« ALICE COOPER『BREADCRUMBS』(2019) | トップページ | DESTRUCTION『BORN TO PERISH』(2019) »

2019年12月 3日 (火)

MAMIFFER『THE BRILLIANT TABERNACLE』(2019)

2019年11月初旬にリリースされた、MAMIFFERの5thアルバム。

MAMIFFERはマルチプレイヤーでもある才女フェイス・コロッチャ(Vo, Piano, Organ, etc.)と、公私ともに彼女のパートナーであるアーロン・ターナー(G)の2人からなる、アメリカ・シアトルを拠点に活動する男女2人組ユニット。ドローンやアンビエントなどに属する、HR/HMやラウドロックとは距離のあるサウンドを主軸としているものの、ISISやSUMAC、OLD MAN GLOOMなどのエクストリームミュージック系バンドで活躍してきたアーロンが途中から正式加入したことで、ヘヴィな要素が急増。どこかドリーミーながらも重厚さが散りばめられた独特のサウンドは、エスクトリームミュージックやオルタナティヴロック、ポストロックを愛聴するリスナーにも十分にアピールするものとなっています。特にここ数作はヘヴィ系を好むリスナーには親しまれたようで、過去3回行われた来日公演も見事成功を収めています。

前作『THE WORLD UNSEEN』(2016年)から3年ぶりに発表された本作は、通常のアルバムのように一定期間に集中して制作されたものとは異なり、2013年頃(3rdアルバム『STATU NASCENDI』制作時)から2018年にかけて断続的に行われた数々のセッションから、当時制作していたアルバムにはそぐわなかった楽曲を軸に、新たに方向性を絞り込んで完成させた1枚です。

近作で聴けたアーロンのダイナミックなギターサウンドはオープニングトラック「All That Is Beautiful」などでは楽しめるものの、基本的には抑え気味で、MANIFFER=フェイスの原点でもあるピアノとエレクトロニクスに主軸を置いた作風にシフトチェンジ。近年ますます存在感を増しているフェイスのボーカルに焦点を当てた、“静”の要素が強い作品集となっています。ボーカリストとしてのフェイスの表現力が著しく成長している事実は、本作における最大の聴きどころと言えるのではないでしょうか。

また、どこか宗教音楽のような厳かさを伴う楽曲の数々は、方向性的に最近リリースされたチェルシー・ウルフの最新作『BIRTH OF VIOLENCE』との共通点も感じられます。向こうはアメリカのフォーキーなルーツミュージックに回帰した1枚でしたが、こちらは同じルーツミュージックでも、もっとトラッドミュージック的と言いましょうか。しかも、チェルシー・ウルフはアコースティック楽器に主軸を置いたオーガニックな作品でしたが、MAMIFFERはピアノとエレクトロニクスをベースにした近代音楽的な作風。こういった違いはあるものの、向かおうとしている先は実はそう変わらないのではないか。2作を聴くと、そんな印象を受けるのですが、いかがでしょう?

エクストリームミュージックという括りで考えると、こういった試みが同ジャンル進化におけるひとつの到達点、もしくは通過点と捉えることもできるのではないでしょうか。そういった意味でも、このMAMIFFERの新作が2019年の音楽シーンで果たす役割は非常に重要な気がしてなりません。個人的には年間ベストアルバム候補の1枚です。

なお、本作は日本盤のみ20分にもおよぶアンビエントトラック「Salt Marsh」を収めたボーナスディスク付きの2枚組仕様。配信バージョンではこちらのトラックは聴くことができないので、ぜひフィジカル(かつ日本盤)で楽しんでもらいたいところです。

 


▼MAMIFFER『THE BRILLIANT TABERNACLE』
(amazon:日本盤2CD / 海外盤LP / MP3

 

« ALICE COOPER『BREADCRUMBS』(2019) | トップページ | DESTRUCTION『BORN TO PERISH』(2019) »

2019年の作品」カテゴリの記事

Mamiffer」カテゴリの記事

2019年12月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

カテゴリー

無料ブログはココログ