STONE TEMPLE PILOTS『PERDIDA』(2020)
2020年2月上旬にリリースされた、STONE TEMPLE PILOTSの8thアルバム。
前作『STONE TEMPLE PILOTS』(2018年)から加入したジェフ・グート(Vo)参加後2作目にあたる本作は、初の全編アコースティック・アレンジによるフルアルバム。2019年前半には本作の制作に取り組んでいたとのことで、レコーディングはエリック・クラッツ(Dr)所有のBomb Shelter Studioにて行われたそうです。
タイトルはスペイン語で“Loss”(喪失、損失)を意味する言葉ですが、聞こえてくる音色やサウンドからは彼ら特有のネガティヴさや内省的な雰囲気はあまり感じられません。いや、多少内省的な部分はあるんでしょうけど、それはダークさという意味ではなく、むしろ穏やかさや心の平穏さが表現されたものに近い印象を受けるのです。
曲によってはフルートやサックスなどの管楽器、あるいはチェロやバイオリンなどの弦楽器もフィーチャーされ、楽曲の持つ緩やかな世界観をより強調させている。そこに彼ら特有の美しいハーモニーが重なり合うのですが、メジャーキーで軽やかに奏でられるそれらの楽曲群は非常に心地よく響くものばかりで、これまでのアルバムだったら箸休め的に挿入されたトラッド調ナンバーやカントリーテイストの楽曲がアルバムの冒頭から最後まで、ぎっしり詰め込まれているわけです。
なので、ぶっちゃけ突き抜けるような爽快感や開放感を求めると痛い目を見る1枚かもしれません。豪快なギターリフもなければ、バカデカいビートも力強いシャウトも皆無なわけですから。
でもね。最初から最後まで気持ちよく楽しめるのもまた事実。だって、どこからどう聴いてもこれ、STONE TEMPLE PILOTSの音ですから。LED ZEPPLEINでいえば3rdアルバム。ALICE IN CHAINSでいえばEP『SAP』(1992年)や『JAR OF FLIES』(1994年)……というのは言い過ぎかしら。とにかく、そういう側面も心を広く持って楽しめるというリスナーにはうってつけの1枚です。
あとね。本作を聴いて思ったのは……結局、彼らも“アメリカのバンド”なんだな、と。当たり前っちゃあ当たり前なんですが、やっぱりこういうこともやりたい人たちなんでしょうね。それはお国柄なのか、あるいはミュージシャンとしてのエゴや成長の表れなのかはわかりませんが、これが今後永久に続くわけでもなさそうですし、今はこのモードを素直に楽しみたいと思います。
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