GENESIS『DUKE』(1980)
GENESISが1980年3月に発表した10thスタジオアルバム。日本盤も同タイミングにリリースされています。
前作『...AND THEN THERE WERE THREE...』(1978年)でトニー・バンクス(Key)、マイク・ラザフォード(B, G)、フィル・コリンズ(Vo, Dr)の三頭体制になったGENESISは、それ以前のプログレッシヴロック路線からポップ色の強いスタイルへと移行し始めます。
本作『DUKU』は作風自体がコンセプチュアルなもので、それまでのインスト重視なプログレ的アレンジを効果的に用いながらも、“当代きってのポップシンガー”フィル・コリンズのカラーを強めており、結果としてGENESISとしては最後のプログレ路線重視作品となっています(もちろん、これ以降もその要素は要所要所に散りばめられているものの、プログレ・テイストがアルバムの主になることはありませんでした)。
オープニングの「Behind The Lines」からして、いきなりスリリングなバンドアンサンブルが楽しめるし、歌に入るまで約2分半要するというのもその手のバンドらしい構成(笑)。かつ、歌に入ってからのポップさも際立つものがあり、続く「Duchess」しかりそのバランス感は非常に絶妙なものがあります。
特にプログレ風味でいうと、アルバム終盤に配置された組曲「Duke's Travels」〜「Duke's End」の流れが最高なんですよ。8分を優に超える大作「Duke's Travels」と、オープニング曲「Behind The Lines」のインストパートを流用したエンディング曲「Duke's End」という流れ、それぞれ緊張感と華やかさが備わったアンサンブル。その勢からは、今がバンドとしても絶頂期なんじゃないかと思えるほどのものがあります(実際、本当の絶頂期はここから6年後に迎えるわけですが)。
一方で、この頃にはポップサイドにも磨きがかかり始めており、フィルが単独で書いた「Misunderstanding」はシングルとしても全米14位と初のTOP20入りを記録。また、「Turn It On Again」はアメリカでは58位止まりながらも本国では全英8位のヒットに。「Turn It On Again」は後年まで演奏され続け、1999年発売のベストアルバム『TURN IT ON AGAIN: THE HITS』のタイトルに用いられるなど、バンドにとってもターニングポイントになった1曲であることが伺えます。
個人的にも本作と『WE CAN'T DANCE』(1991年)は、GENESISの中で特に好きな作品。フィル・コリンズらしさが強く感じられるものの、それが嫌味として前に出過ぎていない、奇跡のバランスで成立した良作だと思っています(逆に、出過ぎてしまったのがメガヒット作『INVISIBLE TOUCH』。あれはあれでまた良いんですけどね)。
フィルのソロ作はちょっと苦手という人でも、本作は意外と楽しめるのではないか……そんな優れた“ロック”アルバムです。
▼GENESIS『DUKE』
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