KORN『THE NOTHING』(2019)
2019年9月13日に全世界同時リリースとなった、KORN通算13作目のオリジナルアルバム。
前作『THE SERENITY OF SUFFERING』(2016年)から3年ぶりの新作となりますが、昨年初夏にジョナサン・デイヴィス(Vo)が初のソロアルバム『BLACK LABYRINTH』を発表していたので、実はそこまで“空いた”感も飢餓感もなかったんですよね。ですが、いざリリースが決まるとなるとその仕上がりが楽しみになるのもまた本音でして。
特に、昨年8月にジョナサンの奥さんが亡くなったこともあり、そこから短期間で本作完成にこぎつけたことで、そういった出来事が作品にどのような影響を及ぼしたのかとゲスな考えも湧いてくるわけです。ホント最低ですね。
前作から引き続きニック・ラスクリネクツ(HALESTORM、ALICE IN CHAINS、MASTODONなど)をプロデューサーに起用した本作ですが、基本的な作風は近作の延長線上にあるもの。特段驚きはないのですが、ひんやりとしたシリアスさの奥底にある熱力が過去数作とは異なるもののようにも感じられます。それをジョナサンを襲った不幸と結びつけるのはまた違うのかもしれませんが……。
それでも、冒頭のイントロダクション「The End Begins」の終盤に挿入されるジョナサンの嗚咽は否が応でもそういった現実を思い浮かべさせますし、その意味深なタイトルを冠した単尺曲から「Cold」というこれまた意味深なタイトルの楽曲へとつながる構成には、やはりハッとさせられます。
初期3作にあったようなヒップホップ的要素こそもはや感じられませんが、それでも「Idiosyncrasy」や「Gravity Of Discomfort」「H@rd3r」「This Loss」あたりからはそことも異なるグルーヴ感が伝わってくる。むしろ、そういった80年代以降のブラックミュージックからの影響というよりも、そのルーツといえるソウルやファンク、ブルースからの直接的影響が色濃く表れた作風にシフトしているような印象も受けます。
その象徴的な1曲と言えるのが、終盤に登場する「This Loss」かなと。この曲では後半、3連ビートの上にブルースにも通ずるエモーショナルなボーカルを聴かせてくれます。前半こそひんやりとした中に青い炎を灯していたろころ、最後にこうした“エモさ”が直接的に表れるのはKORNの作品として考えても非常に興味深いなと。そこからラストナンバー「Surrender To Failure」へと続いてアルバムは幕を降ろすわけですから……そして、再びオープニングの「The End Begins」へとリピートさせると、まるで明けない悪夢を見ているような、そんな感覚に落ち入れるはずです。さらに言えば、「This Loss」の前に終盤ブルータルさを増す「H@rd3r」が配置されているのも計算なのかなと。本当に面白いアルバムです。
近作の中でもっとも強い主張が感じられながらも、何気に一番聴きやすい(集中して楽しめる)作風というのも非常に面白いですよね。うん、ここ10年の彼らの作品の中では、実験的な内容だった10thアルバム『THE PATH OF TOTALITY』(2011年)にも匹敵する傑作だと断言させてください。久しぶりにチャート上でも大健闘するんじゃないでしょうか。
▼KORN『THE NOTHING』
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