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2020年1月14日 (火)

RUSH『HOLD YOUR FIRE』(1987)

1987年9月にリリースされたRUSHの12thアルバム。日本盤は1ヶ月遅れの同年10月に発売されています。

『MOVING PICTURES』(1981年)から本格化した“ラジオ・ライク”なショートチューン路線。シーケンサーを導入したシンセサウンドが加わったことで、それ以前のプログレッシヴロック的な作風からニューウェイヴ的スタイルへと移行したことで、RUSHはよりポップで親しみやすい作品を極めていくことになります。

本作はその“80年代のシンセポップ路線”の集大成といえるような内容で、ドラムのカラフル&メロディアスなタムタムの音色や、ギターよりもシンセが際立つアレンジ、どこか憂いの感じられる切ないメロディからは、職人技ともいえる極みが感じられます。

時代的にもYESが「Owner Of A Lonely Heart」で全米1位を獲得し(1983年)、GENESISは「Invisible Touch」という極上のポップソングで全米No.1に輝いた(1986年)あとに、RUSHもついに究極のポップ路線を完成させた。上記の流れを顧みると、この進化は非常に納得いくものがあるのではないでしょうか。

ただ、残念ながらRUSHの場合こういった試みがシングルヒットにまでは結びつかず、さらにアルバム自体も『MOVING PICTURES』を最後にセールスが失速。本作はしばらく続いた全米TOP10入りを逃し(最高13位)、売り上げも50万枚止まり。思えばこのバンドの場合、歌詞を書いているのはニール・パート(Dr)ですものね。知的すぎたのかな……そりゃフィル・コリンズとは違いますよ。

まあ冗談はさておき。どの曲も非常によく作り込まれており、ぶっちゃけ隙が見つからない。かといって、それが息苦しさを与えるのかというとそんなこともなく、一流のポップソングとしても成立している。なのに、よく聴き込むと各々のプレイ/アレンジが非常にテクニカルで凝っている(だから「隙が見つからない」んですけどね)。しかも今作は、「Time Stand Still」と「Prime Mover」にコ・リードボーカルとしてエイミー・マンが参加しているのも大きな特徴。RUSHのアルバムに女性シンガーがフィーチャーされるのはこれが初めてだったんじゃないかな。ドラムやシンセの音色/エフェクトに時代を感じてしまうものの、楽曲の質は80年代の作品で最高のものと言えるでしょう。

RUSHはこの傑作のあと、ポップ路線のまとめとしてライブアルバム『A SHOW OF HANDS』(1989年)をリリース。その後、さらなる混沌への入り口として13thアルバム『PRESTO』を1989年11月に発表します。ギリギリ80年代の作品ではあるものの、すでにここで『COUNTERPARTS』(1993年)への布石が感じられるのですが、それについてはまた別の機会に。

 


▼RUSH『HOLD YOUR FIRE』
(amazon:日本盤CD / 海外盤CD / MP3

 

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