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2019年10月15日 (火)

MYRKUR『MARERIDT』(2017)

MYRKURが2017年9月にリリースした2ndアルバム。

MYRKURとはデンマーク出身で現在ニューヨークを拠点に音楽活動を続ける女性アーティスト、アマリエ・ブルーンによるブラックメタル/ダークフォーク・プロジェクト。浮遊感のあるヨーロッパ民謡の要素とギターのトレモロリフが印象的なブラックメタルの要素を掛け合わせた独創的なサウンドの上に、透明感の強いソプラノボイスが乗るというスタイルで、そこにときどき絶叫も飛び込んでくるという……まあとにかく、ダークでゴシックでフォーキーで、それでいてブラックメタルという「好きな人にはたまらない」世界が展開されているわけです。ここ日本でも、この『MARERIDT』がリリースされた頃に一部で話題になりましたよね。

本作のプロデュースを担当したのは、MASTER MUSICIANS OF BUKKAKEのメンバーでSUNN O)))やEARTH、WOLVES IN THE THRONE ROOMなどを手がけてきたランダル・ダン。アマリエはボーカルのほかピアノ、ギター、バイオリンなどに加えスウェーデンの民族楽器ニッケルハルパ(フィドルやハーディガーディに似た擦弦楽器)をプレイしており、ドラムにはプロデューサーつながりなのか、WOLVES IN THE THRONE ROOMのアーロン・ウェーバーが参加しています。また、ゲストアーティストとしてチェルシー・ウルフが「Funeral」と「Kvindelil」(こちらはデラックス盤のみ収録)の2曲でボーカリストとしてフィーチャーされております。

ブラックメタルというよりも、ブラックゲイズやダークサイドなドリームポップにケルト民謡などの要素をミックスするとこうなる……と表現したほうがわかりやすいかな(そもそもアンチクライスト的な退廃感ゼロですし)。とにかくダークはダークだけど想像以上にメロディアスで、なおかつ民族音楽や宗教音楽のような幻想的、耽美な世界観が展開される楽曲の数々は、かろうじてメタルの範疇に入るものの、視点を変えたらケイト・ブッシュをダークでラウドなサウンドスケープで表現したらここまでたどり着くんじゃないか?なんていう地平線も見えてきそうな。いや、ちょっと違うかな。

何にせよ、ありそうでなかったジャンルだなと思いました。けど、まったく新しいとは思わない。なんとなく聴いたことがある気がするけど、実は初めて耳にするくらい。でも、そこがいいんでしょうね。この、若干既視感がある空気感が。なので、僕自身はスッと入っていけました。

……って、急に思い出した。あれだ、80年代のゴス(ポジパン寄り)だ。あの感覚に近いんだ。そこに北欧ブラックメタル的なひんやりした熱(反語)とヒーリングミュージックという水と油がものすごい回転数でミキサーにかけられたような。だから80年代に青春時代を過ごし、V系を通過したメタラーには当たり前のように受け入れられるんだね。納得です。

ちょっと心がささくれ立っていて、癒しよりも混沌が欲しいとき、僕はこのアルバムをよく聴いています。むしろ、そのほうが本当の意味での平穏が感じられるから。間違ってないですよね?

 


▼MYRKUR『MARERIDT』
(amazon:海外盤CD / MP3

 

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