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2019年9月26日 (木)

HEART『DESIRE WALKS ON』(1993)

1993年11月に発売された、HEART通算11作目のオリジナルアルバム。日本盤は同年10月末に前倒しで先行リリースされています。

『HEART』(1985年)を筆頭に、『BAD ANIMALS』(1987年)『BRIGADE』(1990年)と産業ハードロック路線を突き進んできた彼女たちですが、ちょうどシーンがHR/HMブームからグランジ/ヒップホップ主体へと移行し始めたこともあり、HEART自身もここで軌道修正が入ります。

まず、外部ソングライター主体の楽曲群が、アン(Vo)&ナンシー(Vo, G)のウィルソン姉妹が中心になって書き下ろされた楽曲へとシフト。とはいえ、曲によっては外部ライターがサポートで入っており(あるいは、外部ライターが書いたものをアン&ナンシーが手を加える)、過去3作の“らしさ”は良い意味で損なわれていません。

ですが、そこまで産業ロック臭がしないんですよ、このアルバム。それは「アン&ナンシーがやりたいことをやった、趣味に走った」楽曲が中心になっているからかもしれません。

アルバムはカナダのDALBELLOが1985年に発表した「Black On Black」をリアレンジした「Black On Black II」から激しくスタート。原曲はシンセポップ色の強いアレンジですが、本作では名曲「Barracuda」を彷彿とさせるアグレッシヴさが際立つハードロックチューンへと生まれ変わっています。うん、良いオープニング。

かと思えば、トラッド色が際立つアコースティックチューン「Back To Avalon」があったり、産業ロック路線のミディアムバラード「The Woman In Me」もある。LED ZEPPELINの影響下にあるオリエンタルなハードロックナンバー「Rage」もあれば、美しいピアノバラード「In Walks The Night」、ハードロック調バラード「My Crazy Head」といった聴かせる曲もしっかり用意されている。

ボブ・ディランのカバー「Ring Them Bells」には同郷のALICE IN CHAINSからレイン・ステイリー(Vo)がゲスト参加し、DEF LEPPARDブライアン・アダムスでおなじみのプロデューサー、ジョン・マット・ラング書き下ろしの「Will You Be There (In The Morning)」では従来のHEARTらしさとマット・ラングらしさが融合した新境地を見せてくれる。「Voodoo Doll」や「Anything Is Possible」といったミディアム/アコースティック曲を挟みつつ、最後は再び「Desire Walks On」というハードロックナンバーで締めくくる。

「ロックバンドHEARTが帰ってきた!」と言ってしまえばそれまでですが、この方向転換はバンドをこの先も続けていく上で、このタイミングにやるべきことだった。そう、旧来のHR/HMバンドが死滅し始めたこのタイミングに。チャート的には全米48位と過去3作に及びませんでしたが、それでも50万枚以上は売り上げている。「Will You Be There (In The Morning)」も全米39位のヒットにつながりましたしね。

時代が変わろうがHEARTはまだまだ続いていくんだ……このアルバムは、そんな力強い宣言のような1枚だったのかもしれません。とはいえ、彼女たちが再びHEART名義でオリジナルアルバムを発表するのは、ここから11年も先のことになってしまうのですが……。

 


▼HEART『DESIRE WALKS ON』
(amazon:日本盤CD / 海外盤CD / MP3

 

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