THE DARKNESS『EASTER IS CANCELLED』(2019)
2019年10月初頭にリリースされた、THE DARKNESS通算6作目のスタジオアルバム。再結成して早くも4作目のスタジオ盤となります。
4thアルバム『LAST OF OUR KIND』(2015年)以降の彼らは非常に精力的にリリースを続けています。5thアルバム『PINEWOOD SMILE』(2017年)までの間隔は2年4ヶ月、前作から今作の間隔はまる2年ですが、その間には初のライブアルバム『LIVE AT HAMMERSMITH』(2018年)も発表されていますし。思えば『LAST OF OUR KIND』の制作中に現メンバーのルーファス・テイラー(Dr/QUEENのロジャー・テイラーの実子)が正式加入してからなんですよね、このペースって。それだけ現編成での活動が充実しているってことなんでしょうか。
さて、早くも届けられた今作は、バンド史上初となるコンセプトアルバム。オープニングを飾るリードシングル「Rock And Roll Deserves To Die」からして仰々しさ満載で、いかにも彼ららしい“QUEEN風コーラス”も健在。1曲の中に数曲分のアイデアが含まれているあたりもQUEEN的ですが、その後に続く数々の楽曲群がとにかくてんでバラバラなタイプばかり。悪く言えば散漫な内容かもしれませんが、いえいえ、意外とスルスル聴き進められてしまうんですよ、これが。
スケール感の大きなリズムによる「Heart Explodes」やムーディーなスローナンバー「Deck Chair」、アルバムを象徴する豪快なロックンロール「Easter Is Cancelled」、そのタイトルからは想像できないオープニングにギョッとする(笑)「Heavy Metal Lover」(中盤からのアレンジ、最高すぎ!)、枯れ具合が心地よいミディアムバラード「In Another Life」など、とにかく1曲1曲のクセが強いったらありゃしない。これだけバラエティに飛んだ楽曲が並んでいるのに、実は統一感が強い。それってつまり、THE DARKNESSというバンドの個性の強さやジャスティン・ホーキンス(Vo, G)が歌えばすべてTHE DARKNESSの楽曲になってしまうという強みの表れなんじゃないでしょうか。
オープニングこそ5分半と長尺気味ですが、以降は3〜4分台とコンパクトな楽曲が並ぶあたりも聴きやすさにつながっているのかな。全10曲で40分欠けるトータルランニングも程よいしね。
ただ、本作は海外デラックス盤と日本盤のみ5曲のボーナストラックが追加されたバージョンで流通。デジタル版もこちらの長尺版なので、通常の10曲と15曲バージョンとでは印象がガラッと変わるはず。正直、僕はM-10「We Are The Guitar Men」で潔く終わる構成がお気に入りです。曲が増えると、そのぶんアルバムの印象がボヤけてきますし。
かといって、ボートラ5曲の出来も決して悪いものではないので、まあこっちは余裕があるときにあわせて聴くといいよ、くらいの感覚で。もし点数をつけるとしたら、ボートラなしバージョンが90点、ボートラ追加バージョンで80点かな。この10点の差、大きいと思います。
▼THE DARKNESS『EASTER IS CANCELLED』
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