DIZZY MIZZ LIZZY『FORWARD IN REVERSE』(2016)
2016年4月末にリリースされたDIZZY MIZZ LIZZYの3rdアルバム。日本盤は海外よりも2週間先行で発表されています。
1996年5月の2ndアルバム『ROTATOR』を経て、1998年にはバンド解散を発表したDIZZY MIZZ LIZZY。以降はフロントマンのティム・クリステンセン(Vo, G)がソロで活動を続けておりましたが、2009〜2010年の期間限定で再結成を遂げ、再来日公演も実現しております。そして、2014年には期間を設けない本格的な再結成を発表。パーマネントな活動再開を遂げたことで、この新作制作も実現したわけです。
前作『ROTATOR』からまるまる20年を経て届けられた新作ですが、そんな長期間のインターバルがあったことを感じさせないくらいに、本作には『ROTATOR』からの連続性を感じさせるテイストが含まれています。と同時に、ティムがソロ活動で経験した音楽的成長もしっかり落とし込まれており、単なる“焼き直し”で終わらないバンドとしての進化も感じられる1枚に仕上がっています。
同じメンバー、同じソングライターが再びDIZZY MIZZ LIZZY名義で新作を作るわけですから、そこには1stアルバム『DIZZY MIZZ LIZZY』(1994年)や続く『ROTATOR』のテイストが散りばめられているのは当然の結果。むしろ、ティムがこのシンプルなバンド編成でテクニカルかつハードなロックを奏でれば、それは自然とDIZZY MIZZ LIZZYの音になる。ここに関しては、最初の再結成で過去の楽曲を何度も演奏しているので、自然とそういった身に付いたものが表出した結果と言えるでしょう。「そう、DIZZY MIZZ LIZZYってこうだよね」と。
そんな彼ららしい要素は、冒頭の「Forward In Reverse」や「Terrified In Paradise」といったパンチの効いた楽曲から感じ取ることができるはず。ただ、もちろんこれらは過去の焼き直しではなく、『ROTATOR』から進化・成長したDIZZY MIZZ LIZZYの姿も浮き彫りにしている。そして、「Something So Familiar」のような穏やかな楽曲も過去のDIZZY MIZZ LIZZYにありそうと言えば確かにそれっぽいものの、このへんはティムのソロ活動の延長線上にある楽曲なのかな。そういった経験がしっかりバンドにも持ち込まれたこの曲は、個人的に「ティムにとってDIZZY MIZZ LIZZYとソロ活動は地続き」という事実を再認識するよいきっかけになりました。うん、本当にいい曲。
「Love At Second Sight」や「Made To Believe」のような“らしい”アンサンブルの楽曲が中盤に置かれているのも、興味深いポイントかな。前半で“らしさ”よりも“新しさ”を強調した楽曲を用意し(アルバムを「Phlying Pharaoh」というインスト曲から始めるあたりも、まさにそこだと思う)、中盤に過去を彷彿とさせる楽曲を並べ、アルバムの流れにワンクッション置く単尺曲「Frey」を経てヘヴィな「Mindgasm」から再び新しいDIZZY MIZZ LIZZYを提示する。この「Frey」「Mindgasm」という2つのインスト構成も、ミュージシャンとしての20年分の成長をまとめて落とし込んだような力作で、個人的にはアルバム後半のハイライトだと思っています。
そこから「Fly Above The Rader」「I Would If I Could But I Can't」とガッツのある楽曲が続き、ラストをムーディかつドラマチックな長尺曲「Say It To Me Anyway」で締めくくる。完璧なまでに“古き良き時代の、アルバムらしいアルバム”と断言できる仕上がりです。
ここまでの力作を携えて本格復活したDIZZY MIZZY LIZZY。まもなく4年ぶりの新作『ALTER ECHO』をドロップしますが、こちらも『FORWARD IN REVERSE』以上に気合いの入った“ミュージシャンズ・ミュージシャン”らしい傑作(ひと足先に聴かせてもらいました)。90年代の彼らこそベストと過去にしがみつくことを否定しませんが、だからといって今を否定するのはナンセンス。こんなに時代に合った(と同時に、時代の流れを無視した)最高な作品を無視することは、罪以外の何ものでもありません。どうか、もっといろんなところに行き届きますように。
▼DIZZY MIZZ LIZZY『FORWARD IN REVERSE』
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