FM『TOUGH IT OUT』(1989)
1989年10月にリリースされた、FMの2ndアルバム。ここ日本では若干遅れ、1990年1月に発売されています。
メジャーのEpic Recordsからのリリースということで、時代を感じさせますよね。当時は「第二のBON JOVI」やら「第三のDEF LEPPARD」やら「新たなGUNS N' ROSES」やらを青田買いしていた時期で、イギリスから登場したFMもそういった波に乗せられたのでしょう。
と思ったけど、デビューアルバム『INDISCREET』は1986年に発表されているんですよね。つまり、1987年にHR/HMがアメリカで爆発的ヒットを飛ばす前夜。思えばTHUNDERの前身バンドTERRAPLANEも同時期にEpicからデビューしているので、イギリス的にそういうタイミングだったのかもしれませんね。
本作のプロデュースを担当したのはニール・カーノン(DOKKEN、SCORPIONS、QUEENSRYCHEなど)。「Bad Luck」「Burning My Heart Down」といった楽曲では、BON JOVIで名を挙げたデズモンド・チャイルドがクレジットされています。このあたりからも、当時レーベルが彼らにどれだけの期待をかけていたかが伺えます。
90年代以降のFMはレイドバックしたブルースベースのハードロックが特徴ですが、この頃は完全に80年代後半の音……つまり、先に挙げたニール・カーノンがプロデュースしそうな、デズモンド・チャイルドが楽曲提供しそうなタイプの音。まあ簡単に言っちゃえばBON JOVIのフォロワー的な、キャッチーな産業ハードロックなんです。
「Bad Luck」なんてベースラインが“あの曲”っぽいし、サビも完全にあの時代のハードロック。続く「Someday (You'll Come Running)」の憂いあるメロディラインや適度はナードポップ感も完全にそっち側。「Everytime I Think Of You」もその延長線上ですが、かすかに90年代以降の彼らの香りが感じられる……すでにこの頃から、ルーツが垣間みえていたんですね。
派手なシンセサウンドと豪快にソロを弾きまくるギタープレイ、シンセベースを多用したアレンジに時代を感じますし、THUNDERにも通ずるブルース・ハードロック・スタイルのFMが好きなリスナーには違和感ありまくりだと思います。ですが、完成度が異常に高いんですよ。あの時代のBON JOVI系統のバンドが好きなひとなら、絶対に気に入るはず。一時期廃盤になっていましたが、現在はボーナストラックを追加した形で輸入盤を購入することができますし、ストリーミングサービスにも用意されている。気軽に聴けるこの“隠れた名盤”にぜひ触れてみてはどうでしょう。
▼FM『TOUGH IT OUT』
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