログラム『PURE ROCK』(TBS系)でもタイトルトラック「Feel The Shake」のMVが頻繁に紹介されていました。

サンフランシスコ出身の彼らはモヒカンヘアのミッキー・フィン(Vo)を中心としたパンク寄りのハードロックバンドで、前任ベーシストのトッド・クルー脱退(その直後にオーバードーズで死去)を受け元HANOI ROCKSのサミ・ヤッファ(B)を迎えた編成でメジャーデビューを果たします。

ビジュアル的には完全にパンクスなんですが、サウンド的には若干ガレージロック色の見え隠れするスリージー・ロックといったところでしょうか。オープニングナンバー「Feel The Shake」のダークな雰囲気はどこか『BACK IN BLACK』(1980年)でのAC/DCを思い浮かべますが、実際本作ではこれ以降展開されていくアップテンポ〜ミディアムテンポの楽曲がすべてAC/DCを彷彿とさせるものばかりなのです。わかりやすくて素晴らしい。

かつ、ミッキー・フィンの“ハイトーンなし”のボーカルスタイルの効果もあって、同時期に多数デビューした同系統バンドの中でも異彩を放つ結果に。ギターもそこまで歪んでいないし、むしろ全体的に音の隙間も多い。だからなのか、聴いていてまったく疲れないんですよね。しかも、このボーカルスタイルだし。悪いところが見つからないんですよ。

ですが、同時に「ここ!」という良いポイントも見つけにくい。言っちゃああれですが、ロックアルバムとしては平均的な完成度なのです。同時代のB級ヘアメタルバンドと比べたら1歩抜きん出ているものの、それでも点数をつければ70点くらい。可もなく不可もなくといったところでしょうか。

その結果、疲れずにスルスルと聴き進められるものの、印象に残る曲が少ない。ぶっちゃけ、オープニングの「Feel The Shake」が一番インパクトが強い曲かも。まあそういう1曲を生み出すことができて、それをメジャーデビューアルバムのオープニングに配置することができただけでも、このバンドは恵まれているほうじゃないかな。

それこそ30年ぶりくらいに真剣に聴きましたが、今の耳だと「Hometown Blues」みたいなスローブルースは良いフックになっていていいと思うんだけど、当時は全然記憶に残らなかったなあ……(苦笑)。なぜサミがこのバンドに加入したのか当時は本当に謎でしたが、ここでの活動があったからこそ、その後ジョーン・ジェットやNEW YORK DOLLSでの活躍があったわけで、そういう意味ではHANOI ROCKSファンはチェックしておいても損はしない1枚かもしれません。

 


▼JETBOY『FEEL THE SHAKE』
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2019年6月22日 (土)

THE DOGS D'AMOUR『IN THE DYNAMITE JET SALOON』(1988)

海外では1988年9月に、ここ日本では翌1989年2月にリリースされたTHE DOGS D'AMOURの記念すべきデビューアルバム。正確には80年代前半にインディーズから、現在とは異なる編成でのアルバムが発表されているので2枚目に当たりますが、いわゆる黄金期のラインナップ=タイラ(Vo, G)、バン(Dr)、ジョー・ドッグ(G)、スティーヴ・ジェイムズ(B)による1作目ということで、タイラ自身が「これこそが1stアルバム」と公言しております。

ここ日本では1988年秋に6曲入りセルフタイトルのミニアルバムを発表しており、正式な日本デビュー作はこちらになります。僕自身もこのミニアルバムを先に手にして、続いてフルアルバムの『IN THE DYNAMITE JET SALOON』を聴いた記憶があります。

アメリカでは当時、GUNS N' ROSESを筆頭とした“スリージー・ロック”(Sleazy:薄っぺらい、安っぽい、)が人気を博しており、本国や日本では「第2のガンズ」をキャッチコピーとしたハードロックバンドがたくさんデビューしました。実はこのTHE DOGS D'AMOURも「ガンズに対する、イギリスからの回答」みたいな声がいくつか見受けられたのですが、よくよく聴けばそういった意思のもとに活動/表現しているバンドではないことはおわかりいただけるかと思います。

パンク以降のパブロック、ガレージロック、グラムロックをベースにしたサウンドはハードロックで括るにはちょっとスカスカだし、かといってパンクほど攻撃的で前のめりでもない。適度なユルさと肌感覚で「あ、こいつらヤベエ」と思わせてしまう危うさが同居したサウンド、そのケバケバしいルックスといった要素からヘアメタルやグラムメタルの枠で括られそうになるものの、視点を変えれば伝統的なブリティッシュロックの系譜にあるとも言えるわけでして。そこは全部「時代のせい」と言ってしまえばそれまでなのですが、まああの時代でなければここまで大プッシュされることもなかったのかなと。一長一短ですね。

前半にキャッチーでポップな楽曲が多く配置され、実際「I Don't Want You To Go」(全英78位)や「How Come It Never Rains」(同44位)はシングルヒットも記録。「Medicine Man」あたりもポップさも捨てがたいですよね。

かと思えば、後半にはHANOI ROCKSにも通ずる「Gonna Get It Right」や「Wait Until I'm Dead」、スワンプロック風「Billy Two Rivers」などルーツに忠実なロックンロールが満載。そうそう、彼らはガンズ云々よりもHANOI ROCKS的だったんですよね。だから、そのルックス以上に音を聴いてピンと来るものがあったのかも。タイラのボーカルも時代の主流だったハイトーンではなく、しゃがれ声の中音域でしたしね。

ちなみに、ボーナストラックとして追加された3曲は本作より前にシングルとして発表された楽曲。シングルヒットもした「Kid From Kensington」(全英88位)も含まれており、無駄にお得感あり。

なお、彼らは現在も活動を続けており、紆余曲折を経て本作での黄金ラインナップに戻っております。来日とか難しいだろうけど、また生で観たいなあ。

 


▼THE DOGS D'AMOUR『IN THE DYNAMITE JET SALOON』
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2019年6月21日 (金)

THE BRINK『NOWHERE TO RUN』(2019)

イギリス・ケンブリッジを拠点に活動する5人組バンド、THE BRINKが2019年5月に発表したデビューアルバム。

ここ10年くらい80'sリバイバルといいますか、あのきらびやかな時代のサウンドやヴィジュアルを模倣したバンドがちらほら見受けられます。そういったバンドが当時のようなメガヒットを生み出しているかというと、決してそんなこともなく、むしろリスナーとして喜んでいるのは若い世代ではなく80年代に青春を謳歌したオッさんたち(自分を含む)なのではないか、と思うわけです。

で、このTHE BRINKというバンドも80'sリバイバルの流れにあるバンドと呼んでも間違いないようで、鳴らされている音は80年代のメインストリームにあったハードロックっぽい。キャッチーなメロディと楽曲、適度にハードでギターが前に出たバンドアンサンブル。そうそう、こういうバンドたくさんいたよね、って言いたくなるような、そんな音。しかし、単なる焼き直しとは違う魅力が彼らには感じられるんですね。

メロディだけ聴くと、あの時代のHR/HMというよりはメタルコア以降のバンドにも通ずるものがあったり、カラッとしているんだけどアメリカのこの手のそれとは異なり、常に一定の湿り気も残されている(それって「カラッとしている」というのか、という疑問も残りますが)。つまり、確実に90年代のオルタナを通過した音/楽曲なんですよ。

僕、このアルバムを聴いていて思い浮かべたのが……実はFUNERAL FOR A FRIENDだったんですよ。いや、全然違うんですけどね、スタイルは。だけど「Save Goodbye」や「Take Me Away」といった壮大さを持つ楽曲からは、同バンドが持っていたスケール感に通ずるものがあるんじゃないかって。共感してくれる方、いらっしゃいますでしょうか?

かと思えば、ヘアメタル的なパワーチューン「Little Janie」があったり、いかがわしさ全開の「Said & Done」やワイルドなミドルナンバー「One Night Only」みたいな曲もある。パワーバラード「Wish」もあるし、初期MOTLEY CRUEがやっても不思議じゃないメロディアスな「Are You With Me」もある。結局、テン年代を生きる若者が80年代、90年代、ゼロ年代にカッコよかったHR/HMバンドの要素をマッシュアップしたらこうなりました、というアルバムなのかなと。この感覚、めっちゃ面白いと思います。

で、このバンドのヴィジュアルを見たんですが……。

あれ、小汚い(笑)。そこは90年代以降なのね。あと、下手側のギタリスト(イジー・トリックスという方)は女性? 写真や映像を観る限りではそう認識したのですが、どうも違うような……今やジェンダーレスな時代ですからね。そういうことがあっても不思議じゃない(どうやらこの方、EDM系DJとしても活躍していらっしゃるようです)。

まあとにかく。単なる80'sリバイバルでは終わらない彼らの魅力、ぜひ音源から感じてみてください。

 


▼THE BRINK『NOWHERE TO RUN』
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2019年6月20日 (木)

THE BLACK CROWES『THREE SNAKES AND ONE CHARM』(1996)

1996年7月にリリースされたTHE BLACK CROWES通算4作目のスタジオアルバム。前作『AMORICA』(1994年)が全米1位を獲得した前々作『THE SOUTHERN HARMONY AND MUSICAL COMPANION』(1992年)から順位(最高11位)もセールス(50万枚)も一気に落とす結果となりましたが、続く本作でもそういった状況を挽回することはできず。「Good Friday」や「Blackberry」などラジオヒットが生まれたものの、アルバム自体は最高15位止まり。初めてゴールドディスクに達しなかったアルバムとなりました。

『THE SOUTHERN HARMONY AND MUSICAL COMPANION』から続いたクリス(Vo)&リッチ(G)のロビンソン兄弟、マーク・フォード(G)、ジョニー・コルト(B)、スティーヴ・ゴーマン(Dr)、エディ・ハーシュ(Key)という編成はこのアルバムまで。リリースツアー後にマークとジョニーが脱退し、黄金期編成は崩壊することとなります。

その崩壊の影がこのアルバムから感じられるかと言われると、正直微妙なのですが……作風的には前作『AMORICA』の延長線上にあると言っていいでしょう。つまり、地味です。安定感があると言えば良く聞こえますが、悪い言い方をすればマンネリ気味と取ることもできるのかなと。

「One Mirror Too Many」ではサイケ色が若干濃くなっている印象もありますが、そのへんが実はこのアルバムの大きなフックになっていると思うのです。この曲とシングルカットもされた「Blackberry」のグルーヴィーさはアルバム前半のハイライトで、ゆらりと始まったアルバムに活気を与えてくれます。

が、ソウルフルなスローバラード「Girl From A Pawnshop」やTHE DIRTY DOZENのブラスをフィーチャーした「(Only) Halfway To Everywhere」といった意欲的な楽曲を経て始まる後半戦……これがいただけない。決して悪くはないのですよ。ただ、格別良くもない。なんというか……やっつけとまでは言わないけど、手グセで作っちゃいました的なユルさが随所から感じられて、完全に流し聴き態勢に入ってしまうんですよ。

もちろん、この手のバンドとしてはクオリティ高めだと思います。が、傑作との呼び声も高い『THE SOUTHERN HARMONY AND MUSICAL COMPANION』の完成度には及ばないし、いろいろ言われた『AMORICA』レベルにまでも達していないと思うんですよね。同じブラスを使った曲でも、中盤の「(Only) Halfway To Everywhere」と終盤に置かれた「Let Me Share The Ride」とでは力の入れ具合/抜け方が全然違う。後者のほうがユルすぎちゃうというか……ここはもう好みの問題かもしれませんね。

結局メンバーチェンジがこの後に控えているとなると、やはりバンドとして過渡期を迎えていたのかなと思わずにはいられません。だって、続く5thアルバム『BY YOUR SIDE』(1999年)で急に息を吹き返すわけですからね。

 


▼THE BLACK CROWES『THREE SNAKES AND ONE CHARM』
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2019年6月19日 (水)

CRY OF LOVE『BROTHER』(1993)

1993年5月にリリースされたCRY OF LOVEの1stアルバム。メジャーのColumbia Recordsからの発表で、ここ日本でも同時期に国内盤がリリース(1997年には2ndアルバム『DIAMONDS & DEBRIS』発売に伴い再発も)されています。

アメリカ・ノースカロライナ州出身の彼らはケリー・ホーランド(Vo, G)、オードリー・フリード(G)、ロバート・キーンズ(B)、ジェイソン・パターソン(Dr)の4人組。このデビュー作はジョン・カスター(CORROSION OF CONFORMITYなど)をプロデューサーに迎え、かのマッスル・ショールズ・サウンド・スタジオにてレコーディング&ミキシングされた意欲作です。

聴いてもらえばわかるように……というかジミ・ヘンドリクスのアルバムタイトルを引用したバンド名からもわかるように、彼らのサウンドはブルースやカントリー、サザンロックなどからの影響が強い土着的なアメリカン・ルーツ・ロックそのもの。派手さ皆無の地味目なロック/ハードロックをシンプルなバンドアンサンブルで表現し、その上に玄人好みなギタープレイと味わい深いボーカルが乗るといったものです。

FREEやBAD COMPANYを彷彿とさせつつも、LYNYRD SKYNYRDやTHE ALLMAN BROTHERS BANDとの共通点も見え隠れするその方向性は、好きな人にはたまらない、クセになるものではないでしょうか。その一方で、こういったルーツ・ロックに興味を見出せないリスナーには「どの曲も一緒」と突き放されてしまう地味目な1枚でもあるのですが。

確かに「これ!」といった1曲は存在しません(とはいえ、収録曲「Peace Piple」は当時Billboardメインストリームロックチャートで1位、「Bad Thing」は同2位を獲得しているのですが)。ちょっと気を抜けばダラダラと通り過ぎていってしまう、気づいたら最後の曲だった……そんな引っかかりの弱さも否めません。が、視点を変えれば「心地よく浸れるサウンド&楽曲群」と言えなくもないのかなと。個人的には後者寄りの評価で、決して頻繁にリピートするような作品ではないですが、たまに聴くと染みる。そういう1枚かなと。

それこそTHE BLACK CROWESや、最近のGRETA VAN FLEET、あるいはRIVAL SONSあたりが好きという人ならスッと入っていける1枚だと思います。

で、このバンドのギタリストでもあるオードリー・フリードはのちにTHE BLACK CROWESに加入。1999年のフジロックで来日しております。さらにベースのロバート・キーンズものちにLYNYRD SKYNYRDに加入。このへんも玄人好みっぽさが強くて、うれしいような悲しいような。

残念ながらフロントマンのケリー・ホーランドは2014年に亡くなっているので、この編成での復活は望めませんが……ただ、2ndアルバムに参加した2代目シンガーのロバート・メイソン(ex. LYNCH MOB、現WARRANTなど)は現役なので、こちらでの可能性はゼロではないですけどね。

 


▼CRY OF LOVE『BROTHER』
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2019年6月18日 (火)

THE QUIREBOYS『AMAZING DISGRACE』(2019)

2019年4月にリリースされたTHE QUIREBOYSの11thアルバム。テン年代に入ってからほぼ1〜2年に1枚ペースで順調に作品を重ねる彼らですが、本作も前作『WHITE TRASH BLUES』(2017年)から約1年半ぶりの新作となります(といっても、前作はブルースカバーアルバムだったので、純粋なオリジナル作品としては2016年の『TWISTED LOVE』以来2年半ぶり)。

デビュー時のオリジナルメンバーはスパイク(Vo)とガイ・グリフィン(G)しか残っていませんが、やっていることは基本的にまったく変わっていません。『A BIT OF WHAT YOU FANCY』(1990年)を筆頭にメジャーからリリースした初期2作にあった硬質なハードロック的側面は完全に払拭され、ブルースやソウルをベースにした、肩の力抜けまくりのロックンロールが本作でも展開されています。

2014年にリズム隊が交代して以来、5年近くにわたり同じメンバーで活動していることもあり、バンドの安定感はバッチリ。大半の曲でゴスペル調の女性コーラスをフィーチャーしており、無駄にゴージャスさだけはあります(笑)。

もともとスパイクの歌声はしゃがれまくっているので、デビューから30年近く経った最新作を聴いても衰えが一切感じられない。キー自体は若干下がっているんだろうけど、それを感じさせないだけの存在感と凄みが同居しており、気楽に聴き始めたつもりがついつい引き込まれてしまう。なんだろう、この魅力は。

ストーンズやSMALL FACES、あるいはロッド・スチュワートや彼が在籍したFACESのように、R&Bやソウル、ブルースをルーツに持つブリティッシュ・ロックは1960年代から現在に到るまで、いくつかのビッグネームを除いては数えきれないほど生まれては消えていきました。きっと90年代半ば頃のTHE QUIREBOYSもその“生まれては消えて”側だったはずなんです。

しかし、2000年代に復活して以降の彼らはそのルーツ感を完璧に自分たちのモノにして、気づけば誰にも真似できない域にまで達していた。

そうなんですよ、ここで表現されているサウンドや楽曲って簡単に真似できそうで、実はオリジナリティが確立された非常に真似の難しいものなんですよね。特にこのアルバムで鳴らされているサウンド/楽曲は、普遍性が強くて「どこかで聴いたことがあるようなもの」ばかり。でも、それが誰々のパクリと指摘できるほど明確なものではなく、イメージ的に「◯◯っぽい」けど実はこのバンドならではのオリジナルにまで昇華されている。ただ地味で渋いだけじゃなくて、その中身はものすごく高度なものだと、何度も繰り返し聴いているうちに気づかされました。おそるべし。

こういう、どんなタイミングでも気楽に楽しめる作品ほど実は計算されまくっている。あるいはド天然だからこそ生まれた偶然の産物かもしれない……前者だと信じたいけど(笑)、とにかく時代を超越した素晴らしいルーツロックアルバムです。

 


▼THE QUIREBOYS『AMAZING DISGRACE』
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2019年6月17日 (月)

DUFF McKAGAN『TENDERNESS』(2019)

GUNS N' ROSESのベーシスト、ダフ・マッケイガンが2019年5月末に発表したソロアルバム。ソロ作品としてはDUFF McKAGAN'S LOADEDでの『THE TAKING』(2011年)から8年ぶり、ソロ名義では『BELIEVE IN ME』(1993年)以来実に26年ぶりのアルバムとなります(本来、1999年に『BEAUTIFUL DISEASE』というアルバムを完成させリリース予定でしたが、レーベルとのトラブルで現在まで未発表。なので、ここでは本作『TENDERNESS』をソロ2ndアルバムと記載します)。

55歳になったダフが2019年の今鳴らすのは、ハードロックでもパンクロックでもなく、アコースティックベースのアーシーでレイドバックしたカントリーロック。オルタナ・カントリー界の鬼才シューター・ジェニングスをプロデューサーに迎え、彼のバンドメンバーとともにスタジオ入りして制作した今作は、これまでのダフのイメージからすると非常に“枯れ”まくった1枚と言えます。

本作のテーマは「GUNS N' ROSESの2年半に亘るワールドツアーの間に遭遇した悲痛な思い、怒り、恐怖、混乱など」だそうで、そういった感情がスロー/ミディアムテンポのスカスカなサウンドとともに展開されているのですが、ダフがあの“男気に溢れた味のある声”で歌うことで完全に自身の世界観へと昇華させてしまう。その説得力はさすがの一言です。

ある意味でロック/パンクを体現してきた男が、80〜90年代に一時代を築き上げたメガヒットバンドの一員として再び世界中を周り、そこで目にしてきた現状は決して喜ばしいものではなかった。そういった負の感情がダフを音楽制作/表現へと向かわせた……そういった意味では、今作もまた彼にとって(音楽的にではなく、生き方/スタイルという意味での)パンクロック作品なのかもしれません。

そして、そういった負の感情が気づけばポジティブなものへと昇華された。ここで鳴らされている楽曲や綴られている言葉の数々は、すべてがマイナスなものではありません。そういった負の感情の中から幸福や平和を導き出そう、つなげていこうとする姿勢がところどころから感じられるのです。これこそが、ダフ・マッケイガンという男の心意気といいますか、我々が彼のことを愛してやまない理由でもあるわけです。

決して刺激的ではないし、ガンズのハードコア・ファンからはヌルいと言われてしまうかもしれない。しかし、こんなにもエモーショナルなアルバムは過去のダフの作品には存在しなかった……それを今このご時世にこういう形で世に送り出す、その姿勢に心打たれるし、嘘がないと信用できる。何度でも何時間でも、ずっと聴いていられる心の安定剤的な1枚です。

 


▼DUFF McKAGAN『TENDERNESS』
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2019年6月16日 (日)

CINDERELLA『STILL CLIMBING』(1994)

1994年11月にリリースされた、CINDERELLAの4作目にして最後のオリジナルアルバム。バンドはこのアルバム以降、活動を休止させたり再開させたりを繰り返しますが、結局新作が制作されることはなく2017年にその活動に終止符を打つことになります。

前作『HEARTBREAK STATION』(1990年)は湾岸戦争が発端となるワールドツアーの縮小、および以降の不況やHR/HMシーンの衰退なども要因となり、過去2作ほどの成功を収めることはできませんでした(それでも100万枚を超えるヒットとなりましたが)。また、音楽性的にも過去2作のハードロック色が後退し、よりブルージーでアーシーなサウンドへとシフト。その後のグランジ・ムーブメント勃発などもあり、この方向転換はうまく機能しませんでした。

1992年には映画『ウェインズ・ワールド』のサウンドトラックに新曲「Hot & Bothered」を提供。『HEARTBREAK STATION』の延長線上にある楽曲でしたが、バンドはこれを起点に4thアルバム制作へと着手し始めます。しかし、レコード会社からなかなかゴーサインが降りず、悶々とした日々が続きます。その結果、フレッド・コウリー(Dr)が脱退し、スティーヴン・パーシー(Vo/RATT)が結成したARCADEに加入。CINDERELLAはセッションドラマーとしてケニー・アロノフを迎えてスタジオすることとなりました。

聴いてもらえばわかるように、サウンド的には2ndアルバム『LONG COLD WINTER』(1988年)と前作『HEARTBREAK STATION』の中間といったところでしょうか。いや、若干『LONG COLD WINTER』でのタフでハードな色合いが強まっている気もします。それは勢いに満ちたオープニング曲「Bad Attitude Shuffle」を聴けばご理解いただけるかと。

この曲といい、続く「All Comes Down」や「Talk Is Cheap」といい、とにかく「そうそう、こういうCINDERELLAを待ってたのよ!」というハードな曲が満載。かと思えば、地声とハイトーンを駆使したバラード「Hard To Find The Words」もあるし、大音量で楽しみたいファストチューン「Freewheelin」もある。ピアノバラード「Through The Rain」やダークなブルースロック「Still Climbing」「The Road's Still Long」だってある。1作目『NIGHT SONGS』(1986年)でのメタリックな色もあれば、ブルースベースのハードロックを基盤にした『LONG COLD WINTER』の色も、レイドバックしたルーツロック路線の『HEARTBREAK STATION』色も存在する。そういった意味では、本作はCINDERELLAの集大成的作品と言えるのではないでしょうか。

時代も災いして、本作は全米178位とまったくヒットにはつながりませんでした。つい最近まで廃盤状態でしたし、配信すらされていませんでした。しかし、作品の完成度としては初期の傑作にも匹敵するバランスの1枚だと思っています。ストリーミングサービスでもようやく聴けるようになりましたので、ぜひこの機会に本作の放つ熱量に触れてみてください。

 


▼CINDERELLA『STILL CLIMBING』
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2019年6月15日 (土)

RATT『REACH FOR THE SKY』(1988)

1988年11月にリリースされたRATTの4thアルバム。初期2作(1984年の1st『OUT OF THE CELLAR』、1985年の2nd『INVASION OF YOUR PRIVACY』)と比べ、前作『DANCING UNDERCOVER』(1986年)はセールス的にも半減、チャート的にも過去2作のトップ10入りから大きく落とし最高26位止まり。シングルヒットも「Dance」(全米59位)のみという結果で、シーンがHR/HM中心に回り始めているわりには思うような成績を出せずにいました。

そんな中、バンドは新たな試みとして過去3作を手がけたボー・ヒルから、新たにマイク・ストーン(QUEENJOURNEYWHITESNAKEなど)をプロデューサーに招集。しかし、彼が導入したデジタルレコーディング技術に周りがついていけず、結果としてレーベルがボー・ヒルを招集してレコーディングをサポートさせることに。結果、このアルバムのクレジットには2人の名前が並ぶこととなりました。

また、ボー・ヒルが復帰したことでソングライティング面でも彼の影響が至るところに反映。クレジットを見ると、全10曲中7曲に彼の名前を見つけることができます。結果として、これが吉に出たのではないかと個人的には思っています。

例えば、バンドとしての新境地を切り開いた「Way Cool Jr.」(全米75位)。ブラスセクションを導入したブルージーなこの曲は、間違いなく新たな代表曲になったと思います。ただ、当時はまだ「AEROSMITHみたいなR&R寄りはまだしも、HR/HMバンドがブラスセクションをフィーチャーするってどうなの?」っていう負のイメージが強かった印象もあり、賛否両論だったような。

と同時に、「I Want A Woman」(全米75位)も初期の「Round And Round」に通ずるキャッチーな楽曲だったにも関わらず「ポップすぎる」と批判された記憶も……今聴くとすごくよくできた曲で、全然日和った感ないんですけどね。

オープニングを飾るミドルヘヴィの「City To City」といい、お得意のファストチューン「Chain Reaction」といい、シングルカットしてもおかしくなかったキャッチーな「What's It Gonna Be」や「What I'm After」といい、良い曲はそれなりに多く含まれているのですが、同じくらいインパクトの弱い曲も並んでおり。それによって全体の印象が薄くなってしまっているという、アルバムとしては非常に残念な1枚です。良い曲あるのにね。

ロビン・クロスビー(G)在籍時の5作品中、もっとも“弱い”アルバムかもしれませんが、それでも良い曲は良いので、初期3作や別の意味で“最強”な5thアルバム『DETONATOR』(1990年)を聴いたあとに触れてみてはどうでしょう。

あ、ちなみに本作は前回の最高26位を上回る17位を記録。セールス不振でツアーは短縮されましたが、最終的には売上100万枚を突破していることを付け加えておきます。

 


▼RATT『REACH FOR THE SKY』
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2019年6月14日 (金)

DEATH ANGEL『HUMANICIDE』(2019)

2019年5月にリリースされた、DEATH ANGEL通算9作目のオリジナルアルバム。マーク・オセグエダ(Vo)、ロブ・キャヴェスタニィ(G)という初期からの2人に、2000年代の再結成時から加わったテッド・アギュラー(G)、2009年に加入したデミアン・シッソン(B)&ウィル・キャロル(Dr)という編成での4作目ということで、かなり安定感の強い1枚に仕上がっています。

前作『THE EVIL DIVIDE』(2016年)からちょうど3年という感覚で発表された本作は、プロデューサーに前作から引き続きジェイソン・スーコフ(TRIVIUM、DEICIDE、FIREWINDなど)を迎えて制作。ここ数作は彼が手がけているようで、その相性の良さが伺えます。

前作から引き続きスラッシュメタルバンドとしてのベースを保ちつつも、そこに正統派パワーメタル的な色合いやパンキッシュな側面、もやは定番となったメロウなミディアムチューンなどバラエティ豊かさは前作以上。聴いていて飽きが来ないし、終始ワクワクしながら楽しめるという点でも過去最高ではないかと思います。

前作では4分台の楽曲が中心となっていたと書き残していましたが、今作もボーナストラックを含む全11曲中5分以下の楽曲は7曲……いや、今回に関しては3分台が5曲と半数近くを占めているんです。それが、この次々にいろんな色を見せてくれる興味深い作風に良い影響を及ぼしているようです。

オープニングのタイトルトラック「Humanicide」は5分40秒程度の、ドラマチックなアレンジを持つ王道のスラッシュチューン。こういう劇的な展開はアルバムの1曲目にぴったりですよね。しかも“DEATH ANGELらしさ”もしっかり保たれていて、掴みは完璧。続く「Divine Defector」はメタルとハードコアをミックスしたよ凶暴な1曲で、そこからスラッシュバンドらしい複雑な展開を取り入れた「Aggressor」、パワーメタル調の「I Came For Blood」、メロディアスさと不穏な音階がミックスされたミドルチューン「Immortal Behated」(エンディングでフィーチャーされるピアノが最高!)……前半の流れが過去最高なんじゃないかと。素晴らしすぎる。

もちろん後半も文句なしの構成で、疾走スラッシュ「Alive And Screaming」や男臭いコーラスをフィーチャーした「The Pack」、アレキシ・ライホ(Vo, G/CHILDREN OF BODOM)がギターソロでゲスト参加した暴走スラッシュ「Ghost Of Me」とアップテンポの楽曲が続き、異色のモダンヘヴィネス風ミドルチューン「Revelation Song」を経て、メロディアスさが際立つスラッシュナンバー「Of Rats And Men」でエンディングへ。その後ボートラのミディアムナンバー「The Day I Walked Away」も登場するのですが、個人的にはこの曲なしのほうがアルバムの締まりが増すと思いました。前作のときもそうでしたけど、このバンドのアルバムってボーナストラックなしできっちり完結しているので、僕は毎回飛ばすことにしています。まあこのへんは人によりけりかもしれませんが。

今回も安心安定、最高のアルバムを届けてくれたDEATH ANGEL。初期のイメージに捕らわれず、常にそのときのベストを届けてくれる姿勢は尊敬に値します。早くこのアルバムを携えたライブが観たいな。

 


▼DEATH ANGEL『HUMANICIDE』
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2019年6月13日 (木)

ENFORCER『ZENITH』(2019)

スウェーデンのヘヴィメタルバンド、ENFORCERが2019年4月に発表した5thアルバム。

ここ数作、リリースのたびにメンバージェンジが生じていた彼ら。今回のアルバムでも前作『FROM BEYOND』(2015年)リリース後にジョセフ・トール(G)が脱退し、同作を携えた来日時に帯同していたジョナサン・ノルドウォール(G)がサポートから正式メンバーに昇格しています。

これまで2〜3年ペースで作品を発表してきた彼らですが、本作が届けられるまでに約4年という過去最長のインターバルがありました。実際、このアルバムの制作に2年半という長期間が設けられていたとのこと。こういった事実から、今回のアルバムに対する意気込みと5作目のアルバムでの挑戦や苦悩がひしひしと伝わってくるのではないでしょうか。

そして、それはこのアルバムを聴いた瞬間に、驚きという形で伝わってくるはずです。

いやあ、びっくりしました。個人的なイメージですが、ENFORCERというと良くも悪くも“New Wave Of British Heavy Metal(NWOBHM)経由のパワーメタル/スピードメタルバンド”という印象が強かったのですが、ここではそういった軸を芯に残しつつも、より幅広い音楽が表現されています。なんだろう、NWOBHMから誕生したバンドが作品を重ねるごとに時代も変化していき、気づけば多様性の強いアルバムを完成させていた……そんな80年代半ば〜後半によく目にした光景を、そこから30年以上経緯した2019年に再び再現している。そんな印象を受ける1枚なのです。

いや、これめっちゃ褒め言葉です。きっと80年代にこの表現を使ったら、間違いなく否定として受け取られたと思いますが、このアルバムで表現されている音楽、楽曲はどれもクオリティの高いものですし、ENFORCERらしさを残しつつもより大衆的(これも褒め言葉)に進化した。バンドとしてのアイデンティティを死守することももちろん大切ですが、彼らはそれ以上にミュージシャンシップ/アーティストとしての表現力の向上を選んだのではないでしょうか。

メロディのしっかりしたパワフルな正統派HR/HM、プログレッシヴな展開を持つ叙事的なナンバーや繊細さやメランコリックさを持ち合わせたバラード、さらには80'sポップメタルの要素まで散りばめられており、そこにNWOBHM経由のいびつさや不器用さも織り交ぜられている。その泥臭さこそがこのバンドの魅力であり芯の部分だと思うのです。だから、これは“魂を売った”のではなくて、純粋にバンドとして一段上にステップアップした表れなんだと思います。

頂点や絶頂を意味するアルバムタイトルのとおり、このアルバムで現在のメタルシーンのトップに登りつめたい。そんな強い意志はタイトルのみならず、しっかり内容からも伝わってくるはずです。過去のイメージにとらわれず、純粋な気持ちで向き合ってもらいたい力作。これまで彼らの作品に触れてこなかったリスナーにこそ手に取ってもらいたい1枚です。

 


▼ENFORCER『ZENITH』
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2019年6月12日 (水)

PINK CREAM 69『PINK CREAM 69』(1989)

1989年10月に本国ドイツでリリースされた、PINK CREAM 69のデビューアルバム。日本では2ndアルバム『ONE SIZE FITS ALL』(1991年)での国内デビュー(1991年5月)にあわせて、同年8月に初リリースされています。

当時のメンバーはアンディ・デリス(Vo, G/現HELLOWEEN)、アルフレッド・コフラー(G)、デニス・ワード(B)、コスタ・ツァフィリオ(Dr)。すでにアンディとコスタが脱退していますが、現在も定期的にアルバムをリリースするなど安定した活動を続けています。

『ONE SIZE FITS ALL』でこのバンドを知った際、その完成度の高さに震えましたが、後追いのこのデビュー作はさらにその内容に驚かされたことを今でもよく覚えています。

1989年というと、ドイツではSCORPIONSACCEPTに続いてHELLOWEENがインターナショナルでのブレイクを果たしたタイミング。BLIND GURDIANがデビューしたり、HELLOWEENを脱退したカイ・ハンセン(G)が新たにGAMMA RAYを結成したりと、のちに(特にここ日本で勃発する)ジャーマンメタル・ブームの火が点り始めた頃に、ドイツ/アメリカ/スイスの多国籍バンドであるPINK CREAM 69はそことは異なる正統派ハードロックを追求し始めるのです。

基本路線は先の『ONE SIZE FITS ALL』と同系統ですが、デビュー作にも関わらず収録曲の数々からは洗練されたセンスを感じ取ることができます。オープニングを飾る「Take Those Tears」や「One Step Into Paradise」のメロディ運びや、適度にテクニカルで練り込まれたバンドアンサンブル、そしてアンディの個性的なハイトーンボイス。そのどれもがHELLOWEENを筆頭とするジャーマン勢とは一線を画するもので、むしろこっちのほうが先に欧米のシーンでウケていても不思議じゃない気がします。それくらい、1989年という時代にフィットした内容だと思います。

疾走感あふれる「Rolling Down A Thunder」、泣きメロのパワーバラード「Close Your Eyes」、豪快なミドルチューン「Welcome The Night」、ヘドバン必至のファストチューン「Partymaker」、シャッフルビートが気持ちいい「Parasite」、そして名曲中の名曲「I Only Wanna Be For You」。とにかく捨て曲なし。あの時代に打ち出し方さえ間違えなかったら、「SKID ROWに対するヨーロッパからの回答」なんて評価さえ出てきたんじゃないか。そんな気すらします。

『ONE SIZE FITS ALL』ではより洗練された楽曲群を楽しめますが、デビュー時点でこのクオリティはハンパないと思いますよ。1作目と2作目、どちらも甲乙つけがたい名盤です。

 


▼PINK CREAM 69『PINK CREAM 69』
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2019年6月11日 (火)

ANGRA『ANGELS CRY』(1993)

ブラジル出身のヘヴィメタルバンド、ANGRAが1993年11月にリリースしたデビューアルバム。

ANGRAはVIPERを脱退したアンドレ・マトス(Vo)が、ラファエル・ビッテンコート(G)と1991年に結成。のちにキコ・ルーレイロ(G/現MEGADETH)、ルイス・マリウッティ(B)、マルコ・アントゥネス(Dr)を迎えバンドとしてスタイルを確立させていきます。

聴いてもらえばわかるように、彼らはブラジルのバンドながらもジャーマンメタル的な“クサメタル”を地でいくスタイルで、そこにアンドレがVIPER時代から得意としていたクラシックの影響が散りばめられた、いかにも日本人が好きそうな楽曲がずらりと並ぶわけです。

90年代前半はちょうどここ日本で、HELLOWEENをはじめとするジャーマンメタルがウケていたこともあり、またVIPERの2ndアルバム『THEATRE OF FATE』(1989年)がここ日本でも高く評価されていたこともあり、このアルバムはデビュー作ながらも日本でバカ売れしました。そりゃあイングヴェイがオリコン総合チャートで1位を獲る時代ですもん。今では考えられない、想像できないようなことが起こっていたわけです。

オープニングSE「Unfinished Allegro」はクラシックというよりも、(そのチープさ含め)RPGゲームのBGMっぽさがあって今聴くと「……大丈夫?」と思ってしまいますが、続く名曲「Carry On」で確実にノックアウトされるはずなのでご心配なく(笑)。

「Carry On」ばかりが取り上げられる機会の多いアルバムではありますが、もちろんそのほかにも名曲三昧。タイトルトラック「Angels Cry」はクサメタル/クラシック/プログレメタルの要素をミックスした大作ですし、ドラマチックな盛り上がりを見せるメタルバラード「Stand Away」やカイ・ハンセン(G)&ディレク・シュレヒター(G)のGAMMA RAY組がソロ弾きまくりな約8分の大作「Never Understand」、「嵐が丘」の邦題でおなじみのケイト・ブッシュの代表曲「Wuthering Hights」の名カバー、メロディ運びが完全にジャーマンメタルのそれという「Evil Warning」、そしてアルバムラストにふさわしい圧巻の組曲「Lasting Child」……サウンドプロダクション的には多少難があるものの、楽曲自体はどれも出色の完成度ではないでしょうか。90年代前半のHR/HMシーンを語る上で最重要とは言い切れないものがありますが、ここ日本を基準に考えた場合欠かすことのできない1枚であることは間違いありません。うん、名作。

つい先日、アンドレ・マトスが心臓発作で47歳にして亡くなるというニュースが飛び込んできました。アンドレ、自分と同い年だったんだね。全然意識してなかった……同世代、特に同学年のアーティストが若くして亡くなるのはなんともやりきれない気持ちになります。今の僕にできることと言えば、彼が残した作品を忘れずに聴き続けること、そしてこうやってテキストで彼の偉業をまだ知らない人に伝えること。これが誰かのきっかけになって、つながっていくことを願ってやみません。

 


▼ANGRA『ANGELS CRY』
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2019年6月10日 (月)

JOY DIVISION『UNKNOWN PLEASURES』(1979)

JOY DIVISIONが1979年6月に発表したデビューアルバム。メンバーはイアン・カーティス(Vo)、バーナード・サムナー(G, Key)、ピーター・フック(B, Vo)、スティーヴン・モリス(Dr)の4人。当時全英アルバムチャートで71位を記録しています。

「Disorder」のようにスカスカのリズムの間を空間系のエフェクトをかけたギターが埋め尽くしたりする曲もあるものの、基本的には隙間だらけの非常にシンプルなバンドアンサンブルの中にひねくれたベースラインがうねうね歌ったり、効果音的にシンセを用いたりなどしたチープなサウンド。今の感覚で聴くと非常にスカスカだし、いくらリマスタリングされた音源(最新版は2007年リマスター)でも、さすがにオリジナルは40年前のものですからね。それなりのものだと理解してから触れてもらえればと(しかし、このチープさが最終的にはクセになるんですけどね)。

パンクロックがひと段落し、そこから派生したニューウェイヴ/ポスト・パンクバンドのひとつと見なされているJOY DIVISIONですが、確かにこのアルバムにも“パンクロック以降”を匂わせる面影は残っています。「Shadowplay」や、本作で唯一ピーターがボーカルを執る「Interzone」なんてまさにそれですよね。

しかし、シンプルなリズムとリフ(ギターというよりもベースかな)が反復され、その上にイアンのエモーショナルになりすぎない歌声が乗ると不思議な空気感が出来上がる。オープニングの「Disorder」然り、エンディングの「I Remember Nothing」然り。暗黒という言葉がぴったりなこのダークさは、なかなか真似できるものではないと思います。

そういったスタイルのせいか、要所要所でTHE DOORSを思い浮かべることもあります。イアンの書く歌詞の歌詞の世界観によるものも大きいですが、ジム・モリソン(Vo)のように情熱的でセクシーな印象はまったく伝わってこない。むしろ、そういった感情の動きを排除しているとさえ思えてくるこのダウナーさ。そこにUKパンクムーブメント後の“祭りのあと”感が透けて見える気がします。

シンプルなリズムとリフの反復という点においては、ほかのポスト・パンクバンドにも通ずるものがあると思いますが、ほかのバンドがダブなどアフロ的な方向に突き進んだりする中、JOY DIVISIONにはそちら側の色は見受けられない。その後、NEW ORDERにてハウスなどのクラブミュージックへと接近していくことを考えると、この時点でその片鱗が散りばめられている、と受け取ることもできるのではないでしょうか。

とはいえ、実は僕自身「ここがすごいんだよ!」とはっきり言い切れないところがあるのも、このJOY DIVISIONというバンドの不思議な魅力と言いますか。クセになるんだけど、じゃあ何がすごいのかと言われると「う〜ん……」と唸ってしまう。特にこの1stアルバムは荒削りだったパンク上がりの下手くそバンドが、プロデューサーの手によって劇的な変化を遂げた転換期でもあっただけにね。

そういう意味では、このバンドの魅力って本作のデラックス盤の特典ディスクに収録されたライブ音源(アルバム発売後の1979年7月、マンチェスターで録音)と合わせて聴くことでようやく見えてくるんじゃないか。そんな気がします。

 


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2019年6月 9日 (日)

L.A. GUNS『THE DEVIL YOU KNOW』(2019)

2019年3月発売の、L.A. GUNS通算12作目のオリジナルアルバム。前作『THE MISSING PEACE』(2017年)から1年半という最近としてはかなり短いスパンで届けられた本作は、バンドの今の勢いがそのままパッケージされた力作に仕上がっています。

前作でフィリップ・ルイス(Vo)&トレイシー・ガンズ(G)という往年のフロントが復活。初期3作を思わせる楽曲群を現代的なタッチでアレンジした作風は、比較的好意的に受け入れられたのではないかと思います。また、同作リリース前後には『LOUD PARK』での来日も実現し、その健在ぶりをアピールしたことも記憶に新しいのではないでしょうか。

その後、初期L.A. GUNSを彷彿とさせるルックスのマイケル・グラント(G)が脱退。新たにミッチ・デイヴィスを迎えてバンドを立て直しつつ、この新作の制作に臨みました。

プロデュースは前作同様トレイシーが担当。ソングライティングのクレジットにはメンバー5人の名前が並び、ボーカル・プロダクションにミッチ・デイヴィス、アディショナル・プロダクション&エンジニアリングにシェーン・フィッツギボン(Dr)の名前を見つけることができるなど、こういった面からもいろんな意味で“バンド”感が増している印象を受けました。

さて、気になるサウンドですが、楽曲的には基本的には前作の延長線上にあるものの、質感としては前作にも増して1stアルバム『L.A. GUNS』(1988年)の頃の“危うさ”や“いかがわしさ”が復調しているように感じました。

アップテンポの楽曲よりもミドルテンポ中心のハード&ヘヴィ路線は2ndアルバム『COCKED & LOADED』(1989年)のそれを思い浮かべますが、あの頃と違うのは良い意味で“整理されていない”感をコントロールしていること。サウンドやアレンジ含め、適度なラフさが散りばめられており、とても30年選手とは思えないほどエネルギッシュな躍動感が伝わってくる。オープニングを飾るファストチューン「Rage」はもちろんのこと、ミドルヘヴィの「The Devil You Know」やシンプルなロックンロール「Needle To The Bone」「Don't Need to Win」といった楽曲にもフレッシュさが感じられるのですから不思議なものです。

あと、本作はバラードらしいバラードが終盤の「Another Season In Hell」のみで抑えられているのも良いんじゃないかな。別にバラードが少なければ良いという意味ではなく、それこそ初期2作はそこで戦っていなかったわけだし、そういった意味でも1周回って復調した感がより伝わってくるし。実は「Another Season In Hell」のあとにボーナストラックとして「Boom」も収録されているのですが、個人的にはここまで聴いて完結する作品かなと思っています。この曲もボートラには勿体ないぐらい、初期の“らしさ”を体現していますしね。

まあ、あれです。早く単独で日本に来なさいよと。前作の楽曲も数曲しかライブで体験できなかったですし、この新作からの楽曲と初期の楽曲を織り交ぜたセットリストに期待したいところです。

 


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2019年6月 8日 (土)

DAVID BOWIE『DAVID BOWIE (SPACE ODDITY)』(1969)

1969年11月にリリースされたデヴィッド・ボウイ通算2作目のオリジナルアルバム。本作、僕ら世代は髪がツンツンに立ったボウイの顔を捉えたジャケットに『SPACE ODDITY』というタイトルが付けられた1枚として馴染んできましたが、実は本来のタイトルは『DAVID BOWIE』と非常にシンプルなもの。ジャケットもカーリーヘアのボウイを収めたものでした。実は僕らが知る『SPACE ODDITY』というアルバムタイトル&ジャケットは1972年の再発時から続いていたもので、現在は本来のジャケット&ジャケットに戻っています。

この時期はグラムロック期前夜で、ボブ・ディランからの影響濃厚のフォーキーなスタイル。アコギを軸にしたアンサンブルは、時にフルートなどを用いることでのちのスタイルに通ずる耽美さを醸し出しています。

そんな中、オープニングを飾るヒットシングル「Space Oddity」(全英5位/1972年に全米15位、1975年には全英1位)ではサイケデリック/アシッド感満載のフォークロックに仕上げられています。まさに歌詞にある宇宙空間にひとり取り残された男のように、異空間での浮遊感と不安感が同時に押し寄せてくるこのアレンジ&サウンドは決してハッピーなものではないものの、何度も聴きたくなるようなフックがたくさん用意されたスルメものの1曲です。

また、「Wild Eyed Boy From Freecloud」はグラムロック期にもメドレー内で披露されており、耽美かつドラマチックなアレンジのスローナンバーはグラム期のそれともまた異なる(しかし、ボウイのそれとわかる)魅力を堪能することができるはずです。

「Letter To Hermione」や「An Occasional Dram」「God Knows I'm Good」などの内向的なフォークナンバーからは、ディランのみならずサイモン&ガーファンクルあたりからの影響も見え隠れする穏やかなノリで、ボウイの歌い方も時に力みゼロの脱力感で、また時に悲壮感漂うほど悲しげなもので、のちの彼から感じる爬虫類的(というか異星人のよう)な独特感は皆無。これもまたボウイなわけです。

個人的なクライマックスは、アナログ各面のエンディングを飾る「Cygnet Committee」と「Memory Of A Free Festival」の2曲。ともに9分半、7分強という大作ですが、すでに本作以降に展開されていくボウイ独自のスタイルが完成しているんじゃないか、と思わせるほどの内容なのです。歌詞のテーマ的にも個と社会という対比が感じられますし、次作『THE MAN WHO SOLD THE WORLD』(1970年)以降の活動を考える上でも重要な2曲ではないかと思います。

ボウイビギナーが最初に聴くべき1枚ではないものの、初期の『THE MAN WHO SOLD THE WORLD』が気に入った人なら確実に引っかかる、地味ながらもスルメな楽曲集ではないかと。最近、この時期の作品をやたらと聴きまくっているのですが、今の自分のモード的に非常にしっくりくるんですよね。

 


▼DAVID BOWIE『DAVID BOWIE (SPACE ODDITY)』
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2019年6月 7日 (金)

SUEDE『DOG MAN STAR』(1994)

1994年10月に発表された、SUEDEの2ndアルバム。

デビューアルバム『SUEDE』(1993年)はブリットポップ前夜のリリースながらも全英1位を獲得し、早くもトップバンドの仲間入りを果たします。と同時に、ブレット・アンダーソン(Vo)のスキャンダラスな発言が一人歩きすることで、音楽面以上にそちら側で話題になることも増え、そういった状況に嫌気がさしたバーナード・バトラー(G)は2ndアルバム完成直前にバンドを脱退。ギターのレコーディングはすでに完了していたこともあり、本作『DOG MAN STAR』はバーナード在籍時最後のスタジオ作品となってしまいました。

アルバムリリースと前後して、オーディションを経て新ギタリストのリチャード・オークスが加入。当時まだ17歳というその年齢に驚かされましたが、個人的には「バーナードのいないSUEDEなんて……」という思いが強く、この時期の彼らに対しては消極的だったことをよく覚えています。

しかし、それと作品の完成度は別の話。1stアルバムも確かに素晴らしい内容ですが、現在までにおいてSUEDEというバンドのなんたるかが的確に表現されているのが実はこの2ndアルバムではないかと信じています。それくらい寸分の隙もない、徹底した完成度の1枚なのです。

いわゆるギターロック然としたイメージの強かった前作と比べると、本作はその要素も残しつつ(「Heroin」「New Generation」など)、よりダークでディープな方向へと突き進んでいます。どこか黒魔術を思わせる不気味なオープニングトラック「Introduction The Band」や、重量級のロッカバラード「This Hollywood Life」なんて、前作では考えられなかった方向性でしょう。ブラスセクションをフィーチャーした「We Are The Pigs」もまた然り。

ですが、本作最大の聴きどころ(山場)は多数用意されたスローナンバー、これなのですよ。前半だったら超名曲の「The Wild Ones」や「The Power」といったドラマチックでセンチメンタルな楽曲群は、グラムロック期のデヴィッド・ボウイと完全に重なるし、後半のクライマックスとなる「The 2 Of Us」から「Still Life」までの4曲の流れは本当に壮絶なものがあるし、中でも9分半にもわたる「The Asphalt World」のアレンジ(およびバーナードのギタープレイ)・構成は圧巻の一言です。この後半のためだけに本作を購入しても決して損しないと言い切れるほど、名作中の名作なのです。

ここで初期のスタイルを完璧な形で完結させてしまったSUEDE。ギタリストの交代ということもあり、この後の方向性を模索することになるのは仕方ないわけですが、にも関わらず次作『COMING UP』(1996年)で新たな最盛期を築き上げてしまうのですから、本当にこの時期の彼らは神がかっていたわけです。

 


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2019年6月 6日 (木)

AFTER THE BURIAL『EVERGREEN』(2019)

アメリカ・ミネソタ州ミネアポリス出身のデスコアバンド、AFTER THE BURIALが2019年4月にリリースした6thアルバム。

もともとはツインギターの5人組バンドでしたが、創設メンバーのジャスティン・ロウ(G)が2015年に死去してからは4人編成で活動。今作は『DIG DEEP』(2016年)に続く、同編成での2作目にあたります。

Sumerian Recordsを代表するバンドのひとつと認識しておりますが、過去に聴いたことのある作品はその5人編成でのラスト作となる『WOLVES WITHIN』(2013年)のみ。同作はギターがヘヴィなわりにリズム(特にドラム)が軽いな……という印象を持っていたのですが、それもそのはず、ミックスをかのテリー・デイト(PANTERASOUNDGARDENDEFTONESなど)が担当していたんですね。この音のバランス感、90年代的なのかもな……と新作を聴いて比較してみて、改めてそう思いました。

さて、肝心の新作について。オープニングを飾る「Behold The Crown」の不穏なアルペジオが往年のスラッシュメタルを彷彿とさせますが、いざリズムインしてからの展開がとにかくクール。特にギターのピッキングハーモニクスを多用したフレージングはダイムバッグ・ダレル(PANTERA)へのリスペクトも感じられ、ミドルヘヴィパートから突如疾走パートへと以降してからの展開含め問答無用のカッコよさなのです。

その後も前のめりな「Exit, Exist」や、ツインリード的なギターハーモニーも飛び出す(かつ、非常にテクニカルな細かなプレイも多用)「11/26」のエモーショナルさにやられっぱなし。「In Flux」のオープニングで聴けるバスドラとギターリフの一体感が半端ないプレイや、「Quicksand」でのメロディアスなフレージングなど、とにかく変態的なのにグッとくるギタープレイやバンドアンサンブルが満載なのですよ。中でも「To Challenge Existence」で聴けるフレージングやプレイなんて、MESHUGGAH的でもありますからね。

PANTERAというよりはLAMB OF GOD以降というべきなのかしら、そういったUSモダンヘヴィネスを軸に、ジェントにも通ずる機械的なユニゾンプレイやメタルコア以降のモダンなアレンジ。それらを駆使しつつ、プログレッシヴな展開が激化したのがこの『EVERGREEN』というアルバムなのかなと。というか、そういった作品に『EVERGREEN』というタイトルを付ける(そしてこのアルバムジャケットを用いた)センスが、個人的に好きです。できるだけ大きな音で、無心で楽しみたい1枚。

 


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2019年6月 5日 (水)

BLESSING A CURSE『WASTE』(2019)

アメリカ・フロリダ州オーランド出身の5人組モダンメタルバンド、BLESSING A CURSEが2019年3月にリリースした2ndアルバム。

ラップメタルや2000年代以降のメタルコア、そしてポップロックから多大な影響を受けたという彼らは、SLIPKNOT以降のゴリゴリしたモダンヘヴィネス的サウンドの中にも90年代のポップパンク、LINKIN PARK以降を思わせるキャッチーなメロディが含まれているなど、妙にクセになる楽曲が多いのが魅力。

前作『SATISFACTION FOR THE VENGEFUL』(2016年)ではアンドリュー・ウェイド(WAGE WAR、A DAY TO REMENBER、HER HAME IN BLOODなど)をプロデューサー&ソングライターに迎えていましたが、今作ではステファン・ホークス(ATTILA、CHELSEA GRIN、ICARUS THE OWLなど)とタッグを組んで制作しています。

テンポ感やアレンジの組み立て方からは確実に2000年代以降の“それ”を感じますし、曲によってはブレイクダウンが用いられていたりするので、HR/HMというよりは昨今のラウドロックと呼ばれるジャンルに括られるバンドなのでしょう。しかし、時折飛び込んでくるメロディの切なさや繊細さからは、先に挙げたSLIPKNOTやLINKIN PARKはもちろんのこと、もっと言えば90年代のグランジバンドからの影響も感じられます。

しかも、こういったメロウなパートが歌い上げる系ではなくて、ちょっと線が細いんですよね。ここがちょっと日本人的にグッとくるものがあるといいますか、ぶっちゃけ日本のバンド的じゃんと思っていますわけです。この変に悪ぶりきれない感じに、個人的には非常に好感が持てるのですよ。

ミドルテンポ中心の作風とザクザクしたギターリフの刻みはもちろんモダンメタルのそれなので、要所要所でグルーヴィーさを醸し出しているんだけど、突如として現れる「Vanish」のような曲にはアッパーさも味付けとして導入されている。スクリーム&グロウル中心のところに繊細な歌メロやハーモニーが飛び込んでくる点含め、この変幻自在なアレンジは個人的にはかなりツボ。いや、普段国内のラウドロックを聴いているリスナーにもかなりツボなんじゃないかと思うのですが、いかがでしょう?

かつ、曲によってはかなりメロディアスに聴かせるギターソロも用意されているし、実は意外とHR/HMリスナーにも引っかかるポイントが少なくないんじゃないか。そんな予感すらさせる、なかなかの力作です。

 


▼BLESSING A CURSE『WASTE』
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2019年6月 4日 (火)

PRONG『RUDE AWAKENING』(1996)

1996年5月にリリースされたPRONGの5thアルバム(メジャー4作目のして最終作)。成功を収めた前作『CLEANSING』(1994年)から引き続きテリー・デイト(SOUNDGARDENPANTERADEFTONESなど)がプロデュースを手掛け、チャート的には前作の126位を上回る全米107位にランクインしました。

前作から加入のキーボーディストは早くも脱退し、トミー・ヴィクター(Vo, G)、ポール・レイヴン(B/KILLING JOKE)、テッド・パーソンズ(Dr)というトリオ編成で制作された本作。インダストリアル色はここでも健在で、プログラミングやキーボードをNINE INCH NAILSMARILYN MANSONとの仕事で知られるチャーリー・クラウザーが担当しています。

スラッシュメタル色が若干残っていた前作から完全に脱却し、本作ではグルーヴメタルやインダストリアルメタル、あるいはグランジ以降のダークなラウドロックに特化した作風へとシフト。前作の時点でその予兆はあったとはいえ、ここまで潔く変化したのはグランジブームも終焉を迎え、KORNやDEFTONESをはじめとする“ヒップホップ以降のヘヴィサウンド”に注目が集まり始めたのも大きかったのでしょう。もともとKILLING JOKEのポール・レイヴンが加入した時点で、こういった“スピードよりも重さを重視した、オルタナ以降のヘヴィロック”へと移行するのは時間の問題だったでしょうしね。

オープニングの「Controller」から絶妙なテンポ感のヘヴィチューンが続く構成は、ただただ気持ち良い。アルバム1枚の中でミドルテンポをベースに多少のアップダウン度で変化を付ける構成は、なかなかの難しさがあるとは思います。特に彼らのようにスラッシーなサウンドを下地にしていたバンドにとっては、スピードを殺すことは困難を極めるのではないでしょうか。しかし、段階を踏むことでこうした“ミドルテンポのグラデーション”が楽しめる作品集を完成させられたのは、ミュージシャンシップの賜物かもしれません。

とにかくドラム&ベースが生み出すグルーヴ感と、そこに絡み合うプログラミング=インダストリアルサウンド。絶妙な歪みで印象的なリフを刻み続けるギター。「Mansruin」のリフからはスラッシュメタルがルーツであることが垣間見えるし、決して彼らはルーツを葬ったわけではない。表現手段が増えた結果、スラッシュ色をメインにしなくてもよくなっただけの話なんですよね。

評価的には前作のほうが上かもしれませんが、前作での試みがひとつの完成を見たという意味では、本作も見過ごせない1枚だと思います。いやはや、2019年の今聴いてもめちゃめちゃカッコいいですから!

 


▼PRONG『RUDE AWAKENING』
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2019年6月 3日 (月)

HELMET『BETTY』(1994)

1994年6月に発表された、HELMETの3rdアルバム(メジャーのInterscope Recordsからの新作としては、1992年の『MEANTIME』に次ぐ2作目)。「Milquetoast」などのラジオヒットを受け、チャート的には前作の68位を上回る全米45位まで上昇し、イギリスでも最高38位と初ランクインを果たしました。

前作では1曲のみスティーヴ・アルビニが携わり、全体のミックスをアンディ・ウォレスという時の人が手がけましたが、今作ではトッド・レイ(ジャック・ジョンソン、HOUSE OF PAIN、BEASTIE BOYSなど)とブッチ・ヴィグ(NIRVANATHE SMASHING PUMPKINSGARBAGEなど)がプロデュース、アンディ・ウォレスがミックスを担当しています。

前作ほどの残虐さや過剰さは薄れましたが、緻密なバンドアンサンブルと整理されたサウンドからはじんわりと狂気が感じられるものに仕上がっている印象を受けます。ジョン・ステニアー(Dr)のドラミングは相変わらず数学的でひたすらカッコいいのですが、前作で聴けたカンカンしたスネアサウンドは若干抑え気味。ミックスのせいもあるのでしょうけど、そこだけが残念でなりません。しかし、そのぶんペイジ・ハミルトン(Vo, G)&ロブ・エチェベリア(G)のストリングス隊とのバランスも良く、アルバムの完成度としては過去イチではないかと思います。

ペイジ・ハミルトンのボーカルも前作で聴けたシャウトに近いスタイルは減退し、落ち着いたトーンで淡々と歌うことでクールさと同時に狂気性を感じさせるものへと昇華。シングルカットもされた「Milquetoast」での淡々と歌う中、演奏がどんどん熱を帯びていくアレンジは圧巻モノです。

かと思えば、抑え気味に叫ぶ「Tic」で感じられるコントロール感、「Rollo」でのグルーヴ、「Street Crab」や「Clean」での引き摺るようなヘヴィなリズム、ジャジーなギタープレイから突如ノイジーなインプロヴィゼーションへと変化するインスト「Beautiful Love」(ジャズのスタンダードをカバーしたもの)、ヒップホップからの影響が強い「The Silver Hawaiian」、脱力感ハンパないオルタナブルース「Sam Hell」などバラエティに富んだ楽曲が満載。ここでペイジ・ハミルトンのアーティスト性が一気に開花し、バンドとしての個性も確立されることになったわけです。

初期衝動性の強いインディー盤『STRAP IT ON』(1990)や衝撃のデビュー作『MEANTIME』を良しとするリスナーからは、本作で試みた実験は快く思われていないようですが、HELMETというバンドの極みは本作にあると個人的には考えています。1994年というロックにおける重要な年にリリースされたという点において、決して欠かすことができない必聴盤ではないでしょうか。

 


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2019年6月 2日 (日)

PERIPHERY『PERIPHERY IV: HAIL STAN』(2019)

海外では2019年4月初頭に、日本では同年5月下旬にリリースされたPERIPHERYの6thアルバム。前作『PERIPHERY III: SELECT DIFFICULTY』(2016年)から3年ぶりの新作にあたる本作は、これまで在籍したSumerian Recordsから離脱し、新たに設立されたプライベートレーベル3DOT Recordingsからの第1弾リリースとなります。そういったことも影響してなのか(プロモーション的に)、アメリカではここ数作20位台をキープしていましたが、今作は最高64位という成績。ただ、イギリスでは過去最高の23位という数字を残しており、チャートの順位だけでは測りきれないものがあるかと。

2012年から在籍したアダム・ゲットグット(B)が2017年に脱退したものの、本作のプロデュースおよびレコーディングメンバーとしてアルバムには参加しているので、関係は脱退後も良好なようです。

さて、気になる内容ですが……いきなり17分近い大作「Reptile」で幕開け。ジェント的なアレンジこそ至るところに散りばめられていますが、完全にプログレッシヴメタルですよね。まあ、ジャンル分けとか細かいことは特に気にすることないと思います。エピックと呼ぶにふさわしいこのドラマチックで圧倒的な楽曲を乗り越えた先には、前作にも通ずるブルータルなモダンメタルチューンが待ち受けているのですから。

序盤こそ初期の彼らに備わっていたキャッチーさが薄くなったかな?と心配になり、若干聴き手を選びそうな気がしないでもないですが、アンセミックな「It's Only Smiles」やドラマチックな「Crush」や叙情的な大作「Satellites」など、中盤以降は従来の“らしさ”も強く感じさせるナンバーも多数存在。そういった楽曲群のメロディアスさに関しては、正直前作以上ではないかと思っています。

なにやら本作は、過去のアルバムと比べて過去最長となる1年をかけてレコーディングに取り組んだという意欲作とのこと。視点を変えれば、それだけ難産だったのかな……と受け取ることもできなくはないですが、メンバー脱退などを経てバンドがこの6作目のアルバムで何を表現したかったのか、何を証明したかったのか。

もちろん至るところで(本人たちが望む/望まないは別として、このジャンルの立役者としてあえて言いますが)ジェントらしいフレーズやアレンジを効果的に用いていますが、それだけではない普遍性とモダンなポップスにも通ずる要素も感じられます。そして、そういった要素が絶妙なバランスで混在することで、もはやジェントなんて狭い括りは必要ないと断言できるほどの独自性の高さを手に入れた。その結果、バンドとしては確実に一段高いステージへと到達した……そういった事実を見事に証明する、濃厚な大作だと思います。

 


▼PERIPHERY『PERIPHERY IV: HAIL STAN』
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2019年6月 1日 (土)

DIAMOND HEAD『THE COFFIN TRAIN』(2019)

2019年5月にリリースされた、DIAMOND HEADの8thアルバム。前作『DIAMOND HEAD』(2016年)は前作『WHAT’S IN YOUR HEAD?』(2007年)から9年ぶりの新作ということで、オールドファンを驚かせ(かつ喜ばせ)ましたが、今回はそこまで間が空くことなく、3年という標準的なスパンで届けられました。

すでにオリジナルメンバーはブライアン・タトラー(G)しか残っていませんが、90年代の再結成、および2002年の再始動のすべてに参加しているカール・ウィルコックス(Dr)以外、アンディ・アバーリー(G/2006年加入)、ラスマス・アンダーセン(Vo/2014年加入)、ディーン・アシュトン(B/2016年加入)の3人はすべて2000年代に参加した、いわば“若手”。いや、実年齢は知りませんけど(MVを観る限りでは……苦笑)。

さて、僕自身DIAMOND HEADのアルバムは80年代の3作と、デイヴ・ムステイン(MEGADETH)やトニー・アイオミ(BLACK SABBATH)がゲスト参加した4thアルバム『DEATH AND PROGRESS』(1993年)程度しか聴いたことがないので近作との比較はできませんが、今回のアルバムは非常に優れた、王道のHR/HMを体現したカッコいいアルバムだと思いました。

オープニングを飾るファストチューン「Belly Of The Beast」でいきなりハート鷲掴みだし、続くアップテンポの「The Messenger」で展開される豪快なハードロック、さらに3曲目のタイトルトラック「The Coffin Train」では“これぞブリティッシュハードロック”と言いたくなるドラマチックなアレンジを楽しませてくれるのですから、最高ったらありゃしない。

もちろん、以降の楽曲も粒ぞろいで、どこかエキゾチックなテイストの「Shades Of Black」や1分程度のインタールード「The Sleeper (Prelude)」に続いて始まる「The Sleepr」のネットリしたイメージのヘヴィさ、正統派なファストチューン「Death By Design」の気持ち良さを筆頭に、引きずるようなヘヴィさを持ちながらもどこかキャッチーな「Serrated Love」、ドラマチックな展開を持つ後半のハイライト「The Phoenix」、叙情的な泣きメロの「Until We Burn」と捨て曲がないことに驚かされます。正直、ここまでがっつり最後まで楽しめるとは思ってもみませんでした。

昨年、SAXON『THUNDERBOLT』(2018年)というパワフルな傑作を発表しましたが、DIAMOND HEADも負けていません。初期の彼ら“らしさ”をそこはかとなく漂わせながらも、しっかり現代的にバージョンアップしている(いや、現代的といっても昨今のモダンメタルのそれではなく、あくまで今の時代に耐えうるサウンド、アレンジという意味です)。今やNew Wave Of British Heavy Metal(NWOBHM)なんて死後同然ですが、それでも彼らはそこに対しての維持やこだわりを持ってシーンと向き合っている。そんなことすら感じさせるこの1枚は、ぜひ幅広い年代に聴いてもらいたいHR/HMアルバムだと思いました。

 


▼DIAMOND HEAD『THE COFFIN TRAIN』
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