EARTHSHAKER『FUGITIVE(逃亡者)』(1984)
1984年3月リリースの、EATHSHAKERにとって通算2作目のオリジナルアルバム。
デビューアルバム『EARTHSHAKER』(1983年)が好評を博したこともあり、前作から9ヶ月という(今の感覚だと非常に)短いスパンで制作された本作は、基本的には前作の延長線上にある1枚。ですが、キャッチーさは前作以上なのかなという気がします。
それもこれも、アナログB面のトップを飾る「モア」によるところが大きいのかなと。80年代前半のシェイカーといえば「モア」と「ラジオ・マジック」の印象が特に強いですからね。80年代半ば〜後半の中高生は大体、ギターを弾き始めた時期に「モア」イントロのアルペジオをコピーしたのではないか?ってぐらい、周りはみんな弾いてましたし。それくらい、強烈な印象を残した1曲なんです。
日本語で歌うことで演歌や歌謡曲の狭間にあるギリギリな“ダサカッコよさ”と、洋楽ハードロック的スマートさ。これは初期のLOUDNESSや44MAGNUM、ANTHEMあたりにも当てはまると思うのですが、メタルやハードロックを日本語で歌うことで若干のダサさを醸し出してしまうところがあるんですよね。
ところが、シェイカーの場合は良くも悪くもそこを逆手に取ったような日本語詞とマーシー(Vo)のビブラートを多用した歌唱法が一部のリスナーに好意的に受け入れられた……これが“ジャパメタ”の夜明けだったんじゃないかと思うんです。もちろん、最初に火をつけたのはLOUDNESSなんですけど、そこにポピュラリティを加えたのは間違いなくシェイカーだったと。
彼らの成功があったからこそ、その後の日本語ロック/歌謡ロックは最盛期を迎えるわけです。「記憶の中」みたいなマイナーチューンも、「YOUNG GIRLS」のような軽やかなアメリカロックも、「LOVE DESTINY」みたいな泣きメロバラードも、そして名曲「モア」や「フュージティヴ」も……当時の日本のロックシーンにとっては教科書的模範解答だったんでしょうね。
だって、彼らがいなかったら、その後のバンドブームもなかったと思うし、それこそZIGGYの成功だって、さらに数年後のV系ブームだってなかったと思うし。そういった意味でも、日本語ロックという大枠で重要なポジションに位置する1枚だと思います。
個人的にはマーシーの歌以上に、シャラ(G)の泣きまくりなギタープレイが耳に残る傑作。今の耳で聴くと若干の古臭さは否めませんが、それでも時代を超越した名曲がたっぷり詰まった1枚には違いありません。
▼EARTHSHAKER『FUGITIVE(逃亡者)』
(amazon:日本盤CD)
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