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2020年1月11日 (土)

NINE INCH NAILS『HESITATION MARKS』(2013)

2013年9月初頭にリリースされた、NINE INCH NAILS通算8作目のオリジナルアルバム。

前作『THE SLIP』(2008年)を携えたワールドツアーの終了(2009年秋)をもって活動を終了することを発表。以降は妻とのユニットHOW TO DESTROY ANGELS、アッティカス・ロスとタッグを組んで映画『ソーシャル・ネットワーク』のサウンドトラックなどを手掛けるにとどまりました。もちろん、その間にはNIN名義での新曲「Theme From TESTUO: The Bullet Man」を映画『鉄男 THE BULLET MAN』(2010年)のために書き下ろしたり、1stアルバム『PRETTY HATE MACHINE』(1989年)のリマスター盤発表(2010年)、U2の名盤『ACHTUNG BABY』(1991年)のトリビュートアルバム『AHK-toong BAY-bi Covered』(2011年)に「Zoo Station」のカバーを提供したりなどの動きもあり、完全に“終わった”わけではないことを匂わせ続けました。

そして2013年に入り、ついに活動再開を宣言。ニューアルバム発表前の7月末には『FUJI ROCK FESTIVAL '13』の初日ヘッドライナーとして4年ぶりの再来日も実現しました。このライブはネット中継もされたので、現地に行けなかったけど中継で観たというファンも少なくなかったはずです。僕は幸い現地で観ることができたのですが、2009年に続いてまた雷雨という……(苦笑)。しかし、いきなり未発表の新曲「Copy Of A」から始まり、ミニマルにリアレンジされた「Sanctified」、そして直前に配信リリースされた先行シングル「Came Back Haunted」という冒頭3曲の流れに(その演出含め)圧倒されたことを、今でもよく覚えています。当日のライブ音源はその後、オフィシャルサイトを通じて無料配信されたので、こちらで耳にしたというリスナーも少なくないです。

結局このフジロックでは、アルバムリリース1ヶ月前に「Copy Of A」「Came Back Haunted」「Find My Way」という3つの新曲を聴くことができましたが、いざ届けられたアルバムは想定の範囲内であると同時に、事前の想像を超える内容という構成でした。

まず、「想定の範囲内」というのは、「Copy Of A」や「Came Back Haunted」から想像できた路線であるということ。“らしさ”を残しつつも、よりミニマムな方向へとシフトしていくんだろうなという予想にかなり近い作風だったと思います。それゆえに、聴き方によっては淡白に感じられるかもしれません。

で、もうひとつの「事前の想像を超える」というのは、ブラックミュージック的解釈のアレンジを持つ楽曲が多い点。ファンクミュージックからの影響は過去数作にも散りばめられていましたが、今作におけるそれは直接的なものではなく70年代末〜80年代のニューウェイヴが持っていたブラックミュージックの色合いが強くにじみ出ているんじゃないか。そんな印象を受けました。

そういった意味では、先のミニマムかつシンプルな作風と相まって、NINの作品の中でもかなり聴きやすい1枚と言えるでしょう。初心者向けという点においては、『WITH TEETH』(2005年)にも近いかなと。しかし、作品の方向性としては実は傑作『THE FRAGILE』(1999年)に似ている……そんな「意図的に“らしさ”に照準を合わせた」ような作品なのかな。結局、この路線を軸にのちのEP三部作(『NOT THE ACTUAL EVENTS』『ADD VIOLENCE』『BAD WITCH』)も制作されているような印象を受けますし。

安心感は与えてくれるものの、90年代に受けたあの衝撃はもはや過去のもの。どこに焦点を置いて語るかによって、評価が大きく二分する1枚かもしれませんね。

 


▼NINE INCH NAILS『HESITATION MARKS』
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