IMMINENCE『TURN THE LIGHT ON』(2019)
スウェーデンのポスト・モダンメタルバンド、IMMINENCEが2019年5月(日本では同年6月)にリリースした3rdアルバム。
エディ・ベイル(Vo, Violin)、ハラルド・バレット(G)、クリスティアン・ホイヤー(B)、ピーター・ハンストロム(Dr)の4人からなる彼らは、ご覧のとおりバイオリンをフィーチャーした、この手のバンドとしては興味深い編成。デビューアルバム『I』(2014年)ではその個性が遺憾なく発揮された、ドラマチックなポストハードコアサウンドが展開されていました。僕も完全な後追いですが、このデビュー作は本当に素晴らしいと思っています。
ところが、世界デビューおよび日本デビューとなった前作『THIS IS GOODBYE』(2017年)ではそのアグレッションが若干影を潜め、ポストロック的なエレクトロ・エフェクトが多用された、ドラマチックな歌モノ・メタルコアへと路線変更。前作を絶賛した一部のリスナーからは酷評されたようです(これはこれで悪くないんですけどね)。
さて、それではこの新作はどうなのかと言いますと、基本的には前作の延長線上にある1枚であることは間違いありません。アグレッシヴさは前作と同等か、あるいはそれより少しは増している気もしますが、何よりも全体的により洗練されたアレンジ/楽曲を楽しめるはずです。
ドラマチックさ、エモーショナルさは過去最高と言えるでしょう。例えばBRING ME THE HORIZONの『AMO』(2019年)、ARCHITECTSの『HOLY HELL』(2018年)、あるいはPAPA ROACHの『WHO DO YOU TRUST?』(2019年)あたりで表現された「ポスト・モダンメタルバンドのさらなるモダン化」が、ここでも追求されている、と受け取ることもできるんじゃないかと。少なくとも、その試みは前作のときよりも成功しているように感じられます。
プレスリリースによると、メンバーは前作リリース後に「何かを探し求めていたけど、その“何か”が自分でも判らずに、もがくばかりだった」とのこと。そんな産みの苦しみを経て、ようやく到達したのがこのアルバムなのだとしたら、この変化と成長を好意的に受け入れつつ、その作品で表現された「葛藤の中に見つけた光」を思う存分の爆音で楽しみたい。素直にそう思わずにはいられません。
個人的にはアルバム序盤〜中盤の、「Saturated Soul」「infectious」「The Sickness」「Death Of You」の流れが非常に素晴らしいなと。この雰囲気は先に挙げたアルバム群にもないものだと思いますし、ここ最近の若手ポスト・モダンメタルバンドの中でもかなり優れた内容ではないかと確信しています。もっと広まってほしいな。
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