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2019年8月30日 (金)

TEENAGE FANCLUB『GRAND PRIX』(1995)

1995年5月にリリースされた、TEENAGE FANCLUBの5thアルバム(日本では同年6月発売)。本国イギリスではCreation Recordsから販売されましたが、アメリカや日本ではメジャーのGeffen Records流通3作目のアルバムとしてリリースされています。

個人的に3rdアルバム『BANDWAGONESQUE』(1991年)、そして今作に続く6thアルバム『SONGS FROM NORTHERN BRITAIN』(1997年)は非常に重要な作品で、こと“パワーポップ”というジャンルで語ろうとするとこの『GRAND PRIX』というアルバムは傑作以外の何物でもないなと思っております。

デヴィッド・ビアンコ(オジー・オズボーンAC/DC、THE POSIES、トム・ペティなど)を共同プロデューサーに迎えた本作は、前作『THIRTEEN』(1993年)よりも骨太で、それでいてしなやかさが際立つバンドサウンドを楽しむことができる良番。とにかく曲が良いし、音の質感も“グランジ以降だけど、ブリットポップほどあからさまじゃない”といった印象で、普遍性の強いものに仕上がっているんじゃないかと思っています。事実、リリースから25年近く経った今聴いても、まったく古臭さを感じませんしね。

全13曲中、ノーマン・ブレイク(Vo, G)が5曲、ジェラルド・ラブ(Vo, B)&レイモンド・マッギンレイ(Vo, G)が各4曲というベストバランスで楽曲制作されており、冒頭の「About You」(レイモンド作)、「Sparky's Dream」(ジェラルド作)、「Mellow Doubt」(ノーマン作)という流れも最高。そこから「Don't Look Back」(ジェラルド作)、「Verisimilitude」(レイモンド作)、「Neil Jung」(ノーマン作)という構成も圧巻で、ここまでの6曲(アナログでいうとA面かな)が完璧すぎるんですよ。なんだ、このアルバム。貶すところないし!ってくらいに。

もちろん7曲目「Tears」(ノーマン作)以降の流れも文句なしで、最後のお遊び的組曲「Hardcore / Ballad」(ノーマン作)も締めくくり的方もベストの一言。全13曲で42分というボリュームといい、パーフェクトとしか言いようがありません。もし人生の10枚を選べと言われたら、間違いなくその1枚に本作を選ぶことでしょう。

チャート的にも本作で初めて全英チャートTOP10入り(7位)を果たし、「Mellow Doubt」(全英34位)、「Sparky's Dream」(同40位)、「Neil Jung」(同62位)というヒットシングルも生まれています。前作までが良くも悪くもグランジの波に飲み込まれ不幸に見舞われたTFCですが、ここでギターロップ/ギターポップバンドとしてその地位を確立。続く次作『SONGS FROM NORTHERN BRITAIN』でその人気を決定づけることになります。

 


▼TEENAGE FANCLUB『GRAND PRIX』
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