« HEART『DESIRE WALKS ON』(1993) | トップページ | THE CARS『HEARTBEAT CITY』(1984) »

2019年9月27日 (金)

BIFFY CLYRO『PUZZLE』(2007)

2007年6月発売の、BIFFY CLYRO通算4作目のスタジオアルバム。日本盤は少々遅れ、同年10月にリリースされています。

それまで名門インディレーベルBeggars Banquetから3作のアルバムを発表してきた彼らですが、チャート的にはTOP50に入るのが精一杯。ところが、Roadrunner Records移籍第1弾アルバムに当たる今作は、全英2位という大成功を収め、「Saturday Superhouse」(全英13位)、「Living Is A Problem Because Everything Dies」(同19位)、「Folding Stars」(同18位)、「Machines」(同29位)、「Who's Got A Match?」(同27位)と計5作ものシングルヒットを生み出すことになります。

プロデューサーにガース・リチャードソン(RAGE AGAINST THE MACHINE、MELVINS、SKUNK ANANSIEなど)、ミキサーにアンディ・ウォレス(NIRVANASLAYERHELMETなど)というアメリカでの売れっ子を起用した本作は、文字通りワールドワイドな活躍を目標として制作された1枚。アートワークなんて、かのストーム・ソーガソンですからね。ポスト・グランジ的手法のハードロックサウンドをベースに、時にエモ、時に古典的ブリティッシュロック、時にプログレ、時に正統派ポップスなど、さまざまな要素を器用に取り入れることで、ひとつの枠に収まりきらない変幻自在なサウンドを繰り出しています。

まあ、このアルバムはオープニングの「Living Is A Problem Because Everything Dies」を聴いた時点で「優勝!」と思わずにはいられないのでは。ストリングスをフィーチャーしたスリリングなイントロといい、オペラ調のコーラスを散りばめたアレンジといい、そのあとに続く疾走感の強いハードロックサウンドといい、キャッチーな歌メロといい、すべてが高品質で緻密に作り込まれているわけです。

その後も、上に書いたようなテイストを含む楽曲群が続くわけですが、これがどれも捨て曲なし。歌メロは本当にポップで親しみやすいものばかりだし、サウンドもヘヴィすぎない適度なハードさが備わっており、HR/HMが苦手なリスナーにも取っ付きやすい魅力的なものに仕上げられている。

そうそう、これってアメリカのFOO FIGHTERSがやっていたことをイギリス(正確にはスコットランドですが)というフィルターを通すとこうなりますという、ひとつの回答ではないのかなと。もちろん、BIFFY CLYROはここからアルバムを重ねるごとにその音楽性をどんどん進化させていき、結果として国民的バンドへと成長を遂げるわけです。

もちろん、それ以前の3作からここで大きく方向性が変わったわけではないですし、Beggars Banquet時代のアルバムも今聴いてもイカしてると思います。が、世界規模で通用する“垢抜けた”感は確実にこの『PUZZLE』から始まっており、この転換期がなかったら彼らはイギリスでの大成功も得られていなかったと思います。

残念ながらアメリカでの成功はいまだに収めることができていませんが、現時点での最新オリジナルアルバム『ELLIPSIS』(2016年)はスコットランド&UKで1位を記録したほか、ドイツやスイス、アイルランドでも1位を獲得。オーストリアで5位、フィンランドで10位、オランダで13位とヨーロッパ圏ではそれなりの結果を残せているわけですから、彼らの選択は間違っていなかったんだと思います。

 


▼BIFFY CLYRO『PUZZLE』
(amazon:日本盤CD / 海外盤CD

 

« HEART『DESIRE WALKS ON』(1993) | トップページ | THE CARS『HEARTBEAT CITY』(1984) »

2007年の作品」カテゴリの記事

Biffy Clyro」カテゴリの記事

カテゴリー