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2019年7月12日 (金)

NUCLEAR VALDEZ『I AM I』(1989)

アメリカ・マイアミ出身の4人組バンド、NUCLEAR VALDEZが1989年10月にリリースした1stアルバム。日本ではだいぶ遅れて翌1990年6月に、独自のジャケットに差し替えられて発表されています。

このアルバムのオープニングを飾る「Summer」が伊藤政則氏のラジオ番組『POWER ROCK TODAY』などで激プッシュされたこともあり、日本ではこの1曲のみコアなHR/HMリスナーに知られている……なんて噂もあるほど(いや、僕が勝手に言ってるだけですが。笑)、この曲以外にスポットの当たる機会は少ないアルバムですが、これがなかなか良いんですよね。

彼らはHR/HMの範疇にあるバンドではなく、ラテンアメリカの血を引くメンバーにより結成された、ラテンフレイバーが散りばめられたロックバンド。現地ではTHE HOOTERSとツアーに回ったり、THE ALARMのメンバーとともに『MTV UNPLUGGED』に出演したり……と書けば、なんとなくその方向性が理解してもらえるのではないでしょうか。

実際、僕も最初に「Summer」を聴いたときに思い浮かべたのが、ウェールズのロックバンドTHE ALARMでした。U2ほど熱くなりきれず、どこか醒めた感があるというか……そういう空気感が「Summer」や、ほかのアルバム収録曲からも感じ取れたのです。

2曲目「Hope」なんてギターの泣きっぷりがムード歌謡的すぎて、最初に聴いたときには思わず笑ってしまったのですが、これも意外とクセになるし、続く「Trace The Thunder」の荒々しいドラミングは初期のU2っぽさを彷彿とさせるし(でも、ボーカルが熱くなりすぎないおかげで、U2そのものにはなっていないという)。

オルガンをフィーチャーしたブルージーなバラード「If I Knew Then」もラテン色が強いせいでブルースとは違う方向に行ってるし、THE ALARMにも同タイトルの曲がある「Strength」は個人的にも「Summer」と同じ空気感を感じるし、パンキッシュな「Apache」もギターが奏でるメロディのせいで民族音楽的な空気を醸し出しているし……と、とにかくどの曲もギターのフレージングのせいで唯一無二のサウンドに昇華されているのです。

非常にトラディショナルなロックと言ってしまえばそれまでですが、でもそんな陳腐なジャンル分けだけでは伝わりきらない魅力がそこにはある。だからこそ、一度でいいからアルバムを聴いてみてほしい、そう強く願ってしまうくらい特別な1枚なのです。

オープニングの名曲「Summer」から、同じく名曲のラストナンバー「Rising Sun」まで捨て曲なしの隠れた名盤。ジャケットは非常にダサいですが(笑。だからこそ日本盤は独自のものに変えたんでしょうね)、内容はジャケに相反して最高の一言ですから。オススメです。

 


▼NUCLEAR VALDEZ『I AM I』
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