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2019年11月21日 (木)

OPETH『IN CAUDA VENENUM』(2019)

2019年9月末にリリースされた、OPETHの13thアルバム。前作『SORCERESS』(2016年)からちょうど3年ぶりに発表されており、前作の成功には及びませんでしたが本国スウェーデンで12位、ドイツで5位、イギリスで13位、アメリカで59位という数字を残しています。アメリカではここ4作でTOP30入りを果たしていただけに、最近の“ロック離れ”がこういった形で影響するとは……。

いや、これって単にアメリカ人がロックから離れているというよりは、アメリカ人には難解な内容だったのではないか? そんな気がしてきました。というのも、本作は英詞で歌われたオリジナル盤に加え、母国語であるスウェーデン語で歌ったバージョンの2形態を用意(バックトラック自体は一緒)。バンド結成30周年を前に、OPETHの面々……というより、フロントマンのミカエル・オーカーフェルト(Vo, G)が自身のルーツに立ち返った結果、こういった“濃い”作風になったのかもしれません。

ここ数作では初期のデスメタル的要素を排除し、70年代のプログレッシヴロックを彷彿とさせるメランコリックかつドラマチックな作品を発表してきた彼ら。本作も基本的作風は前作の延長線上にあるものの、ヘヴィさがここ数作の中ではもっとも高まっている印象を受けます。そういった意味では、特にこの2作(2014年の『PALE COMMUNION』、前作『SORCERESS』)でのオールドスクールなプログレッシヴロック路線を苦手としていたリスナーには入っていきやすい1枚と言えるでしょう。

こういった原点回帰……といってもデスメタル期まで戻るのではなく、現在の彼らの原点的1枚である『GHOST REVERIES』(2005年)を起点とした回帰路線は、まもなく結成30周年を迎える彼らが自身のキャリアを総括する意味も込められているのかもしれません。かつ、原点回帰を経て次の10年へ新たな橋を渡す。そういった意味も込められた、非常に重要な役割も用意されているのではないでしょうか。

それは、母国語で歌われた別バージョンが初めて用意されたことに象徴的です。同バージョンの制作は、本作制作に入る前にミカエルが子どもたちを学校に連れて行く間、バイリンガルのアルバムを作るとうアイデアを急に思いたし、即行動に移したことから実現したもの。英詞で歌われたオリジナルバージョンのわかりやすさは言うまでもありませんが、一方で耳慣れないスウェーデン語で表現された別バージョンもまた、このバンドが持つ神秘性を一気に高めることに成功しています。ストリーミングサービスでは両バージョンが個別配信されているので、言語の違いから受ける印象の変化含め、ぜひ2枚あわせて楽しんでもらいたいところです。

主にここ10年ほどのOPETHの集大成と言える、知的でメランコリックで攻撃的で神秘性が強くてトリッピーな側面の強い1枚。彼ららしさてんこ盛りの傑作。大半の楽曲が6〜8分と長尺ですが、緊張と緩和をうまく使い分けることで聴き手を決して飽きさせることのない、その技量の素晴らしさを存分に味わってみてください。繊細な音楽を楽しむことに長けた、日本人にこそ触れていただきたい1枚ですからね。

 


▼OPETH『IN CAUDA VENENUM』
(amazon:日本盤2CD / 日本盤CD / 海外盤2CD / 海外盤CD / MP3 / MP3(スウェーデン語版)

 

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