MICHAEL MONROE『ONE MAN GANG』(2019)
2019年10月中旬にリリースされた、マイケル・モンローの同名バンドによる4thオリジナルアルバム。マイケル個人としては通算9枚目のソロアルバムに当たります(JESUSALEM SLIM、DEMOLITION 23.を含むと11枚目)。
前作『BLACKOUT STATES』(2015年)発表後、ソロキャリア20周年を記念した2枚組ベストアルバム『THE BEST』(2017年)を挟んだことで、オリジナル作品としては珍しく4年ものインターバルが空きましたが、メンバーは『BLACKOUT STATES』制作時と変わらずマイケル、スティーヴ・コンテ(G)、リッチ・ジョーンズ(G)、サミ・ヤッファ(B)、カール・ロックフィスト(Dr)の5人で完成させています。バンド編成になってから初めて、同じラインナップで2作制作できたことで、なんとなくアルバム自体にも前作以上の安定感が備わっているように感じられます。
プロデュースはマイケル、スティーヴ、リッチの3人で担当。これも先の安定感に強く影響を与えており、どの曲でも“適度にパンキッシュ、適度にポップ”という従来のマイケル・モンローらしい黄金比を保つことに成功。もちろんHANOI ROCKS時代からの個性もしっかり備わっており、ベスト盤で総決算したからといって新しいことを始めるのではなく、かといってマンネリ感満載の焼き直しでも終わっていない、最高を更新し続ける姿勢がしっかりと貫かれています。
また、楽曲の幅も過去3作以上に広く、非常にバラエティに富んだ楽曲群が揃ったのも本作最大のポイント。これまでもその非凡な才能を各アルバムで見せてきたスティーヴと、前作でもその片鱗を感じさせたリッチのソングライティング力が遺憾なく発揮されています。スティーヴ&リッチの才能は今のマイケルにとって欠かせないものであり、ようやくジュード・ワイルダー以来のパートナーシップを完璧な形で再構築できたのではないでしょうか。
また、本作にはゲストプレイヤーとしてTHE DAMNEDのキャプテン・センシブルが「One Man Gang」で、HANOI ROCKSやDEMOLITION 23.での盟友ナスティ・スーサイドが「Wasted Years」でそれぞれギターソロを披露しています。ナスティを哀愁味と男臭さがみなぎる後者に割り当てるあたりに、マイケルのセンスが伺えますね。
パンクありハードコアあり、ロックンロールあり、ポップスあり、バラードありとマイケル・モンローというシンガーを最高の楽曲群で表現した本作は、間違いなくキャリア最高峰の1枚。57歳にして到達した新たな高みも、最高のパートナーたちの協力あってこそですね。脂が乗りまくった“今が最高”の彼らを、ぜひ12月の来日公演にてたっぷり味わいたいところです。
▼MICHAEL MONROE『ONE MAN GANG』
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