THE DEVIL WEARS PRADA『THE ACT』(2019)
アメリカ・オハイオ州出身のメタルコアバンド、THE DEVIL WEARS PRADAが2019年10月中旬にリリースした7thアルバム。日本盤未発売。
前作『TRANSIT BLUES』(2016年)でRise Recordsに移籍した彼らでしたが、本作では新たにSolid State Recordsへと移籍。また、それまでセッションメンバーだったドラマーとキーボーディストを正式メンバーに迎え、新たに6人編成のバンドとして制作・完成させたのがこのアルバムです。
本作のプロデュースを中心となって手がけたのが、新メンバーのジョナサン・ゲーリング(Key)。曲作りの時点で、本作に収録される12曲を含む14曲程度に落ち着くまでに60曲以上も廃棄したそうで、練りに練られた12曲が出揃ったことが伺えます。また、マイク・フラニカ(Vo)によると、チェルシー・ウルフのアルバム『HISS SPUN』(2017年)が今作に与えた影響は非常に大きなものがあるそうです。
確かにオープニングの「Switchblade」や続く「Line Of Your Hands」で聴けるヘヴィ&アグレッシヴさで従来の“らしさ”を示していますが、アルバムが進むにつれてドゥーミーさが強まっていくといいますか……確かにそう言われると、不思議とチェルシー・ウルフとの共通項も見えてくる気がするといいますか。
特に「Wave Of Youth」や「Please Say No」「The Thread」あたりに漂うドゥーミーな空気感/作風はどこか『HISS SPUN』にも通ずるものがある……気がします。とはいえ、そこはTHE DEVIL WEARS PRADAのこと。しっかり彼らならではの持ち味も残されており、ヘヴィ&メロウなメタルコアが新たな領域に一歩踏み込んだ進化形と受け取ることもできます。
オルタナティヴ・ロックにも通ずる空気感を持つ「Numb」や「Diamond Lost」(「Numb」は途中からヘヴィなリフが加わることで“らしく”なりますが)、ミニマルなトラックをバックにマイクが叫び歌う「Isn't It Strange?」や「As Kids」など、アルバム後半に進むにつれて本領発揮と言わんばかりに進化した姿が表出します。もちろんこれらは前作までにも包括されていた要素のひとつではあるものの、今作ではそういった個性がどんどん独り歩きを始め進化している。その事実からは7作目という中堅〜ベテランらしい頼もしさすら伝わってきます。
良く言えば「大人になった」、ちょっと穿った味方をすれば「落ち着いてしまった」と受け取れる本作。評価は分かれるかもしれませんが、メタルコアの誕生から10数年経った今、ひとつのジャンルが成熟して新たな領域へと到達し始めた。そう解釈すると、この変化・進化は非常に興味深いものがあるのではなないでしょうか。個人的には成長の度合いが大いに感じられる、面白いアルバムだと捉えています。
▼THE DEVIL WEARS PRADA『THE ACT』
(amazon:海外盤CD / MP3)
« STARSET『DIVISIONS』(2019) | トップページ | MOTÖRHEAD『OVERKILL』(1979) »
「2019年の作品」カテゴリの記事
- BABYMETAL『METAL GALAXY』(2019)(2019.10.11)
- HALESTORM『HALESTORM』(2009)(2023.02.13)
- GINGER WILDHEART『HEADZAPOPPIN』(2019)(2022.05.06)
- FONTAINES D.C.『DOGREL』(2019)(2022.04.21)
- REEF『IN MOTION: LIVE FROM HAMMERSMITH』(2019)(2022.04.06)
「Devil Wears Prada, the」カテゴリの記事
- SILVERSTEIN『MISERY MADE ME』(2022)(2022.06.08)
- THE DEVIL WEARS PRADA『THE ACT』(2019)(2019.12.27)