MICHAEL MONROE『LIFE GETS YOU DIRTY』(1999)
1999年10月にリリースされた、マイケル・モンロー通算4作目のソロアルバム。当初日本のみで発売されたJERUSALEM SLIM唯一のアルバム『JERUSALEM SLIM』(1992年)、DEMOLITION 23.名義でのアルバム『DEMOLITION 23.』(1994年)を含めると通算6作目ということになります。
前作『PEACE OF MIND』(1996年)前後でニューヨークから故郷フィンランドへと帰国し、音楽の拠点を地元に移したマイケル。前作はドラム以外のパートをほぼマイケルひとりで担当するというセルフ・メイド感の強い、ある種“閉じた”作品でしたが、続く本作は非常に豪快な“開けた”1枚に仕上がっています。
リズム隊のみ地元のプレイヤーに担当させ、自身はボーカルのほかギター、ハーモニカ、サックス、ピアノなど相変わらず多才ぶりを発揮。楽曲に関しても全13曲中、カバー2曲を除く11曲を(公私ともに当時のパートナーだった)ジュード・ワイルダーと共作しています。
ぶっちゃけ、楽曲のタイプ的には前作の延長線上にあるシンプルでパンキッシュなハードロックなのですが、前作を覆っていた“緩さ”が完全に払拭され、非常にタイトな印象を受けるのが本作の特徴。「Life Gets You Dirty」から「Just Because You're Paranoid」へと続く冒頭の構成からは、絶妙な緊張感も感じられ、良い意味で“怒っている”なと。正直、90年代前半のマイケルはいろんなゴタゴタに巻き込まれ、本来なら怒るべきだと思っていたんです。なのに、パンクバンドであるDEMOLITION 23.は怒りよりも享楽的な雰囲気が強いし、すべてを捨てて故郷に戻って制作した『PEACE OF MIND』からはある種の“諦め”すら感じられた。
おいおい、こっちはそんなマイケル・モンローを求めてねぇぞ、と。
もちろん、前作での原点回帰が本作の完成に必要な要素だったことは間違いありません。すべては結果論でしかないですが。
良くも悪くもアメリカナイズされた2ndアルバム『NOT FAKIN' IT』(1989年)から10年を経て、ようやくマイケルは“自分らしさ”を手に入れたんだ。当時はそう思いました。しかし、その後ジュードとの死別が訪れるとは、この頃は思ってもみませんでしたが……。
あ、あと当時はBACKYARD BABIESといったフォロワーたちがマイケルと共演したりすることで、マイケルに対する再評価が始まった時期でもあったんでしたっけ。そういう意味では、本作の登場は必然だったのかもしれません。
ちなみに、本作に収録されているカバー曲のひとつに、HANOI ROCKS「Self Destruction Blues」が含まれています。のちに再結成するハノイもこちらのバージョンを再カバーしていましたね(ハノイ・バージョンは2007年のアルバム『STREET POETRY』収録)。タイトさではハノイ・バージョンが優っていますが、荒々しさはソロ・バージョンのほうが格段に上なので、機会があったら聴き比べてみてください。
▼MICHAEL MONROE『LIFE GETS YOU DIRTY』
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