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2019年7月26日 (金)

ANTHEM『HUNTING TIME』(1989)

1989年5月にリリースされた、ANTHEMの5thアルバム。

前作『GYPSY WAYS』(1988年)でボーカルが坂本英三から森川之雄に交代、3rdアルバム『BOUND TO BREAK』(1987年)から3作連続でクリス・タンガリーディス(JUDAS PRIESTゲイリー・ムーアTHIN LIZZYなど)がプロデュースを手掛けた、“これぞANTHEM”という決定版的な1枚に仕上がっています。

オリジナル盤8曲(2005年リマスター盤および配信バージョンはボーナストラック「Are You Ready?」を加えた9曲入り)中、柴田直人(B)が作曲したのが6曲(ボートラ含め7曲)、福田洋也(G)作曲が2曲というバランスで、この割合は過去作とほぼ一緒。なのに、柴田直人の色合いが濃厚な1枚に仕上げられているのは、それだけ序盤の柴田ナンバーが出色の出来ということなのかもしれません。

まあとにかく、オープニングを飾る「The Juggler」の疾走感とパワーにいきなり圧倒されたかと思うと、ドラマチックなアレンジの名曲「Hunting Time」、さらに王道中の王道「Evil Touch」へと続くわけですから。この3曲だけでも相当な濃度だと思います。ホント、リリースから30年経った今聴いても暑苦しいったらありゃしない(もちろんいい意味で。笑)

その後も森川&柴田の共作詞による「Tears For The Lovers」、福田作曲のハードブギー「Sleepless Night」、タイトルのせいもあってか、どこか末期THIN LIZZYを彷彿とさせる「Jail Break (Goin' For Broke)」、落ち着いたテンポ感のミドルチューン「Let Your Heart Beat」、パンキッシュな前のめり感と勢いを感じる福田作曲の「Bottle Bottom」と、一切隙を感じさせない構成で進んでいきます。

ボーナストラックの「Are You Ready?」も「Bottle Bottom」に近いアップチューン(ただし、こちらのほうがハードロック的)なので、ノリ的には何ら違和感がないのですが、ただ濃密な8曲を聴いたあとになると、ちょっとクドイかな?という気も。このへんはもう好みになってしまうと思うので、判断は聴く人に委ねたいと思います(個人的には、オリジナル盤の8曲がベストかなと)。

ANTHEMというバンドは『BOUND TO BREAK』というアルバムで己の“個”をしっかり確立させたと思うのですが、ボーカリストの交代もあり、続く『GYPSY WAYS』は最高の内容だったにも関わらず、当時はその声の違いに少々戸惑った記憶があります。だからこそ、『GYPSY WAYS』にしっかり慣れたタイミングにダメ押しで発表された本作『HUNTING TIME』は傑作と呼ばれているのかもしれません。僕としては上記3枚はどれも甲乙付け難い内容なんですけどね。

この8月に、ANTHEMは本作のリリース30周年を記念した完全再現ライブを行うとのこと。すでにソールドアウトしているので観に行くことはできませんが、今のANTHEMがこのアルバムをどこまで再現し、どう新たに料理するのか、非常に気になるところです。

 


▼ANTHEM『HUNTING TIME』
(amazon:日本盤CD / 日本盤Blu-spec CD

 

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