2019年2月17日 (日)

THUNDER『PLEASE REMAIN SEATED』(2019)

THUNDERが2019年1月に発表した、通算12作目のスタジオアルバム。前作『RIT IT UP』(2017年)から2年ぶり、BMG移籍第1弾作品となります。本国イギリスでは2015年の前々作『WONDER DAYS』(全英9位)、前作『RIT IT UP』(同3位)に続いて8位という好記録を残しています。

本作はバンドのデビュー30周年を祝福する企画アルバム的内容で、過去の楽曲をアコースティックテイストでリアレンジ&再構築したものとなっています。これは2017年末に発表されたEP『CHRISTMAS DAY』に収録した「Love Walked In」の再録バージョンがきっかけとなり、そこから発展したもの。アルバムは全12曲収録の通常盤に加え、ボーナストラック7曲を追加したCD2枚組バージョン、アナログ盤(12曲)、デジタル(12曲)が用意されています。

内訳は以下のとおり。

<DISC 1(全仕様共通)>
01. Bigger Than Both Of Us [sg「A Better Man」]
02. Future Train [3rd『BEHIND CLOSED DOORS』]
03. Girl's Going Out Of Her Head [1st『BACKSTREET SYMPHONY』]
04. I'm Dreaming Again [7th『THE MAGNIFICENT SEVENTH』]
05. Fly On The Wall [3rd『BEHIND CLOSED DOORS』]
06. Just Another Suicide [5th『GIVING THE GAME AWAY』]
07. Empty City [2nd『LAUGHING ON JUDGEMENT DAY』]
08. Miracle Man [9th『BANG!』(2008)]
09. Blown Away [6th『SHOOTING AT THE SUN』]
10. Loser [6th『SHOOTING AT THE SUN』]
11. She's So Fine [1st『BACKSTREET SYMPHONY』]
12. Low Life In High Places [2nd『LAUGHING ON JUDGEMENT DAY』]

<DISC 2(デラックス盤CDのみ)>
01. Stand Up [3rd『BEHIND CLOSED DOORS』]
02. River Of Pain [3rd『BEHIND CLOSED DOORS』]
03. Like A Satellite [2nd『LAUGHING ON JUDGEMENT DAY』]
04. Robert Johnson's Tombstone [8th『ROBERT JOHNSON'S TOMBSTONE』]
05. Higher Ground [1st『BACKSTREET SYMPHONY』]
06. Everybody Wants Her [2nd『LAUGHING ON JUDGEMENT DAY』]
07. Long Way From Home [2nd『LAUGHING ON JUDGEMENT DAY』]

全19曲中、1stアルバム『BACKSTREET SYMPHONY』(1990年)から3曲、2ndアルバム『LAUGHING ON JUDGEMENT DAY』(1992年)から5曲、3rdアルバム『BEHIND CLOSED DOORS』(1995年)から4曲、5thアルバム『GIVING THE GAME AWAY』(1999年)から1曲、6thアルバム『SHOOTING AT THE SUN』(2003年)から2曲、7thアルバム『THE MAGNIFICENT SEVENTH』(2005年)から1曲、8thアルバム『ROBERT JOHNSON'S TOMBSTONE』(2006年)から1曲、9thアルバム『BANG!』(2008年)から1曲、1993年のシングル「A Better Man」のカップリングから1曲。直近2枚および4thアルバム『THE THRILL OF IT ALL』(1997年)からの楽曲が選外で、やはりメジャーから発表され大きなヒットとなった初期3作からの楽曲が大半を占めています。中でも2ndアルバム『LAUGHING ON JUDGEMENT DAY』期の楽曲が一番多い(「A Better Man」は同作からのシングルなので、カップリング曲も同時期に録音されたもの)というのは彼らの中で一番評価が高い作品ということなのか、それとも「もう一度やり直したい」と思っている1枚なのか、そのへんが気になるところです(ちなみにチャート上では最高2位とキャリア中もっとも高い記録を残しています)。

オルガンやピアノ、ブルースハープ、女性コーラス、ゴスペルコーラス隊など曲ごとに多彩なゲストを迎えることで、アコースティックセットながらも重厚なアレンジで再構築されている名曲の数々は、曲によってキーを落とすことでダニー・ボウズ(Vo)の中音域の旨味を見事に活かしたものに生まれ変わり、ある曲ではリズムをシャッフルに変えることで新鮮味が加わり、既発曲の再録音盤ですが完全にニューアルバムとして楽しめるのではないでしょうか。

周年の企画盤なので、今後このスタイルがメインになるということはないでしょうが、これもTHUNDERというバンドのルーツであり、これまでの楽曲に混在してきた要素。そのひとつに特化したこのアルバムは聴く人によっては“ロック”であり、ある人には“ロック”ではないかもしれない。だけど、そんなことはどうでもいいほどに優れた楽曲と優れた演奏と優れた歌が楽しめる。もうそれだけで十分じゃないですか。このバンドに関しては、何度もの解散/活動休止を経て、こうやって30周年までたどり着いたわけですから。

個人的にはぜひボーナストラック7曲を含むフィジカルのデラックス盤で楽しんでほしい1枚。特にボーナスディスクのほうにヒットシングル(「Stand Up」「Rever Of Pain」「Like A Satellite」「Everybody Wants Her」)が多く含まれているし、中でもアコギ1本のみで歌われる「Like A Satellite」の渋みは至高の仕上がりですから。



▼THUNDER『PLEASE REMAIN SEATED』
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投稿: 2019 02 17 12:00 午前 [2019年の作品, Thunder] | 固定リンク

2019年2月16日 (土)

RIVAL SONS『FERAL ROOTS』(2019)

RIVAL SONSが2019年1月に発表した通算6枚目のスタジオアルバム。本作から新たにLow Country Sound / Atlantic Recordsと契約し、晴れてメジャーリリースを飾ることとなりました。プロデュースはこれまで同様、デイヴ・コブが担当。実は新たに契約したLow Country Sound自体がデイヴ主宰レーベルなので、この流れは自然なものだったりするんですね。

ということで、メジャーに移籍しようが制作陣がこれまでと変わらないので、音そのものに及ぼす変化もまったくなし。相変わらず時代錯誤なオールドスクールかつサイケデリックなハードロックを聴かせてくれます。

ジェイ・ブキャナン(Vo)の太くてソウルフルな歌声は、本作でも健在。冒頭の「Do Your Worst」から最高のボーカルを轟かせています。その後もブルースやソウルをベースにした豪快なハードロックが展開されていくのですが、4曲目「Look Away」ではトラッドミュージック的なアコースティックギター&オルガンで序盤を飾り「おっ!?」と驚かされる。が、2分ほどすると本編(バンド演奏によるストロングスタイルのハードロック)が始まりひと安心(笑)。このテイストは続くタイトルトラック「Feral Roots」にも登場し、ある意味ではこのアルバムにおける武器のひとつと言えるのではないでしょうか。

こういうアレンジの幅が広がったことで、よりロックバンドとしての王道感が強まったと感じたのは僕だけでしょうか。このアコースティックアレンジ含め、スコット・ホリデイ(G)のギターワークは過去の作品と比べても特に本作では秀でていると思います。と同時に、デイヴ・ベステ(B)&マイク・マイリー(Dr)によるシンプルで無駄がなく、それでいてぶっとくて耳に残るリズムアンサンブルは昨今のこの手のロックバンドの中でも最強だと断言できます。

中盤以降も最高にソウルフルな「Too Bad」や「Stood By Me」、中期ツェッペリンを彷彿とさせるサイケな「All Directions」、打ち込み同期アレンジながらも他の楽曲から浮いていない「End Of Forever」、ゴスペル調バラード「Shooting Stars」と名曲目白押し。捨て曲皆無の、完全無欠の1枚です。

最近はGRETA VAN FLEETこそのこの手のハードロックの救世主と持て囃されていますが……正直言うと、最初は「ちょっと待て、RIVAL SONSがいるじゃないか?」と思ったんですね。Earache Records所属なのにこの音というアンバランスさ含め、最高に個性的だと思っていたんですが、やっぱり宣伝力の違いなのか……と思っていたところに、Atlantic Recordsとの契約決定。ついにRIVAL SONSが世の中に見つかるときが来た! やったー!と思ったのも束の間、本作は今のところ日本盤のリリースなし。なんだよっ!(苦笑)

頭からケツまで、終始ストロングスタイルの“黒っぽい”王道ハードロックを轟かせるRIVAL SONSのニューアルバム『FERAL ROOTS』。今こそこの傑作とあわせて、バンドとしても再評価されるべきだと思うのですが……ねえ?



▼RIVAL SONS『FERAL ROOTS』
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投稿: 2019 02 16 12:00 午前 [2019年の作品, Rival Sons] | 固定リンク

2019年2月 9日 (土)

WEEZER『WEEZER (TEAL ALBUM)』(2019)

2019年1月24日に突如リリースされた、WEEZERのカバーアルバム(通算12枚目のスタジオアルバム)。今のところデジタルおよびストリーミングのみのリリースで(一応、3月にはフィジカルリリースの予定もあるようです)、セルフタイトルが冠されたことでシリーズの一環としてジャケットの色から“TEAL(=青緑) ALUBM”と呼ばれているようです。

WEEZERは昨年、TOTOの「Africa」や「Rosanna」をカバーして話題になりましたが、その流れからカバーアルバムの着想が生まれたのでしょうか。それとも来月リリース予定のオリジナルアルバム『WEEZER (BLACK ALBUM)』制作の合間に息抜きとして録音されたものなのでしょうか。その真相は不明ですが、まあとにかく40代の洋楽リスナーには懐かしい楽曲ばかりではないでしょうか。

取り上げられているアーティストはTOTO、TEARS FOR FEARSEURYTHMICS、A-HA、THE TURTLES、BLACK SABBATH、ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA、TLC、マイケル・ジャクソン、ベン・E・キングとバラエティに富んだもの。とはいえ、大半が80年代にヒットした楽曲ばかりで(ベン・E・キング「Stand By Me」も同名映画の主題歌として80年代半ばにリバイバルヒットしましたし)、リヴァース・クオモ(Vo, G)や筆者と同世代のリスナーにはたまらない内容と言えるでしょう。

そのアレンジも原曲に忠実なもので、4人の演奏を軸に再構築されたサウンドは「WEEZERのようでWEEZERとはちょっと違う」印象を受けます。特に「Sweet Dreams (Are Made Of This)」(原曲:EURYTHMICS)や「Take On Me」(原曲:A-HA)から感じるニューウェイヴ感は今までのWEEZERにありそうでなかったもの。前者に関してはアニー・レノックスそっくりな歌声まで再現されており、思わずクスッとしてしまうのではないでしょうか。かと思えば、後者ではどこか頼りない歌声が原曲とは違った味を醸し出しており、これもなかなかの仕上がりと言えます。

WEEZERとしての本領発揮と言えるのが、M-5「Happy Together」(原曲:THE TURTLES)やM-7「Mr. Blue Sly」(原曲:ELO)といったあたり。パワーポップバンドとしてのルーツが垣間見れる良カバーと言えるでしょう。かと思えば、ハードロックバンドとしての側面を「Paranoid」(原曲:BLACK SABBATH)で、昨今のモダンなR&B調ポップサウンドを「No Scrubs」(原曲:TLC)でストレートに表現する……なんて感心していたら、「Billie Jean」(原曲:マイケル・ジャクソン)のボーカルを含む完コピぶりに爆笑させられる。で、最後は若干エレクトリックな香りのする「Stand By Me」で終了。いやあ、最初から最後まで飽きさせないトリッキーな1枚ですね、これは。

原曲が良いんだから、あとは味付け次第。そこでどうWEEZERらしさを出すか……なんて難しいことを考えていた自分が馬鹿らしくなるくらいまっすぐ攻めてくる(いや、まっすぐ進んでいるようで脇道を100キロオーバーで突っ走る)、そんなアルバムです。『WEEZER (BLACK ALBUM)』を前に、良い気分転換になりました(笑)。



▼WEEZER『WEEZER (TEAL ALBUM)』
(amazon:MP3


投稿: 2019 02 09 12:00 午前 [2019年の作品, Black Sabbath, Eurythmics, Michael Jackson, Tears for Fears, Weezer] | 固定リンク

2019年2月 5日 (火)

METALLICA『HELPING HANDS... LIVE & ACOUSTIC AT THE MASONIC』(2019)

2019年2月リリースの、METALLICA初となるアコースティックライブアルバム。オフィシャルのライブアルバムとしては、限定販売などのEPやアナログ盤を除けば同名映画のサウンドトラックとして発表された『METALLICA: THROUGH THE NEVER』(2013年)以来となるのでしょうか。とはいえ、今作もフィジカルでは今のところアナログ盤のみでのリリースとなり、そのほかはiTunes Storeなどでのデジタル販売、Apple MusicやSpotifyでのストリーミング配信にて聴くことができる“イマドキらしい”形態での発表となります。

このアルバムは、2018年11月3日にサンフランシスコで行われた『All Within My Hands Foundation』設立1周年記念コンサート「Helping Hands Benefit Concert」の模様を収録したもの。『All Within My Hands Foundation』はMETALLCIAが設立したチャリティ組織で、「飢餓と戦い、労働力の教育を通して持続可能なコミュニティを創り出すこと」を目的とした団体とのことで(詳細)、本作の売上はすべて同組織に寄付されるそうです。せっかくなら、ストリーミングだけじゃなくてダウンロード購入、あるいはアナログ盤を購入しておきたいところですね。

さて、気になる内容ですがオールアコースティック編成ということで、METALLICAの楽曲からアコースティック向きのナンバー、意外な楽曲のアコースティックアレンジ、そしてDEEP PURPLE「When A Blind Man Cries」、NAZARETH「Please Don’t Judas Me」、ボブ・シーガー「Turn The Page」、BLUE ÖYSTER CULT「Veteran Of The Psychic Wars」といったカバーからなる全12曲を楽しむことができます。「Please Don't Judas Me」と「Veteran Of The Psychic Wars」はこれが初音源化となる、貴重なテイクと言えるでしょう。個人的には「Please Don't Judas Me」の枯れっぷりと「Veteran Of The Psychic Wars」のサイケ感が気に入っています。

まずファンは冒頭の「Disposable Heroes」から驚かされることでしょう。これ、原曲を知らなかったらこんな曲だと思ってしまうくらいしっくり来るアレンジで、曲名を見なかったら気づかないリスナーも多いんじゃないでしょうか。かろうじて歌詞を追えば「……えっ?」と気づくかもしれませんが、僕はこれをいきなり聴いて(よい意味で)お茶を吹き出しましたから(よい意味で?)。

「The Unforgiven」や「Bleeding Me」「Nothing Elese Matters」といった、ある種こういった企画向きの楽曲はもちろん悪いわけがない。「The Unforgiven」はギターソロに入るところでの盛り上がり(熱の加わり具合)が別の意味で興味深かったなあ。

かと思えば「All Within My Hands」で再び別モノ感を味わい、カントリー調でアーシーに生まれ変わった「Enter Sandman」や「The Four Horseman」に爆笑し、ただギターをアコギに変えただけじゃん!というツッコミすら愛おしい「Hardwired」にニヤニヤする……きっと20年前にこれをやられたら「終わった」とかグチをこぼしていたんでしょうけど、もはやそういった批判もバカバカしくなるくらいの潔さすら感じる。これを毎回ライブでやられたらさすがに呆れるけど、遊びとしては全然アリだと思います。

音を聴いてもわかると思いますが(特にYouTubeでの映像を観れば一目瞭然)、このライブはバンドの4人以外にもキーボードやペダルスティールなどゲストプレイヤーが多数参加しています。以前にも4人だけのアコースティック音源が発表されていますが、それと比べるとクオリティが雲泥の差といいますが。とにかく音の厚みが異なるし、アレンジ含む完成度もかなり高いんじゃないかと思いました。そのへんが、本作を嫌いになれない大きな理由でもあるのかなと。

とはいえ、もはやこのバンドに関しては僕自身、全肯定の域に入ってしまっているのでまともなレビューなんてできない状態なわけでして……なかなかジャパンツアーが決定せずモヤモヤが続く中、こういった作品や過去作のデラックス盤を聴いて無理やり気持ちをつないでいるところですので。早く来てくださいね、マジで(苦笑)。



▼METALLICA『HELPING HANDS... LIVE & ACOUSTIC AT THE MASONIC』
(amazon:アナログ盤2枚組)(iTunes Store / mora


投稿: 2019 02 05 12:00 午前 [2019年の作品, Metallica] | 固定リンク

2019年2月 4日 (月)

SOILWORK『VERKLIGHETEN』(2019)

2019年1月発売の、SOILWORK通算11作目のオリジナルアルバム。前作『THE RIDE MAJESTIC』(2015年)から約3年半ぶりの新作となります。

前作発表後、ドラマーのダーク・ヴェルビューレンがMEGADETHに勧誘されるというサプライズ(ハプニング?)があり、バンドは新たに若手のバスティアン・トゥアスガールド(Dr)を迎えて活動再開。特にここ数作は毎回ラインナップが変更しており、バンドとして安定した活動が送れていませんでしたが、ここでようやく編成が固まったと思いたいものです。

僕自身、随分と久しぶりにSOILWORKの新作を聴いたのですが(テン年代以降の作品はほぼ未聴でした)、本作には自分がハマった6thアルバム『STABBING THE DRAMA』(2005年)の頃の面影もしっかり残っており、よりメロディアスに進化した“ブルータルな北欧メタル”を堪能することができます。

新ドラマー・バスティアンのプレイは非常に手数が多く、どんなにキャッチーでメロウだろうが、その後ろでドコドコと激しいプレイを聴かせてくれる。ボーカルスタイルやメロディに関しては、ビョーン“スピード”ストリッド(Vo)が別プロジェクトのTHE NIGHT FLIGHT ORCHESTRAに参加していることも大きいのでしょうか、非常にキャッチーさを増しており、AメロやBメロでグロウルやスクリームをかましてもサビでは力強く歌い上げるスタイルにより拍車がかかり、自信に満ちたボーカルパフォーマンスを楽しむことができるはずです。

楽曲群も、聴けばすぐにそれがSOILWORKだとわかるものばかりで、確実にオリジナリティを確立しています。正直、2000年代後半以降の作品はそのへんが薄くなりつつあり、徐々にこのバンドから離れていったのですが、本作に関しては楽曲の良さ、ボーカル&演奏の素晴らしさが際立っており、平均点以上の仕上がりになっているのではないでしょうか。

もはやこれをメロディックデスメタルと呼ぶべきなのか、あるいは呼べるものなのか、正直僕にはわかりません。しかし、確実にその面影は残っていますし、見方を変えればメロデスの現在進行形/最新型と捉えることもできるでしょう。疾走感もしっかり備わっており、ブラストビートやグロウルなどエクストリームメタルに必要不可欠な要素も、さらにメロディアスな要素も至るところに散りばめられている。うん、確実にメロデスではあるんだけど、僕はこれをそんな狭い枠で括りたくないという気持ちもあって。純粋にヘヴィメタルでいいじゃないか……と思うわけです。

中にはメロデスに対していまだに嫌悪感や拒否反応を示すリスナーも少なくないはず。そんな人にこそ、このアルバムを聴いてほしいなと思うわけです。北欧のバンドが持つ“らしさ”を現代的に昇華させた、全メタルファン必聴の1枚だと断言させてください。

あ、最後に追記。本作の「Needles and Kin」にはAMORPHISのトミ・ヨーツセン(Vo)、「You Aquiver」には元ANNIHILATOR、EXES TO EYESのデイヴ・シェルドン(G)がゲスト参加しているとのこと。当初は「Stålfåge」にARCH ENEMYのアリッサ・ホワイト=グラズ(Vo)が参加しているという話もありましたが、こちらは実現しなかったそうです(ソース)。



▼SOILWORK『VERKLIGHETEN』
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投稿: 2019 02 04 12:00 午前 [2019年の作品, Soilwork] | 固定リンク

2019年2月 2日 (土)

WITHIN TEMPTATION『RESIST』(2019)

オランダのシンフォニックメタルバンド、WITHIN TEMPTATIONが2019年2月に発表した通算7枚目のスタジオアルバム。本国で1位、アメリカでも16位まで上昇した出世作『HYDRA』(2014年)からまる5年ぶりの新作となり、Nuclear Blast Recordsから新たにメジャーのVertigo Records(Universal Music傘下)へ移籍して最初の作品となります。

本来は昨年12月中旬にリリース予定だった本作ですが、制作上の問題から直前になって翌年2月まで延期。実は僕、今作の日本盤ライナーノーツを執筆する都合上、11月の時点でこのアルバムを聴き込んでいたため、個人的にも「ようやく」といいますか「待望の」という言葉がぴったりな1枚となりました。

で、発売までにこれだけ聴き込んだら、作品によっては若干の飽きがきてもおかしくないんですが、本作に関してはその内容のディープさも手伝ってか、最初に聴いてから3ヶ月経った今も新鮮な気持ちで接することができるのですから不思議です。

ライナーノーツや音楽誌でのインタビューで語られているとおり、前作を伴うワールドツアー終了後、シャロン・デン・アデル(Vo)は今作の制作と向き合い始めるのですが、その途中で自身が燃え尽き症候群的な状態に陥っていることに気づきます。これには個人的な不幸なども影響していたそうですが、そういった事情からレコーディングは一時中断。これと代わるように、シャロンは自身の癒しを求めソロプロジェクト・MY INDIGOを始動させます。ここでフォーキーでシンプルなサウンドを追求した彼女は、再び音楽に対する情熱を取り戻し、改めてWITHIIN TEMPTATIONへと向かっていくのです。こうして過去最長となる5年というインターバルを置いて、この『RESIST』というアルバムは完成しました。

聴いてもらえばわかるように、本作で鳴らされている音はエレクトロの色合いを強めた、非常にモダンなものばかり。シンフォニックの要素は残されているものの、過去作と比べたら少しだけ薄まっているように感じるかもしれません。しかし、それこそがこのバンドが新たに試みた挑戦であり、このアルバムのテーマのひとつでもあるわけです。情報社会となった現代に対する“抵抗”が綴られた歌詞と、それらを「今日のポップニュージックに欠けている反抗的なエッジ」の部分を「よりヘヴィでダーティーで、さらに未来的に」表現したサウンド。そう聞くとなるほど、どの曲もヒットチャートを席巻するモダンなヒット曲と並んでも違和感なく聴けるのではないでしょうか。

初期〜中期の楽曲群を好むリスナーにこの挑戦がどう受け取られるのかも気になるところですが、それ以上に新しいファン層を獲得できるかもしれない、そんな淡い期待もこのアルバムを聴いたら捨て切れません。「The Reckoning」にはPAPA ROACHのジャコビー・シャディックス(Vo)、「Raise Your Banner」はIN FLAMESのアンダース・フリーデン(Vo)がゲスト参加。さらに「Endless War」では、シャロンはベルギーのロックバンドARIDのシンガー、ジャスパー・ステヴァーリンクと艶やかなデュエットを聴かせてくれます。前作でも元NIGHTWISHのターヤ、KILLSWITCH ENGAGEの元シンガーであるハワード・ジョーンズ、SOUL ASYLUMのフロントマン、デイヴ・パーナーとかなりバラエティに富んだ面々を迎えていますが、今作はそれ以上に統一感が感じられるものになっている印象を受けます。

いろいろな意味で“攻め”の姿勢が感じられる本作。このトライが吉と出るか凶と出るかは現時点ではわかりませんが、僕は好意的に受け入れたいと思います。こういう作品、売れてほしいなあ。



▼WITHIN TEMPTATION『RESIST』
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投稿: 2019 02 02 12:00 午前 [2019年の作品, In Flames, Papa Roach, Within Temptation] | 固定リンク

2019年2月 1日 (金)

SKID ROW『SKID ROW (30TH ANNIVERSARY DELUXE EDITION)』(2019)

1989年1月に発売されたSKID ROWのデビューアルバムにして最大のヒット作(全米6位/500万枚)がリリース30周年を記念して、2019年1月にリマスタリング&ボーナストラック多数追加で再リリースされました。といっても本作、CDでの発売はなしで、デジタルリリースおよびサブスクリプションサービスでの配信のみ。アルバム本編がリマスタリングされたのなら、せっかくですしアナログ盤でも欲しいところですが……。

本サイトでも2年前にオリジナル盤のレビューを公開していますので、アルバム自体の内容についてはそちらに譲るとして。気になるリマスタリングの効果ですが、確かにドラムがふくよかになり、若干硬くなったような印象が。ギターの出音も以前より聴きやすくなったし、全体的に古臭さは減った気がします(あくまでイメージですが)。特に「18 And Life」のように強弱のはっきりした曲だと、そのへんの変化がよりわかりやすいのではないでしょうか。

アルバム本編に続いては、このデビュー盤制作時のアウトテイク「Forever」を収録。こちらは1998年発売のベストアルバム『40 SEASONS: THE BEST OF SKID ROW』にも収録されていたので、特に目新しさはなし。まあアルバム本編の楽曲と比べたら、確かにクオリティ的に一歩劣るかなという気はします。悪くないですけどね。

で、本作最大の収穫は、いわゆるDISC 2(配信なのでディスクもクソもないんですが)のライブ音源。1989年4月28日にカリフォルニア州ウェストミンスターのThe Marqueeで収録された全10曲からなるこの音源は、デビュー間もない彼らのライブフルセットをまるまる収めたものになります。フルスケールのライブアルバムをリリースしていない彼ら(特にセバスチャン・バック在籍時)にとって、たった10曲とはいえこれはありがたいかぎり。

内訳はアルバム収録曲11曲中「Can't Stand The Heartache」「Midnight / Tornado」除く9曲に、KISS「Cold Gin」のカバーを加えたもの。うん、当時の定番セトリですね。ここから3ヶ月後の1989年7月に実現した初来日公演も基本的にこれに近いもので、ここに「Can't Stand The Heartache」「Midnight / Tornado」とSEX PISTOLS「Holidays In The Sun」、RAMONES「Blitzkrieg Bop」などのカバー曲を追加したワンマン仕様でしたから。

そんなSKID ROWの若さあふれる(笑)ライブをじっくり楽しめるこのアニバーサリー盤、悪いわけがない。バズの若々しくて若干息切れも感じられるボーカル含め、2ndアルバム『SLAVE TO THE GRIND』(1991年)以降の彼らが失った“何か”を感じ取ることができるはずです。

まあとにかく曲が良いので、文句なしの内容かと。このライブ盤目当てでダウンロード購入してもいいくらい。2年後にはぜひフルライブの音源&映像をパッケージした『SLAVE TO THE GRIND』デラックス盤にも期待したいところですね。



▼SKID ROW『SKID ROW (30TH ANNIVERSARY DELUXE EDITION)』
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投稿: 2019 02 01 12:00 午前 [1989年の作品, 2019年の作品, Skid Row] | 固定リンク

2019年1月27日 (日)

BRING ME THE HORIZON『AMO』(2019)

BRING ME THE HORIZON通算6枚目のオリジナルアルバム。その音楽的指向の変化に対して賛否両論を巻き起こしながらも全米・全英で2位を記録した前作『THAT'S THE SPIRIT』(2015年)から約3年半という、彼らとしては非常に長いスパンを経て届けられました。

2016年初頭にキャンセルとなり、以後実現していない“『THAT'S THE SPIRIT』以降”の日本での生パフォーマンス。正直、あの時期のステージを体験できなかったことは、ここ日本のファンおよびメタル/ラウド系リスナーにとっては不幸以外のなにものでもありません。それもあって、続くこのアルバムで遂げられる進化がしっかり受け止められるのか、そこだけがずっと不安でした。

昨年8月、突如届けられた新曲「Mantra」。個人的にはこの1曲だけで次作に対する期待は一気に高まりました。『THAT’S THE SPIRIT』での路線を一歩推し進めたスタイルでしたが、おそらく第一歩としては前作に比較的近いものを選んだのでしょう。事実、当時のインタビューでオリヴァー・サイクス(Vo)は次作について「今までやってきたようなサウンドではない」と発言していましたから。

そして、2ヶ月後の10月には第2弾シングル「Wonderful Life」を発表。CRADLE OF FILTHのフロントマン、ダニ・フィルス(Vo)をフィーチャーしたこの楽曲は「Mantra」の延長線上ではあるものの、ブラスセクションを導入した“無駄にハッピー”な色合いも感じられ、少しずつ「今までやってきたようなサウンドではない」発言の真意が見え始めます。

今年に入ってすぐに、第3弾シングル「Medicine」を発表。前作にもあったスロウでメロディアスな楽曲と同系統ではあるものの、エレクトロ色を強めたモダンなポップソング調のこの曲は“振り切った”感が思い切り伝わるものでした。さらにリリース直前には「Mother Tongue」「Nihilist Blues」の2曲が公開。前者は「Medicine」と同系統のポップチューンで、メロディアスさが際立つ1曲。後者はカナダの女性アーティスト、グライムスをフィーチャーしたエレクトロチューンで、トランシーなトラックだけを聴いたらこれがBMTHの新曲だとは気づかないのではないでしょうか。

このように、少しずつその本性を現し始めた『AMO』(ポルトガル語で愛を意味する)というアルバム。先行トラックで心構えはできていたものの、いざアルバムを通して聴くとさらに驚かされるのですが、と同時に「Mantra」や「Wonderful Life」のようなラウド系ナンバーがまったく浮いていない、必要不可欠な存在であることにも気づかされます。曲順含め、非常に収まりが良いんですよね。しかも、ほかの新機軸ナンバーと同じくらいに作り込みが異常すぎることも見えてくる。なんだ、この徹底さは!?って。

オープニングトラック「I Apologise If You Feel Something」での驚きと、そこから「Mantra」へと流れていく気持ち良さ、ヒップホップ的手法を用いりながらもロックバンドとしての個性を残す「In The Dark」や「Why You Gotta Kick Me When I'm Down?」の新鮮さ、トリッピーな「Fresh Bruises」やシンフォニックな「I Don't Know What To Say」に漂う繊細さと「Sugar Honey Ice & Tea」「Heavy Metal」(後者には元THE ROOTSのMCでヒューマンビートボクサーのラゼール参加)で見せる豪快さ。ここまでバラバラな色を包括しつつも、しっかりとひとつのアルバムの中で散漫になることなく、つながりを見せながら聴かせることができるのは、前作で得た自信によるものが大きいのではないでしょうか。

もはやデスコアだメタルコアだとカテゴライズすることも馬鹿馬鹿しいくらいに“ロック”しているし、こうやってラウドなバンドは進化していくんだってことをちゃんと形として証明し続けている。すごいことだと思いますよ。だって、本当にすごいアルバムだもの。前作以上にスルメ度の高い1枚。今度こそ、これらの楽曲を生で聴きたいな。



▼BRING ME THE HORIZON『AMO』
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投稿: 2019 01 27 12:00 午前 [2019年の作品, Bring Me the Horizon, Cradle of Filth] | 固定リンク

2019年1月22日 (火)

FEVER 333『STRENGTH IN NUMB333RS』(2019)

2019年1月18日に世界同時リリースされた、FEVER 333待望の1stフルアルバム。日本では前作にあたるミニアルバム(EP)『MADE AN AMERICA』(2018年)がCD化されましたが、海外では同作はデジタル版およびアナログ版のみでの発売。つまり、このフルアルバムが初のCDリリースとなるわけです。

プロデュースを担当したのは、GODLFINGERのジョン・フェルドマン(DISTURBEDBLACK VEIL BRIDESONE OK ROCKなど)とBLINK-182のトラヴィス・バーカーという前作から参加の面々。ジョンはアディショナル・ギター、トラヴィスはアディショナル・ドラムおよびプログラミングでも貢献しているようです。

さて、『MADE AN AMERICA』の時点では「新世代のRAGE AGAINST THE MACHINE」的な捉えられ方も多かったようですが、今作では「One Of Us」などラップコア的方向性をより推し進めるかと思いきや、「Burn It」や「Prey For Me」などメロディアスでエモーショナルな方向性も強めています。

このへんの楽曲は前作のレビューでも触れたように、TWENTY ONE PILOTS以降のポストハードコア/エモ/ラウド/ポップスの流れを踏襲したものであると同時に、今作ではさらにニューメタルおよびそこを起点にエレクトロ方面へと進化していったLINKIN PARKからの影響も強く感じられ、前作では見せきれなかった多面性がより表面化してきたのではないでしょうか。「Inglewood」や「Out Of Control」のアンセム感なんて、完全にその影響が見えますしね。

思った以上に歌モノとしての即効性が強いことに、最初は面食らったというか驚いたのですが、それも最初だけ。何度も聴き込むうちに、シンプルに「カッコいい!」と思えるのですから、不思議なものです。懐かしさを感じさせつつも、しっかり今の音としてド真ん中を突いてくる。聴きやすさと同時に、しっかりアグレッシヴさも備わっているので、一筋縄ではいかない。このへんの絶妙なさじ加減も、FEVER 333というバンドの魅力のひとつではないでしょうか。

また、メッセージ性の点においても、彼らが「新世代のRAGE AGAINST THE MACHINE」と呼ばれる理由が理解できるものがある。直接的に特定の誰かを攻撃するわけではなく、誰もが思い浮かべられるであろう共通の仮想敵を歌の中で作り上げ、聴き手との意思疎通を図る。リスナー1人ひとりが脳内でイメージする仮想敵はすべて一緒ではないものの、これらの楽曲を前にしたら誰もが叫びたいことは一緒。そういう意味でも非常に器用だし、ポップシーンでも成功を収められるだけの器量を持っていると思うのです。

こりゃ売れますよ。最近、ロック系アーティストがBillboard 200でなかなか1位を獲れずにいるけど、これは久しぶりにやっちゃうんじゃないか……そう強く実感させてくれる、非常に“NOWな”アルバムだと思います。3月に予定されているジャパンツアー、ものすごいことになるんじゃないかな。今のうちにチケットを押さえておいたほうがいいと思いますよ。



▼FEVER 333『STRENGTH IN NUMB333RS』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3


投稿: 2019 01 22 12:00 午前 [2019年の作品, Fever 333, the] | 固定リンク