BRING ME THE HORIZON『THERE IS A HELL BELIEVE ME I'VE SEEN IT. THERE IS A HEAVEN LET'S KEEP IT A SECRET.』(2010)
2010年10月にリリースされた、BRING ME THE HORIZONの3rdアルバム。日本デビュー作となった前作『SUICIDE SEASON』(2008年)から2年ぶりの新作で、本国イギリスでは最高13位、アメリカでも最高17位という好記録を残し、ブレイクのきっかけを作った1枚となりました。
前作にて初期のデスコア路線が薄れ、その軸にあるメタルコア色が濃厚に表出し始めた彼らでしたが、名プロデューサーのフレドリック・ノルドストロームが引き続き手がけた本作ではその軸足はそのままに、よりプログレッシヴな展開と楽曲のバラエティ豊かさで勝負を挑むことになります。
まず、楽曲自体のエモーショナルさが格段と増し、残虐性や無機質さが際立った初期2作とは新たに違う高みへと到達しつつあることが伺えます。このへんは続く『SEMPITERNAL』(2013年)、そして『THAT'S THE SPIRIT』(2015年)で本格的に開花することになるのですが、そういった意味では本作は初期のアグレッシヴさとその後のエモ路線とをつなぐ橋渡し的重要作と言えるでしょう(そう、過渡期的作品ではなく、ね)。
オープニングを飾る「Crucify Me」や続く「Anthem」など、1曲1曲の中に複数曲のアイデアが詰め込まれたアレンジ/展開はどこか昨今のJ-ROCK的でもあり、非常に興味深いものがあります。しかも、曲間が短いシームレスな構成なこともあり、すべての楽曲がつながっているようにも受け取れ、このへんがプログレッシヴな展開に拍車をかけています。
オリヴァー・サイクス(Vo)もただスクリームする/グロウルするのではなく、エモく響くスクリームを心がけているし、なんならメロディが浮き上がってくるような“歌”も聴こえてくる。叫び一辺倒のようで、実は緩急に富んだアレンジが施されていることで、以前よりも取っ付きにくさがなくなり、これだけ複雑怪奇なことをやっているにも関わらずとても聴きやすい。徹底して作り込まれた完成度の高さが成せる技なのでしょうか。
また、本作にはカナダの女性シンガー・ライツ(「Crucify Me」「Don't Go」)、YOU ME AT SIXのジョシュ・フランチェスキー(Vo)(「Fuck」)、THE CHARIOT(当時)のジョシュ・スコジン(Vo)、スクリレックス(「Visions」のトラックメイク&ボーカル)などバンドの盟友たちが多数ゲスト参加しているのも特徴。さらに、ピアノやストリングスなどの装飾が加わることで、たんなるメタルコアでは終わらない彩り豊かさが楽しめます。こういった要素も本作の聴きやすさにつながっているのかもしれませんね。
ここ数作のサウンドに慣れてしまっていると、本作ですら激しすぎて聴こえてくるのですから、慣れって恐ろしいものです。捨て作なしの彼らですが、初期ほどエグくなく、最新作『AMO』(2019年)ほどポップでもない、程よいバランス感は全キャリア中最高峰ですので、入門編として手に取るのもありかもしれません。
▼BRING ME THE HORIZON『THERE IS A HELL BELIEVE ME I'VE SEEN IT. THERE IS A HEAVEN LET'S KEEP IT A SECRET.』
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